遊戯王デュエルモンスターズ ─Reverse Side─   作:sumi kaito

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暑いですね⋯。


第2話(前編)

遊天Side

 

 

 

 月曜の朝、童実野高校校舎内の とある一室、基本的に誰もいない この場所で一人 デッキの中身を確認している。そんな中

 

 

 

「ふ〜ん、学校にこんな隠れスポットがあったんだ〜」

「っ?」

 

 現れたのはクラスの女子だった。名前は⋯⋯⋯知らない。女子は軽く手を振り挨拶する。

 

「おはよ♪」

「⋯おはよう。なんでここに?」

「貴方を捜してたのよ。それより なんで一昨日は颯爽と帰っちゃったわけ!?」

 

 一昨日? ああ、大会の時の。

 

「賞金を受けとった以上、あの場にいる理由はないからな」

 

 そう、あの日の大会には賞金が出ていた。優勝した俺が賞金を持って いつまでも 居座ってたら狙われるからな。

 

「そりゃそうだけど、一回戦の後に声かけた時は『今は大会中だ。話なら後にしろ』って言うから待ってたんだけど?」

 

 そーいえばそうだったな。その間 こわーい人達に囲まれてデュエル見学するの大変だったんだから〜、とかブツブツ言ってる。

 

 

 

「そうか、それは悪かった」

「日曜日も あの店で待ってたのに来なかったのはなんで?」

「大会がなかったからな」

「ふーん⋯⋯まあ それはともかく───私、同じクラスの七城(しちじょう) 亜梨沙(ありさ)。実は貴方にお願いがあるの」

 

【挿絵表示】

 

 

「お願い?」

 

 俺が返すと満面の笑みで頷く女子──もとい、七城。

 

「うん♪ デュエリストなら当然 知ってるよね? 先週の海馬コーポレーションによる緊急会見!」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 話は一昨日の夜に遡る。

 

 土曜日の大会を終えて店を出た俺。札束の入った封筒を片手に街中を歩くと ふと街頭ビジョンに目を向ける。

 

「ん?」

 

 ニュースを見ていると、突如 画面が切り替わる。そこに映っていたのは

 

 

 

《デュエリストの諸君! よく聞くがいい! 一週間後、この街に おいて海馬コーポレーションが、デュエルモンスターズの大会を開催する!》

 

 

 

 デュエルモンスターズ(マジック&ウィザーズ)で今や注目を集めつつある海馬コーポレーションの若き社長、海馬(かいば) 瀬人(せと)だ。

 

 ちなみに童実野高校(うちの学校)の生徒でもある。

 

 

 

《デュエリストの参加条件は2つ。レアカードを含めた40枚のデッキを用意すること! そして、次世代デュエルディスクを所有することだ!》

 

 

 

 左腕のデュエルディスクを公開する海馬社長。重たそうだな⋯。

 

 

 

《デュエルはバトルシティ(最新の)ルール! さらにアンティルールを採用! 敗者は自分のデッキの中から最もレア度の高いカードを勝者に渡さなければならない! つまり、優勝者は最も多くのレアカードを手に入れることができるのだ!》

 

 

 

 周囲で盛り上がってる連中はデュエリストだろうか? アンティルールって、あまり褒められることじゃないだろう。

 

 

 

《闘いの舞台は、童実野町全域! 一週間後、この街はバトルシティと化す!》

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 回想を終えて⋯

 

 

 

「そういえば あったな、そんなことが」

「もともと大会については結構前から噂されてたんだ〜。それで私、一緒に参加してくれる強いデュエリストを捜してたのよ!」

「一緒に?」

 

「うん! 私、デュエル始めてまだ1勝もできてないの。それでも勝つために色んな大会に出てる。

 

 ⋯⋯ただ、今回は規模が大き過ぎて ちょっと不安。大会の間 誰か一緒にいてくれると心強いな〜なんて」

「はあ⋯」

「その点、貴方なら文句はないわ! あれだけ強いんだもん。当然 貴方もバトルシティ参加するんでしょ? よかったら大会中 私と一緒に行動してください! お願いします!」

 

 両手を合わせて懇願する彼女。俺はため息を吐きつつ

 

 

 

「俺、その大会には出ないよ」

 

 彼女の目が点になる。

 

「⋯⋯⋯⋯⋯へ?」

「うん、出ない」

 

「な、なんで?」

「興味なし。じゃあな」

「ま、待ってよ!」

 

 

 

 手に持っていたデッキを鞄に入れ、この場を去る。ちょうど朝のチャイムが鳴りだした。教室へと歩く俺を七城が慌てて追いかけるのだった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 昼休みの教室。

 

「ねーいいじゃん! 私と一緒に出ようよバトルシティ〜!」

「⋯⋯⋯」(#^ω^)

 

 窓際の席に着く俺の両肩を掴んで体を前後に揺らしてくる七城。朝からずっとこんな感じである。正直ウザい。

 

 

 

 周りの視線が痛い。「なにやってんだ?」とか「あの2人付き合ってるの?」とかヒソヒソ聞こえてくる。

 

 

 

『あーあ、また始まったよ。亜梨沙の奴』

『一度 誘うと相手がオーケーするまで諦めないからね』

『はぁ⋯せっかく美人なのにね』

『あれのせいで残念な子』

 

 

 

 教室の隅で七城と普段から つるんでる女子2人がこちらを見て何かを言っている。見てないで助けてほしい。

 

 

 

「バトルシティ♪ バトルシティ♪」

 

 

 うぜぇ⋯。

 

「⋯⋯わかった。放課後、俺とデュエルだ。俺に勝てたら言うこと聞いてやる」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そして待ちに待った?放課後。教室には机を2つ重ねただけのデュエルフィールドを挟むように向かい合う俺と七城。そして⋯⋯

 

 

 

「亜梨沙、がんばれー(棒読み)」

「今度こそ勝てると いいねー(棒読み)」

「アンタたち、応援に まったく心が籠もってないんだけど!?」

 

 見学する七城の友人2人のみ。他のクラスメイトは皆 早々に帰ったようだ。ホント君ら仲いいな。

 

 

 

「負けたら約束 守ってもらうからね!」

「ああ、俺に勝てたらな」

 

 交換したデッキのシャッフルを終え互いにデッキを返す。そしてテーブルに置いたデッキから5枚のカードを引いて───

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

遊天  LP4000

亜梨沙 LP4000

 

 

 

 戦いの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

「私のターン、ドローよ!」

 

 元気よくカードを引く七城。どっちが先攻か決めてないんだけど?

 

「モンスターを裏守備表示で場にセットするわ! これでターン終了よ!」

 

 トラップも仕掛けずモンスターを伏せただけ⋯か。守備力に自信があるのか?

 

「俺のターン、ドロー。⋯⋯『ドラゴヒューマン』を召喚、攻撃表示」

 

 

 

ドラゴヒューマン ATK1300

 

まあデュエルは始まったばかりだ。ダメージを受ける覚悟で攻めよう。

 

「バトル! 『ドラゴヒューマン』で裏守備モンスターを攻撃」

 

 

 

 果たしてセットモンスターは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖なる魔術師(セイント・マジシャン) DEF400

 

 

 

 ⋯⋯⋯はい?

 

 

 

「くっ⋯なかなかやるじゃないの」

 

 七城は悔しそうに『聖なる魔術師(セイント・マジシャン)』のカードを墓地に置く。いや待て待て!

 

「なあ、手札に他にモンスターは無かったのか?」

「え? それは───って言えるわけないでしょ!?」

 

 俺の突然の質問に七城は流れで答えようとするが、すぐさまハッとなって解答を拒否。まぁ手札情報を教えるようなものだし当然の反応だな。

 

 ただ、俺の質問の意図を見学している女子2人はともかく七城も理解していない様子だ。

 

 

 

「ああ⋯⋯悪い。俺はカードを2枚 伏せてターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 ⋯⋯彼女が一度も勝てない理由が分かってきたかも。




イラストはAIで作成したものです。細かな部分で気になるところがあると思いますが、気にしないでいただけると幸いです。
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