個性、海賊。ヒーロー向きじゃないって?これ以上ない英雄の個性だろ! 作:紡縁永遠
三歳の頃、俺の個性は発現した。
個性名は――『海賊』。
海賊らしいものなら、大抵は生み出せるらしい。
その名前を聞いた大人達や同級生は、決まって同じことを言った。
「ヒーロー向きじゃない個性だな」
「海賊なんて悪党じゃないか」
「もっと別の道を考えた方がいい」
……何を言ってる。
俺は、一度だってそう思ったことはない。
海賊は悪党だけじゃない。
生身で世界一周を成し遂げた女傑、フランシス・ドレイク。
海賊史を語る上で決して外せない英雄だ。
それだけじゃない。
金羊の毛皮を求めて旅立ったアルゴノーツ。その船には、数多くのギリシャの英雄たちが乗っていた。旅の結末は決して幸福とは言えなかった。それでも、彼らは伝説となり、今なお語り継がれている。
海を渡り、未知へ挑み、仲間と運命を切り開く。
そんな生き様のどこが、ヒーロー向きじゃないっていうんだ。
ありえない。
俺は海賊になるためじゃない。
海賊という個性で、ヒーローになる。
何を言われようと、それだけは絶対に曲げない。
そして今日。
俺――
「ここが雄英、あまたのヒーローを英雄の母校!」
◇◆◇◆◇◆
「今日は俺のライブへようこそ!エヴィバディセイヘイ!」
自由が売りな学校なだけあって説明会も自由だな!次のコール&レスポンスにはしっかりと答えよう、なに、促されたものに乗らないほど余裕がないわけじゃない。それに、これで落とすようなら、評判も落ちているだろう。
「こいつぁシヴィ―――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」
「イェーイ!」
「お!受験番号2467ありがとうな!次も頼むぜ」
おいおい、俺だけかよ。もっと乗ったほうがいいだろ、と言うか緊張がほぐれてないのか?この先心配だな。
「入試要項通り!リスナーにはこの後!30分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!O.K?」
「演習場には”仮想敵”を
3種類か、三十分なら最初から飛ばしても問題ないな。
「質問よろしいでしょうか?プリントには
厳粛で厳格、道からそれることを嫌うタイプの人間か、俺とは相性が悪いな。
「オーケーオーケー。受験番号7111くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつはいわば
「ありがとうございました!失礼いたしました!ところでそこの濃紺色のウルフカットの君!」
「あ?」
「そう、君だ。さっきのアレは何なんだい?周りの邪魔をする、物見遊山なら帰ってくれ」
「なんでだ?俺はプレゼント・マイクのコール&レスポンスに答えただけだ。そこを咎められる言われはないね。大体、それに文句を言うなら、最初のコールの時点で否定してくれ」
「む、それは確かに、失礼した!」
「いや、いい」
頭は硬いが納得も早いな。的確な説明をすれば納得するのか、ただ頭が硬いやつよりかはいいか。
「一悶着あったが、俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校の”校訓“をプレゼントしよう。かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と!!更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」
Pius Ultra、いい言葉だ。不可能を乗り越える、ナポレオンは海賊じゃないが、それでも向いている。
◇◆◇◆◇◆
「広いな………」
プリントの案内に従い、振り分けられた会場に向かうと、街一つがそこにあった。どこに金があるんだ?
『はい、スタート』
「………?…あ?…あ!」
やべぇ、反応が遅れた!走り始めたが、まだ走り始めた人間は少ない、と言うか俺一人だ。
『どうしたどうしたァ!?実戦にゃカウントダウンなんざねェんだよ!走れ走れェ!賽はとうに投げられてんぞォ!?』
「あっはは、意地の悪い課題だな!」
カトラスを作り出し、目の前にいる仮想敵を切り裂く、
『標的発見、ブッコロス』
「口悪いな!カルヴァリン砲用意!撃ぇ!」
背面から、カルヴァリン砲を二門作り、撃つ、遠慮なんてない、ロボット相手に何をためらう必要がある。
「略奪開始!ポイント根こそぎ奪ってやるよ!」
カルヴァリン砲をさらに二門追加して、市街地を駆け抜ける。目についた仮想敵は逃さない。数えるのも億劫なくらいに倒し続けてやる!
◇◆◇◆◇◆
No Side
「おいおい、ずいぶんとぶっ飛んだ奴がいるな」
「ああ、開始からペースが落ちるどころか加速している、ぜひとも欲しいな」
「いや、悪いがブラド、アイツはA組だ。中学での素行に問題は無いが言動が心配すぎる。だが、この個性でヒーローになろうとしているのも面白い」
雄英教師達は、海璃の戦闘スタイルに一喜一憂しながら冷静に分析していた。
「こっちのこも、ペースは落ちてないけど、一定のままね、そう考えると凄いわね」
「個性、海賊。まさしくその通りの戦い方だ」
だが、教師達は知らない。海璃にとっての代表する海賊は紀元前に存在する海賊であるということを。
◇◆◇◆◇◆
Side海璃
「オルゴノーツ、メディア、」
カルヴァリン砲をしまって杖を出す。海賊なら大体できるなら、これもありだよなぁ?!アルゴノーツ、ギリシャ神話のあまたの英雄が乗った船、人類最古の海賊団アルゴノーツの一員の裏切りの魔女メディアの杖、それがこんな感じなのかはわからないが、海賊という役組なら使えるのだ。
魔力を圧縮した弾を撃ち、光線を放ち、敵からの攻撃にはバリアで防ぐ。
「白兵戦が得意なのは、クー・フーリンとかか?まああっちは魔術は魔術でもルーンだったか…にしてもでかないぁ………」
ビルよりも高い、ロボット。それが入試で説明された逃げることを推奨される、ゼロポイント。だが、ここで引くのもつまらないし、そんな行動を帆船は取れない、前進あるのみだ。
「
黒髭が乗った船、悪いな、出し惜しみは無しだ。幸いなことにここは四車線、仮想敵を通すために広く作られている。つまり俺のもつ船もここに呼び出せるということだ。
「撃ぇ!!!」
アン王女の復讐に置かれた大砲からの一斉掃射、ゼロポイントの仮想敵は瞬時に木っ端微塵となった。
「よし!次!」
『終ー了ー!』
「ありゃ?終わった?」
残念なことに、終わってしまった。まだだできたんだかなあ、