【本編完結】ウルトラ×ブラッド   作:karaageだぜ

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次で最終回予定だったけど、多分無理だね。二話に分けるか……


第九話 兆し

80とカルディアとボーイの顔合わせは平和的に終わった。

早速次の日から戦闘訓練が始まり、三人はコロセウムに集まった。

 

「早速訓練を始めよう、一体化して戦う時エネルギーの供給も、戦闘もカルディアが担っていたんだよね?」

 

「そうだ、ボーイには私との一体化を保つ為の繋ぎを任せている」

 

「繋ぎ?」

 

「あぁ、主に私がダメージを負った時、意識を失わない様に呼びかける役目だ」

 

「そうなの!?」

 

カルディアの説明にボーイが驚いた。

 

「そうだ、と言ってもお前と一体化してからダメージを負った事はないがな」

 

「そういえば何時も圧勝だったもんね」

 

ドヤ顔で胸を張ったカルディアを真似して、ボーイもふふん、と胸を張った。

それを微笑ましく見ていた80だったが、両手をパン、と鳴らして二人の注目を集めた。

 

「本当はエネルギーの供給と戦闘は分担した方が良いんだが、ボーイはまだ子供だからね。カルディアの戦闘に慣れる事から始めようか」

 

「はい!」

 

「じゃあ一体化して光線技を撃ってみようか、ボーイは光線を放つ時のエネルギーの流れを意識して」

 

「分かった」

 

80の言葉に素直に従って一体化したボーイとカルディア。主導権はカルディアが握っている。

カルディアは以前資料で見たスペシウム光線の構えを取り、コロセウムにある的に向かって放った。

 

「こんなもんか?」

 

『わっ、なにこれぇ!?』

 

「ボーイ、どうだ?エネルギーの流れは掴めたか?」

 

「80、ボーイは混乱している様だ。一体化して初めて光線を撃ったからな」

 

『すっごいよカルディア!何これ、なんか、エネルギー?の流れが分かったよ!すっごい!』

 

「80、どうやら掴めたらしい」

 

インナースペースで騒ぐボーイの様子を80に伝えると、彼は苦笑いをして口を開いた。

 

「良いね、凄いぞボーイ。じゃあ次はエネルギーの流れを補助するんだ」

 

『補助!?僕まだ上手く光線が撃てないのに……』

 

「ボーイは光線技が得意じゃないんだぞ、難しいと思うが」

 

「じゃあボーイ、カルディアと同時に光線を撃ってみよう。カルディアはボーイに合わせてみて」

 

「わかった、やるぞボーイ」

 

『うん!』

 

80の助言を受けてボーイはインナースペースでスペシウム光線の構えを取った、同じくカルディアも構える。

ボーイがエネルギーをチャージして光線を放った瞬間、カルディアも放つ。

 

「っ!?これは……」

 

『わっ、わぁっ!?』

 

「同時に放つ事でカルディアも意識出来ただろう?エネルギーに滞っている場所があるから、ボーイはそこにエネルギーを流すんだ、そうすれば少ないエネルギーで光線を撃てるはずだ」

 

80の解説に、手を数度握って感じた感触を思い出しているカルディア。

 

「なるほど、確かにボーイの補助があればもっと効率的に戦える。ボーイ、出来そうか?」

 

『うん、やってみる!』

 

「さぁ、もう一度、構えて!」

 

カルディアとボーイは同時に構え、息を合わせてスペシウム光線を放った。

ボーイは滞っている場所きエネルギーを流して、カルディアを補助する。すると、光線が的に当たった瞬間、先程と比べて大きな爆発が起こった。

 

『出来た、出来たよカルディア!』

 

「あぁ、お前のお陰だ。ありがとう、ボーイ」

 

「二人ともよく出来ました、じゃあ次は……」

 

喜ぶ二人を嬉しそうに眺めていた80だったが、少しだけ口元を緩めると、静かに構えを取った。

 

「二人ともよく出来ました。じゃあ次は……実戦形式といこう」

 

 その一言に、カルディアは楽しそうに笑う。

 

「……面白い。やるぞ、ボーイ」

 

『うん!』

 

「安心して。私の目的は君達を倒すことじゃない」

 

 80は穏やかな笑みを浮かべたまま続けた。

 

「君達が、本当に一つになれているかを確かめることだ」

 

「なるほど……試験という訳か」

 

「そういうこと」

 

 開始のブザーが鳴ると同時に、カルディアが床を蹴った。

 残像を残しながら一気に80との間合いを詰め、拳を繰り出す。

 しかし80は慌てる様子もなく、体を半歩だけずらした。

 拳は空を切り、さらに手首を軽く添えられただけで、カルディアの体勢が大きく崩れた。

 

「っ!」

 

「踏み込みは悪くありません。ですが、力み過ぎですね」

 

 80はそのまま掌で軽く肩へ触れる。

 たったそれだけでカルディアは数歩後ろへ押し返された。

 

「くっ……!」

 

『カルディア!』

 

「大丈夫だ」

 

 カルディアはすぐに立て直す。

 今度は左右へ高速移動しながら死角へ回り込み、蹴りを放つ。

 しかし80は振り向くことなく、その蹴りを腕一本で受け止めた。

 

「速いですね。ですが、まだ読みやすい」

 

 その言葉にカルディアは舌打ちする。

 

「チッ……」

 

「カルディア」

 

 80は攻撃を受け流しながら穏やかに問い掛ける。

 

「今、ボーイの補助が一瞬遅れましたね」

 

『えっ!?』

 

 インナースペースでボーイが驚く。

 

「カルディアが踏み込む瞬間、君のエネルギー供給が少し止まりました」

 

『ぼ、僕!?』

 

「だから体勢が崩れたんです」

 

 カルディアは一瞬だけ目を閉じ、体の感覚を確かめた。

 

「……確かに、一瞬だけ動きが重かった」

 

『ご、ごめん!』

 

「謝らなくていい」

 

「そうですよ、ボーイ」

 

 80はにこやかに笑う。

 

「気付けたことが一番大切なんです」

 

 カルディアは静かに頷き、構えた。

 

「次は頼むぞ、ボーイ」

 

『うん!』

 

 今度は80が自ら踏み込んできた。

 鋭い掌底、流れるような回し蹴り、無駄のない連撃が次々と迫る。

 カルディアは受け流しながら反撃の隙を探すも、80は決して深追いしない。

 攻め込み過ぎず、距離を保ちながら二人の動きを観察していた。

 

「ボーイ」

 

『はい!』

 

「カルディアの右腕を見てごらん」

 

『右腕……?』

 

「そこだけエネルギーの流れが少し弱い」

 

 ボーイは意識を集中させる。

 カルディアの体内を巡る紅い光、その中で右肩付近だけ流れが細くなっているのが見えた。

 

『ここだ!』

 

 ボーイはそこへ自分のエネルギーを流し込むと、カルディアの右腕が軽くなる。

 

残像だけが次々と現れ、位置を捉えられない。

気配を感じて振り向けば既におらず、一旦距離を取ろうと飛び退くと、狙ったのかの様に攻撃が飛んでくる。

まるで空間そのものを支配されているような感覚だった。

 

『カルディア、左!』

 

「!」

 

 ボーイの声と同時に左から拳が飛んでくる。

 カルディアは紙一重でかわす。

 

『今度は後ろ!』

 

 振り返る、そこには既に80がいた。

 カルディアは体をひねり、蹴りを放ったが、80は受け止める。その隙にボーイが叫んだ。

 

『今だよ、カルディア!』

 

「任せろ!」

 

ボーイがエネルギーを流し込んだ瞬間、カルディアは驚いた。

 

「これは……!」

 

ボーイの力が、自分の力へ自然と溶け込んでいく。今まであった違和感が無くなり、拳に力が乗る。

 次の瞬間、カルディアの拳がこれまで以上の速度で80へ迫った。

 80は驚いたように目を見開きながら、その拳を受け止める。

 

「素晴らしい!今の補助は完璧です」

 

『やったぁ!』

 

「よくやったぞボーイ」

 

 ボーイの喜ぶ声が響き、カルディアも少しだけ口元を緩めた。

 

「では最後です」

 

80が静かに構えた次の瞬間、その姿が消えた。

カルディアが反応した時には、80の掌底は既に目の前まで迫っていた。

 

「速い!」

 

紙一重でかわす。だが反撃しようにも、

 

 カルディア全身の力を拳へ乗せて一直線に放たれた拳は80の胸元で止まる。

 同時に、80の掌もカルディアの胸へ届く寸前で静止していた。

 静寂が訪れる。

 先に笑って構えを解いたのは、80だった。

 

「合格です」

 

 カルディアはゆっくり拳を下ろす。

 

「……なるほど、私一人ではこの一撃は届かなかった」

 

『僕もカルディアがいたからだよ!』

 

 ボーイの言葉に、カルディアは照れ臭そうに鼻を鳴らした。

 

「当然だ」

 

 80はそんな二人を満足そうに見つめる。

 

「一体化の強みは、一人が強くなることではありません。互いの足りない部分を補い合い、二人で一緒に強くなる事です」

 

 二人は静かに頷くが、80は少しだけ表情を引き締めた。

 

「ですが、一つだけ課題があります」

 

 カルディアはその意味を理解し、静かに呟く。

 

「……意識外でも出来るようにする、か?」

 

「その通りです」

 

 80は頷いた。

 

「今のままでは、いくら効率的に戦えるとはいえ、長期戦になると先にエネルギーが尽きてしまいます」

 

 ボーイは拳を握る。

 

『もっと強くならなきゃ!』

 

「そうだなボーイ、一緒に強くなろう」

 

 80は優しく笑った。

 

「焦らなくて大丈夫、君達なら、必ずその壁を越えられます!」

 

 その言葉に、ボーイが笑い、カルディアも口元に笑みを浮かべた。

 

「あぁ」

 

『うん!』

 

 二人の返事が重なり、訓練室には心地よい余韻が静かに広がっていった。

 

80も多忙で毎日指導を受けられる訳ではないが、二人は着実に強くなっていた。

だが時折妙な感覚に襲われる。それは二人の息がピッタリとあった時、まるで二人の意識が溶け合う様な、まるでお互いの体の境界が曖昧になっていく様な……そんな感覚だ。

 

「……その感覚、本当にあったんですか?」

 

「はい」

 

二人の報告に、80は少しだけ目を見開いた。

 

「私も文献や伝聞でしか知りませんが……」

 

80は一度言葉を切ると、数秒考え込み口を開いた。

 

「タイプチェンジの前兆かもしれません」

 

「そうなのか」

 

「えぇ、兄さん達に聞いた事があります。スーパーウルトラマンタロウになる時、意識が溶け合っていく感覚がする……らしいです」

 

「じゃ、じゃあ僕達ほんとにフュージョンフォームになれるんですか!?」

 

「おそらくね」

 

二人の報告を聞いた80が予測を伝える。それを聞いてボーイは目を輝かせた。

 

「その名前、気に入ってるのか?」

 

「うん!あっカルディアは気に入らない?」

 

「いや、良いと思うぞ」

 

盛り上がるボーイを見守るカルディアと80だったが、80が口を開いた。

 

「カルディア」

 

「なんだ」

 

「君達は強くなっています、これからも絆を深めていってくださいね」

 

80の言葉にカルディアは面食らった様だが、すぐにニヤリと笑った。

 

「当たり前だ、私達二人なら最強らしいからな」

 

そう言ってカルディアは80の肩に腰掛けた。

80は驚いたように目を丸くしたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべ、カルディアと共に無邪気にはしゃぐボーイを見守っていた。

 





「……すまない、護れ……なかった……」

「違うよ……カルディアはずっと僕を護ってくれた!」


次回 第十話 襲来
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