二人はカルディアの正体を知っても、驚き警戒はするけど排除しようとはしない、はず!
カルディアの過去が少し明かされます。
光の国での滞在許可が出てから数日。
学校では今まで通りボーイと一体化して過ごしているカルディアだったが、家では分離している時間も増えていた。
最近ではボーイが友人達から小さな机や椅子を譲ってもらい、カルディアの生活も少しずつ快適になってきていた。
今日は何をしようか……とカルディアが椅子に座り考えを巡らせていると。
「ねぇカルディア!僕の友達に会ってみない?」
「お前の友達?」
「うん、ナイスさんとゼアスさんって言うんだけど……」
二人とも聞いた事のない名だ、ボーイが会う事を勧めるのなら会っておいた方が良いかもしれないな。
「……まぁ良いだろう」
「ほんと!?じゃあさ、今日会いに行こうよ!」
「今日?急すぎないか?」
「こういうのは早い方がいいの!二人は何時も銀の広場で漫才してるから……ほら早く一体化して!」
ボーイの圧に渋々一体化したカルディアだったが、面倒くさくなる予感を感じていた。
「あっ、いたいた!おーい!」
銀の広場に着いたボーイは、キョロキョロと辺りを見渡していて、その友達を見つけたのか駆け寄って行った。
「ナイスさん、ゼアスさん!こんにちはー!」
「ボーイくん、今日も元気だね!」
「こんにちは、漫才観ていく?」
ウルトラマンナイスとゼアスは、駆け寄ってくるのがボーイだと気付くと笑顔で出迎えた。
ボーイは興奮気味に二人に報告があります!と宣言して、カルディアに分離するよう頼んだ。
「じゃーん!僕の友達、カルディアです!」
「弱そうだな」
分離したカルディアは、二人を見ると開口一番につまらなさそうに呟いた。
いきなりボーイから出てきた少女に二人は驚くも、すぐに大声を上げて驚いた。
カルディアは五月蝿そうに眉を顰めて、ボーイの肩の後ろに隠れた。
「なんで!?ボーイが人間と一体化してるの!?」
「だ、だだだだ大丈夫なのかいその子!?」
「うん!カルディアはブラッド族だけど僕の友達なんだ!それに監視装置もつけてるから、ゾフィー隊長から光の国の滞在許可も貰ってるよ!」
ふふん!と胸を張って答えるボーイだが、二人は一度に色々な情報を摂取して一瞬フリーズした。が、次の瞬間また大声で喚く。
「ブラッド族だって!?」
「宇宙警備隊にマークされてる敵対種族じゃないか!」
「で、でも本当は優しいんです!僕も助けられたし…ね!カルディア!」
「優しくはないだろ」
「カルディアーー!?!?そこは嘘でも優しいって言っていいの!」
ボーイが必死になってフォローするも、カルディアは何処吹く風で、そんな二人のやり取りを見ていたゼアスがぷっ、と吹き出した。
「ブラッド族だって聞いて驚いたけど、なんだか二人とも仲良しだね」
「……そうだね、ボーイくんが信じてるなら、私達も信じてみようかな」
ゼアスの言葉に、ナイスも一度だけ真剣な表情になる。だが次の瞬間。
「二人はベリィ〜ナイスな関係と見た!カルディアちゃん、私はウルトラマンナイス!2児のパパをやってるよ、よろしくね」
「僕はウルトラマンゼアスです!」
「ほらカルディアも挨拶して!」
雰囲気を一変させる様にナイスが自己紹介し、ゼアスも続いた。
ボーイに促され、渋々自己紹介をしたカルディアを、興味深く眺めるゼアスとナイス。
ブラッド族と出会ったら死を意味すると言われるほど、その危険性は広く知られている。
それでも二人は、ボーイが語ったカルディアとの出会いを聞き、驚きながらも受け入れていた。
「まさかブラッド族と友達になっちゃうなんてねぇ」
「うん、ボーイくんは凄いねぇ……カルディアちゃんもボーイくんを助けてくれてありがとね」
「……ふん、お互いに利があったから助けただけだ」
「またまたぁ」
「それだけだったら、君は此処にいないでしょ」
なんとか流そうとするカルディアだが、 ナイスとゼアスの独特の雰囲気に、逆にペースに乗せられてしまう。
珍しいカルディアが見られたな……とボーイは嬉しさを隠しきれずニコニコと見守っている。
「良かった良かった、私達も新しい友達が増えて嬉しいよ、なぁゼアスくん!」
「はい、これからよろしくね、カルディア!」
「友達じゃない」
「良かったねカルディア!友達が増えて!!!」
「…………あぁそうだな、はぁ」
終始押されっぱなしのカルディアは、深い溜息をついて黙った。
これ以上喋っていると面倒さかが倍増しそうだったからだ。
「あ、そうそう!じゃーん!」
ナイスが取り出したのはお菓子の詰め合わせセットだった。
それを見たカルディアの目が輝いたのを見て、ナイスは笑いながらおやつタイムにしよう!と誘う。
「わぁ、良いんですか?」
「うんいいのいいの!子供達の余りだから、家に置いてても食べないし、食べてくれると嬉しいな」
「やったー!あ、はいカルディア」
ボーイがスナックを半分に割ったものをカルディアに手渡す。
それでも彼女には大きくて、無言で食べ始めるも、暫くすると思いついたようにナイスを見上げる。
「そういえば、お前は子持ちなのにこんな所で遊んでいて良いのか?」
「今日は休みだからいいの!嫁ちゃんも、子供達もそれぞれ友達と遊びに行ったし。あっ家の事は終わらせて来てるからね!?」
「へぇ」
ナイスの言葉が終わるか終わらないかの所で興味が失せたのか、再びスナックを食べ始めたカルディア。
「って食べるんか〜い!全くもう……」
鋭いツッコミをしたナイスだったが、チマチマ食べているカルディアに温かい目を向けて、子供達が小さい頃を思い出していた。
「そういえば、僕達みんな一人っ子だけどカルディアは兄弟っているの?」
「あぁ、三人の兄がいるが……一番目の兄は私が幼い頃、二番目の兄によって次元の彼方に追放された。二番目の兄は今王様やってる。三番目の兄はUー40出身で血の繋がりがない。今はUー40にいる」
「え……?待って待って待って、僕それ知らないんだけど!なんで言ってくれなかったの!?」
「聞かれなかったし……」
カルディアが語った事はボーイにとって初めて知った事で、ぷりぷり怒りながら彼女に詰め寄る。
彼女は特に悪いと思っておらず、何故ボーイが怒っているのかと、不思議そうに見上げていた。
そんな二人を見ていたナイスとゼアスだったが、さらっと流されそうな重要な事に気付いた。
「えっ、じゃあさ、カルディアちゃんお姫様って事?」
「まぁ、そうなるな」
「ひゃあ〜、どうしよう王族に失礼な態度だったかも……」
「ブラッド族にとっての王族はそこまで重要な意味を持たない、精々少し力が強いぐらいだ。だから別に畏まらなくて良い。というかするな、面倒くさい」
知らずに王族と接していたと知ってしり込みするゼアスに、カルディアはぞんざいに返す。
次々に知る新事実に、ボーイは固まっていたが、やがて絞り出す様に声を出した、
「カルディア、次からは自分の事はちゃんと教えてね」
「よく分からないが、分かった」
「分かってないじゃんそれ……カルディアも僕の事で知りたい事ある?」
カルディアは数秒考え込むが、特にないな。と返した。
ボーイはその返しが気に入らないらしく、ムスッとしている。
「まぁまぁ、今はなくてもこれから過ごしていく内に、沢山の知りたい事が出来てくる筈だよ」
「そうそう、だからそんなに拗ねないの」
「拗ねてないもん」
ナイスが年長者らしくフォローし、ゼアスもボーイを宥める。
だが、ボーイは完全に拗ねてしまった。
そのやり取りをじっと眺めていたカルディアは、徐に口を開いた。
「そうだぞボーイ、特にないと返したのも、私が聞かなくてもお前が言ってくれたからだ」
「……うん、ごめんね」
「謝る必要はない、私は気にしていない」
二人のやり取りをほっこりしながら見守っている大人二人だったが、ナイスが手を叩いて皆の注目を集めた。
「はい、もうこの話は終わり!じゃあこれからは〜?」
「僕らの漫才を見てもらいま〜す!」
「そういえば聞いてよ、最近ゼアスくんってば筋トレを始めたんだよね〜」
「そうそう、戦士たるもの、体を鍛えておこうと思ってね!」
「それで強くなったの?」
「うん、口がね!」
「なんでやねんッ!」
そう言うとナイスとゼアスは息のあった漫才を始めた為、カルディアは呆れながらも、ボーイと共に楽しんだ。
ボーイの友達は変な奴が多い。だが、それも悪くない。……少なくとも、退屈はしない。
ボーイが笑っている顔を見上げながら、カルディアは静かに思った。
「ねぇ、カルディア」
「どうした、ボーイ」
「僕、もっと強くなりたい。カルディアには助けられてばかりだから、今度は僕も君を助けられる様になりたい」
第七話 試練