前話はシールダーが面白要員になったので、今回は真面目にガビルとの戦闘を書きます。
お楽しみください!
ソウエイからリザードマン一行がゴブリンの村を巡っているとの報告があってから数日後、遂にこの村にもその一行がやってきた。
リグルドがリムルに報告する。
「リムル様、以前ソウエイ殿から報告があったリザードマン一行の使者が来ました。どうなさいますか?」
「とりあえず入口で出迎えるか」
「ご安心をマスター。臨戦態勢で霊体化してますのでいざとなればお護りします。」
「霊体化するのか?」
「ええ、手の内は隠すのが定石ですよ
それに、まだこの世界に英霊が俺だけと確定した訳じゃありませんし」
「分かった。その辺はお前に任せよう。」
「ありがとうございます。では―」
シールダーが消えたことに周囲は驚いたが、リムルが
「大丈夫、見えなくなっただけだ。
ちゃんとそこに居て護ってくれる。」
と周囲をなだめる。
「さて、本題のリザードマン御一行がどんなものか
拝見しに行きますか!」
「俺達も参加していいか?
リザードマン達の思惑が知りたい。」
ベニマル達も対オーク戦を見据えて自ら動く。
−−−−−−−
リザードマン一行がリムルの村に辿り着く前―
「―まったく 親父殿ときたら
『ゴブリンの村々を巡りその協力を取り付けてこい』
だと?オークに恐れをなすなど、誇り高きリザードマンの振る舞いとは思えぬ」
「ねぇねぇ ガビル様はいつ首領になるの?」
「む? 少々不遜なことを言ってしまったが
親父殿には遠く及ばんよ」
「いやいやガビル様名持ちだし」
「槍の使い手だし」
「あんた今立たないでいつ立つんだよ」
(え、なに?我輩けっこうイケてる?)
「ふむ…。そうだな。親父殿も年だ
少々強引なやり方であっても、オークの軍勢を撃退することをお見せして、我輩が支配者足る力を持っていることを証明しよう。」
「じゃあ…」
「我輩はオークの軍勢の撃退をもって首領になろう」
「「おおー!ガビル!ガビル!」」
−−−−−−−
時は戻って村の入口。
リザードマン一匹が合図すると
ドドド!
とド派手に登場し、
「こちらの御方は次期リザードマン首領になられる戦士」
「我輩はガビル!
お前らにも我輩の配下になるチャンスをやろう!!」
と演出臭い(リムル談)登場を決めたガビル。
当然リムル達の反応はというと
「「はぁ??」」
明らかに嫌悪している顔である。
「マスター、このガビルという者、槍の使い手ではありますが、調子に乗りやすい所がありますね。あと、オークの軍勢に対して甘く見ています。また、彼等からサーヴァントの気配は感知されませんのでご安心を」
「お調子者なのは見てわかるさ…オークの軍勢に対して甘く見ているというのは解析スキルの結果か?」
「ええ。彼を仲間にするのは些かリスクかと。配下になるなどもってのほかです」
「言われんでもそーするさコイツに背中預けるのちょっと嫌だなぁ(嫌いではないけど、ああいうアホ…)」
「フッ 皆まで言うな
この森にオークの軍勢の脅威が近付いているのは知っているだろう。その脅威から我輩が守ってやろう!
この貧弱な…貧弱な…貧弱??」
とボブゴブリンや鬼人のいる村に違和感を覚えるガビル。
「ゴブリンが居ないようだが?」
「あれー?」
「情報によれば確かにゴブリンの村のはず…」
「まぁよい。この村には牙狼族を飼い慣らした者がいるそうだな。そいつは幹部に引き立ててやる。連れてくるがよい。」
「ランガ」
「はっ!お呼びですか我が主!」
「影の中から…!?」
「そいつの話を聞いて差し上げろ」
「御意」
「主より命を受けた
聞いてやるから話すがいい」
「お おお
貴殿が牙狼族の族長殿かな?さすがは威風堂々たる佇まい
しかし−主がスライムとは些か拍子抜けであるな。
どうやら貴殿は騙されているようだ。
良かろう。この我輩が貴殿を操る不埒者を倒してみせよう」
「トカゲ風情が我が主を愚弄するなど…………」
明らかに怒っている。
他にも怒る者が
「マスター、コイツと戦うの任してくれませんかね?
本当ならゴブタあたりが丁度いいんですが、
流石にコイツはマスターを侮辱しすぎです」
「いいのか?手の内は隠すんじゃ?」
「前言撤回するようで恥ずかしいですが、ちょっとこういう調子乗りは好きません。ご安心を宝具は使いません。」
「殺すなよ?」
「勿論。この世界で得たスキルのみを使って戦いましょう。この世界に慣れる為にも。」
シールダーが霊体化を解く。
「貴様何奴!?いきなりどこから現れた!?」
「そこのガビルとかいう調子乗りさんよぉ。
ちょっとウチのマスターを侮辱しすぎだなぁ」
「貴様もスライムに騙されている者の1人か。
スライムの前に立ちはだかるというのなら、
我輩が成敗してやろう」
「無理だ。お前の力は既に分析・解析完了している。
お前の手の内は分かってるってことだ」
「はっ!そんなハッタリ、我に効くとでも?」
ガビルが槍を振るう。
シールダーは避ける。
「……右肩を軸にした踏み込み。次は左。」
ガビルが驚く。
「なぜ分かる!?」
「解析したからだ。君の筋肉の動きも、重心の移動も、すべて解析完了している」
淡々と告げるシールダーの瞳には、ガビルの槍術の『未来の軌跡』が完全に視えているかのようだった。
「ならばこれはどうだ!」
ガビルが攻撃する。
シールダーが躱す。
「……だから分かってるって言ってるだろ。」
「なるほど…ある程度の力はあるということか…
面白い。本気を出させてもらおうぞ!」
ガビルが攻撃する。
だが、やはりシールダーは躱す。
「躱すだけじゃ勝てんぞ!!」
「はぁ…やっぱりネームドとは言え、この程度か。
あんまり言いたくは無いが、せっかくこちらは攻撃してないボーナスタイムだったのにかすりもしないなんて、お前、名付け親が悪かったな。」
「ゲルミュッド様を侮辱するとは…許さん…!!」
激昂したガビルが、怒りに任せて猛烈な連撃を繰り出す。だが、怒りで大振りになった攻撃は、シールダーにとってただの『答えの分かっているクイズ』でしかなかった。
「もういいや」
シールダーの拳がガビルの腹に当たり、
ガビルが吹っ飛んだ。
「カハッ…」
「使ったスキルは
その程度ならわざわざ俺が出てくるまでもなかったな」
その言葉は気絶したガビルには届かない。
リムルがガビルの従者に言う。
「オークの軍勢が近付いているのは知っている。
同盟を組もうというのなら考えてやってもいいが、
配下になるのはお断りだ。さっさとそいつを連れて
帰ってくれ。」
「お、おぼえてろー…」
と、ガビル達一行は逃げ帰るのだった…
「すみませんマスター。出しゃばるような真似をして。
やはり手の内は隠すのが定石でしたね」
申し訳なさそうに頭をかくシールダーに、
リムルは人間の姿でニッと笑って親指を立てた。
「まぁ……アイツの態度には俺もムカついてたし、スッキリしたから良しとしよう! おかげでゲルミュッドって黒幕の名前も割れたしな。この後会議としよう。」
「ええ、それが良いでしょう。やはり、オーガの里を襲ったのも、名付けを拒否した恨みからゲルミュッドがオーク達に襲わせた可能性が高そうですね。」
「だろうなぁ。ま、難しい話は皆集まってからだ」
その後、一つのテーブルを囲んで、主要メンバーが集結した。
そして、この森に起ころうとしている脅威に、とある者が動き出す―
5話目ありがとうございました!
ガビル対ゴブタの所をガビル対シールダーに変えてみました。本来ゴブタの天才っぷりを披露する場面ですが、ここでガビルとシールダーが戦ったらどうなるか想像してみて、圧倒的過ぎて逆に清々しかったのでそのまま書ききりました。
次回は会議回です。
次回 第6話 対オークロード対策会議
お楽しみに