フレロボ・ブルート   作:クロッカーズ

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《登場人物》
剣持志郎…少々弱気で考え込んでしまう小学生。
ブルート…名前、製造目的不明のフレロボ。物静かな性格をしている。身長:210cm(角除いて180cm)、体重101Kg。

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園山留依…志郎の同級生で、何事にも負けない前向きな少女。
スナイル…明るく、気さくな性格をしたフレロボ。留衣の子守り担当兼ボディーガード。
身長:198cm(アンテナ除いて178cm)、体重85Kg。

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嵯峨山紅蓮…志郎達の同級生である乱暴者。金稼ぎの為ならなんでもする。
ディッキー…紅蓮の家で働くフレロボ。粗暴だが、紅蓮の事を心配している。身長:200cm、体重190Kg。

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ワイルダー…一明博士の下で働くフレロボタウンのリーダー。身長:174cm、体重71㎏
園山一明…フレロボ発明、開発始祖にして第一人者の好々爺。留依の祖父。

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ブロッサ…志郎達のクラスの担任フレロボ。教育熱心で生徒達の将来を心配している。身長:163cm、55㎏

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第六話『フレロボタウン大パニック!!そして、ブルートが目覚める時…』2/3

6-2

 

タウン入居開始から一ヶ月。一明は息を切らす程に街中を走っていた。

 

『博士、授業を受ける子供が半分も来ていません』

 

フレロボの報告を受け、登校拒否をした子の捜索を始めて早三十分も経過していたからだ。

 

「いました博士、こっちです!!」

 

不意に曲がり角からワイルダーが顔を出す。とりあえずは行方知れずになっていないと安心した一明は息を整え、突き当たりのグラウンドへと急いだ。そこで待っていたのは、トラックに散乱した紙、ビニールゴミ、中途半端に残った駄菓子の袋、半分飲みかけで乱雑に置かれた空のペットボトル。そして。

 

「ギャハハハハッ!!」

 

「ウェーイッ!!ホォーッ!!」

 

ラジカセからやかましい音楽を大音量で流し、その中心で大騒ぎする子供達であった。

 

「き、君達なにをやってるんだ?授業はもう始まってるんだぞ!?」

 

「はぁ?」

 

ゴミを大股で避けつつ、一明は子供達を注意する。だが、彼らは悪びれる様子を見せずに睨んで見上げる。格好をよく見れば、男女問わず髪を茶色のみならず赤、青などに色とりどりに染め上げ、上へと固めていた。服装もだらしなく着こなし、アクセサリーネックレスにピアス、チェーンと、じゃらじゃら音を立てる程に大量に着けていた。

 

「な、なんだねその格好は!?まるで不良じゃないか!?それに、このゴミは!?今はおやつの時間ではないし、ここは食べる場所ではない!!」

 

「いやで~すっ!!こここそが俺らのお喋り式授業場で~す!!イェーイッ!!」

 

赤髪男子の一人が意思を表明した瞬間。

 

「「「イェェェェイッ!!」」」

 

周りの男女十名もこぞって騒ぎ出す。サビに入った音楽も音量を上げた。その雑音に負けぬよう、一明は精一杯声を張り上げた。

 

「大体、君らが身につけている物、お菓子やラジカセは誰が作ってると思ってるんだ!?全てタウン内のゴミ、掘り起こした土壌の土や石をフレロボが拾い上げ、ブルートが再利用したんだ。彼らの労力がかかっているんだ。断じて、義務を放棄して無駄遣いする為ではないっ!!」

 

「えぇ~?でもだって、寝てる時に頼んだらくれたんだもん。って事は使っていいんでしょ~?」

 

寝転がりながら間延びする女子が言う通り、ブルートは人格、行動を一定時間スリープモードにする。それは、原子を変えた記録データを収集する為である。しかし眠っていようとも変化能力自体は起動しているので、物を持ち寄れば思い通りの物を作ってくれた。彼らはこれを利用し、好き放題に作ったのだろう。と、ここで一明は疑問を持った。

 

「ム?だとしても妙だ。変化させるにしてもこれだけの量、原料はどこから手にした?」

 

「さぁ~ね?」

 

赤髪がニヤつく。

 

「…まさか、誰かから盗み、奪ったりしたのか!?」

 

「さぁ~~ねっ!?」

 

「な、なんて事を…!!」

 

彼は正解だとは一言も言ってない。だが周りの視線を反らしてくすくす笑う姿から察した一明は青ざめ、彼らに詰め寄った。

 

「なぜだ!?何故人から取る真似をしてでも自分が幸せでありたいと思う!?」

 

「ちょっと、ちょっとぉっ!?勝手な想像ぶつけるのやめて貰っていいですかぁ!?俺ら他人から奪ったなんて事、一言もいってませんけどぉ!?」

 

「なにをっ…!!」

 

一明の手は、いつの間にか赤髪の襟を掴む。と、彼は臆する事なく言葉を返した。

 

「あっ、なんスかコレ!!暴力だ暴力!!ここ監視カメラあるんでしょ!?こんなマネしたのバレたら大事だと思うけどなぁ~っ!!」

 

「キャハハハハッ!!」

 

「ギャハハハハ!!」

 

よくぞ大人を論破したと、周りは手を叩いて笑う。一明が手を離すと、赤髪は勝ち誇ったような表情を浮かべながら言葉を続けた。

 

「そもそもッスよ!?俺らの話じゃないけど、この国だって下々から色々奪ってるじゃないですか!?しかも、こっちの将来なんかなにも考えずにねっ!!だからね、俺らも今を楽しむ事にしたんスよ!!どうせセルトランスって化け物なるんだから!!」

 

「そ、それは…」

 

「あぁ萎えたわ〜、おい皆、行こうぜっ!!ここ暑いしよ、日陰がいいなっ!!」

 

「さ~んせ~い~」

 

「行くべ行くべ」

 

リーダーらしく、赤髪は一明の前を横切ると、グループの面々こぞって後を追う。誰も、ゴミを拾う素振りさえ見せず、それどころか蹴飛ばしていきながら。残されたワイルダーはゴミを一つ拾い、一明を見た。

 

「…博士、原因はセルトランスにあります。それさえ解決すればあの子達はいつか真っ当になりますよ」

 

「わかっておる。だが、今は生物やら細胞の学者が頭を捻ってあぁでもないこうでもないと考えているが一向に対策は出ておらん。対策はセルストッパーの電力を強化するしかないって話だが、確保するには人体発電機を増やすしかないとも言われている。全く絶望的だ。しかしそれでも、子供達には未来を見据えてしっかりと勉強し夢を持ち続けて欲しいのだが…」

 

「はい…」

 

一週間が経過した。登校拒否児とゴミは増え、学級は崩壊しつつあった。志郎と紅蓮のクラスも、空席が目立ちつつあった。

 

「大丈夫か、ブルート?」

 

変化能力の浪費が増しつつあったブルートに、見かねたワイルダーが問い掛ける。

 

「あぁ、正直言って機能が低下しつつある。このままではここのみならず外での救援活動に、支障をきたすかもしれない」

 

ブルートは常に学習を続け実践を続けている。結果、複雑かつ時間を要する機械や食材を大量に作り替えるのが可能となっていた。だが、教育さえ受けない子供達はそれを自己満足、堕落目的でじゃぶじゃぶと湯水のように扱っていた。

 

「そうだな…どうされますか、博士?」

 

傍らの一明は俯くばかりで身動き一つしない。改めて「博士…?」とワイルダーが聞いた時、身体が跳ねるように初めて気がついた。

 

「ん、あぁそうだな。やはりここは先日フレロボで考えた策を通そう。皆を体育館に集めてくれ」

 

かくして、授業を中断して子供達は体育館に集まった。

 

「はい、静かにしてください、静かにしてください…!!」

 

檀上のワイルダーが何度も注意しても子供達は騒ぎ立てる。さながら檻で鳴く猿のようだ。志郎と紅蓮は人として周りを静めようとした。にも関わらず、集会を前に勝手に脱走する者がいる有様であった。

 

「静かになさいっ!!」

 

そこで一明はありったけの声量とマイクを使って叫ぶ。さすがに静まる館内。落ち着きを取り戻し、一明は話を始めた。

 

「…え~、皆さんを呼んだのは他でもありません。最近、皆さんの浪費が多くなりブルートの負担が急激に増して参りました。このままでは材料も足らなくなり、更にはオーバーヒートを起こし、町全体が機能しなくなる可能性があります。なので皆さんにお願いがあります。なるべく個人的理由でブルートの能力を使わず、余分な物を作らぬようにしてください。それから、自主的で構いませんがフレロボの作業の手伝いを…」

 

「えぇぇ~っ!!」

 

「なにそれ~っ!!」

 

「信じられな~い!!」

 

矢継ぎ早に飛ぶ悲鳴、驚愕。それらはやがて、怒号へと変わった。

 

「よぉよぉっ!!ここにいたらずっと幸せに暮らせるんじゃねぇのかっ!!」

 

「そうだ!!外じゃ俺達は苦労と徒労の毎日だったんだぞ!!ちょっとは贅沢してもいいだろ!!」

 

「そっちこそ無駄遣いしてんじゃないの!?」

 

「ふざけんなぁっ!!これじゃ人財管理局と一緒じゃないか、クソジジイー!!」

 

一明は握りこぶしを固めずにはいられなかった。だがそれを見られたら奥底で燃える感情を悟られかねない。深く深呼吸し、冷静さを取り戻して再びマイクへと向き直った。

 

「と、とにかく!!皆さん節度のある行動をお願いします!!以上、話を終わります!!」

 

話が切り上がると、子供達は散らばってその場を後にする。すると、がらんとした体育館に志郎と、紅蓮が残っていた。

 

「博士、大丈夫ですか?」

 

「あぁ、すまんな情けない姿を見せてしまって」

 

「いや、こうなったのは連中の元の性格だから博士自身は悪くないですよ。それに…ここまで治安が最悪になったのはこの前、妹達を甘やかしたのが原因かもしれません。あの時、殴り飛ばして飯抜きにでもすりゃ示しがついてこんな目には…」

 

「紅蓮くんこそ自分を責めんでくれ。こういった事は教育不足の大人が原因だ。必ず、障害は取り除いて明るい未来を目指そう」

 

「ッス…」

 

その夜、一明は机に向かい頭を抱えていた。研究にも手がつかない。レポートとして今日のいきさつからこれまでの人生を振り返っていたからだ。

 

「…自分で言うのもなんだが、ワシは機械工学一筋で小中高校、大学、そして研究施設の一流で学び、開発を続けていた。その中であのような無法者がいた試しはない。無論、娘もその相手も、孫もあぁではない」

 

「だとしたら、あぁいった輩はどこから産まれるのだ?環境か、いや、だとしても志郎くんのような真面目な子もいる。それならば、元々あの性格として生まれたのか?そう作られたのか?」

 

「…思えば、フレロボの勤勉かつ従順、能力が高いのはワシがそう設定したからだ。つまり即戦力ともなる。それは、育てずともセルトランスになった人の代理として働けるからと考えたからだ。ならば、アレをわざわざ育てるのになんの価値がある?好き勝手やったり、学びもせず一日中引きこもっていたり…!!あんなのはたまたま人間の皮、骨、脳を手にしただけの不良品じゃないか!!なぜ、同じ価値で扱わねばならんのだ!?」

 

「…いや、やめよう。人を蔑むなどと。ワシのすべきことじゃない。とにかく冷静に、彼らを正さねばならないとな。まずは、カウンセラータイプのフレロボを動かすか…」

 

そう決意した一週間。

 

『一度の悪しき風習は波紋のように広がる』

 

とある思想家がそう伝えたように学校に来ない子供達は群れをなし、グラウンドのみならず、公園、住居裏でたむろし始めていた。そこかしこでやかましい音楽、喚き声が鳴り響く。フレロボが何度注意しても、右に左に移動するだけで改善は見られない。出たゴミは、変わらず放置である。一々フレロボが掃除する事となった。

 

ある時にはタウンの片隅でボヤ騒ぎが起こった。フレロボ達が急いで消火に当たった為被害は拡大しなかった。調査した所、出火場所にはこげついたライターと紙くずが散らばっており、人為的な火遊びが原因だと判明した。

 

そこで一明は、監視カメラで見つけた『犯人』の男女四人を個室で説教する事にした。

 

しかし、どれだけ怒鳴り、心からの表情をぶつけても、彼らは全くの無表情でなんの反応もない。爪や髪の毛さえいじっている。まるで『機械』でも相手をしているかの様であった。

 

結局、今後の危険性を考えてタウンの一部場所を封鎖。そこは、研究や実験等が行われる地域であった。

 

更に一明は子供を全員体育館に再度集め、説教を始めた。乱れた規則を正す為、今回起こった火の危険性をふまえて。話を聞いた子供達は全員耳を傾けていた。が、体育館を出るや否や、彼らには笑顔が戻り、はしゃぎ始めていた。反省の色は見えないな、と一明は考えた。

 

予想が的中するように、翌日にはデータ調整中であったフレロボの記憶媒体が破損、そのまま放置されていた。調査の結果、遊戯禁止の場所でサッカーをし、強力なキックによって窓ガラスが割れクリーンヒット、なにもせずに逃げ出した事が判明した。内部にはタウン建築のデータが詰まっており、お陰で復旧に長時間を要する羽目になった上、本来やるべき仕事さえも延期となった。更には、反対の者もいた。一日中なにもせず、布団の中でスマホをいじる生活をしているだけの男子小学生がいた。一明はてっきり人間関係になにかあったのではないかと徹底的な調査を行った。しかし、結論としてはそのような事実はなかった。というより、人間と交流をしていない為に関係どころの話ではなかったのだ。なにかするよう促しても一日で止めてしまう。返事は「んん…あぁ」だけだ。つまり彼は、動くやる気さえない、ただ三食食べて排泄して、牛乳を飲んで寝るだけの怠惰な生命体でしかなかったのだ。一明は、なにもしないのも問題だとため息をつくばかりであった。もっとも、タウン中の彼らがすべからくそうという訳ではない。真面目にフレロボ作業に協力する者も何人か現れた。

 

しかし。

 

一発の銃声がタウンに響いた。

 

「な、なんだ一体!?」

 

仕事をしていた一明であったが、思わずそれを放置して銃声した方へと向かう。ワイルダーも同行だ。たどり着いたのは前回ブラッシュとの激闘が行われた場所と似た広場。既に十数人のフレロボがいる様だ。

 

「博士、アレを!!」

 

「ムッ!?」

 

ワイルダーが指差す方を見ると、フレロボ達の中心に、立ち尽くす一人の少年がいた。彼は以前、母に連れられ、泣きじゃくっていた子だ。その手には、銃口から煙が立ち込めるワイルダー専用のライフルを持っていた。

 

「き、君かっ!?一体ここで何をやっている!?持ち場にいないと思ったら、勝手にそんな物を持って!!頼んでいた仕事はどうした!?」

 

一明は様子を見に後から来た志郎、紅蓮と共にフレロボを掻き分け、数m離れた場所まで近寄る。動く様子はない。

 

「おい、聞いているのか!?」

 

そこで肩を揺らすと少年はハッと眼鏡を上げ、猫背のまま人中をかくとちぢれた前髪をいじくり始めた。

 

「あ、あの…博士がぁ、ライフルを持ってこいと言っていたのでぇ、頑張って、運ぼぉうとして…」

 

「違う!!頼んだのは今後使うライフルのレーザー用のバッテリーだ!!置いてある場所だって全然違うし、地図だって与えただろう!!」

 

「ごめんさ、すみません…」

 

「あぁ、もういい!!とにかくそれは危険だ!!ライフルをその場に置きなさい!!」

 

「はい、でも、あの、えっと、どこに置けばいいですか?」

 

「地面に決まっているだろう!!他にどこにあるというのかね!!」

 

「え、えっと…は、はい」

 

先日までの苛立ちもあったのだろう。一明の語気が次第と強くなる。それに怯えた様子で少年はライフルを置こうとした。

 

「あっ!!」

 

が、その刹那、引っかけたままの指が引き金を引く。すると、一発のレーザーが銃口から発射され、眼前にいたフレロボの一体の頭を打ち貫いた。

 

「あ、あ、わあぁぁ…!!」

 

そのフレロボはバタリと倒れてしまう。体型が人に近い形をしていた為か、罪悪感か、少年は引きつった表情で引き金を引いたままライフルを振り回した。当然、銃口からはレーザーが連射し、周囲の人やフレロボに脅威を与えた。

 

「な、なんて事をするんだっ!!やめろっ!!」

 

一明は身を伏せながら叫ぶ。

 

「あ、あぁ、あの、すみません…ひぃ、ひぃ!!」

 

しかし、ライフルからは絶えずレーザーが発射される。やがて、その場から走り去ろうとした何体かのフレロボの肩や背中に命中し、パーツが散らばる事となった。

 

「あ、あわわ…!!す、すみませんすみません!!すみ…」

 

少年は三度目の謝罪を行おうとした。だがその前に、一気に接近した一明に腕を掴まれ動きと共に閉口する羽目となる。レーザーもようやく止まり、広場に静寂が戻った。

 

「えーい、もういい!!君に協力を頼んだのが間違いだったぞ!!右に行けと言えば左に行き、進めと言えば止まり!!ふざけているのかね!!全く、自分の目利きのなさが嫌になるわっ!!」

 

一明は吐き捨てる様に怒鳴りつける。

 

「あ、あ、あ…あああああああああっ!!もうやだぁぁぁぁぁぁっ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

すると突然、少年は引き金を引き始めた。今度は明確にフレロボに視線を向け、発射させ、更には喉がはち切れそうな程に叫びながら。

 

「…やめるんだっ!!」

 

一瞬の隙をついて止めに入るワイルダー。ようやくライフルを奪い取る事に成功した。

 

「わぁぁぁぁぁ!!あぁぁぁぁぁぁ!!」

 

しかしそれでも少年は手足をバタつかせ癇癪を続ける。この様相を聞きながら、一明は先週の夜のように思った。

 

(なんて子だ…!!こんなにも扱いづらい者がこの世にいるとはっ!!信じられん!!この子はもう五年生だぞ!?同じ年頃の我が子は、小さいながらもどんな事も出来て、こんなにも泣きわめくマネなどしなかった…この子もまた、偶然人の形をして産まれただけの存在でしかないのか!?)

 

と、そんな考えを掻き消すように、ワイルダーにけたたましいアラームと共に通信が入る。

 

「どうした?なにっ!?わかった博士に伝えるっ!!博士、南の広場で子供達がフレロボに暴行を加えていると報告がありました!!」

 

「なんだと!!」

 

その場をフレロボに任せ、別の広場へと急ぐ博士とワイルダー。

 

「俺達も行くぞ、なにか出来るかもしれん」

 

「う、うん…」

 

紅蓮と志郎も後に続いた。少年は後で来たフレロボに任せる事にした。

 

「う、これは…!!」

 

広場に着くなり、一明は言葉を詰まらせた。連絡通り、頭部を割られ横たわるフレロボが辺り一面に転がっていたからだ。奥で甲高い怒鳴り声が聞こえる。向かうと、数体のフレロボを相手にそれぞれ群れなす子供の姿があった。その手には金属バットや鉄パイプを持っていた。

 

「君達、一体どうしたのかな?落ち着いて話を聞いてくれないか?」

 

タウン内のフレロボには恐怖や怒りの感情がプログラミングされてない。故に焦りを見せずに対話を試みる。だが、その態度が余計に神経を逆なでさせたようだ。

 

「てめぇぇぇぇっ!!俺達を見てまだそんなん言えんのかよッ!!将来も安泰なツラして偉そうに語りやがって!!一発ぶん殴らせろ、よっ!!」

 

少年は相手が無抵抗なのをいい事にバットを振り下ろす。

 

「や、やめろぉっ!!」

 

一明の制止も間に合わない。フレロボの頭部はへしゃげ、カメラ部分のガラスも割れた。

 

「きみ、たち、やめ、たまえ、たま、たま、たま、え…」

 

頭部には物事を考え、言語を話す重要なコンピューターが取り付けられている。子供の力ながらも思い切り叩かれてはひとたまりもなく強制終了、その場に膝をつきバタリと倒れてしまった。駆けつけた一明は散らばったネジや半導体をかき集めつつ、強く主犯の彼を睨みつけた。

 

「なぜだ、なぜこんな真似をしたっ!?このフレロボは、君達に寄り添おうとしたんだぞっ!!」

 

「え?あぁだってよ~共に生きようだの頑張ろう、そんでもって一生懸命働こうなんて偉そうに上から言ってよぉ~ムカついたんだもんなぁ?な、皆?」

 

「そうだそうだっ!!ロボットが俺達のなに知ってるんだぁ~っ!!」

 

「ほんとに思ってんなら一億円ちょうだいっ!!一生楽してぇんだよっ!!」

 

「ここを出ても一生安泰の保証はないんだろ?どうせエリートがかっさらって終わりだよ!!」

 

「フレロボは俺達の家来だろ?なら、なにしたっていいだろ!?」

 

周囲から野次が飛ぶ。彼らの言う事はもっともだ。セルトランス問題は解決の糸口はないし、経済だって将来性があるとは思えない。しかし、だからといってこんな八つ当たりの暴力が許されるというのだろうか。我々は喰らい喰らわれる獣ではない、公序良俗の下で生きる人であるのだ。だとするならこの暴虐をする彼らは、もう人として接する事は、出来ない。一明は激情を持ち、鳴き喚く彼らを前にして堂々と拳を固めた。咄嗟に、ワイルダーが止めに入った。

 

「博士、止めてくださいっ!!気持ちはわかりますが、暴力に暴力を返してもなにも始まりません!!なにか、教育方法があれば…」

 

「離せっ!!今やっとわかった、こんな特長もない、増長するだけの生命など、生命など…!!」

 

「そう、なんの価値もないのですよ、博士」

 

突然割り込む声。その主は、東山であった。彼の背後には自衛用のフレロボが並んでいた。その数、数十。

 




さて、六話の中盤も終了!!東山も登場!!

果たして、傍若無人の子らはどうなるのでしょう!?

ではまた次へどうぞ~!!

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