────グスタフ・グレイブ中将が率いる連邦軍精鋭部隊が1機のモビルスーツの四方を囲んでいる。
グレイブ中将はそのモビルスーツのパイロットに言葉をかける。
「伝説を
そう言われてため息をつく黎明のパイロット、ライラ・リルは額を手で覆い、呆れながらも答える。
「いやぁ〜・・・逆にすげぇよお前・・・キング・オブ・チンチクリンだよ・・・まじちっちぇよ紫小僧・・・」
「ぬぅぅ・・!貴様ぁ・・!いつまでも減らず口をペラペラとっ・・!」
中将の額には血管が浮き出てちぎれそうなほどである。
「やあぁぁれぇぇぇいぃっ‼︎‼︎」
中将のその一声で全機が黎明に対して一斉に攻撃を仕掛ける。
「なあぁぁがぁぁぁいぃっ‼︎‼︎」
ライラは中将の真似をしながら連邦軍の攻撃を紙一重で全てかわしていく。
驚くべきはライラの操縦方法である。
これだけの攻撃を舞う様にかわしていると言うのに当の本人は手を頭の後ろで組みあろうことか操縦レバーに組んだ足を投げ出してピコピコさせているのである。
ライラはレバーにもアクセルにも触らずサイコミュを介した感応波だけで機体を動かしていた。
「まじつまんねぇ〜ペラッペラの気迫だよぉ〜・・・400年だぜぇ〜・・・」
「舐めおってぇっ‼︎何を止まっておるっ‼︎さっさとやらんかぁっ‼︎」
中将の言葉にライラは言葉を荒げた。
「たった400年でここまで腑抜けたか青二歳共っ‼︎‼︎」
その瞬間全てのモビルスーツ達の動きが止まる。
中将もこの気迫に返す言葉が見当たらずに押し黙る。
「貴様らこの私の時間を奪っておきながらその程度の興添えしかできんのか?・・・・・地球連邦軍500年の歴史にカバのクソをベッタベタに塗りたくっているなぁ中将閣下殿ぉ〜・・・」
中将の額の血管から細い血の球が吹き出しヘルメット内を浮遊する。
「・・・その減らず口・・・黙らせてやるぅっ‼︎」
中将の乗る
しかし黎明は微動だにしない。
追突する瞬間黎明は滑る様に倒れ斑鳩は勢いのままに飛んでいく。
「はぁ〜つっまんねぇ〜・・・もういい?行かなきゃいけないんだよ!坊や達と遊んでる暇なぁ〜いのっ♡」
ライラは投げキッスをする。
その瞬間ライラの脳内に悲鳴が響き渡った。
悲鳴は徐々に大きくなり視界が一瞬揺らぐ。
そして激しい頭痛と吐き気がライラを襲った。
「うああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ・・・・・・‼︎‼︎‼︎」
ライラが叫ぶと黎明は持っていた大型シールドを両手で構える。
シールドは真ん中で別れ、2丁のバイザーライフルとなった。
黎明は水平に両ライフルを構え巨大な光線を走らせる。
そのまま黎明は回りだし周囲の連邦機達をまとめて消し飛ばした。
「なんだ今の⁉︎何が起こった‼︎」
「・・まさか・・・本物の・・・」
「がああああぁぁぁぁっっ‼︎・・・・・・ぐぅううっ‼︎・・・なんだぁぁ・・・‼︎この感じぃ・・・‼︎・・・貴様らぁ・・・この私の視界に入るつもりかぁ無礼者がァァァァァッ‼︎‼︎」
ライラは呻き叫ぶ。黎明は猛スピードで宇宙を駆け、バイザーライフルを連射していく。
移動しながらの連射だというのにも関わらず全ての光弾が連邦機に着弾し爆発していく。
「化け物めぇ‼︎ミサイル全弾放射ぁっ‼︎」
重厚機体達から誘導ミサイルが発射される。
ミサイルの雨が黎明に降り注ごうとする時。
また先程の光線を振り回しミサイルを全て消し飛ばした。
ミサイルを放ったモビルスーツ達は次の瞬間には光弾が撃ち込まれ爆散する。
「はあっ‼︎はあぁっ‼︎・・・・・・なんなのだぁ・・・‼︎・・うぅぅっ!・・アイツがぁ・・・私に入り込んだというのかぁぁっ‼︎」
残ったモビルスーツは恐怖のあまり黎明から逃げようと背を向けた。
バラバラに散ったモビルスーツ達を超スピードで追いかける黎明。
ライフルのバイザーの周りに光刃が回転し始める。
まるでチェーンソーの様に走る光を纏い黎明は飛ぶ。
1機、また1機とその光刃に捌かれていく。
「ああああぁぁぁぁっっっ‼︎‼︎・・・・・・いやァァァァァああぁっ‼︎‼︎」
その瞬間ライラは発狂して宇宙の彼方に飛び去っていってしまった────
────敵の包囲網に阻まれ進行が遅れイライラが溜まるヴェンと群雲一行。
そんな中ヴェンはある者の気配を察知する。
遠くから光るものが見えた。
「ハッ‼︎群雲‼︎離れろっ!来たぞっ‼︎」
ヴェンがそう言うと群雲はその空域から移動する。
その時2本の光線が群雲のいた辺りを走った。
「なんだ‼︎早いっ!見えなかった‼︎」
「来たぞあの偉そうな奴っ‼︎」
「この攻撃・・・グレイブ中将⁉︎」
光線が走った先には斑鳩が猛スピードでこちらに目掛けて突っ込んでくる。
「あの野郎‼︎あんなに早くっ‼︎ファンネルッ‼︎」
ヴェンがそう叫ぶと花びらのビット達は拡散しビームバリアを張る。
「クソどもがぁぁっ‼︎無駄なことをっ‼︎」
斑鳩は飛びながら変形をした。
刺々しいエッジのモビルスーツが姿を現す。
斑鳩は背面から多数のミサイルを発射した。ヴェンのバリアを越えてミサイルが突き進む。
「あの数っ‼︎・・クソッ‼︎」
黒蓮は腹部からビーム散弾を放射し眼前のミサイルを消し飛ばす。
「リリアっ‼︎散開して迎撃っ‼︎」
「了解っ‼︎」
マルコとリリアはそう言うと黒蓮から離れビームライフルを放つ。数機のミサイルはそこで着弾し爆発するが残りはマルコとリリア機に向かって進路を変える。
「なっ‼︎誘導追尾かっ‼︎」
それぞれの零式は指の関節から何かを多数射出した。
放たれたそれは瞬く間に膨らみ零式の姿を
「ダミーかっ‼︎」
ミサイルは全てそれらダミーバルーンに着弾し爆発した。
「小賢しい真似をぉ‼︎くたばれぇ裏切り者共ぉっ‼︎‼︎」
「どっちが裏切り者だぁボケカスがぁっ‼︎」
突っ込んでくる斑鳩に対してビットを
しかし突然最初の飛行機の様な形態に変形した斑鳩はビットの光線を軽々かわしていく。
「クッソチョロチョロと‼︎声に似合わん戦いしやがってぇ‼︎」
そのまま斑鳩がリリアの零式に向かって突撃する。
「リリアっ‼︎」
マルコがライフルを連射するも斑鳩には当たらない。
その時リリアの周りから細い光線がカーテンの様に集まりながら斑鳩に向かって近づいていく。
「ぬぅっ!新手かっ⁉︎」
リリアはその光線に見覚えがあった。
「あのビットは・・!」
斑鳩は進路を反転し猛スピードで離れる。
リリアが振り向くとそこには「
「大丈夫ですか⁉︎そこのおふたりは背後に下がって援護してくださいっ‼︎僕ちゃんさんはっ・・・・・・・あ〜・・・」
「今何つった⁉︎ヴェンだよっ‼︎ヴェン・デウケース‼︎」
「ああっ‼︎ヴェンさんっ‼︎ファンネルで一気に畳み掛けつつ確実に攻めていけば勝てない相手ではありませんっ!落ち着いて行きましょうっ‼︎」
黄蜂のパイロット、ディスケはそう言うと背面から大型のガトリングガンを取り出した。
斑鳩目掛けてガトリングを発射していくディスケ。
ヴェンは斑鳩の逃げる方向からビットで追い込んでいく。
「ぬぅぅっ‼︎・・・小癪な真似をしおってぇっ‼︎」
そして斑鳩は突然黄蜂の方へ目掛けて飛ぶ。
ガトリング砲の嵐をスルスルとすり抜け黄蜂を越えた零式の場所まで瞬く間に移動した。
また変形しモビルスーツになると前腕部の太く長い爪付きのバイザーを零式に飛ばした。
「落とせファンネルッ‼︎」
ヴェンがそう叫ぶと花びらのビットが短い光刃を突き出し斑鳩のバイザーに突っ込んだ。
バイザーは爆破させるも斑鳩は反対の腕についた長い爪をリリア機のシールドに食い込ませる。
「落ちろぉぉ小娘ぇぇっ‼︎」
「中将っ・・・‼︎あなたは・・・っ‼︎」
中将は爪を食い込ませながら反対の手にビームサーベルを出した。
その時黄蜂がシールドを構え斑鳩の腕に振り下ろす。
振り下ろされた瞬間サーベルのアイドリングが切れ円盤上のシールドから光刃が伸びた。
斑鳩の腕が落ちる。
「ぬあぁぁぁ‼︎俗物がぁぁっ‼︎・・・許さぬぅっ‼︎覚えておれぇぇぇっ‼︎」
斑鳩は飛行形態に変形し宇宙の彼方に飛んでいった。
「アイツ・・・っ‼︎逃げやがったチクショウッ‼︎」
「ハッハッ!まあ皆さん無事だった事ですしいいじゃないですかっ!」
悔しがるヴェンを諭すようにディスケが笑う。
「あっ‼︎あのっ‼︎この間と今助けていただいた事っ‼︎」
リリアがディスケに声をかける。
「え?・・・ああっ!その声この間の!では私が感じた気配は・・・」
「気配・・・?あの・・・映像通信繋いでくれますか・・・?」
「映像通信?・・・ええ・・・構いませんが・・」
その様子を見ていたヴェンは不審がる。
「リリアさんこの人と知り合い・・・?この人「
「何言ってんだ君は?」
そんなやり取りをするヴェンとマルコにリリアは怒鳴る。
「黙ってなさいっ‼︎‼︎」
「「ハイッ‼︎」」
ディスケはリリアの零式と映像通信を繋いだ。
「あの・・・何でしょう・・・ん・・・その顔・・・っ‼︎」
「わかりますか・・・?私のこと・・・?」
「私が感じた気配・・・その顔・・・あなたは・・・?」
リリアは深呼吸をして喋り出す。
「私はリリア・モンテーニュですっ‼︎」
ディスケは目を丸くして驚いた。
「リリアっ!まさか・・・!その顔・・・確かに面影がある!・・・なぜそんなに若く・・・」
リリアは最後の言葉を聞き眉をひそめる。
「会いたかった・・・!・・まさかまた会えるなんて・・・母さんっ‼︎」
マルコとヴェンは口を揃えて驚く。
「「母さんっ⁉︎」」
リリアはしばらく無言で震えて叫ぶ。
「孫です・・・
「ええっ‼︎孫の孫ですかっ⁉︎・・・そうだったのですか・・・アルゴ・・子供を持ったのですね・・・」
「アルゴって・・・ひいおじいちゃんの・・」
「そうです・・・大人になるまで成長を見届けたかった・・・」
ディスケは遠い目をする。
「ですがこうして長生きしてみるものですね!まさか孫の孫にまで会えるなんて!ボスや皆さんに感謝ですっ!」
「大おじいさま・・・・・私・・・あなたにお聞きしたいことがあります・・・」
「ああ!確かに孫の孫に出会えたんです!私も話したいことが山ほどあるっ!まあまずはこの空域を出ましょう!」
「ああ!確かにここに留まるのは危ない。先を行こう。」
ヴェンは黄蜂の肩のビットに気がついた。
「あれ・・・あんたファンネル1個ないぞ・・・ここに来るまでにやられちゃったのか?」
「ああ〜・・これさっきヒメノさんがいじめたからグレてどっか行っちゃたんですよ!全く意地悪な!」
ディスケの発言に一同が静まり返る。
「あんた‼︎ヒメノと一緒だったのか⁉︎どこだ⁉︎」
「ヒメノ・・・ついに機械にまで暴力を・・・」
「アンタはっ‼︎・・・今そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ⁉︎・・ビットってグレるの?」
皆思い思いに喋るのでディスケは困惑する。
「ついさっきまで一緒だったのですよ!ただ何かに気付いたみたいに飛んでっちゃって!私もリリアさんの気配に危険が迫っているのを感じてこっち来てしまいましたから・・・申し訳ありません・・・」
ヴェンがやっと近づいたヒメノへの道がまた遠ざかった事へ落胆する。
そこへ猛スピードで一行に向かって飛んでくる物体が。
「あ‼︎あれっ‼︎さっきのグレたファンネルっ‼︎」
「いじめっ子がいなくなって安心して戻って来たかっ⁉︎」
「アンタさっきからどうしたのよっ‼︎まともな事一回も言ってないじゃないっ‼︎」
ビットは黄蜂の周りを飛び回り誘うような動きをして行ったり来たりしている。
「もしかしてヒメノのところへ案内しようってのか⁉︎」
「仕返しに加勢しろってことか⁉︎」
「アンタ黙ってなさいよっ‼︎」
「ヴェンさんの言う通りかも知れません。皆さん!このツッパリファンネルに続きましょうっ‼︎」
「・・・・・・ツッパリファンネル・・・?」
一行は群雲と共に挙動不審なビットの後を追いヒメノの元へ向かった────
────赤黒い光をその翼から噴射しながら
そのコックピットには頭を抱えながら悶え苦しむフー・バラクが叫びながら操作レバーを握る。
「ああああぁぁぁぁっっ‼︎・・・あの女あぁぁぁっ‼︎・・・何をしやがったぁぁぁ・・・‼︎・・・この・・・痛みぃぃっ‼︎アイツを殺さねば消えないかぁぁっ・・・‼︎」
突然廻羅は動きを止めた。
眼前に迫る者の気配を感じ取ったフー。
大型ホワイトドールが猛スピードで廻羅に迫ってきていた。
「はあぁっ!はあぁっ‼︎・・・・・ああああぁぁっっ・・・‼︎・・・来たかぁぁっ‼︎・・・ライラ・リルぅっ・・・‼︎」
廻羅の前で動きを止めた大型ホワイトドール
そのコックピットに座るライラもまた苦しみに耐え悶えていた。
「・・・はぁぁっ・・!はぁあっ‼︎・・・貴様ぁっ‼︎・・・貴様かあぁぁっ‼︎・・・この私にこのっ・・・!苦しみを味わわせようとはぁっ・・・身の程知らずがぁっ‼︎・・・」
「お前さえっ・・・!はあっ!・・・お前さえいなければぁぁっ‼︎・・・私はっ・・・!・・私は偽物なんぞにならなくて済んだんだあぁぁっ‼︎」
廻羅は黎明に向かい腹部のビーム砲を放った────