さて、今話はシールダーvsガゼルの戦いを書こうと思います!単騎戦でもシールダーは戦えるのか!?どうやって戦うのか!?
乞うご期待!
「始め!」
トレイニーの合図と共に、両者一斉に攻めに入る。
ガゼルの神速の剣撃が幾条もの光条となって襲いかかるが、シールダーは両腕のバックラーを最小限の軌道で動かし、火花を散らしながらそのすべてを完璧に受け流していく。
「ほう、やるではないか。」
誰もが「シールダー=絶対の盾」であり、ガゼル=「最強の矛」による防戦一方の展開になると予想していた。だが次の瞬間、シールダーのバックラーから、濃密な魔素が『刃』として具現化し、鋭い突きがガゼル王の喉元を襲う。
「俺の力は護るだけじゃない!」
「ぬおっ!? ……ふはっ!剣術とは違うが、貴様もなかなか面白いモノを使うではないか!」
ガゼルは刃を紙一重で弾き、武人の笑みを深める。
「いやぁ、これはほんの一部。……僕の本当の戦術、面白いところは、ここからですよ」
シールダーは魔素を六角形の形をした盾として具現化し、空中に無数に作り出した。
「これらも盾。でも、盾は盾でも殺傷能力はありますよ。さて、ガゼルさん?この攻撃しのげますか?」
シールダーの合図と共に、無数の六角形の盾が一斉にガゼル王を目がけて殺到する!ガゼルは驚異的な剣技でそれらを次々と叩き落としていくが、如何せん数が多すぎる。
ガゼル王がその盾の大群の処理に一瞬、視線を奪われた――その刹那。シールダーの前に、巨大な大盾が具現化する。盾の表面に走る幾何学的な術式ラインがパチパチと青白い電火花を散らし、一直線の光軸をガゼルへと固定した。
「(おいシールダーのあれってまさか……!?)」
『解。大盾の構造を電磁加速器へと変換。究極能力『
「――墜ちろ」
ドォォォォンッ!!!
広場が揺れるほどの爆音と共に、超音速の質量弾がガゼル王の胸元へと放たれた。突如として放たれた必殺の狙撃に、ガゼルは驚愕しながらも、流石の戦闘反射で強引に体勢を崩してこれを躱す。――だが、それすらもシールダーの計算通りだった。躱されたレールガンの弾丸は、ガゼルの背後に浮遊していた「六角形の魔素の盾」に直撃――した瞬間、鏡のように角度を変えて斜め後ろへと
「なっ……!? 弾丸を、盾で反射させただと……!?」
完全な死角。二重、三重に配置された盾でピンボールのように跳ね返り、さらに加速した超電磁砲の衝撃波が、躱しきれなかったガゼルの側腹部へと容赦なく直撃するのだった――
激しい土煙が舞い上がる。だが、その煙を吹き飛ばすように、豪快な笑い声が広場に響き渡った。
「ふっ、ふははははは! なかなか面白い戦い方をするな、貴様! シールダー、盾の戦士……その解釈を、今ここで改めねばならんようだな!」
英雄王の肉体から立ち上る、さらに濃密さを増した闘気。直撃を受けてなお、その覇気は衰えるどころか、むしろ好敵手を得た喜びで燃え上がっていた。
「そう言って貰えると光栄です」
だが、ガゼルは鋭い眼光をさらに細め、シールダーの佇まいの奥にある『何か』を掴み取るように、低く問いかけた。
「――だが。貴様、その圧倒的な強さの裏に……底知れぬ『闇』を抱えているな?」
武人の本質を見抜く王の心眼。その言葉に、シールダーは一瞬だけ目を見張り、すぐにいつもの物静かな笑みを浮かべた。
「……それに、気付きますか。流石は英雄王だ」
「何があった?」
「ただ……構造の闇に呑まれ、心を壊したことがあるってだけですよ。その不条理に対する憎しみは、今でも僕の中に確かにあります。だから、まあ……俺の根底にある本質は『復讐者』、アベンジャーなんです」
ぽつりと零された、異世界の理に刻まれた過去の傷跡。
「成る程な」
「ええ。ですが――それと同じように、俺と同じような絶望を味わう者が、これ以上生まれて欲しくないとも思っています。世界に理不尽が溢れているなら、それを遮る盾になりたい。だからこその『守護者』、シールダーだと、今は自覚しています」
復讐の炎を内側に秘めながら、他者を守るために絶対の盾を掲げる。
そのあまりにも純粋で、強固な精神の在り方に、ガゼルは深く満足したように笑った。
「そうか……! 貴様の人となり、大体分かった。――ならば、あとは全力で決着をつけるとしようか!」
地面が陥没するほどの踏み込み。ガゼルが瞬きの隙すら与えぬ超高速で、シールダーとの距離をゼロに詰める。大盾を電磁加速器に変形させている『反動の隙』――武人としてこれ以上ない完璧な必殺の好機に、ガゼルの刀が容赦なく一閃された。誰もがシールダーの敗北を予感した、その刹那。シールダーは避けることも、大盾を戻すこともしなかった。ただただガゼルの渾身の一撃を、文字通りその生身の身体でド正面から受け止めた。
骨が軋むような激しい衝撃。しかし、シールダーの足は、1ミリたりとも後ろへ退いてはいなかった。
「ふっ、真正面から受けるとは無策か!」
「まさか。……俺には、護るべきものがある。そのおかげか、耐久力だけは誰にも負けてないんですよ。それに……あんたのその一撃を『受ける』こと自体に、大きな意味がある――」
シールダーの瞳が、黄金の光を放つ。
『解。個体名ガゼル・ドワルゴの一撃による因果干渉を検知。
次の瞬間、戦場全体の空気が一変した。彼の全身から、これまでのダメージをすべて純粋な『守護の魔力』へと変換した、圧倒的な黄金の光の奔流が噴き出す。
「――この世の中、辛いことばっかりだ」
静かに、しかし戦場にいる全員の魂に直接響くような、厳かな詠唱が始まった。
「いや……案外、シアワセも見つかりそうだ。……そのために! シアワセを見つける為に! シアワセを見つけて貰う為に!」
溢れ出る黄金の光が、彼の腕の中で一つの『概念』を形成していく。
「理不尽を、精神疾患を、精神疾患を生む敵を! ――その『構造』を! 打ち倒す力を我に――!!」
空間そのものがミシミシと悲鳴を上げる。
「(おいおいおいマジかよ!? あの時の……シュナと戦ったときにやった、あの冗談みたいな壊れ宝具、今回はなんちゃってじゃねえ……本気だ!!)」
リムルはスライムの身体を戦慄させ、ベニマルたち鬼人族も、その底知れない「一撃」のプレッシャーに息を呑んだ。光の渦の中心で、シールダーはガゼル王を真っ向から見据え、その拳を、盾を、すべての想いを込めて突き出す。
「さぁ、俺の宝具――受けてみよ!! 『|願わくば、これが最後の一撃となりますように《ラスト・ブロウ》』!!!」
「来いッ!!!」
王としての誇りを懸け、ガゼル王もまた、自らのすべてを込めた究極の一振りを迎撃のために振り下ろす。黄金の絶対なる一撃と、英雄王の最強の矛が、テンペストの広場で真っ向から激突する。
土煙が開けた後、ガゼルが倒れていた。
「負けたな…」
「素晴らしい戦いでした。ありがとうございます。」
「ふっ敵となれば恐ろしいが…その時は勝たせてもらう。」
「ええ、いつでもお待ちしております。まぁ、敵対する意思はありませんけどね。」
シールダーがいつものように優しく苦笑いを浮かべると、ガゼル王は
「そうか……」
と小さく息を吐き、愛刀を拾い上げた。
「完敗だな――。リムルよ、お前は本当にとんでもない『守護神』を従えたものだ」
こうして、シールダーvsガゼルの戦いは幕を閉じたのだった。
今回はシールダーのスキルというより戦闘能力的な所にフォーカスしてみました!
次回はミリム登場でシールダーはどう動くのか!?
次回 第12話 ミリム襲来