────コロニー「
イー・ファルコとフー・バラクである。
銀色に輝く髪を靡かせる女、フーが先に口を開いた。
「何の用だ。」
「フー!貴様口の聞き方に気をつけろと何度言えば・・・!」
そう言いかけるイーをアクィラは遮った。
「いや・・構わない・・2人を呼んだのは他でもない・・ヴェンの保護されている連邦の小型艦についてだ・・・」
「デウケースが・・なぜまた連邦の艦なんかに・・・」
そう、ヴェンは以前群雲の小隊を反滅させた。その張本人を保護するなど不可解であるとイーは考えた。
「だから面白くなる・・と言っただろう・・?まあ
「なるほど・・確かに・・」
イーはニヤリと笑う。
「だからなんだと言っている!ふざけてるなら戻るぞ!」
フーは露骨に怒りを露わにする。
「まあ待て・・すまない・・実はあの戦艦が連邦軍に狙われている気配がある・・もうじきだろう・・2人には彼らを守って欲しいのだ・・」
「・・・」
「なっ‼︎ふざけるなと言っただろう‼︎なぜ私が連邦なぞ助けなければならないっ‼︎」
怒鳴るフーとは対照にイーは静かに聞いている。
「少佐・・・ですか?」
「ああ・・・来るつもりだろう・・・」
アクィラは静かに答える。
「あの女・・・なるほど・・・わかった!行ってやる!」
「ありがとうフー・・・ただライラが来たら極力戦闘は控えてくれ・・・
「フンッ!私があの女に負けるとでも⁉︎この時を待っていたんだ‼︎アイツを殺して私が
そう言うとフーは足早に部屋を後にした。
「イー・・・
「ハッ!すでに修理が完了いたしました!申し訳ありません!」
「・・いや・・君があそこまでやられるとはね・・あのガンダム・・なかなかいいな・・」
イーは明らかに悔しそうな顔をする。
「不用意に近付きすぎました・・次はああはいきません!」
「いや・・・そもそも相性が悪い・・・君は別の者と当たってもらおう・・・」
「ハッ!・・・アクィラ様・・・少佐の
「いや・・・言わなくていい・・お前はもうわかっていると思うが・・」
「分かっております・・ファンネルは出しません。」
「うん・・いい子だ・・・フーが危ない時は助けてやってくれ・・」
「ハッ!」
アクィラは思い出すように付け足す。
「ああ・・あと黒蓮のファンネルの予備をその戦艦に届けてくれないかな・・?」
「黒蓮の⁉︎・・・承知いたしました・・・」
渋々という言葉が顔に出ているイーに対してアクィラは笑う。
「ありがとう・・・イー・・・」
────一方群雲艦内で目覚めたヴェン・デウケース。
彼は起きるなり顔を手で覆い落胆とも悶絶とも困惑とも取れる声を発した。
「なんだ起きるなり失礼な!そばにいたのがヒメノじゃなくて俺たちなのがそんなにガッカリか⁉︎」
「本当失礼‼︎せっかく看病してたのに‼︎」
自分達のせいでヴェンがこうして寝ていた事もすっかり忘れて素行の悪い生徒を叱る先生のように怒る。
「・・・え・・あ・・なんだっけ・・マ・・マヌケ・・?・・いや・・・マルコッ‼︎」
「なっ‼︎急に大きい声出すな‼︎ビックリした!・・・今マヌケって言ったか?」
「そうね!正解‼︎」
「何っ⁉︎」
寝ぼけた様子のヴェンはまだ現状が整理しきれていないようだ・・・
「え・・・あの・・・ここどこ?・・・‼︎・・ヒメノはっ⁉︎あのイかれた奴らは⁉︎・・あれ!夢っ⁉︎・・・ババァの日記は⁉︎・・・」
「ほらぁ!やっぱりアンタが電圧調整間違えちゃったのよ‼︎頭パーになっちゃったじゃない‼︎」
「すまないヴェン・デウケース‼︎ここまでやつつもりじゃなかったんだ‼︎ちょっと仕返ししようと思っただけで・・・!」
ヴェンはハッと正気に戻り現状を把握したようだ。
「・・・アンタか・・あのワイヤー・・・」
ヴェンは静かに問う・・・
「あ・・・のー・・・すまない。俺だ・・・」
その発言の瞬間ヴェンがマルコに飛びかかった。
「ふざけんなマヌケッ‼︎お前のせいでヒメノが頭パーな奴ばかりのイカれたコロニーに連れてかれちまったじゃねぇかっ‼︎」
「マヌケって言うな‼︎どう言う事だ頭パーって⁉︎・・・!・・・待て!」
マルコは急に真剣な顔になりヴェンの肩を掴む。
「見たのか⁉︎ヒメノの夢‼︎」
「あ⁉︎話すり替えるな‼︎見たからあんなおかしな連中ばかりのコロニーって・・・どう言う事だ⁉︎」
マルコはリリアに向かい笑顔になる。
「見ろリリア!俺の言った通りだ!ヒメノと同じようにヴェンも夢で見た!居場所がわかるぞ‼︎」
「そうね!わかったからそのドヤ顔やめて!腹立つ!」
「どういう事だ⁉︎」
苛立つヴェンにマルコが揚々と答える。
「以前ヒメノは君の行動を夢で見ていた!だから君も夢でヒメノの行動を見るんじゃないかと思ってな!ビンゴだ‼︎」
「だから電撃で眠らせたのか?」
「そうだ!以前我が隊を君にやられた仕返しも兼ねてな‼︎いや〜よかった!で⁉︎ヒメノは⁉︎」
ヴェンはしばらく黙って震え出した。
そして叫ぶ。
「よくねぇっ‼︎夢で見た通りアンタ本当どうしようもねぇなっ‼︎そんなんだからホワイトドール盗まれんだよマヌケッ‼︎」
「そこまで見たのかっ‼︎いいぞっ‼︎マヌケは余計だがっ‼︎」
噛み合わずギャーギャー喚く二人にリリアが一喝。
「うるさいっ‼︎今そんなふざけてる場合じゃないでしょうっ‼︎ヴェン‼︎」
「・・ハ・・ハイッ‼︎」
眉間に皺を寄せたリリアの威迫に気押されるヴェン。
「何を見たか全て話して・・・早くっ‼︎」
「わかったからそれやめてくれ!怖いっ!」
ヴェンは夢で見た内容を全てマルコとリリアに話した。
ヒメノがホワイトドールに乗ったこと、初めての敵機撃墜、そして自身のせいで落ち込んでいたこと、そして辺獄での老婆の話。
そして煉獄でのヴェン自身の境遇の事を。
マルコとリリアは言葉が出なかった。
「・・・これが俺が見たもの、聞いたものだ・・・アクィラの言ってた事はどこまで本当か分からんがばぁさんの話は本当だろう・・・」
「なんという事だ・・・アクィラのアクシズ落としも十分狂行だが・・・連邦のガンダム覚醒・・・・・・」
さっきまで騒いでいた時とは違いマルコは鋭い目つきになる。
「俺たちは連邦軍に身を置いている・・・まずは俺たちが動かなければ・・・何としてもガンダム覚醒・・繭の羽化を止める!」
ヴェンは目を丸くした。
「え・・信じんの?・・こんな突拍子のない話・・」
マルコとリリアが頷く。
「ここまで綺麗にピースがハマってしまったんだ。そりゃ信じるだろう?」
「それに・・ヒメノがあなたを信じてる・・だから私たちもあなたを信じる!」
ヴェンはそう言われて少し俯いて小さく呟いた。
「ヒメノ・・よかった・・・いい人達だな・・」
マルコは聞き取れず聞き返す。
「何て?」
「いや・・その・・・ヒメノに謝らなくちゃ・・・俺が一人で勝手なことしたせいで・・・」
「ああ!それ本当にちゃんと謝ったほうがいいわ‼︎ヒメノあなたのことボコボコにして連れ帰るって言ってた‼︎」
「え・・・」
少年の顔が絶望の色に染まっていくのが目に見えて分かる。
マルコとリリアが笑う。
「まあ誠心誠意謝れば何とかなるさ!それで?ヒメノがいるコロニーの場所は?」
「・・・ん?・・・あ!・・そう言えば変なのがワラワラ増え始めたところで目ぇ覚めた‼︎どこだ⁉︎」
「何‼︎一番重要なとこじゃないか⁉︎思い出せ‼︎」
「いや思い出せって・・・あ!・・・『
「ざっくりだな‼︎そもそもどこにあるそれ!」
「え〜っとぉ・・・・・・⁉︎」
ヴェンがふと何かに気づいたようなそぶりを見せる。
「どうした急に?」
「何だ・・・この感じ・・嫌な感じだ・・・‼︎・・やばいっ‼︎」
「敵かっ⁉︎」
その時一同の元に通信が入る。
「少尉‼︎レーダーにて遠方に連邦戦艦複数捕捉‼︎『
「まさか・・!俺たちをやるつもりか中将‼︎」
「アイツ・・・嫌な感じがするっ‼︎俺が出る!黒蓮どこだっ⁉︎」
「黒蓮?ああ君のか!モビルスーツデッキだ!俺たちも出る!」
「何言ってんだ‼︎俺が陽動するからその隙にこの艦で逃げろ‼︎」
「雲母が来てる!逃げきれない‼︎やるしか無いだろっ‼︎」
「あの数無理だ‼︎逃げろって‼︎・・・!」
ヴェンがまた何かに気づいた顔をする。
「何だ⁉︎今度は⁉︎」
「やばいな・・・アイツらも来た!」
群雲目掛けて宇宙をかける連邦戦艦達とは別方向。
イー・ファルコとフー・バラクの率いるモビルスーツ軍団が長距離移動ユニットに引かれながら群雲に迫ってきていた──