作者的にハイスクールddよりこっちのがなじみ深いと言うか…今まで書きたい作品ではあったので書き始めました、感想、高評価等頂けたら幸いです。
とある世界、半神ロキの持つ至宝ドラゴンオーブの滅びの波動により、世界は滅ぼうとしていた。
その滅びの波動により、とある塔…レザードヴァレスの塔と呼ばれる塔にて一人の少年が必死に抗おうとしていた。
「ヤバい、ヤバいって‼このままだとホント死ぬ‼師匠ー‼助けてー‼こういう時しか役に立たないんだから‼」
少年はシオン・クラウトランド、天才錬金術師であり、比類なき死霊術師でもあるレザード・ヴァレスのたった一人の弟子である。
「結界105層展開…‼時間稼ぎは10分38秒できた、今のうちに賢者の石のコピーから解決手段を探さないと…」
賢者の石…所有者に万物の知識を与える伝説の秘宝。
多くの秘術を得ることが出来る代わりに100万ページある索引のついていない辞書の様なモノ…
知識を抽出するのすら才能が必要とされる程の人外の秘宝。
10分足らずで必要な解決方法を探すのは本来ならできないだろう。
才能有る者ですら数日で一つ知識を抽出できるかできないか…
しかし今はその無数の選択肢の中から必要なモノを手に入れなければ生き延びる事は出来ない…
「確か…あのバカ師匠は最後に賢者の石で過去に飛ぶ方法を調べてた筈だ、けど…それは賢者の石のオリジナルを持つから滅びの波動から生き残る自信があるんだ…」
「俺が持つ賢者の石のコピーの力じゃ全開放しても耐えきれない…それなら…」
シオンは賢者の石の知識にアタリをつけて調べていく。
「過去に行くのはダメだ…座標が同じだからもしも滅びの波動に追いかけられる可能性がある…座標…?」
「そうだ、この世界に拘るからダメなんだ、なら別の世界に飛べばいい…それなら前に師匠が居ない所に行きたいって思ってた時の転移術が使える…それなら必要なモノは…‼」
必要なモノをかき集めていくシオン。
色んな秘薬や秘術の触媒を手当たり次第、手持ち亜空間カバンに放り込んでいく。
「どうせ丸ごと滅んじまうんだ、俺が少しくらい拝借しても文句はないだろ…さてと…」
そう言ってシオンは魔法陣を描き、言葉を紡ぐ。
「応えよ、我が呼びかけに…我は虚空より来たりし深淵の者なり…我望むは異界の門を開かん。」
シオンが立つ魔法陣が淡く光を放ち、その光は段々と増していく。
神々しさすらも感じさせるその光が部屋全体を包んでいく、それでもシオンは詠唱を止めない。
人の言葉ではない、失われた言語を使う。
「■■■…■■…■■■■■■‼」
別たれた言語を歌うかの如く諳んじる。
光が増す。
「■■…■■■■…■■■‼」
光が増す。
外の結界は滅びの光により、悲鳴をあげる…
シオンの頬に汗が伝う、それでも言葉を紡ぐのを止めない…
「■■■…■■…■■■■■■‼」
光が増す。
詠唱を終えたシオンは荷物を担ぎ、扉の方へ向き直る。
「じゃあね、この世界、面白かったけど、未知の世界ってのも悪くないよね…師匠も居ないし。師匠も居ないし…」
彼はとても師匠であるレザード・ヴァレスが苦手である、とても苦手なのである。
滅びの波動は塔の外側の結界を消滅させていくのに併せるように、シオンは最後の言の葉を紡ぐ。
「異界転送。」
部屋が滅びの波動に飲まれる。
―――――
転移した先で俺は…
「はい、これでよし、タオルは変えたわ。」
「ちい姉さま、どうして見知らぬ行き倒れなんかにちいねぇさまが看病してあげてるの?」
「だって、ルイズ、行き倒れといってもまだ子供じゃない、なんだか、放っておけなくて…」
「ふーん…でもちい姉さまのベッドじゃなくても良い気が…」
「私が助けたのだから、私が責任持って面倒見ないとね。」
「そういうモノなの?」
「そういうモノなのよ、ルイズももう少し大きくなったら解るわ。」
なんか看病されてた。
いや、物心ついた頃から肉体強化の魔術と食事は地脈の魔力を栄養に変換する陣を塔に張ってたせいで食事を取るという習慣が無かった…
その為に食事を持ち込むのを忘れて、未知の土地にはしゃいでたら行き倒れてしまった。
そして意識が戻ると俺はここに寝かされていた。
良いベッド、そして甘いいい匂いがするこの部屋は…
「あ‼目が覚めたのね、よかった、アナタは領内で倒れてたのよ、ここは安全よ。私はカトレア、この子はルイズ…あなたの名前は?」
「ふん、ルイズよ。」
ほわほわとした、見る者を明るくしてくれる笑みを見せてくれるカトレアと対照的なツンとした表情を見せるルイズ、二人ともただ居るだけで絵になる二人だった。
「シオン…シオン・クラウトランドだよ…」
「そう、シオンって言うのねアナタは。本当に良かったわ、あなたはどうしてあんな所で行き倒れてたの?」
「あー…それが、旅慣れしていないのに長距離の移送方陣使っちゃって…食料持っていくの忘れて倒れちゃってね…」
「移送方陣?なにそれ?」
ルイズが怪訝そうな表情で聞き返す。
「そっか、移送方陣はただですら、ロストミスティック(失伝した魔法)で、それにここは異世界…まず無い可能性自体あるのか…」
「ロストミスティック?私達の使う魔法にそんなものあったかしら?」
「ちょっと、アンタ…嘘ついてるの?せっかくちい姉さまは助けてくれたのよ?ちゃんと答えるのは必要じゃない?」
「すまん、意識というか色んなもののすり合わせが出来てなかっただけだ、今から説明するよ。」
そしてシオンは、自分は遠い所、もう戻れないであろう程に遠い場所から来た、転移魔法を使ってここまで来た事を説明する。
「そんなありえない事…信じろって言うの?」
「信じてもらえないなら俺からこれ以上言うことは出来ないね、悪いけど本来ならこれですら言うのは禁句とされる内容に触れてるんだ。」
師匠だったら凡人に真似できない事などいくらでも開示すれば良いと言うだろう、でも自分は違う…真似しようとして大惨事に繋がる可能性を考えたら、出来る限り開示したくなかった。
恩人に危ない目に遭って欲しくないと思う程度には人間が出来ていたのが余計にシオンを悩ませる。
「私は、信じるわ、シオンの言ったこと。」
「ちい姉さま?」
「ホントか?ルイズの言う様に信じられないもんだと思ってたけど…」
「うん、私はなんとなく、その人がホントの事を言っているかとか、そういうのわかっちゃうの。」
カトレアは華のある笑みをシオンに見せる。
シオンは思ったのである…このお姉さんいい人過ぎない?と。
しかしシオンの『眼』にはよくないモノが映っていた。
「なるほど、本質を見通す眼の代償がその身体の不調か…」
「「⁉」」
カトレアとルイズは驚く、確かにカトレアは病に侵され長くは無いと言われていた…家族も四方八方に手を尽くしたが治せる見込みは無く、絶望を与えられる事は有っても希望を与えられる事は無かった…
今日はカトレアの体調が珍しく良く、無理して魔法を使わない限り健常者と同じようにしか見えない筈だった、それをシオンという少年は一目見ただけで見抜いたのだ。
「アンタ、何したの?ちい姉さまに変な事してないでしょうね?」
「別になんもしてないさ、ただ観ただけ、俺にとっちゃこの程度、ただ観るだけで済む。」
「シオン、アナタは一体…?」
シオンは起こした上半身をカトレアと向き直り言う
「俺の名はシオン・クラウトランド…至高の錬金術師にしてロリコンストーカー人形フェチのレザード・ヴァレスのたった一人の弟子さ。」
「カトレア、良ければ俺が治そうか?その身体。」
二人は息を呑む、先ほどまで背伸びして、色んな事を語っていた彼と雰囲気が違い、まるで絶対的な存在が語り掛けてきたかの様だからだ。
私はいい子がズレてる部分あるのにたまらなく快感を覚えるので、今回の主人公のシオン君も良い子だけどどっかズレてる感じに書きたいと思ってます。