人間なんか嫌いだ。だって彼らはいつも僕を脅かす
校長先生に裏口から通してもらい、なんとか校内に入れたはいいものの保健室に辿り着く前に同級生に見つかってしまった
「見つけた!人間モドキが居たぞ〜!」
「やれやれ!頭に当てたら100点、それ以外なら10点だからな!」
投げつけられる石に抵抗することもできず、けれど痛がる素振りを見せれば更に石の量が増えるため、僕は耐えることしかできなかった
頭から血を流して失った意識は、肌の溶ける痛みで覚醒させられた
「あはは!理科室にあったやつかけたらこんなふうになるんだ〜」
「それ、りゅーさんっていうらしいぜ!」
「あ、目を覚ました!私やってみたかったことがあるの!そいつの髪の毛ちょっと取って!」
髪を引き抜かれ、目の前で藁人形へと貼り付け釘を打ち付ける様子を見せつけられる
効果など何もなくても、網膜に焼き付く悪意が恐ろしかった
別の日だって、変わらなかった
「なーなー!こいつの指これに突っ込んだら面白そーじゃねー?」
「扇風機じゃん!すっげー!カバーも外してある!親もセンセーも指入れたらダメって言うしコイツで試すの名案!」
複数人で取り押さえられて、人差し指を無理やり切り落とされた。傷口には嫌というほど風の感触があった
「目に塩を入れてやろうぜ!しんとーあつ?っていうので目玉がへこむんだって!」
「なにそれーやってみて!」
殴り倒されて、一袋分の塩を瞼の中に押し込まれた。それからは能力を得るまで、目も見えなくなっていた
「じゃーん!姉ちゃんから貰ってきたタバコ!映画でよく見るこんじょーやき?ってやつ試していいかー?」
「おいおい、本人じゃなくて周りに許可取るのかよ!だけどいいぜ!一緒にやらせろよ!」
何も見えないのに聞こえる声に怯えていたら、突然体中を火傷させられた。傷口から神経か何かに当たったようで、その日から右腕が動かなくなった
何もかもが嫌になって、それでもお父さんに嫌われたくなくて、どうしようもなくなっていた時、お父さんから「もう学校に行かなくていい」と言ってもらえた
最初はただ嬉しかった。離れた場所に居ても助けてくれたんだと、そう思った
けれど帰ってきたお父さんの第一声に僕は絶望した
「……貴重な実験体の管理を疎かにしてはいけなかったな。まぁ脳が無事ならいい。現、この椅子に座れ」
自分は、親にすら愛されていないと知った
其処からはほとんど、記憶などなかった。切開された頭蓋骨の中に浮かぶ脳に電流を流される日々。ある時、物質世界よりも上に自分が居ると気づいた
止まることなど、できなかった。こんな地獄のような世界なんて壊して自分だけのものに作り変えてしまおうとそう思ったんだ
ーーー
「理解できたかい?主がどのような道を歩んできたか」
瞳に悲哀を込めた天羽が、紫へと問う
けれど紫は軽く服の埃を払い小さく吐き捨てた
「理解したとて、私がそれに付き合う必要はない」
服についた埃を払って紫は現の部屋へと進んだ