虹色の星空    作:ミコユラ

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第27話 鬼神と呼ばれた女

 

────グスタフ・グレイブ中将が率いる連邦軍精鋭部隊が1機のモビルスーツの四方を囲んでいる。

全機はその手にビームライフルを持ち、いつでも引き金を弾けるように構えている。

たった1機のモビルスーツ相手になんとも仰々しい雰囲気を醸し出す中、部隊を率いるグレイブ中将はそのモビルスーツのパイロットに言葉を投げた。

 

「伝説を(かた)る俗物めがぁ・・・たっぷりとこの間のお返しをしてやる!」

 

そんな小物の発するような宣言に黎明のパイロット、ライラ・リルは額を手で覆い、ため息をついて呆れ果てている。

 

「いやぁ〜・・・逆にすげぇよお前・・・キング・オブ・チンチクリンだよ・・・まじちっちぇよ紫小僧・・・」

「ぬぅぅ・・!貴様ぁ・・!いつまでも減らず口をペラペラとっ・・!」

 

中将の額には血管が浮き出てちぎれそうなほどである。

沸々と湧き上がる怒りを吐き出すかのように大声で叫ぶ。

 

「やあぁぁれぇぇぇいぃっ‼︎‼︎」

 

中将のその一声で全機が黎明に対して一斉に攻撃を仕掛ける。

 

「なあぁぁがぁぁぁいぃっ‼︎‼︎」

ライラがそんな中将の真似をしながらも、黎明はまるで木から落ちる葉のようにヒラヒラと舞い、連邦軍の一斉攻撃を紙一重で全てかわしていく。

 

驚くべきはライラの操縦方法である。

これだけの攻撃を舞う様にかわしていると言うのに当の本人は手を頭の後ろで組み、あろうことか操縦レバーに組んだ足を投げ出してピコピコさせているのである。

 

ライラはレバーにもアクセルにも触らずサイコミュを介した感応波だけで機体を動かしていた。

無味乾燥極まりないといった様子がその表情にこれでもかと滲み出ている。

 

「まじつまんねぇ〜ペラッペラの気迫だよぉ〜・・・400年だぜぇ〜・・・」

「舐めおってぇっ‼︎何を止まっておるっ‼︎さっさとやらんかぁっ‼︎」

 

中将の言葉が発せられた瞬間先程の腑抜け顔が一変し伝説の英雄たる威厳に満ちた険しいものに変わる。

 

「たった400年でここまで腑抜けたか青二歳共っ‼︎‼︎」

 

その瞬間全てのモビルスーツ達の動きが止まる。

敵意とは違う、まるで天から訓戒が下されたかのような響き。

中将もこの気迫に返す言葉が見当たらずに押し黙る。

 

「貴様らこの私の時間を奪っておきながらその程度の興添えしかできんのか?・・・・・地球連邦軍500年の歴史にカバのクソをベッタベタに塗りたくっているなぁ中将閣下殿ぉ〜・・・」

 

叱責しながらしっかり侮辱してくるライラに堪忍袋の尾が音を立てたかのように弾け飛んだ。レバーを握る手が勢いよく押し出され力いっぱいペダルを踏む。

 

「・・・その減らず口・・・黙らせてやるぅっ‼︎」

中将の乗る斑鳩(いかるが)が高速飛行形態のまま黎明に突撃していった。

 

しかし黎明は微動だにしない。

コックピットのライラは半開きの三白眼を斑鳩に向けて再度深くため息をついた。

何度言っても欠陥を正さない幼児に対する呆れにも似ているその態度。

その瞬間にも斑鳩は突進して来ており目と鼻の先まで迫っている。

しかし追突する瞬間黎明は滑る様に斑鳩の下に倒れ込んだ。

斑鳩は勢いのままに飛んでいく。

 

「はぁ〜つっまんねぇ〜・・・もういい?行かなきゃいけないんだよ!坊や達と遊んでる暇なぁ〜いのっ♡」

ライラは投げキッスをする。

 

その瞬間ライラの脳内に悲鳴が響き渡った。

聞き覚えのある声。

エマの声にも似ている。そして自身の声にも似た叫び声。

 

悲鳴は木霊しながら徐々に大きくなり視界が一瞬揺らぐ。

そして激しい頭痛と吐き気がライラを襲い始める。

 

「うああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ・・・・・・‼︎‼︎‼︎」

 

ライラが叫び出した途端黎明の体がのけぞるような動きを見せ、持っていた大型シールドを両手で構える。

シールドは真ん中で別れ、2丁のバイザーライフルとなった。

 

黎明は水平に両ライフルを構え巨大な光線を走らせる。

そのまま回りだし周囲に光線を撒き散らす。

太く巨大な光線に巻き込まれた連邦機達は次々爆散して塵となってゆく。

 

その壮絶な光景を目の当たりにした連邦兵達は唖然としながらただ立ち尽くす事しかできずにいた。

「なんだ今の⁉︎何が起こった‼︎」

「・・まさか・・・本物の・・・」

 

同胞達をまるで羽虫を落とすかの如く消し去ってゆく者。

本物の伝説の英雄。

鬼神、ライラ・リルである。

 

「がああああぁぁぁぁっっ‼︎・・・・・・ぐぅううっ‼︎・・・なんだぁぁ・・・‼︎この感じぃ・・・‼︎・・・貴様らぁ・・・この私の視界に入るつもりかぁ無礼者がァァァァァッ‼︎‼︎」

 

ライラは呻き叫ぶ。

何かに苦しみ、そして憤怒を撒き散らすかのように。

黎明は猛スピードで宇宙を駆け、バイザーライフルを連射していく。

高速で移動しながらの連射だというのにも関わらず全ての光弾が連邦機に着弾し爆発していく。

 

その様子を見た中将はいよいよ焦り始めた。

この気迫、この動き、この狂気。

まさに天災。

本物ならばなぜ生きている。

様々な言葉が脳裏をよぎるも今目の前の絶望を拭い去らねばこちらが全滅してしまう。

中将が叫ぶ。

 

「化け物めぇ‼︎ミサイル全弾放射ぁっ‼︎」

重厚機体達から誘導ミサイルが発射される。

 

ミサイルの雨が黎明に降り注ごうとする時。

また先程の光線を振り回しミサイルを全て消し飛ばした黎明。

 

黎明の双眼が青緑に光る。

ミサイルを放ったモビルスーツ達は次の瞬間には光弾が撃ち込まれ爆散していった。

 

「はあっ‼︎はあぁっ‼︎・・・・・・なんなのだぁ・・・‼︎・・うぅぅっ!・・アイツがぁ・・・私に入り込んだというのかぁぁっ‼︎」

 

残ったモビルスーツは恐怖のあまり黎明から逃げようと背を向けた。

バラバラに散ったモビルスーツ達を超スピードで追いかける黎明。

ライフルのバイザーの周りに光刃が回転し始める。

まるでチェーンソーの様に走る光を纏い黎明は飛ぶ。

 

その光刃が振り下ろされた時には機体は溶けて飛び散り宇宙の藻屑となる。

 

1機、また1機とその光刃に捌かれていく。

 

ライラの脳裏に耐えがたい激痛と叫び呻く呪詛のような残響。

もはや正気を失っているライラは目を見開いて宇宙の彼方を睨みつけた。

 

「ああああぁぁぁぁっっっ‼︎‼︎・・・・・・いやァァァァァああぁっ‼︎‼︎」

 

その瞬間ライラは発狂して宇宙の彼方に飛び去っていってしまった────

 

 

────敵の包囲網に阻まれ続ける中、そのせいで進行が遅れイライラが溜まるヴェンと群雲一行。

そんな中ヴェンはある者の気配を察知する。

 

進行方向の暗闇の果て。遠くから光るものが見えた。

「群雲‼︎離れろっ!来たぞっ‼︎」

ヴェンがそう言うと群雲はスピードを上げその空域から移動する。その時2本の光線が群雲のいた辺りを走った。

 

「なんだ‼︎早いっ!見えなかった‼︎」

「来たぞあの偉そうな奴っ‼︎」

「この攻撃・・・グレイブ中将⁉︎」

 

光線が走った先を見ると紫色の小型の飛行機のような物体が。

グレイブ中将の乗る斑鳩が猛スピードでこちらに目掛けて突っ込んでくる。

 

「あの野郎‼︎あんなに早くっ‼︎ファンネルッ‼︎」

ヴェンがそう叫ぶと花びらのビット達は拡散し一同の眼前にビームバリアを張る。

 

「クソどもがぁぁっ‼︎無駄なことをっ‼︎」

自らが俗物と吐き捨てた者1人に精鋭部隊を眼前で壊滅させられた中将。その浅ましいプライドは既にズタズタに引き裂かれていた。最後の悪あがきとして群雲一行を潰そうという魂胆だ。

 

斑鳩は飛びながら変形をしてゆく。

刺々しいエッジを立てた形状のモビルスーツが姿を現した。

斑鳩は背面から多数のミサイルを発射する。

 

そのミサイルは照準誘導型ミサイル。一度狙った相手を追尾し逃すことはない。ミサイルはヴェンの張ったバリアを軽々と越えて突き進んでゆく。

 

「あの数っ‼︎・・クソッ‼︎」

最初の直接的な動きに惑わされ真っ向から受け止める目論見が外れるヴェン。

黒蓮は腹部からビーム散弾を放射し眼前のミサイルを消し飛ばす。しかし迎撃から逃れた数機はなおも飛び続けている。

 

「リリアっ‼︎散開して迎撃っ‼︎」

「了解っ‼︎」

 

マルコとリリアはそう言うと黒蓮から離れビームライフルを放つ。数機のミサイルはそこで着弾し爆発するが残りはマルコとリリア機に向かって進路を変えた。

 

「なっ‼︎誘導追尾かっ‼︎」

避けても追ってくるマルコ達は冷静に距離を取り、それぞれの零式に指の関節から何かを多数射出した。

放たれたそれは瞬く間に膨らみ零式の姿を(かたど)る。

機体と同じ熱源を発する起爆式ダミーバルーンである。

熱源を誤認したミサイルは全てそれらに着弾し爆発した。

 

小物と侮っていたマルコ達すら自身を愚弄するかのよう。

中将はもはや軍人としての矜持すら持ち合わせてはいなかった。

「小賢しい真似をぉ‼︎くたばれぇ裏切り者共ぉっ‼︎‼︎」

「どっちが裏切り者だぁボケカスがぁっ‼︎」

突っ込んでくる斑鳩に対してビットを(けしかけ)ける。

 

しかし突然最初の飛行機の様な形態に変形した斑鳩はビットの光線を軽々かわしながら遠方へ逃げ去ってゆく。

 

「クッソチョロチョロと‼︎声に似合わん戦いしやがってぇ‼︎」

中将の戦い様に苛立ちを露わにするヴェンをよそに斑鳩がリリアの零式に向かって突撃する。

あまりのスピードに駆動性の劣る零式では反応しきれない。

 

「リリアっ‼︎」

マルコが苦し紛れにライフルを連射するも斑鳩には当たらない。

 

その時リリアの周りから細い光線がカーテンの様に集まり斑鳩に向かって近づいていく。

斑鳩は進路を反転し猛スピードで離れる。

 

「ぬぅっ!新手かっ⁉︎」

 

リリアはその光線に見覚えがあった。

「あのビットは・・!」

 

リリアが振り向くとそこには1機のモビルスーツが降り立つ。

黄色い体、鷲のような顔をした円形のシールドを構えた機体。

黄蜂(こうほう)」である。

 

「大丈夫ですか⁉︎そこのおふたりは背後に下がって援護してくださいっ‼︎僕ちゃんさんはっ・・・・・・・あ〜・・・」

 

「今何つった⁉︎ヴェンだよっ‼︎ヴェン・デウケース‼︎」

「ああっ‼︎ヴェンさんっ‼︎ファンネルで一気に畳み掛けつつ確実に攻めていけば勝てない相手ではありませんっ!落ち着いて行きましょうっ‼︎」

 

黄蜂のパイロット、ディスケはそう言うと背面から大型のガトリングガンを取り出した。

 

斑鳩目掛けてガトリングを発射していくディスケ。

銃身から薬莢が勢いよく排出され銃弾が斑鳩に飛んでゆく。

ヴェンは斑鳩を逃がすまいと反対方向を囲んでビットで追い込んでいく。

 

「ぬぅぅっ‼︎・・・小癪な真似をしおってぇっ‼︎」

 

斑鳩は突然黄蜂の方へ目掛けて飛び始めた。

ガトリング砲の嵐をスルスルとすり抜け黄蜂を越えた零式の場所まで瞬く間にたどり着く。

また変形しモビルスーツになると前腕部の太く長い爪付きのバイザーを零式に飛ばした。

 

「落とせファンネルッ‼︎」

ヴェンがそう叫ぶと花びらのビットが短い光刃を突き出し斑鳩のバイザーに突っ込んだ。

 

バイザーは爆破させるも斑鳩は反対の腕の爪をリリア機のシールドに食い込ませる。

 

「落ちろぉぉ小娘ぇぇっ‼︎」

「中将っ・・・‼︎あなたは・・・っ‼︎」

中将は爪を食い込ませながら対の手に光刃を握る。

 

黄蜂がシールドを構え斑鳩の腕に振り下ろす。

振り下ろされた瞬間サーベルのアイドリングが切れ円盤上のシールドから光刃が伸びた。

斑鳩の腕が溶け落ちる。

「ぬあぁぁぁ‼︎俗物がぁぁっ‼︎・・・許さぬぅっ‼︎覚えておれぇぇぇっ‼︎」

 

斑鳩は飛行形態に変形し宇宙の彼方に飛んでいった。

 

「アイツ・・・っ‼︎逃げやがったチクショウッ‼︎」

「ハッハッ!まあ皆さん無事だった事ですしいいじゃないですかっ!」

悔しがるヴェンを諭すようにディスケが笑う。

 

「あっ‼︎あのっ‼︎この間と今助けていただいた事っ‼︎」

リリアがディスケに声をかける。

「え?・・・ああっ!その声この間の!では私が感じた気配は・・・」

「気配・・・?あの・・・映像通信繋いでくれますか・・・?」

 

リリアの声色は真剣なものだった。

彼には伝えたいことがある。そして確かめたいことも。

 

「映像通信?・・・ええ・・・構いませんが・・」

その様子を見ていたヴェンは怪訝な表情。

「リリアさんこの人と知り合い・・・?この人「辺獄(リンボ)」の変な人たちの大変な人だぜ?」

「何言ってんだ君は?」

その瞬間リリアの顔は般若の如き表情に変わる。機体越しにも伝わるその気迫。

「外野は黙ってなさいっ‼︎‼︎」

「「ハイッ‼︎」」

 

ディスケはリリアの零式と映像通信を繋いだ。

「あの・・・何でしょう・・・ん・・・その顔・・・っ‼︎」

「わかりますか・・・?私のこと・・・?」

「私が感じた気配・・・その顔・・・あなたは・・・?」

初対面のはずのリリアの顔に見覚えがある。

遥か昔の記憶を辿るディスケ。

 

リリアは深呼吸をして喋り出す。

「私はリリア・モンテーニュですっ‼︎」

 

ディスケは目を丸くして驚いた。彼女の口からよく見知った者の名が出たのだから。

「リリアっ!まさか・・・!その顔・・・確かに面影がある!・・・なぜそんなに若く・・・」

リリアは最後の言葉を聞き眉をひそめる。

 

「会いたかった・・・!・・まさかまた会えるなんて・・・母さんっ‼︎」

「「母さんっ⁉︎」」

マルコとヴェンは口を揃えて驚く。いつの間に過去の人物、それもどう見ても彼女より年上の男を産んでいたのだ!と頓珍漢な発想に至った2人。

 

リリアはしばらく無言で震え、そして叫んだ。

「孫です・・・玄孫(やしゃご)ですっ‼︎孫の孫のリリア・モンテーニュですぅっ‼︎‼︎母親のわけないでしょうっ⁉︎」

自らを母と呼ぶ高祖父へ悲痛のツッコミを飛ばす。

 

「ええっ‼︎孫の孫ですかっ⁉︎・・・そうだったのですか・・・アルゴ・・子供を持ったのですね・・・」

「アルゴって・・・ひいおじいちゃんの・・」

「そうです・・・大人になるまで成長を見届けたかった・・・」

 

ディスケは遠い目をする。自身が守ることが叶わなかった家族がその先の代まで繁栄している事が嬉しく、そして申し訳ない。といった眼差し。

 

「ですがこうして長生きしてみるものですね!まさか孫の孫にまで会えるなんて!ボスや皆さんに感謝ですっ!」

「大おじいさま・・・・・私・・・あなたにお聞きしたいことがあります・・・」

 

「ああ!確かに孫の孫に出会えたんです!私も話したいことが山ほどあるっ!まあまずはこの空域を出ましょう!」

「ああ!確かにここに留まるのは危ない。先を行こう。」

 

ヴェンは黄蜂の肩のビットに気がついた。

「あれ・・・あんたファンネル1個ないぞ・・・ここに来るまでにやられちゃったのか?」

「ああ〜・・これさっきヒメノさんがいじめたからグレてどっか行っちゃたんですよ!全く意地悪な!」

 

ディスケの発言に一同が静まり返る。

「あんた‼︎ヒメノと一緒だったのか⁉︎どこだ⁉︎」

「ヒメノ・・・ついに機械にまで暴力を・・・」

「アンタはっ‼︎・・・今そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ⁉︎・・ビットってグレるの?」

 

皆思い思いに喋るのでディスケは困惑する。

「ついさっきまで一緒だったのですよ!ただ何かに気付いたみたいに飛んでっちゃって!私もリリアさんの気配に危険が迫っているのを感じてこっち来てしまいましたから・・・申し訳ありません・・・」

 

ヴェンがやっと近づいたヒメノへの道がまた遠ざかった事へ落胆する。

そこへ猛スピードで一行に向かって飛んでくる物体が。

「あ‼︎あれっ‼︎さっきのグレたファンネルっ‼︎」

「いじめっ子がいなくなって安心して戻って来たかっ⁉︎」

「アンタさっきからどうしたのよっ‼︎まともな事一回も言ってないじゃないっ‼︎」

 

ビットは黄蜂の周りを飛び回り誘うような動きをして行ったり来たりしている。

「もしかしてヒメノのところへ案内しようってのか⁉︎」

「仕返しに加勢しろってことか⁉︎」

「アンタ黙ってなさいよっ‼︎」

「ヴェンさんの言う通りかも知れません。皆さん!このツッパリファンネルに続きましょうっ‼︎」

 

「・・・・・・ツッパリファンネル・・・?」

一行は群雲と共に挙動不審なビットの後を追いヒメノの元へ向かった────

 

 

────赤黒い光をその翼から噴射しながら廻羅(かるら)は猛スピードで宇宙を駆ける。

そのコックピットには頭を抱えながら悶え苦しむフー・バラクが叫びながら操作レバーを握る。

 

「ああああぁぁぁぁっっ‼︎・・・あの女あぁぁぁっ‼︎・・・何をしやがったぁぁぁ・・・‼︎・・・この・・・痛みぃぃっ‼︎アイツを殺さねば消えないかぁぁっ・・・‼︎」

 

突然廻羅は動きを止めた。

眼前に迫る者の気配を感じ取ったフーがペダルから足を浮かせレバーを引いたからだ。

 

眼前には巨大なホワイトドールが猛スピードで迫ってきていた。

「はあぁっ!はあぁっ‼︎・・・・・ああああぁぁっっ・・・‼︎・・・来たかぁぁっ‼︎・・・ライラ・リルぅっ・・・‼︎」

 

廻羅の前で動きを止めた大型ホワイトドール黎明(れいめい)

そのコックピットに座るライラもまた苦しみに耐え悶えていた。

 

「・・・はぁぁっ・・!はぁあっ‼︎・・・貴様ぁっ‼︎・・・貴様かあぁぁっ‼︎・・・この私にこのっ・・・!苦しみを味合わせようとはぁっ・・・身の程知らずがぁっ‼︎・・・」

 

「お前さえっ・・・!はあっ!・・・お前さえいなければぁぁっ‼︎・・・私はっ・・・!・・私は偽物なんぞにならなくて済んだんだあぁぁっ‼︎」

 

廻羅は黎明に向かい腹部のビーム砲を放った────

 

 

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