遊戯王デュエルモンスターズ ─Reverse Side─ 作:sumi kaito
第三者Side
キーン コーン カーン コーン
童実野高校の午前終了のチャイムが鳴り、昼休み。3人の女子生徒が、廊下を歩く中───
「ジャ~ン!見て見て! やっと手に入れたんだぁ〜!クリボーのストラップ!」
3人のうち1人がテンション高めに右手の携帯に取り付けられたモンスターのストラップを見せる。
「アンタ、ホント好きだよねー。デュエルモンスターズ⋯だっけ?」
「それ男子がやるゲームじゃないの?」
「だって楽しいんだもん! 2人もやろうよ! ね?」
デュエルモンスターズ、数年前にアメリカの
「デッキ持ってないしルールもわかんないからパス」
「私も」
「今なら余ったカードでデッキ組んであげるし!ルールも優しく丁寧に教えてあげるから!」
「どんだけ私達にやらせたいのよ⋯」
「でもそんなに好きなのに、どうして弱いんだろうね」
「うぅ⋯」
先程までの高めのテンションがガクッと下がり、机に突っ伏す女子。
「亜梨沙が勝ったって話、まだ聞いたことないよ〜?」
「ぐっ⋯」
「先週のショップ大会も一回戦負けだって?」
「ぐはっ⋯! もう言わないで〜(泣)」
「次こそは勝つんだから!」
そう意気込みながら階段への曲がり角へと歩くと
どんっ「きゃっ!?」「っ!?」
曲がり角からやってきた男子生徒とぶつかってしまう亜梨沙。同時に床に何かが散らばってしまう。
「あ、俺のデッキが⋯」
「わわっ! ごめんねキミ! すぐに集めるから!」
「なにやってんのさ、亜梨沙」
慌ててしゃがんでカードを集める男子生徒と亜梨沙。友達2人も遅れて拾い始める。
「──って、これデュエルモンスターズのカードじゃん!あなたもデュエルやるの?」
「まあな。君も?」
「うん、大好きなんだ〜!」
「そうか⋯⋯これで全部だな。ありがとう」
「どういたしまして♪」
デッキの確認を終えた男子生徒は亜梨沙達に礼を言って3人が通った廊下を歩いていく。その後ろ姿をジッと見つめる亜梨沙。
「? どったの亜梨沙」
「ねえ2人とも、あいつ知ってる?」
「知ってるもなにも、クラスメイトの小波君じゃん」
「(⋯同じクラスだったんだ)ふーん⋯強いかな?」
「ケンカが?」
「ううん、デュエル。学校にカード持ってくるくらいだし、相当出来ると思うんだよね〜♪」
「私はアンタと同じ趣味 持ってる奴がいることに驚きだけど」
「ムッキー、なんか腹立つ〜!」
「でも彼、授業中はいつも寝てるし、何かに熱中するタイプには見えないよ?」
あ〜⋯、なんか欠伸しながら歩いてるわね。
「関わらないほうがいいって! ほら、行こ行こ」
「う、うん⋯」
◇◇◇
亜梨沙Side
翌日のショップ大会当日。
「負けた〜!(泣)」
連敗記録更新。しかも相手は小学生⋯。
「あ〜あ、負けちゃったねぇ」
「亜梨沙、どんまい」
「うっさい!」
今日は暇だからと、友達2人も見学に来てくれたというのに。トホホ⋯。
その後、店員から参加賞のカードを受け取ってカードショップを後にする私達。夕方の街中を歩きながら
「う〜ん、何がいけなかったのかしら⋯。私のデッキに足りないものが何なのか、まるで判らない⋯」
「亜梨沙〜、歩きながらのデッキ弄りは危ないわよ〜?」
「それより2人とも時間どうする? 明日は日曜日だし、カラオケ付き合えるよ」
「私も明日は予定もないから構わないわよ。亜梨沙は?」
「もちろん! 今日はオールよ!」
ガンガン歌って負けた悔しさを忘れよう! そうやって交差点で信号待ちしていると
「ん? ねぇ、あれって小波?」
「あ、ホントだ」
友達2人が交差点の向こう側を歩くクラスメイトの男子を発見する。
どこへ行くんだろう⋯。
「⋯気になるわ。ちょっとついて行ってみない?」
「⋯亜梨沙、マジ?」
「マジよ。てなわけでゴメン2人とも! カラオケの前にもう少しだけ付き合って!」
「⋯はぁ、仕方ないわね」
そうして辿り着いたのは結構 大きな建物。なんかゲーセンっぽい? 3階建てでかなり年季が入ってて ぶっちゃけ⋯
「⋯見るからに怪しいわね」
「果たして若い娘3人が入っても大丈夫かしら」
「どーする亜梨沙? 今なら引き返せるわよ」
「⋯行くわ。アイツも入って行ったし」
覚悟を決めて店に入る私達。中は予想通りゲーセンだった。この時間帯だと流石に小さい子はいないわね。周りのゲームもダーツとかビリヤード、メダルゲームも⋯ってそんなことより!
「ねえ小波は?」
「完全に見失ったわね」
四方八方にアイツの姿はない。ここに来て見失うとはツイてないわ〜。(泣)
「いらっしゃいませ。どうかされましたか、お客様?」
「あっ⋯えっと」
こちらが困っているのを察したのか、近くにいた女性のスタッフが歩み寄ってくる。黒いスーツを着こなす綺麗な人だ⋯。
「もうすぐ
えっ!? マジックってデュエルモンスターズ? ここでも大会やってるの!?
「ち⋯違います(フルフル)」
「では、観戦ですか?」
どうしよう⋯!
「はっ⋯はい、そうです!」
「では、3階へどうぞ」
「ど、どうも」
女性スタッフに招かれ、奥のエレベーターで3階へ向かう私達。
「⋯咄嗟にあんな事 言っちゃったけど」
「マズいとこに来ちゃった感じ?」
「店内の客見た? タトゥーとかピアスとか、明らかにヤバそうな人ばっかじゃん!」
「み、みんな、ゴメン」
「あ〜いや、私たちも何故かエレベーターに入っちゃったし」
「3階に着いたらすぐに1階に戻って店を出よう」
そんな事を話している間に3階に到着。扉が開いたその先には
「えっ!?」
フロアのあちらこちらのテーブルで
「デュエルモンスターズ!?」
ソレの対戦が繰り広げられていた。
「へー、デュエルやってる人ってこんなにいるんだー」
「昼のショップ大会に比べるとユーザーがかなり違うけどね」
確かに、柄の悪い人たちばかり。それでも⋯
「デュエリストがいっぱい⋯。私、1階に戻って大会参加の申し込みしてくる!」
さっきは混乱しちゃったけど、デュエルが出来るなら──そう考えエレベーターに入ろうとしたら友達2人に首根っこを掴まれる。
「やめときなって。どう見てもアンタより強い人たちばっかじゃん」
「うむ、大人しく見学するべき」
「そ、そんにゃ〜⋯(泣)」
くっ⋯小学生に負けてる以上、何を言っても無駄だわ。
《時間となりました。ただいまより、
ちょうど締め切られてしまった。チクショウ!
《今から名前を呼ばれた方は各自 指定のテーブル席に着いてください。まず1番テーブル、
「ウオオオォォォォォォ!!」
力強い雄叫びを上げる大男。どう見ても格闘技方面で活躍できそうなマッスル体型の男が1番テーブルへと向かう。
「⋯あんな人でも、カードゲームやるんだね」
「みたいね」
友達2人が若干 引き気味だ。実を言うと私も。
《同じく1番テーブル、
「あ⋯!」
続いて1番テーブルに向かうのは私達のクラスメイトの男子。やっと見つけた! 彼は席に着くなり目の前の男に対し「よろしく」とだけ言って自分のデッキをシャッフルする。
「アイツ、あんな怖そうな人とデュエルするの⋯!?」
「ほら亜梨沙、近くで見学しよ」
「えっ? あ、うん」
《続いて2番テーブル───》
参加者の振り分けが進んでいく中、石島もデッキをシャッフルしながら小波に話しかける。
「この店に強い奴がいると噂を聞いて、わざわざ足を運んできたが⋯こんな小僧だったとはな、小波 遊天」
「⋯⋯⋯」
大男の圧のある声にも動じる様子はない。
「数々の大会で優勝してきた俺の手でテメェの常勝街道を終わらせ「さっさと始めようぜ。どっちが強いかなんて、やれば判るんだから」っ!」
うわぁ⋯、大男の言葉を遮って挑発してるよ。ほらぁ⋯なんか青筋立ててるし。
「核の違いを見せてやるぜ!!」
「望むところだ」
「「デュエル!」」
遊天 LP4000
石島 LP4000
このデュエルを機に私は、昨日まで顔も名前も知らなかったクラスメイトの一面を知ることになるのだった。
肝心のデュエルは次の話で。