【本編完結】ウルトラ×ブラッド   作:karaageだぜ

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これで完結です!
情熱と衝動のまま書ききりました。後悔はないです。


第十一話 未来へ

80の叫びも虚しく、黒い奔流は二人を呑み込み、銀の広場を眩い光で包み込んだ。

……そして、二人の姿は消えた。

 

その瞬間だった……ドクン、ドクン。

 二人の鼓動が重なり、視界が白く染まる。

 互いの心が、温もりが、想いが、境界を失って溶け合っていく。

 あの日80が語っていた、あの感覚。

 意識が溶け合い、一つになっていく……

 

気が付くと、カルディアとボーイは真っ白な空間にいた。

不思議と恐ろしくなく、むしろ温かい。

向かい合い、お互いの名前を呼ぶ。

 その声はもう耳ではなく、心へ直接響いていた。

 二人の間に言葉は要らなかった。

 互いが何を思い、何を願っているのか、全て分かる。

 カルディアは静かに微笑んで、右手を伸ばした。

 

『……ボーイ、一緒に戦おう』

 

 ボーイは涙を拭い、力強く笑って同じく右手を伸ばした。

 

『もちろん!』

 

 その返事と同時に手が触れ合うと、眩い光が二人を包み込んだ――。

 

 

 

 

 

絶望に膝をつき、茫然と二人がいた場所を眺める事しか出来ない80。

 

「……ん?誰だお前、死に損ないか?可哀想に、今殺してやるからな……」

 

エボルトは哀れみの籠った声音で、80に向かって右手を掲げた。黒い光弾が大きくなっていくのを見ながら、頭では逃げなければ、と理解していた。

だが、無力感から動けずにいた。

エボルトが手を振り下ろそうとした、その瞬間。

 

紅黒い光と銀色の光が渦を巻く、渦は次第に大きくなり、周囲の瓦礫を巻き上げ始めた。

 吹き荒れる光の嵐に、80は思わず腕で目を庇う。

 

「これは……!」

 

 エボルトも初めて笑みを消した。

 光はさらに強く輝く。銀、紅、黒。

 三色の輝きが一つへ溶け合い――。

 やがて、世界を満たしていた光が、静かに晴れた。

 

「そんな……」

 

 80は息を呑んだ。

そこに立っていたのはボーイでも、カルディアでもない。

 二人を足して二で割った姿でもない。

灰色と紅、黒に銀の体色の戦士。

それはまるで、新たな一人の戦士の様だった。

 

「君達……なのか?」

 

 その戦士はゆっくりと振り返る。

 眩しくて紅と黒が混じる体色からは、カルディアの強さ。

 穏やかな眼差しと、青く輝くカラータイマーにはボーイの優しさ。

 二人の面影が、確かにあった。

 その戦士は80へ向かって、小さく微笑む。

 その笑顔を見た瞬間、80は確信した。

 

「……君達なんだね」

 

 戦士は静かに頷いた。フュージョンフォームとなった二人は、エボルトを見据えた。

 先程まで圧倒されていたはずなのに、不思議と恐怖はない。

 その背中からは、揺るぎない自信だけが伝わってくる。

 エボルトは口元を吊り上げた。

 

「面白い、ならば見せてみろ!お前達二人の力を!」

 

 次の瞬間、二人の姿が掻き消えた。

 

「ッ!?」

 

 エボルトが認識した時には、既に眼前まで迫っていた。鋭い蹴りが唸りを上げる。

 咄嗟に上空へ飛び退いたエボルトだったが、その動きを読んでいたかのように二人が追撃する。

 拳、蹴り、光弾、一撃ごとに空間が震え、銀の広場へ爆音が響き渡る。

 エボルトも黒い光弾を連続で放つが、その全てを二人は最小限の動きで避けていく。

 避けるだけではない、攻撃の隙を突き、正確に反撃を叩き込んでくる。

 

「チッ……!」

 

 先程まで余裕だったエボルトの表情から笑みが消えた。

 

「なるほどな……二人で一人、か」

 

 距離を取るように大きく後退したエボルトは、更に高く浮かび上がる。

 そして、両腕をゆっくり掲げた。

 空間が歪む、漆黒の重力が集束し、その上空に巨大な闇が姿を現す。

 ブラックホール。

その異質さに、ブラッド族達と戦っていた宇宙警備隊も集まってくる。

周囲の瓦礫が音を立てて吸い込まれ、地面が軋み始めた。80は思わず息を呑む。

 

「あれは……!」

 

 エボルトは邪悪な笑みを浮かべながら叫ぶ。

 

「避けるのか!?避けたら光の国は消滅するぞ!さぁ…!どうするカルディア!」

 

 二人はは答えない。

 静かに右手を掲げる。

 銀色の光が円を描き、その内側へ紅黒いエネルギーが流れ込んでいく。

 二つの光は反発することなく溶け合い、一つの巨大な光輪となった。

 慈愛を思わせる銀の輝き、全てを破壊する紅黒の輝き、相反する力が、一つとなる。

 エボルトが腕を振り下ろした。

 

「消えろッ!!」

 

 巨大なブラックホールが落下する。

 それと同時に、フュージョンフォームも静かに腕を振るった。

 光輪が一直線に飛翔し、二つの必殺が真正面から激突した。

 轟音、衝撃波。

 世界そのものが揺れたかのような振動が光の国を駆け抜ける。

 ブラックホールが光輪を飲み込もうとする。

 だが、光輪は止まらない。

 銀の光が闇を浄化し、赤黒い破壊の力が、その核を切り裂く。

 

「何……!?」

 

 エボルトの表情が初めて驚愕に染まる。

ブラックホールは徐々に押し返され、その巨大な闇は音もなく崩壊していった。

 残されたのは、呆然と浮かぶエボルトだけだった。

 

「……ほう」

 

 エボルトは静かに息を吐いた。悔しさではなく、どこか満足そうな笑みだった。

 

「なるほど…!もう俺が知ってるカルディアじゃないな」

 

 二人は何も言わず、静かに彼を見つめる。

 その眼差しには揺るぎない意志だけが宿っていた。

 

「あ〜あら参った参った」

 

 エボルトは頭を掻きながら苦笑する。

 

「俺のブラックホールを押し返すとはな」

 

 そして、ゆっくりと機械鎧を解除した。

 白い装甲が光となって消え、生身の姿へ戻る。

 そのまま二人の目の前まで降り立つと、視線を向けた。

 

「カルディア…!お前、ちゃんと強くなったんだな」

 

 その声音には、どこか兄としての誇らしさが滲んでいた。

 

「言っただろ?我を通すなら力を示せって、お前は、それを証明した」

 

 エボルトは肩を竦め、大袈裟にため息をつく。

 

「妹がここまで我を通したんだ、兄の俺が意地張ってちゃ、兄失格だな」

 

 そう言って笑うと、振り返りながら部下達へ手を振った。

 

「引き上げるぞ」

 

 エボルトが短く命じると、散開していたブラッド族達は一斉に集結する。

 紅い流星が次々と空へ舞い上がり、彼らは撤退の準備を始めた。

 その去り際、エボルトはゆっくりと光の国を見渡す。

 

 駆け付けたウルトラ兄弟、宇宙警備隊、そして、ウルトラの父。

 彼らの警戒する視線を受けながらも、エボルトは肩を竦めて笑った。

 

「光の国……いつか滅ぼしてやろうと思っていたが」

 

 そう言って視線をカルディアへ向ける。

 

「カルディアが気に入っているみたいだからな……」

 

 呆れたように息を吐き、不敵な笑みを浮かべる。

 

「滅ぼすのは後にしてやる、チャオ!」

 

 その言葉を最後に、ブラッド族の部隊は紅い流星となって宇宙の彼方へ消えていった。

 光の国に、静寂が戻る。

 それを見届けたフュージョンフォームの身体が、柔らかな光に包まれた。

 銀色と紅黒い光がゆっくりと分かれていき、やがて一人の戦士は、ボーイとカルディアの二人へ戻る。

 二人は同時に膝をつき、そのまま意識を失って倒れ込んだ。

 

「カルディア!ボーイ!」

 

 80は咄嗟に駆け寄り、二人の身体を抱き留める。

 その様子を見つめていたウルトラの父は、どこか穏やかな顔をした二人を覗き込み、小さく微笑んだ。

 

「将来が楽しみな二人だな」

 

「……はい!」

 

 80は胸を張り、力強く答えた。

 その瞳には、教師としての誇りが宿っていた。

 

 

 

 

 

 二人が目を覚ました時、そこは銀十字だった。

 健康診断を終えたウルトラの母は、二人へ優しく微笑みかける。

 

「もう大丈夫ですよ。無理は禁物ですが、今日から退院して構いません」

 

「ありがとうございます!」

 

 ボーイが元気よく頭を下げる。

 カルディアも小さく会釈すると、二人は並んで銀十字を後にした。

 帰り道、今日は一体化せず、それぞれの姿で歩いている。

 柔らかなプラズマスパークの光が、二人を優しく照らしていた。

 

「ねぇ、カルディア」

 

「どうした、ボーイ」

 

「僕達のこと、もう皆知ってるみたいだね」

 

 行き交う住民達が笑顔で手を振り、ボーイも嬉しそうに手を振り返した。

 カルディアは少しだけ居心地が悪そうに視線を逸らす。

 

「……光の国の奴らは、本当に変わっている。私だってブラッド族だぞ」

 

 その言葉に、ボーイは首を横に振った。

 

「違うよ。皆、カルディアのことを知ったんだよ。優しいところも、強いところも、だから受け入れてくれたんだ」

 

 カルディアは少しだけ目を見開く。

 

「……そういうものか」

 

「うん!」

 

 ボーイは満面の笑みを浮かべる。

 

「僕は嬉しいよ!」

 

「もうカルディアのことを隠さなくていいんだもん!これからは、カルディアの良いところを皆にも知ってもらおうよ!」

 

 はしゃぐボーイに、カルディアは照れ隠しのように鼻を鳴らした。

 

「……はぁ、面倒事が増えなければいいがな」

 

 そう言いながらも、その表情はどこか穏やかだった。

 

「カルディア!」

 

「なんだ」

 

「これからもよろしくね!」

 

「……当たり前だ」

 

 少しだけ口元を緩めたカルディアに、ボーイは嬉しそうに笑う。

 二人は他愛もない話をしながら、ゆっくりと家路につく。

本来なら、決して交わるはずのなかった光と闇。

 それでも二人は出会い、支え合い、共に歩む道を選んだ。

 その先には、きっとこれまで以上に困難な試練が待っているだろう。

 それでも……二人なら、乗り越えていける。

 光の少年と、闇の少女。

 二人の物語は、まだ始まったばかりなのだから。

 




この二人はこれからも、沢山の事を一緒に経験していきます。
なお、この後大怪獣バトルウルトラ銀河伝説TheMovieに繋がる予定なので、二人には頑張ってもらいたいです。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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