治療が小休止に入った為、カトレアを寝かせ、部屋を出たシオンを待ち受けていたのは、ルイズだった。
「ねぇ、シオン…アンタ凄い眼持ってるって言ったよね。そんなアンタだったら私が魔法上手く使えない理由…わからない?」
「ふむ…」
「アンタが疲れてるのは解ってる…けど私、どうしても魔法を使いたいの…ちい姉さまの治療が終わってからでもいいから見てもらえない?」
「まぁ、疲れてもないしカトレアの状態も良い…しばらく暇だしな。」
「じゃあ…‼」
「魔法見せてもらえるかい?多分答え合わせになるしな。」
そう答えたシオンの笑顔にルイズは満面の笑みで応える。
「うん…‼ありがとう、シオン‼中庭に行きましょう‼」
ルイズはシオンの手を引き、歩き始める。
「やれやれ…その笑顔は反則だろ…」
ルイズのあの時の笑み、彼女の笑顔に少しドキッとしてしまうシオンであった…
―――――
「それで?なんで家族総出なんだ?今は大丈夫とは言えカトレアまで…」
「それは…そうよ‼アナタがおちびに変な事しないか見張りによ。」
「私は興味半分、心配半分…といったところかね、もしかしたらルイズが魔法使える様になれば、それは凄い事だからね。」
「どう教えるつもりなのかが気になります、私達ハルケギニアのメイジとは違うと言うのが変わるのかというのが。」
「私を助けてくれるみたいに、シオンならルイズも助けてくれるって信じてるからそれを見に来たわ。」
各々思惑は違えども、ルイズが心配ってのは変わらないみたいだな…いい家族だな、この家庭は…
ルイズは張り切って、杖が何度も異常が無いか確認している。
異常と言うならば、杖じゃなくてルイズ自体なんだが…まぁいいか。
「ルイズ、どんな魔法でもいい、詠唱して使ってみてもらえるかい?」
「うん、わかったわ‼錬金を使うわ。」
「イル・アース・デル…錬金‼」
「魔力障壁。」
ルイズが錬金というと同時に石ころが爆発する。
ルイズが爆発に巻き込まれない様に魔力障壁を張るとその中で爆発する石ころ。
へたり込むルイズ、それを見つめる家族たち。
ふむ、やはり…
ルイズは半泣きでこちらを見てくる。
「こんな感じ…メイジって言っても私はどこまでも…「そこまで、今までのルイズを見せてもらっただけだよ、泣かないの。」でも…」
「原因は確信したよ、こりゃ既製の魔法が使えない訳だ。」
「「「「「⁉」」」」」
全員が驚愕する、当然だろう…これまで原因が解らなかったルイズの異常を理解し、あまつさえ既製の魔法は使えない、と述べたのだから。
「ルイズの魔法が使えない理由は規格の違い…だね。」
「規格の違い?」
頷くシオンに全員が説明を待つ。
「まず、ルイズは他の人が使っている魔法の回路とは違う回路が流れている。それにより他の人が使う魔法が使えない、って事さ。」
「じゃあ私は魔法が使えないの?」
「焦らない焦らない、回路の違いを上手く合わせてやれば、今使おうとしてる魔法も使えるよ。」
「「「ッ⁉」」」 「そうなのね…」
「ホント…⁉ホントに魔法が…」
一同に、笑みを向けるシオン。
「それに、言ったろ、回路が違うって…君しか使えない魔法もある。だからその凝りを解消してやれば色んな魔法を使えるようになるさ。」
「私だけの魔法…それって凄いの?」
「まあまあなんじゃない?山一つ消し飛ばす程度の奴とかだろうから正直そんなに凄いとは言えないけどね。」
唖然とする一同…山を消し飛ばす…?それをそんなに凄く無いと言う彼の発言…どれもが理解し切れないものだった。
「山一つ…消し飛ばす?それってとても凄いんじゃないの?」
「その程度の魔法なら作業の片手間でも出来るさ。」
ルイズの問いかけは至極マトモなモノだったろう、それが普通の人間だったならば。
しかし考えて欲しい、自分の探求心と執着するもの以外に時間を使わない、あのレザード・ヴァレスが時間を使っても良いと考えたのだ、そして…レザードですら、その才能に嫉妬する程の存在、それがシオンだ。
そんな彼からすれば山一つ消し飛ばすのなんて鼻歌を歌いながら、別の事をしながらでも出来るだろう。
しかしシオンはそこまで細かく説明しない、何故なら…面倒臭がりだからだ。
全てを語る必要性が無い…と言うのも大きいが、基本的には、彼にとってそんな面倒を行うよりも解決する方が早いからだ。
「けどさ、君しか使えない魔法を極めた方が良いと思うけどね、既製の魔法微妙だし。」
「な…アナタ…ぶっ飛んだ事ばかり言ってると思ったらなんて事を‼」
エレオノールが怒る、当然だろう、彼女は今のその既製の魔法を使って研究をする、それに誇りを持っているのだから。
「んー…だってその魔法でカトレアを治せたかい?」
「ッ⁉」
そう、そこなのだ、どこまで行っても現在ハルケギニアで使われている魔法ではカトレアを治せなかった、それがどこまで行っても付きまとう。
「それでも皆と同じ魔法を使いたいのかい?」
「私だけの魔法…それも欲しいけど、皆と同じ魔法も使いたいの。」
「…そっか。欲張りさんだね。まぁルイズが望むなら俺はそれでいい。」
そう言ってルイズの手を取るシオン。
「今から君の体内を少し這いまわる感覚があるけど、我慢してね、そんな時間かかんないと思うから。」
「う、うん。わかったわ。」
そう言った直後、シオンとルイズが光る。
緑色の淡い光、とても神秘的で目が離せなく、嫌な感じの全くしない不思議な光だった。
五分と経たず、その光は収まる。
「ん…あ…私…?」
「うん、思ったよりすんなり終わった、やっぱりこの共鳴力学の治療法は相手が受け入れてくれたら早いね。」
「シオン…私…アナタを見たわ。」
「…?俺を…なるほど、共鳴した影響か…その俺がどんな奴だったかはナイショにしといてくれるか?」
「う、うん…」
泣いてた姿なんて、あんまり知られたくないからね…そう言ったシオンの言葉は本当に、溶けて消えるかの如く、しかしルイズの耳にいやに残った…
―――――
「それじゃルイズ、行って見よー。」
「うん…イル・アース・デル…錬金‼」
石ころが光るとそれは先ほどの様に爆発せずに、確かに真鍮になっていた。
シオンは悪戯っ子の様に笑う、ほら、言った通りだろ?と言うかのように。
カトレアはルイズの頭を撫でた。
「凄いじゃないルイズ、良かったわね‼」
「ちい姉さま…ありがとう…シオン、ありがとう‼」
「ま、カンタンだったからな、それに俺を信じたルイズだったからこんなに上手く言ったんだぜ?」
シオンも釣られて笑う
ルイズの満面の笑みは花の様な素晴らしいモノだった。
少しシオンの胸が痛む。
まるで『彼女』の様だったからだ。
そんな三人を思案しながら見つめる大人達だった…
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