ポケットモンスター サイクルを極めし転生者   作:Notebook119

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第2話 誰も知らない“交換”という戦術

「ヒポポタス、もう一度だ」

 

レンの声が森に響く。

目の前にはの短パンを履いた元気のいい少年。

相手は水タイプのマリル。

ヒポポタスにとっては相性最悪。

動きの遅いヒポポタスでは、遠距離から水鉄砲だけで封殺されかねない。

しかし、

 

「大丈夫」

 

レンはヒポポタスを見る。

 

「君は勝つ必要はない」

「勝てる状況を作ればいい」

 

 

 

レンが転生してから一年。

彼は旅に出る前、徹底的に準備をした。

技構成。

相性。

努力値。

 

もちろん、この世界には努力値という概念を体系的に研究している者はいない。

だが、レンには前世の知識がある。

そして気付いた。

 

「この世界のポケモンは、ゲーム以上に個体差が大きい」

 

性格。

才能。

育て方。

トレーナーとの関係。

だからこそ。

 

「構築が重要になる」

 

 

 

ヒポポタスが攻撃を受け、弱点である水技が直撃する。

しかし、ヒポポタスは倒れない。

ヒポポタスのすなあらしで相手の体力が少しずつ削られる。

相手トレーナーは笑った。

 

「そんな小細工で勝てると思うな!」

 

次の攻撃。

しかし。

レンはひとこと。

 

「交代」

「……え?」

 

観客がざわめく。

ヒポポタスが戻る。

代わりに出てきたのは、洗濯機の様なフォルム。

 

ウォッシュロトム。

 

水タイプの攻撃。

効かない。

ロトムは相手の攻撃をキッチリ受け切る。

 

「なぜ交代した?」

 

相手トレーナーは困惑する。

 

「あと少しで倒せただろ!」

 

レンは首を振る。

 

「違う」

「倒せたかもしれない」

「でも、倒せなかった時のリスクが大きい」

 

観客は理解できない。

ポケモンバトルは普通、

「どうやって相手を倒すか」

を考えるもの。

しかしレンは違う。

 

「どうすれば負けないか」

 

を先に考える。

そしてロトムが動く。

 

「ボルトチェンジ」

 

電撃が相手を襲う。

威力はさほど高くない。

そして。

ロトムは戻る。

再びヒポポタス。

 

「また!?」

 

相手は叫ぶ。

 

「なんで戻すんだよ!」

 

レンは淡々と言う。

 

「相手が嫌がる状況だからだ」

 

相手は気付く。

自分の攻撃は通らない。

交代すれば砂嵐とステルスロックの削りが待っている。

攻撃しても有利にならない。

 

数ターン後。

相手のポケモンは疲弊していた。

レンは初めて攻撃指示を出す。

 

「ヒポポタス」

「じしん」

 

小さな体から放たれる一撃。

勝負が決まった。

 

観客は静かだった。

勝ったのに。

歓声より困惑が大きい。

 

「……何だったんだ?」

「あの子、ほとんど攻撃してないぞ」

「でも、いつの間にか勝ってる」

 

試合後。

相手トレーナーが聞く。

 

「君は何をしていたんだ?」

 

レンは少し考える。

そして答えた。

 

「準備していたんだ」

「勝つための準備を」

 

 

 

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