虹色の星空    作:ミコユラ

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第29話 死神と呼ばれた少女

 

──エマ・シュリクは地球から最も離れたコロニーで生まれた。

生後まもなく孤児院に引き取られ幼少期を過ごす。

 

エマは乳幼児の頃は皆の人気者であった。

抱き上げれば天使のように笑い、泣き喚いて大人の手を煩わせることなど決してない。

 

戦後の動乱で物資は滞り、食料にも乏しい中、子供達は常にお腹を空かせ、大人は常にそんな子供に辛辣な態度を取る。

餓死をする者も少なくなかった。

 

そのような状況の中エマは優先的にミルクや幼児食を与えられスクスクと育っていった。

 

しかし物心ついた時にはすでに周りに人はいなかった。

先生も子供も皆エマを気味悪がり避けていた。

 

事の始まりはエマがもうすぐ3歳になろうというある日、エマが何気なく笑顔で言い放った言葉。

 

「サラちゃんおっこちたままおっきしないの」

 

その日同じ院のサラという女の子が階段で足を滑らせ頭を強く打ち。彼女はそのまま帰らぬ人となった。

 

先生達は当然の如く困惑していた。

しかしそれは一度限りのことではなかった。

 

「しらないおじさんたちががマー君つれてっちゃったの」

「リクちゃんつかれてねんねしちゃった」

 

その言葉通り、マックスはある日から姿を消した。

リクは栄養不良から来る感染症が悪化しそのまま亡くなった。

 

エマが喋れるようになってからそのような事が頻発する

 

その原因はエマの先天的な予知能力にある。

エマはこれから起きるだろう出来事を夢で見る。

 

全ての予知夢とも言えるものが現実となるのだ。

 

誰もが気味悪がり時には手を上げる。

 

いつからかエマは表情を変える事がなくなり言葉を発することも無くなった。

 

エマが6歳になる頃、孤児院に新たな子供が来た。

名をレイ・グッドリック。エマと同じく6歳の男の子だった。

 

彼は周りの人間が皆エマを避けていることを不審に思った。

そしてある時エマは彼が皆に暴力を振るわれ酷い目に遭う夢をみる。

しかしエマは迷った。

また皆と同じように彼も自分を気味悪がるのではないか。

 

しかし少年の身を案じたエマは彼に夢のことを伝える。

少年は訝しむような顔でエマに言った。

 

「はぁ?ただの夢だろ?・・・じゃあ賭けようぜ!俺が夢の内容ぶっ壊したら何でも1個言うこと聞けよ!」

 

何を言っているのだこの少年は。

不審の目をエマに向けながらもレイは他の皆とは違う温度を醸し出している。何か少しワクワクしていた。

しかしエマはこの少年も皆と同じになるだろうとあまり気に留めなかった。

 

その日それは起きる。

子供達がエマをお化け、疫病神と罵り虐めていた時である。

レイが割って入りエマを庇ったのだ。

 

ああ、このことか、とエマは少し寂しさを覚える。

しかし初めてエマの夢の内容が崩れる。

 

確かにレイは暴力を振るわれた。

しかしその子供たちを逆に痛めつけ酷い目に合わせたのはレイの方だった。

 

子供達は泣きながら別の部屋に行く。

レイはエマに向き直りニカッと笑い腰に手を当てて威張っている。

 

「ほら!俺の勝ちぃ!約束守れよっ!」

何をさせられるのだろうかとエマは恐怖する。

 

「笑って!」

 

エマはキョトン顔だった。

エマは内心驚いた。

たったそれだけでいいのか?

ただしばらく感情を表に出すことがなかったエマは笑う事ができなかった。

 

その様子を見て口を尖らせるレイ。

「なんだよ!ズルだぜ!約束したのに!」

一方的に約束させられたわけでエマは何も言っていない。

 

そのうち先生が来てレイを連れていってしまった。

エマはまさか先生に酷い目に遭わされるのではないかと焦った。

 

しばらくして帰ってきたレイには傷はない。

代わりに悔しそうな表情を浮かべている。

「今日明日メシ抜きだって!悪いのあいつらなのに!酷い目にあった!確かに夢当たったな!へへっ!」

 

そんな素っ頓狂な事を言いながらなぜか楽しそうに笑うレイにエマは物心ついてからこの何年間かで初めて声を出して笑った。

レイもそんなエマに釣られて声を出して笑う。

 

レイはエマにとって初めてできた友人とも言える存在だった。

エマは初めて人と一緒にいることの幸せを感じた。

 

その幸せも長くは続かなかった。

 

ある日先生がエマを地球連邦軍の管轄施設に連れていった。

 

そして笑顔で一言。

「元気でね。」

 

その日夢で見た事だった。

たったそれだけでエマの孤児院での生活が終わる。

レイにもお別れどころか朝の挨拶すらしていない。

 

その施設の男は言った。

「君の才能、その力を我々に貸して欲しい。」

 

その日エマはシャトルに乗せられ生まれ育ったコロニーを出た。

初めてできた友人ともう会うことが出来なくなった。

エマは生まれて初めて声を出して泣いた。

 

とあるコロニーにある連邦軍の研究施設に住むことになったエマの毎日は苦痛だった。

毎日朝薬を飲まされ頭に装置をつけられ何かを調べられた。

 

気持ちが悪くなり嘔吐をすれば別の薬を飲まされた。

そんな毎日が過ぎ、次の年。

 

ある日巨大な人型の機械の前に連れて行かれたエマ。

それは白い体に青い刃のような4双の羽を生やした騎士のような機械人形。

今日からこれに乗る訓練をすると施設の人は言った。

 

サイズの合わない大きなスーツを着せられ毎日擬似コックピットでの訓練。それが終わるとまた頭に装置をつけられ何かを調べられた。

 

そしてある日エマは別の機械人形を動かす人達と共に宇宙に出た。

暗闇が広がる無重力空間。

初めての体験だったがエマはすでにこの事を夢で見ていたためあまり恐怖を感じなかった。

 

夢で見た続き。エマが動かす機械の持つ銃で迫る機械人形を撃ち落とす。

全て夢で見た通り。

しかしそこから先は違った。

 

エマの頭の中に叫び声、笑い声、様々な声が鳴り響く。

頭痛と吐き気に襲われたエマはヘルメットの中で嘔吐した。

 

次の日もその次の日も朝別の薬を飲まされて訓練に向かう。

気持ちを落ち着かせる薬だそうだ。

それを飲んでからと言うもの、同じように機械人形を銃で撃ち抜いても何も感じなくなった。

 

その頃にはエマは再び感情を表に出すこともなく声を発しなくなっていた。

 

 

そして10年そんな生活が続く。

 

エマは18歳にして史上最年少撃墜数を誇る少尉にまでなっていた。

白い体に4双の翼を生やした機械人形に乗るエマは単騎で出撃し、スペースノイドの反乱分子の軍勢に向かう。

白い機体を操り敵を瞬く間に殲滅する彼女はいつしか「白い死神」と呼ばれるようになる。

 

エマはいつの頃からか予知夢すら見なくなっていた。

 

ある日士官学校上がりの新人隊員達の監督に任命されたエマはある男の姿に目を丸くする。

 

真剣な面持ちで前を向いて整列する隊員の中に1人エマを見て笑顔を向ける男がいた。

 

レイだ。

 

一目で彼だと分かったエマは表情を変えずに涙を流す。

 

軍令が終わり皆が解散した後レイがエマに近づいて来て手を握った。

 

「やっと会えた!ずっと探してたんだぞっ‼︎勝手にいなくなって!」

 

レイの目には涙が滲んでいた。

 

彼の手がエマの手に触れた時、かつて感じた温もりとともに彼の記憶がエマの脳裏に流れる。

 

エマがいなくなった後先生と口論になり施設を飛び出した彼はしばらく街路児として荒んだ生活をしていた。

 

時には人に顔向けできないようなこともしながら裏の世界へ入り、そして連邦と孤児院の裏取引の実態を知る。

 

彼は志願兵として連邦軍士官学校に入り首席で卒業。

希望の部署を尋ねられ迷わずエマの部隊に志願してここに来たのであった。

 

 

レイは新米ながらも飲み込みが早く、持ち前の人当たりの良さもあり入隊からたった1年で副部隊長にまで上り詰める。

 

その頃エマは機械人形に乗って出撃することは無くなった。

機体データは集まったからもう乗らなくていいのだそうだ。

 

エマは毎日頭に装置をつけて何かの数値を測り。

それが終わると自室に籠る。

そんな毎日を送っていた。

 

ある非番の日、レイはエマを呼び出して突然蘭の花の小鉢を押し付けて来た。

何故かとエマが問うと一言。

 

「・・・誕生日・・・おめでとう・・・」

エマ自身忘れていたその日をレイは10数年経っても覚えていたのだ。

 

エマは涙を流す。

慌てて謝るレイにどういう表情で返せばいいかわからかった。

 

その夜エマは夢を見た。

 

銀色に輝く長い髪の女性が立っている。

突然エマに向かい「逃げろ!」と言い放つ。

 

目が覚めたエマは困惑する。

この10年間夢など見た事がなかった。

これは以前のような現実に繋がるものなのか、と。

 

レイに伝えるか迷ったがレイも同じ夢を見たと言う。

銀髪の偉そうな女が自分を連れて逃げろと言って来たそうだ。

 

一体何から逃げろと言うだろうか。

不審に思うエマの手を強く握りしめたレイは言い放つ。

「お前はあの夢信じないんだな!俺は信じる!賭けようぜ!逃げて正解だったかどうか!」

 

この状況でなんて素っ頓狂な事を言うのだろう、何も変わってないな、とエマは思った。

しかし以前のような無邪気さは感じられない。

その顔は真剣そのものであった。

そしてその口から衝撃の一言が飛び出す。

 

「逃げて正解だったら・・・俺と・・俺と結婚してくれっ‼︎」

 

エマは目を丸くした。

突然そんな事を言われてどういう顔をすればいいかわからなかった。

しかしエマの顔は自身の意思と関係なく動く。

 

気づくとエマは笑っていた。

10数年ぶりのその笑顔。

レイと出会った頃と同じ、まるで天使のようなその笑顔を。

そしてエマはレイの手を強く握り返し頷いた。

レイの手は大きく硬く、そして暖かった。

 

連邦の施設を抜け出し街に身を隠す2人。

レイは事前に部隊の同僚にシャトルのチケットの取得の、元いたコロニーの裏の住民から偽の身分証の手配をしていた。

 

シャトルの発着場に着くまで間、街の裏路地を抜けながら2人は手を繋いで走る。

 

エマはこれからの事を思い浮かべていた。

このまま逃げて一体どうなるのだろう。

しかしどんな想像をしても今の自身の生活から見れば全て幸せに思えた。

この手を握るレイと一緒ならなんだって、と。

 

レイは何かに気づいて止まる。

「エマ・・・向こうに隠れてろ!」

言われるがままに道を引き返し角に隠れる。

 

よく聞こえないが連邦兵のようだ。

レイの声も聞こえる。

 

「あの女は何処だ⁉︎」

「俺も追っていたが向こうに走ってった!」

「そうか・・・お前もグルだな?」

「なっ・・・‼︎」

 

何かがぶつかるような鈍い音が聞こえた。

エマは咄嗟にレイの元に駆け出していた。

「レイッ!」

 

その声に振り返ったレイは叫んだ。

「逃げろエマッ‼︎」

「貴様ぁ‼︎ニュータイプを庇うとはっ‼︎」

その瞬間レイは兵士達の持つ銃で身体中を撃ち抜かれ倒れ込んだ。

 

エマは突然の事で声が出せずその場で膝から崩れ落ちる。

 

レイの目はエマを見ていた。笑顔でエマを見ている。

レイの口がかすかに動く。

 

その瞬間レイの顔は銃で撃ち抜かれ表情が見えなくなった。

 

エマは何が起こったのか理解できなかった。

先程まで力強くエマの手を握っていた手は力無く開かれたまま動かない。

 

エマを見ていたレイの目から輝きが消えてゆく。

 

 

「・・・あ・・・あぁ・・・・・い・・嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ‼︎‼︎」

 

 

エマは叫び出しレイの元へ駆け寄った。

地面に膝をつきながら辺りに飛び散り広がっていく血の池に手を伸ばし、その血を必死でかき集めてレイの体に戻そうとしている。

 

連邦兵が口を開く。

 

「こいつ・・フンッ!ニュータイプだなんだって!所詮はただの小娘じゃないか!」

「だがこんなのでもいつか奴らに同調するかもしれんっ‼︎」

「お役御免って事だ!悪く思うなっ‼︎」

 

連邦兵はエマに銃口を向ける。

 

エマはそれを意に返さず必死でレイの血を集めている。

 

その時また銃声が鳴り響く。

エマの目の前の連邦兵達は倒れていた。

 

それでもまだ血を集める事をやめないエマ。

何度集めても池はただただ広がってゆく。

 

「レイ!レイ起きてっ!起きてよっ!早く行かないとっ!早く・・・」

 

突然誰かがエマを抱きしめた。

「すまない・・・遅くなってしまった・・本当にすまない・・・」

 

銀色に輝く長髪の女性がエマを強く抱きしめる。

その声は震えていた。

 

動かないレイの虚な瞳を見つめながらそれでもエマは叫び続けていた。

 

 

「レイィィッ‼︎・・・レイィッ・・・‼︎・・嫌ぁぁぁ・・・っ‼︎嫌ぁああぁっ・・・・・!」

 

 

 

 

エマはライラと名乗る女性に連れ出され「辺獄(リンボ)」と言うコロニーにたどり着く。

 

そこには1人の少女がいた。

ライラと同じく銀色に輝く髪を靡かせた少女。

彼女はエマを見て怪訝な表情をする。

 

「この子・・・大丈夫なの?こんな状態の子拾って来て!何ができるってのよ⁉︎」

 

辛辣な態度で喋る少女の目線の先。

エマは俯きながらずっと1人で喋り涙を流していた。

 

「リル・・私のせいだ・・・しばらくそっとしてあげてくれ・・」

「そう・・・フンッ!好きにすればっ!」

 

そう言い残して少女は何処かへ行ってしまった。

 

ライラはエマの肩をそっと抱いた。

「しばらくここで心を休めてくれ・・・もうお前をいじめる奴はいない・・・」

 

そう言うとライラはそっと立ち去った。

 

しばらくエマはずっとその状態で過ごしていた。

何日も何も食べずただ泣きながら独り言を漏らす日が続く。

 

ある日ライラがエマを連れてシャトルに乗り宇宙へ出る。

地球圏外にデータの無いコロニーを見つけたので調査に向かうとのことだった。

 

コロニーに着くまでの間でもエマはずっと静かに泣いている。

 

着いたそこは朽ちて荒廃し切ったコロニーの残骸。

ライラはエマにノーマルスーツを着せ肩を抱きながら廃墟とも言えるコロニーを進んでいく。

 

どれほどの時を過ごしたのかすらわからないほど朽ち果てているが、かろうじて様式は判別できる街並みの廃墟をただただ静かに歩いてゆく2人。

 

「・・・そうか・・・ここは人々が自ら放棄したのか・・・」

ライラは遠い目をしながら呟いた。

まるでかつて栄えていた頃の街の風景を感じ取ったかのようにその廃墟を見渡している。

 

「エマ・・・お前に逃げろと言ったのは一緒に戦って欲しかったからだ・・・いつかこのコロニーのように・・・全ての世界から争いを無くす・・・そう思っていた。」

 

ライラの声は何かを堪えるように震えている。

「・・すまない・・・本当に・・もっと早ければこんなことにはならなかった。」

 

ライラがそう語る中、エマは何かを見つけたようにその充血した目を見開いている。

 

「・・・黒い・・死神・・・」

 

そう呟くエマの目線の先には瓦礫の山。

その中にホワイトドールによく似た黒いモビルスーツらしき物の残骸が見える。

 

突然ライラの腕を握るエマの手が震え出した。

そして数日ぶりに声を発する。

その声色にはかつての優しく滑らかな面影はなく、重々しくかすれ、消え入りそうなほど小さい声だった。

 

「ねぇ・・・お願い・・・」

 

「・・・どうした・・?」

エマはそう聞き返すライラに震えながらも必死で自分の意思を伝えようと声を絞り出している。

「あれが欲しいぃ・・・あの黒いの・・・お願い・・・」

 

「エマ・・・だがあれは・・・」

「お願いぃ・・・・・力が・・・力が欲しいのぉ・・・っ!」

エマのヘルメットの中は涙の粒で溢れていた。

ライラは困惑する。

この状態で再び闘いに身を投じる事が彼女の心にどう作用するのか見当もつかない。

だが必死で声を絞り嘆願するエマの願い。それは復讐の決意。

それを成すことで彼女の心は癒されるのだろうか。また新たな悲劇を生み出すことにつながるのではないだろうか。

しかしそれを否定することは彼女の生きる希望を奪い去る事と同義になる。

 

ライラが出した答え。それが今のエマにいてやれる唯一の救い。

 

「・・・わかった・・辺獄の奴らにお願いしてみるよ・・・」

 

 

辺獄に戻った2人が訪れた場所。

あたり1面に人が1人入れるかほどのカプセルが並んでる。

 

「エマ。あのモビルスーツは辺獄の奴らが直してくれる。ここでしばらく眠れ・・・ゆっくりと・・」

そう言われるがままにエマはカプセルに入る。

 

「私もしばらく眠るよ・・・後で起こすから・・・おやすみ・・・」

ライラに見守られながらその赤い瞳を閉じてゆく。

せめて夢の中だけは幸せであってほしいと願うライラだった。

 

 

次にエマが目覚めた時、すでに100年余りの時が過ぎていた。

 

「おはようエマ・・・ゆっくり眠れたか・・・?」

 

おはよう、その言葉を聞いたのはいつぶりだろうか。

エマはもう涙を流してはいなかった。

その赤く輝く瞳は真っ直ぐにライラを見つめている。

 

「これから1人仲間にできそうな奴を迎えに行きたい・・・エマ、お前に頼めるか?」

「あれ・・・できたの・・?」

「ああ・・・お前の希望通りだ・・・」

 

静かで落ち着いた口調で話すエマの声。

まるで冷たく透き通る氷水のよう。

 

そしてエマは地球圏のとあるコロニーに向かう。

そこには森林地帯が広がっていた。

奥に見える平原から飛んでくる物体が見えてくる。

2体のモビルスーツが軍勢に追われ逃げ惑う様子が見てとれる。

 

「アル!お前なんかしでかした⁉︎」

「なんもしてねぇよっ!ノウェがカッコよくキメすぎて嫉妬してんじゃ無いっ⁉︎」

「うわっ‼︎マジかよあんなん死んじゃうよっ‼︎」

「バラけて逃げようぜっ‼︎」

 

2体のモビルスーツは喚きながらそれぞれの道に分かれて逃げていく。

 

それを追うモビルスーツの軍勢。

そこにまた1体のモビルスーツが舞い降りた。

 

その身を漆黒に染め、背には蝙蝠のような巨大な翼を生やし、その手には緑色の光刃を伸ばした巨大な鎌。

その左腕はまるで怪物の様な長い爪を生やしている。

 

「なんだアイツはっ⁉︎」

「モビルスーツなのかっ‼︎」

「なんでもいいっ‼︎やれぇっ‼︎」

 

連邦兵達は口々にそう叫ぶ。

対する異形のモビルスーツのパイロットはコックピットで笑っていた。

 

口が裂けそうなほどの笑顔を浮かべ、その目からは涙が絶えず流れている。

 

「ゥアハハハハハハハハハッ・・・・・いっぱぁぁぁいっ・・・いぃっぱぁいいるわぁぁっ‼︎・・・アッハハハハハッ‼︎・・・・・・連邦の蛆虫共ぉぉっ・・・・・皆殺しにしてやるぅっ‼︎」

 

その漆黒に染まったモビルスーツはまるで死神の様にその軍勢に襲い掛かり、そして殲滅させた────

 

 

 

 

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