単調とも言える大剣の軌道をドローンの補助も使って避けた紫は天津へ向かって指輪から放電する
「天羽ホワイトを討った雷の発展系か!しかし我が身にはそれは効かない!」
放たれた紫電を大剣へ絡め取り、天津は剣身へ電気を纏わせた
「天罰の象徴たる雷は我が手中にあるものだ!」
「……面倒な。では此方だな」
紫は指輪を下げ透明な毒の結晶を展開する
紫が結晶の角で突き刺そうとすれば天使の大剣が結晶を弾き砕き、天使の大剣が紫へと振られれば結晶がそれを受け止める。互いに決め手に欠ける攻防が続いていた
しかしその均衡は大剣の停止という形で崩れることになる
「…………私も、混ざったほうが、いいよね……?」
天津が剣を振り下ろす腕を取られたのは造花の蔦によるものだった
「っ!そうか、そんなに斬首が待ちきれないか。ならば受けよ!断頭台の導きを!」
天津が手から放した大剣がふわりと宙に浮かび真っ直ぐに造世へと迫る
「させるわけがないだろう」
造世に届く前に刃は紫達の乗ってきたキャタピラが立ち上がることで阻まれた
「どうやら、天使種というのはそれほど対処難度に差はないらしい。サンプル数が2では確証とは言えないが、少なくとも貴様は天羽ホワイトと変わらない……いや、それ以下か」
天津の四肢を抑える蔦に結晶が混ざっていく
「天使種というのは、復活できるらしいな」
「そうだ、我らは主が望む限り何度でも此世に舞い降りる。今ボクを倒したところで、君は必ず天罰を受ける!いいや、ボクが受けさせてみせる!」
何かの覚悟を決めたように増加と結晶を引き千切り大剣を手元に手繰り寄せようとした天津の心臓を、紫の毒結晶が貫いた
灰色の羽根が吹き出して、其処に天使が在った痕跡が消えていく
「……紫、これでよかったの……?」
「明確に継続的な加害の意思を見せた以上これ以外の選択肢はない。しかし、海利には逃げられてしまったな……」
天使を確かに殺したというのに動じもしない紫の様子に、造世は心配をして声をかける
「殺してしまったことに、辛いとかはない……?」
「……気にかけられていることは好意的に受け取っておくが、私は既にそれを経験し、自分なりの納得を見出した。造世が思うよりも、私は弱くはない。そもそもあれらは主とやらに蘇生されるらしいというのは分かっている」
「そっか……紫がそう言うなら、深くは関わらないね。でも、これだけ、させて」
造世は紫のことを強く抱きしめた
どうかこの子が『花』の力をこれ以上誰かを殺めるために使いませんようにと願いを込めて