荒廃惑星で気ままな傭兵ぐらしを。   作:幕霧 映(マクギリス・バエル)

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『ズ・パグア盗賊団殲滅依頼②』-彩暦147年-

 賞金首──モズ・ヴィライリー元准将の写真を見せられた市長の娘マリーは。

 数度目を瞬かせた後、「この男……知っています……」と震えた声で言った。

 

「一月前……彼が、子鬼たちの群れを指揮して、衛兵隊をいとも容易く……」

 

 思い出したくない記憶を思い出したのか、顔を青くするマリーを見ながら、

 ケリーフォスは「こいつの居場所はわかるか。」と聞く。

 

「……街の中心にある建物にある、市長の……父の執務室に、荷物を運んでいくのを見たことがあります。」

 

 マリーは路地からちらりと顔を出して、500メートルほど先にある、白い建物を指差した。

 

「なるほど……情報提供、感謝する。

 その執務室は、何階だ?」

 

「さ、3階の、奥の部屋だったはずです……」

 

 ピッピッ、と。

 なにやら端末に入力しているケリーフォスに。

 マリーは、不安げに問いかけた。

 

「この男をどうにかすれば……街は、助かるのですか?」

 

「……おそらくな?

 たしかに、この街のゴブリン共の練度は異常だが……

 それはあの男の、指揮と練兵(れんぱい)能力に依存したものにすぎない。」

 

「そのぐらい優秀な指揮官なのさ。モズ・ヴィライリーとかいう老兵は。」手に持った写真を指先でピラピラさせ、ケリーフォスが言った。

 

 忠誠を誓った国家を喪い。

 手足のごとく鍛え上げた軍隊をもがれ。

 齢80を超え、老いさばらえて(なお)も、モズ准将はゴブリンの群れを束ねて街を掌握した。

 

 恐るべき手腕だ。

 だが、優秀なトップに依存した組織というのは脆いものである。

 

 モズさえ仕留めれば、ゴブリンたちの軍隊は自然に瓦解すると、ケリーフォスは踏んでいた。

 

 と──その時。

 街の東の方から、耳をつんざくような爆発音が響いた。

 

「ひっ……!」

 

 マリーは悲鳴を上げるが、ケリーフォスは予定通りと言わんばかりの涼しい顔で、口角を上げる。

 

「フライディが暴れてるみたいだな……」

 

 爆発は、街の至る場所で起こっていた。

 巡回していたゴブリンたちが慌てふためいて、爆発が起こった方向に向かっていく。

 

 これなら、モズがいるであろう建物まで、簡単に近づけるだろう。

 

「……さあて。それじゃ、さっさと仕留めるかね。

 お嬢さん。あんたは、事が済むまで、ここで縮こまってるといい。」

 

 カチャ、と頭に防塵マスクを装着しなおし。

 ケリーはライフル銃とナイフの位置を確かめた後、路地裏から身を乗り出した。

 

 伝説の将軍さまには、ここいらで引導を渡して……

 ──俺たちがこの惑星(ほし)で生きていくための、大金になっていただくとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

「流石に、本丸は固めてるか……」

 

 建物の内部は、ゴブリン共の巣窟になっていた。

 

 正面出入口を覗くと、武装した子鬼たちがさながら兵の詰め所のようにひしめいており。

 正面からの突破は、あまり現実的ではなさそうだった。

 

 ケリーは、建物の脇に回って、3階のはめ殺し窓を見つけると。

 前腕に装着したグラップリング・フックの照準を、その(へり)に定めた。

 

 ボシュッと。

 間の抜けたガス噴射の音とともに、ワイヤーが射出され、フックが(へり)にくい込んだ。

 

 ワイヤーに体重を預け、壁をよじ登るようにして窓枠まで到達すると。

 勢いづけた足で窓ガラスを突き破り、ケリーフォスは建物の3階へ転がり込んだ。

 

『ナニモノダ!!』

 

「っと……」

 

 とっさに背中のライフルを抜き放ち、声が聞こえた方向にセミオートで斉射する。

 軍用チョッキを着た大型(ホブ)ゴブリンが、頭を吹き飛ばされて倒れ伏した。

 

(執務室は……三階の奥だったか。)

 

「銃声ダ!」「シンニュウシャ! シンニュウシャ!」「ボスノマモリヲ固メルンダ!!」

 

 その銃声を聞きつけたゴブリンたちが、あわただしく叫ぶ声を、マスクの集音機能が拾った。

 

 ケリーフォスはわずかに目をひそめる。

 

 彼は通信機を操作し、外で暴れている相棒への回線を開いた。

 

「こちらケリーフォス。ターゲットがいると思しき建物に侵入した。座標を送る。

 そっちはどうだ? フライディ。」

 

『ザザッ──はいはい、こちらフライディ!!

 座標受信したけど……こっちはこっちで、ちょーっと数が多いかな!

 すぐそっちに援軍に行くのは無理、そうっ!』

 

 通信機からは、銃声と爆発音。

 そして骨肉が砕け散る音とともに、ノイズ交じりの声が聞こえてきた。

 

 援軍は望めそうにない。

 

「わかった。フライディは外で、ゴブリンどものかく乱を続けとけ。」

 

『ケリーはどうすんの?』

 

 通信機の先から、ふたたび骨肉が()ぜる音とゴブリンの悲鳴。

 

 ケリーフォスは、相棒の暴れっぷりに乾いた笑いを漏らしながら、言った。

 

「モズは俺一人で()る。」

 

 回線を閉じ、ケリーフォスは廊下を無音で駆けだした。

 

 

 熱源(サーモ)センサーと集音機能で敵の位置を把握し、ライフルで見敵必殺(サーチ&デストロイ)

 

 建物の内外に起こる混乱で浮足立ったゴブリンらに対し、ケリーフォスの基本戦術は極めて有効だった。

 

「……あれか?」

 

 八つほどゴブリンの頭を吹っ飛ばしながら、廊下を移動していたケリーフォスの視線の先に……

 ガトリング砲で重武装した、二体の大型(ホブ)・ゴブリンが守る、重厚な扉が見えた。

 

 いかにも……という雰囲気だ。

 この騒動の中で、あの戦力を守りに置いているのを見るに、扉の奥にモズがいる公算は高い。

 

 しかし、どうやってもあの二つのガトリングが、身をさらした瞬間にケリーをひき肉にするだろう。

 

「……」

 

 ケリーは、腰のポーチに手を入れ、指先で 一発の弾丸を摘まんだ。

 

 まばゆいほどの白銀色で、やや通常弾よりもずっしりした弾頭だ。

 傾けると、ちゃぷりと水音が聞こえる。

 

「……高いんだよなぁ。異分子(ペレグリウム)弾頭は……」

 

 だが、背に腹は代えられない。

 賞金首さえ突き出せば、取り返せる額だ。

 

 一瞬だけ逡巡した後、

 ケリーは、白銀の弾丸一発だけマガジンに入れ、ライフルに装填した。

 

 その──()()()()は。

 彼が重要な仕事の際、お守りとして一発だけ持っていくものだ。

 

 一発こしらえるだけで、上等な装甲車を新品で買えるほどの値段がする──その『切り札』の発射準備を、済ませると……

 

 彼は、廊下の角から、重武装ゴブリンたちの前に姿を晒した。

 

「──!!」

 

 影の動きによって、すぐに侵入者(ケリーフォス)の存在に気がついた二匹の重武装ゴブリンは。

 担いだガトリングの銃口を、彼に定めた。

 

 ──しかし、壁を背にし、ライフルを腰だめに構えたケリーの姿を見た次の瞬間。

 

 二匹のゴブリンは、プラズマを纏った白熱の奔流に呑み込まれて、自らの死を認識すらせずに死んだ。

 

 

 

 

 

 

「ごほっ……ごほっ……!」

 

 凄まじい反動で壁に叩きつけられ、咳き込み、ケリーは前を見る。

 

 そこにはすでに、目障りだった重武装ゴブリンはおろか──扉さえ存在しなかった。

 

 立ち込める黒煙の先、

 さっきまで扉があった場所には、壁ごと融解(ゆうかい)させられたような、3メートルほどの風穴が穿(うが)たれていた。

 

「ふう……」

 

 肩の骨を軋ませながら、ケリーは腕を回す。

 

 そして、銃身(バレル)が破裂して使い物にならなくなったライフルを、その場に投げ捨てた。

 

 腰に装着していた拳銃とナイフをそれぞれの手に構え、彼はモズがいるであろう、扉の先へと歩を進めた。

 

「…………チッ」

 

 執務室の中に入ったケリーフォスの口から、心底いまいましげな舌打ちが鳴った。

 

 たしかに……彼のターゲットであるモズ・ヴィライリー准将は、執務室の中にいた。

 

 ケリーの持っている写真とまったく同じ顔立ちだった。

 

 ただし──四体の重武装ゴブリンの死体が散らばる中で。

 

 ただし──()()()()()()()()()()()()

 

 濃密な死臭の匂い立つ執務室の中心に立ち、こちらに背を向ける何者かによって、殺された亡骸として。

 

 モズ・ヴィライリー准将の生首は。

 生前そのまま、威厳ある顔立ちでケリーと対面した。

 

 ──()()だ。それも、()()()の。

 

 天井を見ると、でかい杭で無理やりこじ開けられたかのような、人間1人分ほどの穴が空いていた。

 

 とんだ、力技で侵入するやつがいたものだ。

 

 ……いや、自分も言えた口ではないか。

 ケリーは、背後にぶち空けた、かつて扉だった風穴を見ながら自省した。

 

「すん、すんすん──

 おや……? この、ニオイは……」

 

 モズ・ヴィライリーを殺害したであろうそいつは。

 犬のように鼻を鳴らして、楽しげにそうつぶやきながら。

 ゆっくりと、臨戦態勢をとるケリーフォスの方へと振り向いた。

 

 両側頭部に、ねじれた(ツノ)が生えた、長身の女だ。

 

 真っ白い肌、真っ白い長髪──は、鮮血を浴びてあちこちが赤黒く染まっている。

 

 腰にさしたサーベルと、気品ある軍服のような衣装。

 一見すると、高貴な身分にあるように見えるが……

 

 その表情は、狂気と狂喜に染まり尽くし。

 女が、社会性などとは無縁であることを示している。

 

「──ケリーフォス! まさか、キミにこんなところで出会えるとは!」

 

 女はケリーの姿を認めると、その切れ長の目を見開いて、大きく腕を広げた。

 

「……まだ生きてやがったか。アスタ。」

 

「あは、は、は……異なことを、言うんだね

 私が、そう簡単に殺されるタマじゃないってのは……

 私と剣を交えてまだ生きているキミが、この世で一番よく知っているだろう? ケリーフォス……」

 

 フルートの音色のようにひんやりした声でそう言いながら。

 それに反して、じっとりと熱い目で、女はケリーフォスを見てくる。

 

(思いつく限り、最悪の同業者とブッキングしたな)

 

 苦々しく顔を歪め、ケリーは今日一番のため息を吐いた。

 

 臨戦態勢は、けして崩さない。

 この女の前では、それが死と同義であることを、彼はよく理解している。

 

 

 目の前の女──アスタルテ・フリューテは、この星で最も名高い傭兵の一人だ。

 

 魔族(テラス)という、戦闘に特化した種族の生き残り。

 外見こそ妙齢の女だが、記録上、少なくとも60年前には傭兵として活動している。

 

 数百を超える紛争に参加し、その刃と屍の山で名をあげた……戦争(ぐるい)

 

 《死線のアスタ》。

 その名は、伝説と言って過言ではない。

 

 

 

 そして、最も厄介な事柄といえば……

 

 むかしの()()()()()()()()()()が原因で、ケリーフォスが、そいつに目をつけられていることだろうか。

 

 

 

「"これ"……欲しい? ケリーフォス。」

 

 アスタは、モズ・ヴィライリーの生首を乱雑に持ち上げ。

 餌でもぶら下げるようにしながら、そう言った。

 

「ははは……譲ってくれるってのか? お前が。」

 

「親愛なるキミへの贈り物として、どうぞ差し上げるよ……と、言いたいのはやまやまだけども。

 私たちは、親密な男女である前に、傭兵同士なわけだからさ……

 ──私たちらしく、ヤろうか。」

 

 アスタは、脇にあった黒檀の執務机にモズの生首をどちゃっと置くと。

 優美な所作で、腰のサーベルを鞘から抜き放った。

 

 幾千の人魔の命を吸ってきた魔剣の、薄紅(うすべに)色の刃が、白日に晒される。

 

「…………」

 

 建物の外。街の方では、爆発音はすでに止んでいた。

 

 張り詰めた静寂の中。

 ケリーフォスはナイフと拳銃で、目の前の魔族(テラス)からどう生き残るかを思案していた。

 

「……おや、ケリーフォス。

 キミの(つるぎ)は、どうしたのかな。」

 

「なんのことだ?」

 

「ふぅん……ま、()らされるのも、キライじゃないけど、さ……」

 

 アスタの輪郭が揺らぐ。

 同時、ケリーは体重をかけていた左足の膝を抜いた。

 

「──その貧相な獲物(モノ)で、私相手に果てずに済むと思っているのか?」

 

「っお……!」

 

「あは──踊ってみせろ、ケリーフォス!!!」

 

 身をかわしたケリーのすぐ右を、斬撃が掠めた。

 床に斬跡が刻まれ、背後の壁が崩れ落ちる。

 

 ──アスタのサーベルは、その刃長の十倍ほどの斬撃を発生させていた。

 

 拳銃を撃つ。3発、間断(かんだん)のない連射。

 

「キミなら、私っ、前戯(ぜんぎ)なんていらないのに!」

 

 4発、5発、6発──

 当然のように、見てから弾き落とされる弾丸。

 

 音より速い弾を平然と防ぎながら、アスタは間合いを詰めてくる。

 

 ──この化物が控えてるなら、異分子(ペレグリウム)弾頭を温存しておくんだった!

 

 心のなかで、悲鳴に近い悪態を吐き。

 ケリーは弾を撃ち尽くした拳銃をアスタめがけて放り投げ、ナイフを構えた。

 

 弾丸の時とは、比較にならない金切り音。

 サーベルとそれを受け止めたナイフが鍔迫り合い、火花を散らす。

 

 刃の向こうから、アスタが品定めするかのように見てくる。

 

「ぐっ……!」

 

 馬鹿げた膂力。鍔迫り合いで勝ち目はない。

 ナイフを寝かせ、サーベルの受け流しを試みたケリーフォスだったが。

 

 ──その視界の端に、アスタの長い脚が見えた。

 

「なんっ……!?」

 

 衝撃。

 ケリーフォスは吹き飛び、視界が揺れる。

 部屋が揺れるほどの勢いで壁に叩きつけられる。

 

 ──顔が触れ合うほど至近距離からの、ハイ・キックだった。

 

 魔族(テラス)の鋼を束ねた繊維のような筋肉と、女性の柔軟性が可能にした、(はな)(わざ)

 

「はぁ……っ、クソ……」

 

 ぐわんぐわんに揺れる視界の中。

 ケリーは膝を抑えて立ち上がり、つかつかと優雅に歩いてくるアスタに、ナイフを突きつける。

 

「……ここまでしても、ノッてくれないんだ。

 あんまり女に恥をかかせるものじゃないよ、ケリーフォス。」

 

「うるせーな……意味のわからんことを、べらべらと……

 これだから、魔族(テラス)は、嫌いなんだ……」

 

 ケリーを見下ろすアスタの瞳から熱は引き、乾き切っていた。

 彼女はサーベルを構え、ケリーフォスの首に狙いを定めている。

 

 ナイフを構えてはいるが、脳がひどく揺れている。

 まともに動けるようになるまで、あと一分はかかりそうだった。

 

(ああ、マジに殺されるな、これは)

 

 

 どうする、どうすれば──

 ケリーの思考が煮詰まった、その時。

 

「っ、なんだ──?」

 

 ──破裂音。

 同時、部屋の天井に、もう一つ、でかい風穴が空いた。

 

「お待たせ、ケリー! 

 ……って、今にも死にそうな感じなんだけど……!?」  

 

「はあ……フライディ……

 もうちょっと、早く来れなかったか……?」

 

「これでも、大急ぎで来たんだってば。

 通信もできない状況みたいだったからさ……」

 

 天井の穴から、光とともに入ってきたのは。

 スカイブルーの光輪(ヘイロウ)を頭上に浮かばせた──天使だった。

 

 風に揺れる、首筋で切り揃えられた青まじりの金髪と、砂を弾く材質の白いジャケット。

 細く白い首には、黒いチョーカーが巻かれている。

 

 どこか抜けた雰囲気の少女──ケリーの相棒、フライディは。

 満身創痍のケリーフォスと、彼を追い詰めたアスタを交互に見て、目をぱちくりと瞬かせていた。

 

「っ、思徒(タルパズ)は、まずい……!」

 

 そんなフライディの姿と頭上の光輪(ヘイロウ)を見た途端。

 常に優雅だったアスタの表情に、はじめて危機感のようなものが浮かんだ。

 

「……いや。首輪(チョーカー)付きか……」

  

 しかし、すこし視線を下げ、フライディの首についたチョーカーを認めると。

 アスタは、安堵したかのようなため息を吐いた。

 

「……邪魔が入ってしまったね、ケリーフォス。」

 

 アスタは首を横に振りながら、サーベルを鞘に収めた。

 

「またあった時に、サシでヤろう。

 キミも今度は、ちゃんと剣で相手をして欲しいな。」

 

 白髪の魔族(テラス)、アスタルテ・フリューテは、そう言い残すと。

 

 穴だらけになった部屋の天井から外へ飛び出して、とっとと引き払ってしまった。

 

「はぁ……なんとか、生き残った……」

 

 アスタの濃い気配が遠ざかっていくのを確認し、ケリーフォスは、大の字になって床に倒れ込んだ。

 すぐにでも眠ってしまいたかったが、流石にここで寝てしまうわけにはいかない。

 

「ケリー……誰? あの女。」

 

 フライディは部屋のあちこちを物色しながら、ケリーにそう聞いてきた。

 

 彼は、寝っ転がって空を見上げたままフライディに返答する。

 

「十年ぐらい、前だったか……

 成り行きで殺し合ってから、ずっと俺に粘着してくる、やべえ女だよ……」

 

「十年前ってことは……そっか。

 まだ、わたしと出会う前か……

 ……てゆーか、十年前って!

 その時、ケリーいくつ?」

 

「十九歳だったかな……? 俺がまだ、ピチピチだった頃さ。」

 

「はええ〜……ピチピチ……

 ケリーにも、そんな時期があったんだねえ……」

 

「当たり前だろ? 

 お前らからすればたったの10年でも、人間は成長するのさ、フライディ」

 

 戦いのあとの脱力感からか、その後もしばらく軽口を叩いていたケリーとフライディだったが。

  

 ずっと部屋を物色していたフライディが、重要なことに気がついたようだった。

 

「ケリー? そういえば、賞金首の死体の首から上が、どこにも見当たらないんだけど……」

 

「……あっ!?」

 

 ケリーフォスはガバっと体を起こし、執務机の上を見たが……

 そこには、賞金首──モズ・ヴィライリーの生首は、もうなかった。

 

「あの女、ちゃっかり賞金首は持って行きやがった……!」

 

「ええ〜!?」

 

 ケリーフォスの嘆きと、フライディの悲鳴が。

 ほとんど雨ざらしになった執務室に、こだまして消えていった。




マンダ〇リアンが面白すぎて、そのテンションのままこういう傭兵もの書きたくなって書いてしまったその②
後悔はしてない。が、書き貯めももうない。
ご好評いただけたら頑張って続き書きます。
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