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肉が焼ける匂いがする。
肉の串焼きを持つ者がいる。
皆その者に注目する。
その者がひと口かぶりつく。
「うんまぁぁ〜い」
幸せが溢れている顔をしている。
注目していた皆が歓声を上げる。
「美味いよ ゴブイチ君!」
肉の串焼きを作ったゴブイチは照れくさそうに笑顔になった。
「あ、そうそう!今日から新しく仲間になったシールダー君だ!皆仲良くしてやってほしい!」
「皆様どうぞよろしくお願いします。使い魔的な者だと理解していただければと。」
「シールダーって変な名前ッスねぇ。いやでもあの強さはリムル様超えてるんじゃ…」
「それでもリムル様を主とお認めになってる。そういうことだろう。」
ゴブリン達に紹介されたシールダーに対して考察が行われるが、リムルが認めたからという理由で案外あっさりと受け入れられた。
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「オークがオーガに仕掛けただって!?そんなバカな!」
赤髪のオーガと話していたカイジンが驚く。
「事実だ。
武装した豚共数千の襲撃を受け里は蹂躙され尽くされた。
300人いた同胞はもうたった6人しかいない。」
「信じられん…
あり得るのかそんなことが…」
「それ程驚かれる事なのですか?」
シールダーとゴブタが不思議そうに肉を食っている。
「当然だ、オークとオーガじゃ強さのケタが違う。
格下のオークが仕掛けること自体あり得んし、まして全滅させるなど」
「全滅ではない まだ俺達がいる」
「すまん…」
「なるほどな そりゃ悔しいわけだ」
「肉はもういいのか?リムル殿」
「ちょっと食休み」
「マスター、もし仮に我々が数千のオークと戦うことになれば、俺の力は必須かと」
「あぁ、そう言えばどんなスキルを持っているんだ?」
「そうですね…
とりあえず覚えて欲しいのは3つのアルティメットスキルです。」
「まずは俺の主たる能力、守護神(スケイプゴート)です。」
「それが俺や皆の怪我を治したスキルだな。」
「はい 味方の傷を俺が肩代わりする能力です。」
「……それだけ?」
「それだけです。」
「いや、それだけで十分おかしい。」
「正確には無かったことにする代わりに自分がそれ相応のダメージを受け、その分の守護値を得るものです。」
「とんでもなくチートだな… ってか守護値ってなんだ?」
「それは宝具に関係してくるのでまた後程。」
(思わず心の中で盛大にズッコケそうになったぞ。ダメージの肩代わり? 状態異常も?つまり、俺たちがどれだけ無茶な戦い方をしても、こいつが後ろに控えているだけで全員無傷で生還できるってことじゃん。戦術の前提がひっくり返るぞ。)
「2つ目が折れない心身(アンブレイカブル・ソウル)です。
簡単に効果を言うと、味方が死ににくくなる。」
「防御を付与することもできるのか…」
「3つ目が探求者(エイチモトメルモノ)です。簡単に言うと、分析・解析スキルですね。」
「リムル様はどうやってこのバケモノを手懐けたんすか…」
ゴブタが真っ当なことを珍しく言うのでリムルは
「そ、それだけ俺に魅力があったってことだな!」
「その通りです、マスター。後は宝具ですが…簡単に言えば守護値によって威力が上がる攻撃宝具と、絶対防御を付与したりする宝具って感じですね。」
「宝具もヤバそうな匂いがするなぁ」
『告、宝具とはこの世界におけるスキル形態と違う力なので未知な部分が多いと予測されます。また、後者の宝具には対象の最大生命力に比例した『割合ダメージ』を与える効果も確認。どれほど頑強な魔王級の肉体であろうと、確実に削り殺す危険な力であると推測されます』
「(うへぇ、マジかよ……割合ダメージってゲームのボス戦のチート技じゃん。改めてとんでもないサーヴァント呼び出しちゃったな俺……)」
リムルが思わず冷や汗を流し、不安そうに身を引く。
リムルが不安そうになるのを見ると
「安心して欲しい。適切な場面で使うと約束しよう。」
と、シールダーは約束した。
「さて、シールダーの能力がある程度把握できたところで、お前らは今後どうするんだ?」
赤髪のオーガに問いかける。
「…知れたこと
力を蓄え再度挑むまで」
「当てはあるのか?」
「…………」
(こりゃノープランだな)
「提案何だけどさ、お前達全員俺の配下になる気はあるか?」
「は?」
「シールダーの力もあるし、俺等の味方になればその復讐の手助けもできる。」
「いやしかし、それではここの者達を俺達の復讐に付き合わせることに…」
「これは俺等にとっても利のある話だ。数千のオークが攻めて来たってのは明らかに異常事態だ。だから俺等を守る意味でも戦力は多い方が良いんだ。」
「そうですね、この者達の秘めてる力は相当なものですマスター。彼らが仲間になれば頼もしいでしょうし、俺のスキルが活きます。」
と、シールダーが本を読みながら話す。
「な、シールダーもこう言ってるし。
って何その本。」
「言ってませんでしたっけ?
分析・解析したものを本として自分の中に内包できるんです。この本は赤髪の彼の潜在能力の解析結果ですね。」
平然とした顔で、彼はその本型に具現化したスキルデータをペラリと捲った。
(聞いてねえよ! なんだその便利すぎるしスタイリッシュな能力は! 漫画のキャラか!)
『告。アルティメットスキル『探求者』による情報具現化です。非常に高度な隠蔽と記録が行われています。』
(うへぇ、ホントにチートの塊だなコイツ)
「俺の潜在能力…?」
「ええ、ある切っ掛け1つで、貴方は化ける。これまでの比ではないほどに強くなれるはずだ。……だが、それはマスター、リムルさんに仕えるということが前提になるけどね」
シールダーは本から視線を上げ、ベニマルをじっと見つめた。その言葉には、未来を予見しているかのような不思議な確信が籠もっていた。
「そうか……少し考えさせてくれ」
「……一つだけ。」
赤髪のオーガが振り返る。
「何だ。」
「君達は弱かったから負けたんじゃない。」
「…………」
「理不尽に出会ってしまっただけだ。
だから、自分を責めるな。」
ベニマルは何も答えない。
しかし、
その言葉だけは心に残る。
「俺にもっと力があれば…っ」
赤髪のオーガは悩む。夜も眠れぬほどに。
配下になること。それが最善の選択であることは理解していた。
シールダーという得体の知れぬ男の力。そして、その男が主と認めるリムルの底知れぬ器。
あの二人と共にあれば、仇を討てる可能性は格段に高まるだろう。
だが、それでも胸の内には葛藤があった。
――自分たちの仇は、自分たちの手で討たねばならない。
その思いは消えない。
焼き払われた里。
倒れていく同胞。
守れなかった者たちの姿が、瞼の裏に焼き付いて離れなかった。
「ある切っ掛け1つで、貴方は強くなれる。
だが、それはマスターに仕えるということだ。」
「理不尽だっただけだ」
シールダーの言葉が脳裏をよぎる。
理不尽――確かにそうだったのかもしれない。
だが、それでも。
(俺にもっと力があれば、皆を守れた……)
その後悔だけは、どうしても拭えなかった。
だからこそ。
リムルの配下となり、力を得る。
それが同胞の無念を晴らす唯一の道ならば――。
そして、赤髪のオーガは決断する――
翌朝
「決めたのか?」
「我らオーガ一同
貴方様の配下に加わらせて頂きます」
(もっとこいつの気持ちに配慮すべきだったな…
本来なら今すぐ刺し違えてでも仇を討ちたいだろう
これは自分自身の不甲斐なさを呑んだ、
一族の頭としての決断だ)
「わかった オーガ達をここへ呼べ
全員に俺の配下になった
程なくしてオーガ達6人が集まった。
黎明のシールダー 公開情報(一部)
○アルティメットスキル
・守護神(スケイプゴート)
効果:味方の受けた傷、ダメージ、状態異常等々を自身が肩代わりする。肩代わりした分に応じ守護値が増加する。
※守護値(Guardian Counter)
自身・味方が受けるダメージを記録。
敵の全てのスキルよるダメージ、通常攻撃、スリップダメージ等全て加算。
更に、防御や被ダメージカット等によって軽減された場合でも蓄積値は減少しない。また、自身が味方への攻撃を肩代わりした場合、そのダメージは2倍で累積される。
・折れない心身(アンブレイカブル・ソウル)
効果:自身は全てに対して耐性を得る。自身と味方に超速再生を付与。10分に一度自身と味方に付与可能:一度死んでも、5回まで蘇る事が出来る(復活する際、体が完全回復し、その個体が持つ最大魔素量を得る。更に、相手の攻撃に対する耐性を得る。重ね掛け可)。
・探求者(エイチモトメルモノ)
効果:対象の事象や個体の持つスキルやこの世界に起こったことを分析・解析し、自身の中に本という形で残す事が出来る。その本はいつでも閲覧可能。許可した者に読ませることも可能。更に、得られた情報を基に、新たな能力の開発や耐性の獲得が可能。
○スキル
超速再生、魔力感知、気配感知、多重結界、心体強化 etc...
○宝具
・『願わくば、これが最後の一撃となりますように(ラスト・ブロウ)』
種別:対人 / 対界宝具
効果:敵全体に守護値に応じて威力(攻撃倍率)が増加する超強力な攻撃。攻撃後、防御力80%アップ(1時間)。
・『違えた道が一つとなりて、今、守護神は立つ
(ロード・オブ・ガーディアン)』
種別:対人防壁宝具
効果:敵全体に罰を付与し、味方全体にどんな攻撃やスキルでも無効化する防御状態を付与(2時間)。自身に残り体力の50%のダメージ&宝具使用不可(10分)。
※罰
解除不可。毎ターン総HPの10%固定ダメージ(5分おきに10回)。さらに、攻撃行動・宝具・スキルのいずれかを使用、行動した場合、行動毎に総HPの20%分の固定ダメージを受ける。
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3話目ありがとうございました!
シールダーの能力説明を前半に、赤髪のオーガの葛藤を書きました。
4話目もお楽しみに。
4話目 オーガ達への名付けと修行開始