チェンソーマン・DDDEADLoad   作:黒影時空

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第13話『リライフ』

 世間を話題にしているのは、火星に向けて宇宙飛行士が出発したというなんともありふれたものだ。

 デビルハンター達にとっては宇宙なんて縁のない話なので、デンジ達はびっくりするくらい世間話程度の話にしかしてくれない。

 

 もしかしたら火星からとんでもない生物が運ばれてくるかもしれないとか、地球に持ち出さないために悪戦苦闘しているとかそういう話があるかもしれないがこちとら悪魔がどうのこうので地球もてんやわんやなんだ、今更そんなもん見てる暇はない。

 

 しかしアキはこの日、生活費や公安の請求書を見返していて違和感がなんとなくあった。

 ……ここ最近、変なことがありすぎるしここのところずっとデンジが死にかけていないか? 

 いや正確には、なんとかギリギリ生還しているというとてつもない悪運を繰り返しているのだが、もしかしなくても普通に死んでたんじゃないのか? という不安が拭えない、それくらい綱渡りな状況を繰り返している。

 

 それだけじゃない、ここ最近のデンジとマキマの挙動もおかしい。

 マキマはなんとなく呟いていた。

 

「そろそろ折り返し地点かな」

 

 折り返し地点とはどういう意味だったのだろうか? 

 聞く勇気もなかったが、とにかくここ最近妙なことばかり起きていることが確かな話だ。

 アキは一度ここしばらく起きていた異常事態をここで振り返ることにした。

 

「総集編って要は手抜きじゃろ? こんなもの放映して恥ずかしくないのか?」

 

「いや総集編はマジに必要な要素だから、2ヶ月見てると本当に忘れることめっちゃあるんだからな」

 

 後ろで呑気にテレビを見ているパワーとデンジを横目に……そう、こちらも気分は『総集編』で振り返る。

 まず、ここまで短い間にデンジは……11回も死にかけている。

 まあデンジの場合、武器のような人間なので若干不死身みたいなものだがそれでも危機一髪が多すぎる。

 

 デンジの身に何かあったというよりは、世界そのモノが牙を剥いているかのような出来事が多い。

 アキはそれらを冷静に紙に記し、公安に報告するためにまとめていく。

 

 その1 突如発生した街全体の霧の影響。

 

 街に突如として高濃度の霧が包み込むように発生、最初は深刻な交通被害を及ぼす程度の影響だったはずだが……個人的な用事でスーパーマーケットに入った時に唐突にマーケット内に悪魔とは思えない未知の存在と邂逅、マキマと偶然遭遇してスーパーマーケットで籠城することに。

 遭遇した謎の存在は触手、蜘蛛など確立したものは存在せず悪魔の中でも似たような該当例は見当たらない。

 最終的に自衛隊が出動するほどの非常事態となり、火炎放射器や戦車などで怪物が焼き払われて解決することになるが、デンジの証言によるとデパートに向けて戦車が誤射、マキマを庇いながらなんとか生還するがマーケットは倒壊した。

 この攻撃に対して公安から取り調べをすると、『恐ろしい悪魔を見つけた』と答えており、怪物との戦闘によるノイローゼ的な幻覚作用と判断したが、マキマの手によって『更迭』されたらしい。

 

 現在もあの霧の正体、並びに隠れて現れた怪物の正体は未だ特定できていない。

 

 その2 日本列島以外沈没未遂。

 

 勇気の魔人(以下ウルフリー)が日本に上陸する危機が発生、マキマ曰く本当に上陸することがあったら日本列島以外全て沈没してもおかしくない事態だったと語る。

 事の発端はウルフリーが演説して日本に現れそうになった時、デンジが帰ってこないと思ったらウルフリーの目の前で突撃してきた、彼がいた場所は太平洋のど真ん中でありとんでもないところから挑発してきたことになる。

 もしも、ここでデンジがウルフリーを首元まで捉えられなかったら……いや、そもそもなぜデンジはウルフリーがそこにいると分かったのか? 公安も勇気の魔人を確認したのはつい最近のはずだが……。

 何にしても、もしも彼を野放しにしていたら世界は……。

 

 その3 未知の島でウルフリーを見失う。

 

 ウルフリーに逃げられた後、本腰を上げて四課総動員で逃げ場所である島に出発するとそこに確かにウルフリーの姿はあった。

 彼は『××××ーマン』(マキマの意向により伏字)と呼ばれる存在と深い親交関係があり、英雄とされる世界の存在を消して回っていると意味不明な供述をこの時に行っていた。

 しかし調査、捕獲作戦の途中で先にウルフリーを追いかけていた七課の『三船フミコ』と遭遇するも島の生態系と一体化しており撤退、これが勇気の魔人の力によるものなのか不明だがこれによいデンジは別の孤島に遭難(後述)自身やパワーは救助されるまでマレーシア海まで行ってしまいマキマは一時失踪という危機に。

 フミコは今も数多く存在するため、詳しい連絡は彼女に

 

 その4 デンジが未知の島でウルフリーと三度目の正直。

 

 遭難していたデンジは偶然にも鮫の魔人『ビーム』と再開、無人島に降り立ってウルフリーと再度対面。

 ビームの援護もありデンジはウルフリーをあと一歩まで追い込む寸前だったものの、ウルフリーはなんとこのタイミングで銃の悪魔を『自由の悪魔』と呼んで援護させて逃げ出した。

 以降公安は勇気の魔人の行方を追いかけながら作業していくことになる。

 その一方妙なこともある、この時……マキマの姉を名乗る謎の存在『アネモネ』によってデンジは救助されたのだが、マキマは姉は存在しないと本人は語っている。

 また、アネモネ自体正体が掴めないので同様に調査を行う。

 何故、ウルフリーは銃の悪魔を別称で呼んでいるのか……銃の悪魔を呼び間違えているのではなく、明確に『自由の悪魔』と呼んでいる。

 

 その5 非現実の悪魔

 

 アネモネを調査するために彼女が働いているレンタルショップに出向くと、アネモネが契約している非現実の悪魔と邂逅。

 マキマと合わせてパワー、デンジと共に討伐対象として攻撃するも通らず非現実の悪魔はデンジにドラッグの幻影を見せるも、非現実の悪魔は現実的じゃない行為しか再現できない(デンジにとって違法薬物は見慣れたもの)ので無効化されるが、薬物作用によって強い吐き気を訴えて入院、後少しで死にかけてもおかしくなかった状態である。

 しかしデンジの身体にドラッグ反応はなかった。

 

 その6 帰ってきた〇〇〇〇

 

『××××ーマン』が過去に抹消? していたあの男の復活、それを利用したマッチポンプ計画に乗り出していたのか……あのウルフリーだ。

 ウルフリーはあの男を利用して自分のブランドを上げようとするのだが、あっけなくその男は始末され……マキマの手によって計画を崩されて逃走した。

 デンジは依然入院中、マキマによるとこの時に非現実の悪魔を討伐したらしい。

 

 その7 闇の悪魔とのダンス

 

 この日、デンジは失明しかけた……あの非現実の悪魔の薬の影響だろうか? 

 幸いにも自身が早期発見して手術を行なったので大事に至らずに済んでいたが、もしもこれが手遅れになったらその日のうちに失明して、闇の悪魔を招くような事態になっていたらしい。

 闇の悪魔といえば知ってしまえば最後、どんなものでも見境なく死に絶えてしまう悪魔の頂点みたいなものだ。

 アネモネも謎が多い、引き続き調査を続けていく。

 

 その8 ディスマン? 

 

 この時ようやくデンジが退院した、アネモネから話を聞いたところによると少し後に数十年前の迷信であるアンゴルモア? 恐怖の大王? について調べていることが発覚、どうやらそれが現実によみがえるとデンジは語っているが公安は現在、本気にしていない。

 そのままデンジに引き続きアネモネの調査を任せる予定だったがマキマに止められる。

 なんでももしこのとき踏み込んだら、【ディスマン】なる存在によってデンジは二度と姿を表せなくなると言っていたが……詳しい情報聞けず。

 ディスマンとは、調べてみたところ前時代的な悪魔の前に存在する怪異的な存在、何故それをマキマが知っていたのか……。 

 

 

 

 その9 狸山消滅の一件

 

 ウルフリーが家に乗り込んで牽制、狸被害が頻発する山で人間を煽り兵器を持ち出させて銃の悪魔を呼び出せる環境を整えて全滅させる計画を立てていたところに、アネモネがバクテリアの悪魔を持ち出して山丸ごと消滅。

 もしも間に合うことがあったら、デンジも自分もバクテリアの餌食になっていたことだろう。

 銃の悪魔もバクテリア侵食の影響を受けている可能性はあるが致命打は期待しない。

 

 その10 結婚詐欺師の件について

 

 あまり公安には関係のないことだが一応デンジの死に関係することなので記載。

 数日前までデンジと親交関係のあった喫茶店のある女性(以下、R氏)がデンジに結婚詐欺を仕掛けようとして途中で計画を中断し雲隠れ。

 後々調べてみたところ、R氏という人間は存在しない……しないというよりは、国籍も経歴もまったくデタラメの外国人だった。

 本当に結婚詐欺が目的だったのか……? いやそもそも、結婚詐欺グループの一員だったというデンジに見せた本性でさえ実際は偽りだったのではないか……いや、それは考えすぎかもしれない。

 

 マキマはこの一件を見た後、公安にデンジのような『武器人間』となった悪魔の資料を公開した。

 その中で『日本刀』のような存在(既に死亡済)はデンジがなんとなく見た記憶があると語っており調査中。

 また、武器人間の中で『爆弾』の存在がR氏と身長など一致している点が多いことに関して現在マキマが調査中である。

 

 その11 因習村

 

 東山コベニが飢餓の悪魔を勝手に東北地方にある都道府県にも属さないような小さく曖昧な所まで持ち出した件。

 いわゆる因習村に属するような地域であり、飢餓の悪魔と利害関係が一致して封印並びに対消滅を図ったようであり、村と飢餓の悪魔は結果的に消滅して行方がしれない。

 コベニの方もあれから行方が掴めず、更にコベニを捜索していた暴力の魔人までも姿が消えて無くなっている。

 遂に明確な犠牲が出てしまったがデビルハンターではよくある話だ、弔う暇もない……。

 

 

 ——

 

 アキはここまで起きた11種類の異変を全て書き記した。

 恐らく……いや間違いなくデンジはこのとき偶然、悪運、命からがら……死にかけてなんとか生き延びている。

 疫病神や死神にでも憑かれているのか……それくらいには色々ありすぎた。

 作り出した資料片手に、アキは一人で外に出る。

 

 ……ここでまた思い出したのはマキマのあの言葉。

 

『折り返し地点』

 

 ある行程のちょうど半分のように意味している、これが現在の惨状を表しているものだとすれば……今までが11回。

 

(まさか……あんな奇妙なことがまだ折り返し地点で、あと11回も起きてしまうのか? ……いや、考えすぎか?)

 

 そうだとしたら、何故マキマはそれを把握している? それではまるでこれまでの出来事を全て分かってて行動していたみたいじゃないか。

 車を走らせてマキマの所に……ここしばらく変なことがありすぎて脳が疲れているだけだろう、そう言い聞かせて車を走ると……こんな時代にこんな国でヒッチハイクのポーズを取る女性がいた。

 こんなものに構っている暇はないと通り過ぎようとしたが、その女性はなんと……一時停止の交通標識を掴むと形が変わっていき、機関銃の姿に変化していく! 

 

「一時停止機関銃」

 

 容赦なく武器をぶっぱなしてアキの車が蜂の巣になりなんとか脱出、アキは狐の悪魔の構えを取りながら先ほどの女性に攻撃を仕掛けようとするが……。

 

 

「まあ待て、ただのヒッチハイクを無視した罰だ、あまりカッカするな」

 

 その女性は……あまりにもすんなりとアキの目前まで来たが攻撃できない。

 凄まじいプレッシャー……それはまるで、マキマと初めて会った時のような……。

 

「私に危害を加えても無駄だ、アメリカ合衆国大統領と契約したことで、私の死をカリフォルニア州の人間が肩代わりするようになっている」

 

「何者だ、あれだけのことを出来る悪魔なんて見たことがない」

 

「日本にはあまり縁がないが根源的悪魔の威厳を常に保つことを意識しているからな」

 

 車が使えなくなったのを見ると、道路を走る高級車目掛けて手を伸ばして車を掴むとあっという間に形状が書き換わっていき、車の形を多少維持したまま巨大な戦車のような姿になって運転手まで呑み込まれていく。

 

「ポルシェ戦車」

 

 あの交通標識も同じ……触れたもの全てが望み通りの兵器になっていく、人間のような姿をしているが、奴はそれ故にどんな武器でも人間と同じ感覚で使いこなすことが出来る等身大の驚異。

 それが堂々と公安のデビルハンターの前で姿を現して行動に出た。

 

「世界でも滅ぼしに来たのか……?」

 

「あいにく『終戦』だ、私の名は戦争の悪魔、要件はマキマに言われて公安に隔離されることになった」

 

 ポルシェ戦車に乗られる形でアキは女性……戦争の悪魔と共に公安に向かうことになる、公安が管理している悪魔は相応に存在するが、その中でも最近『飢餓の悪魔』の枠が抜けてしまったのでその代わりに戦争の悪魔で埋めるという。

 米国曰く、戦争は利益になる。

 戦争という概念は時に恐怖から、巧みにコントロールすることで新たな発展を図るという。

 

「お前達の国が好きな農業だって、森や畑を焼いて肥料を作り資源にしているんだろう、何が違う?」

 

「利益という建前で人を嬉々として死なせるような手段があるなら、それこそ消えてなくなってしまえばいい」

 

「そうだな、恐らくマキマも頃合いを見て私をチェンソーマンの力で消し去ることだろう、だが今は違う」

 

 戦争の悪魔は日本に対して土産話の一つもないわけではない、米国の方で動きがあった事を報告するくらいの関係性ではあるらしい。

 これまでの間に一体何が起きていたのか……? この国はずっと、周囲にも悟られない勢いで発展を遂げている。

 

「奴らの兵器は私の思考を超越した、映画に出てくるような全長10メートルを超えるような、お前達が好きなスーパーロボットを大真面目に開発しようとしているぞ」

 

 アキは考えた、きっとマキマはこの世迷い言のような出来事を少しでも進展させない為に連れてきたのだろう。

 戦争の悪魔が言うような人間の想像を超えるような兵器が開発された後には、デビルハンターでも止められなくなるだろう。

 

 

「私に危害を加えても無駄だ、アメリカ合衆国大統領と契約したことで、私の死をカリフォルニア州の人間が肩代わりするようになっている」

 

 女は壊れた車のフロントガラスに腰掛け、爪をいじりながら退屈そうに言い放った。

 アキは引き絞った狐の構えを解くことができなかった。全身の産毛が逆立ち、心臓が警鐘を鳴らし続けている。冷や汗が顎を伝って地面に落ちた。

 

「何者だ、あれだけのことを出来る悪魔なんて見たことがない」

 

「日本にはあまり縁がないが根源的悪魔の威厳を常に保つことを意識しているからな」

 

 女はふっと不敵に微笑むと、アキの潰された車から視線を外し、道路の向こうから走ってくる一台の高級車に目を留めた。

 すれ違いざま、女がしなやかな手を伸ばしてその車体を掴む。

 

 キィィィィィィィィン……

 

 金属が悲鳴を上げ、分子レベルで再構築される不快な音が鼓膜を震わせた。

 あっという間に外装が引き裂かれ、形状が書き換わっていく。高級外車は、その美しい流線型の面影を狂ったように歪ませ、巨大な鉄塊へと変貌した。

 中に乗っていたはずの運転手の悲鳴は、瞬時に引きちぎられた内装と機械の歯車に呑み込まれ、肉と鉄が融合する不気味な駆動音へと消えていく。

 

「ポルシェ戦車」

 

 女が低く呟くと、そこにはおぞましい戦火の怪物が誕生していた。

 先の「一時停止機関銃」も同じだ。触れたもの全てが、彼女の望み通りの兵器へと成り代わっていく。

 人間の姿をして、人間のような知性を持ちながら、奴はどんな武器でも手足のように使いこなす等身大の驚異そのものだった。

 

「世界でも滅ぼしに来たのか……?」

 

 アキは乾いた声で問うた。背後にある「狐」の気配すら、この女の前ではひどく矮小なものに感じられる。

 

「あいにく『終戦』だ」

 

 女はポルシェ戦車の砲塔の上に軽々と飛び乗った。

 

「私の名は戦争の悪魔。要件はマキマに言われて公安に隔離されることになった」

 

 アキは半ば人質、半ば道案内のような形で、ポルシェ戦車の助手席(かつて高級車だった肉と鉄の隙間)に座らされ、公安本部へと向かうことになった。

 公安が管理している悪魔や魔人はそれなりに存在する。しかし、先日の「因習村」の一件で『飢餓の悪魔』の枠が消滅してしまった。その穴を埋めるために、今度は『戦争の悪魔』が公安の監視下に置かれるという、あまりにも悪趣味な等価交換。

 

「米国曰く、戦争は利益になる。戦争という概念は時に恐怖から、巧みにコントロールすることで新たな発展を図るというが……」

 

 アキはハンドルを握る彼女の横顔を睨みつけた。

 

「お前達の国が好きな農業だって、森や畑を焼いて肥料を作り資源にしているんだろう、何が違う?」

 

 戦争の悪魔は退屈そうに、だが確信に満ちた口調で言った。

 

「利益という建前で人を嬉々として死なせるような手段があるなら、それこそ消えてなくなってしまえばいい」

 

「そうだな。恐らくマキマも頃合いを見て私をチェンソーマンの力で消し去ることだろう」

 

 彼女は事も無げに言った。その瞳には、自分の消滅さえも見越したような、底知れない冷徹さがあった。

 

「だが今は違う」

 

 戦争の悪魔は、日本に対する「土産話」を語るように、不敵な笑みを浮かべた。彼女の背後にある超大国──アメリカ合衆国では、すでにデビルハンターや悪魔の常識を遥かに超越した事態が動き始めているという。

 

「奴らの兵器は私の思考を超越した。映画に出てくるような全長10メートルを超えるような、お前達が好きなスーパーロボットを大真面目に開発しようとしているぞ」

 

 アキは黙然とした。

 

(マキマさんは、この世迷い言のような未来を……これ以上進展させないために、この女をここに呼び寄せたのか?)

 

 もし、人間の想像力と技術が「戦争の悪魔」の権能を超え、デビルハンターの手に負えないような未知の超兵器を生み出してしまったら。

 それは悪魔による終末ではなく、人間自身の手による取り返しのつかない破滅の引き金になりかねない。

 

「……12回目、か」

 

 アキは、胸ポケットにあるメモ帳に静かに手を当てた。

 まだ半分だ。マキマが言った『折り返し地点』という言葉の意味が、ポルシェ戦車のエンジン音と共に、重くアキの脳裏にのしかかっていた。

 

 その時だった、後ろの方でまるで爆撃されたかのように爆風がバックミラー越しに映り唖然とする。

 その光景を見ても戦争の悪魔は動じることはなく、ただ笑った。

 

「残念、時間切れだ……余計なことに時間を食いすぎたな」

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