剣持志郎…少々弱気で考え込んでしまう小学生。
ブルート…名前、製造目的不明のフレロボ。物静かな性格をしている。身長:210cm(角除いて180cm)、体重101Kg。
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園山留依…志郎の同級生で、何事にも負けない前向きな少女。
スナイル…明るく、気さくな性格をしたフレロボ。留衣の子守り担当兼ボディーガード。
身長:198cm(アンテナ除いて178cm)、体重85Kg。
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嵯峨山紅蓮…志郎達の同級生である乱暴者。金稼ぎの為ならなんでもする。
ディッキー…紅蓮の家で働くフレロボ。粗暴だが、紅蓮の事を心配している。身長:200cm、体重190Kg。
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ワイルダー…一明博士の下で働くフレロボタウンのリーダー。身長:174cm、体重71㎏
園山一明…フレロボ発明、開発始祖にして第一人者の好々爺。留依の祖父。
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ブロッサ…志郎達のクラスの担任フレロボ。教育熱心で生徒達の将来を心配している。身長:163cm、55㎏
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6-1
かくして、フレロボタウン内には前例がない程に人が集まった。それも、いまだ就労に満たしていない前途希望があるべき存在が、である。
「え~皆さん注目してください!!え、静かにしてください!!」
高い声がざわつく地下体育館内で一明は登壇し、マイク片手にまとめようとする。静まり返るのに、実に一分もかかってしまった。
「え~、皆さんおはようございます!!ワシ、じゃなくて、私はフレロボタウンの管理者である園山一明であります!!さて、ここでの新生活で皆様にしていただくのは自分の夢に向かって頑張って頂く事です!!」
ありとあらゆる所から来た初対面の子供とはいえ、管理者の漠然とした目標に隣同士顔を見合わせる。一明の話は続く。
「今や外は規制に自由を奪われ、人体発電機によって尊厳をも奪われている世界です。ですが!!ここにはあなた方を無理矢理縛る物はありません!!なぜならここにいるブルートが、色々な物を与えてくれるからです!!」
やはりというべきか、子供は紹介されたフレロボを半信半疑で見つめていた。そこでブルートは眼前の廃材をバットやグローブ、画材に変えた。
「お、おぉ…!!」
手品よろしく一度も包み隠さず、即座に変えた様子に、子供達は信じざるを得なかった。一抹の希望に、目の光も取り戻しつつあった。
「さ、ご覧になった事でしょう!!彼の能力であなた方は好きなことを目指し、規則正しい生活から平和に暮らして、それを世界中にアピールして!!互いを協力し合う世界へと変えて参りましょう!!まさに未来は、あなた方の手に、委ねられているのです!!わかりましたかぁぁっ!?」
一明は子供特有の元気いっぱいの返事を期待した。しかし、返ってきたのはツンと体育館に響く耳鳴りだけであった。
「え~…以上でお話を終わります。それじゃあこの後、各個人のカリキュラム、義務教育がありますので、皆さんはフレロボの後についていってください」
「はい、一班はこっちですよ~!!」
「二班はこっち~!!」
タウンの住民であるフレロボは子供達の列を作って次々と誘導する。見送った一明は壇上からゆっくりと降りた。ふと、共に歩くブルートが尋ねた。
「…博士、あの子達は村と同じように醜い争いや奪い合いが起こる心配がないのでしょうか?」
「なに、あっちと違ってセルトランスはないし、フレロボタウンには優秀な教育指導者がいる。それに、子供というのは案外従順だし、我々は村での過ちを知っている。心配する事はない。君は前回と同じくここから外界を助け、ここにも希望をもたらしてくれ」
「はい。それにしても、ここの情報を漏らしたのは誰なんでしょう」
「うむ、そこに関しては目下調査中だ。一体のなんの目的なんだか…」
時刻は午前十時。初日として早速授業が始まった。教室では皆が皆、授業内容に夢中であった。無理もない。本人達の談によれば、これまで小銭を稼ぐ為にまともに学校には行けず、楽しい思い出がなに一つなかったと語ったのだから。
授業が四時間目まで終わり、午後三時からは個人の個性を伸ばす活動『選択授業』が始まった。ある子はスポーツに打ち込み、またある子は芸術に打ち込む。彼らはこれまでやりたくてもやれなかった文化面に、淡々と手を動かしていた。
(…ふむ、まだ馴れていないのかな?)
各館を歩いて回った一明は率直に思った。だが、まだ初日故に緊張もしているのだろう。不安はなかった。
三日経過した。子供達は自信を取り戻し、段々と活発的になりつつあった。会話から彼らなりの主張、協力し合う姿も見え始めた。
「この第二グラウンドは今日、第三班が使わせて貰うよ。君達は今日、掃除当番だったよな?」
「うん。なら明日は俺達四班が使わせてくれ。そうだ、今こっちでやってるスポーツでわからない点があるからさ、田木くん貸して欲しいんだ。フレロボ先生だけじゃ体格違うからわかりにくくて」
「オッケー、よろしく!!」
実験結果をまとめ上げる度、キーボードを叩く一明の指は軽快に飛び跳ねていた。これまで奪い合い、貶していた子達が譲り合いの姿勢を見せた事に喜びを感じたからだ。フレロボタウンのように、人側もこれからの平和な未来計画にも大いに期待できるだろう。やはり子供達は誰もが可能性のある光なのだ。心配はもうほとんどない。だがその一方で、今度はブルートが持ち寄った機械の方に不安を寄せていた。自身が命名した、人の記憶を詰め込んだ『ヒューストレージ』をどう解析しても不明点ばかりであった。世界中から取り寄せていたいくつものケーブル、パソコンに繋いだ。赤外線で中も見た。それでも結果は、開発方法が全く不明瞭であった。唯一判明しているのはエネルギーがある限り中の人格、記憶データが更新されている点であった。
「やはりブルートの中にある別の人格コンピューターが、以前の男をこの中で生かしているのか。恐らく、持ち前の学習能力と目の前で死んだ人で学び、新たな機械を作ったのだろうな…ブルートはどうしている?」
一明はコンピューターのタブを切り替え、画面に監視カメラの映像を映した。食堂の隅でブルートが、子供の出した紙ゴミなどを次々と食材に変え、それらをコック型フレロボが調理を行う真っ最中であった。
「そうか、もうそんな時間か…行かねば」
研究室には外へと通ずる窓がなく、置き時計も書類に埋もれたままである。研究に没頭してる一明は他者を見、食う負を感じ始めてようやく夕食時である事に気がついた。重い腰を上げ食堂に着いた頃には既に、子供達が全員席についていた。献立表によれば今日のメインディッシュはポトフ。ソーセージとコンソメの香りが漂っていた。
「今日俺さ~…!!」
「えっそうなの、私もね~…!!」
「っていうか、あれちょっとウザくね?」
「あ~それなっ!!」
フレロボが配膳用の鍋と皿を運ぶ間、子供達は会話に夢中だ。その中で紅蓮は妹と弟の面倒を見ていた。
「今日はハンバーグが食べたいっ!!ハンバーグ、ハンバーグ!!」
「カレー、カレーがいいなっ!!」
「二人とも静かにしなさい。今日はポトフって決まってんだ」
机を拳で絶え間無く叩く二人を、紅蓮は咎める。だが二人は止める気配はなく、あまつさえ足までばたつかせるようになっていた。周りから顰蹙の視線を浴びようとも。
「さ、それではいただきますっ!!」
「「「「いただきます!!」」」」
フレロボの合図と共に子供達は一斉に食前の挨拶を開始、疲労で減った活力を満たした。志郎もその一人であった。
(今日も勉強と一緒に絵を頑張ったぞ…!!でも、僕なんかがこうも楽しんでいいのかな。博士は、この頑張る姿こそ平和をもたらすって言うけど…本当かな?これで、誰もが争い、奪い合わなければいいけど)
そう考えた途端、天井からつり下げたテレビが点いた。映されたのは、堅苦しいニュース番組であった。スーツ姿のアナウンサーが老齢の専門家に質問を投げかけている。
『…では深川さん、今の子供は将来、セルトランスになりやすく、続々と増えていくと予想されているのですか?』
『あ~、そうですね~、今を生きる子の身体を調査した所、細胞の変貌がより活発的になっていると結論が出ました。その確率は実に十三倍。しかもですよ。現在のセルストッパーが効きにくくなる可能性があるとも言われています。こうなるとですね、もはや近いうち、十年後あたりには町中セルトランスだらけになってしまいますね、えぇ』
『はぁ~なるほど、このままだと未来は絶望的…あ、いや失礼。今後の政府、並びに人財管理局の判断に期待をするしかないと…』
プツン…
テレビの電源が突然消えた。もうこれ以上、明かされた絶望への未来話は聞きたくないと誰かが、総意を感じ取って消したのだろう。事実、それまで明るかった彼らの表情が嘘のように暗く俯き、淀んでいた。
「俺達、今頑張ってここを出てももあんな化け物になっちまうのかな…じゃ、努力しても意味ないじゃん」
「結局、俺らの未来は上次第か…ハハッ、笑えてきた」
各々吐き捨てるように愚痴を零し、力無く笑う。その時、食堂に大声が響いた。
「お兄ちゃん、これ野菜いっぱいでまずくて嫌いっ!!カレー食べたいっ!!」
「ハンバーグ、ハンバーグ!!ハンバーグがいいっ!!」
嵯峨山兄弟であった。弟と妹の皿を見ると料理に殆ど手をつけていない。紅蓮はわがままを押し通そうとする二人に机を叩いて激昂した。
「いい加減にしろてめぇら!!今日はこれなんだっ!!ここでも家みたいな事言うんじゃねぇっ!!」
「これ、いやっ!!」
「いやっ!!」
二人は突然立ち上がる。その場の全員が一斉に注目する。と、二人は思いっきり、鍋をひっくり返した。熱々のスープは土石流のようにテーブルに流れる。
「う、うわっ!!」
「あぶねっ!!」
幸いにも、対面に座る子供達は椅子から転げ落ちるように扇状に広がる熱々のスープを避けた。誰にも被らなかったようである。
「ば、馬鹿野郎ぉっ!!」
紅蓮は怒りに身を任せ、弟と妹の襟を掴んで捕らえる。
「やーだっ!!やーだっ!!」
「やーだっ!!やーだっ!!」
しかし二人は身体を仰け反らせ、拒否反応を示すばかり。止まる気配はない。紅蓮は怒り心頭に力任せに二人を投げ捨てると、対面先の机に回り込んだ。
「す、すまねぇ君達!!弟達は殆ど親から育てられた試しがなくって…!!許してくれっ!!」
紅蓮が陳謝をし、ティッシュで椅子や床を必死で拭こうとも弟と妹は手足をばたつかせて暴れ続ける。と、コック型フレロボがそっと彼に寄り添った。
「このふきんを使いなさい。ティッシュじゃ無駄になる」
「あ、ありがとう…」
「ところで、君達が食べる物がなくなってしまったね。ここは一つ、この班には今言ったメニューを作ってあげようじゃないか」
「え、い、いいのか?それじゃ他の者に示しがつかないんじゃ」
「示しなんて気にしないで。まだ小さいんだから善悪の区別がつかないんだよ」
「し、しかし…!!なら俺達だけはなしにしてくれ!!このまま食わせる訳にはいかない!!」
「いいんだいいんだ。さ、別室に案内しよう。ここじゃ食べにくいだろうからね」
八本のアームを器用かつ効率的に動かすフレロボは汚れをあっという間に拭ききった。それから、食べそびれた班を別室へと誘導する。ブルートも後を追った。修羅場の一部始終を見た志郎は唖然としたままだった。そして、視線を移した時、身体がびくりと硬直した。
周囲だけでなく、食堂全体の子が怪しい笑みを浮かべていたからだ。
(み、皆なに考えてるんだ…!?)
彼らの本意を、志郎は知る由もない。だが、不吉な予感だけはひしひしと感じていた。
どうも皆さん!!
どうやら多くの子供がやって来て、色々と大変なようです!!
では、ここから先どうなるか、次のお楽しみに~!!
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