ポケットモンスター サイクルを極めし転生者 作:Notebook119
古い発電所。
そこは現在使われていない施設だった。
かつては多くの電気を街へ送っていた場所。
しかし今では、人の気配もほとんどない。
そんな場所に。
レンは足を運んでいた。
「いるはずだ」
隣にはヒポポタス。
小さな砂のポケモンが、不思議そうに見上げる。
「ロトム」
レンは呟く。
前世の知識。
そしてこの世界で集めた情報。
レンが次に求める仲間。
それは、単純な高火力ポケモンではない。
必要なのは。
サイクルを回す潤滑油。
相手の攻撃を受ける。
有利対面を作る。
流れを繋ぐ。
その役割を担えるポケモン。
「ロトムしかいない」
発電所の奥。
突然、機械が動き出す。
「ロト!」
電気の塊が飛び出した。
ロトム。
だが。
レンはすぐにはボールを投げない。
観察する。
「なるほど……」
素早い。
トリッキー。
嫌がらせが得意。
しかし。
このままだと役割が少ない。
通常ロトムでは、レンの理想構築には少し足りない。
必要なのは――
「フォルムチェンジ」
ロトムは警戒していた。
今まで何度も人間に追われた。
珍しいから。
便利だから。
捕まえたいから。
そんな理由ばかり。
レンも同じだと思っていた。
「強いから欲しいんだろ?」
そう言いたげに睨む。
しかし。
レンは首を振る。
「違う」
ロトムが驚く。
「でも」
レンは続ける。
「君には、もっと輝ける場所がある」
レンは発電所内を調べる。
そして。
一室で足を止めた。
「これは……」
そこには、かつて社員が使っていた休憩設備。
そして。
古い洗濯機。
レンは笑った。
「やっぱりあった」
ロトムが洗濯機に近付く。
すると。
機械が反応する。
電気が走る。
光が包む。
「ロト……!」
姿が変わる。
水色の姿。
洗濯機に入り込んだロトム。
ウォッシュロトム。
レンは頷く。
「完成だ」
ロトムは不思議そうに自分を見る。
力が変わっている。
できることが増えている。
レンは説明する。
「君の役割は相手を倒すことじゃない」
「戦場を繋ぐことだ」
ウォッシュロトム。
水と電気。
優秀な耐性。
ボルトチェンジ。
そしてヒポポタスとの相性。
レンの頭の中で、構築が組み上がる。
実戦。
相手は水タイプの野生ポケモン。
ヒポポタスでは厳しい。
普通なら交代せず戦う。
しかし、
「ロトム、頼む」
ウォッシュロトムが前に出る。
相手の水技。
効かない。
「ハイドロポンプ」
反撃。
しかし、倒しきらない。
「ボルトチェンジ」
ロトムが戻る。
ヒポポタスが出る。
「なぜ戻る?」
「勝てるならそのまま戦えばいいじゃないか」
レンは答える。
「勝てる可能性より…。勝ち続けられる状況を選んでいる」
ヒポポタスが砂を起こす。
特性すなおこし。
相手の体力が削れる。
「あくび」
相手は眠気に襲われる。
交代。
しかし、交代先も砂で削られる。
少しずつ、確実に。
相手の選択肢が消えていく。
戦闘後ロトムはレンを見る。
最初は思っていた。
この人間も、自分を利用するだけだと。
でも違った。
自分の力を理解している。
自分の役割を見ている。
そして、信頼している。
「ロト」
ロトムがレンの横に浮かぶ。
レンは笑った。
「よろしく」
その夜、レンはノートに書き加える。
【砂の始点】
ヒポポタス ↓ カバルドン
【循環補助】
ロトム ↓ ウォッシュロトム
まだ未完成。
しかし、
前世で愛用していたサイクル構築が少しずつ、この世界で形になり始めていた。