マンションの寝室。
照明は落としてある。
カーテンの隙間から、夜の街灯が細く差し込んでいた。
ベッドの上で布団に包まり、アタシはシーツを握りしめながら、荒い息を繰り返していた。
「……はぁ…はぁ……ラ・フュメ……」
自分の大切な場所を指で擦る。
昨日の記憶が、頭の中で何度も再生される。
土下座したアイツの姿。
足の指を丁寧に舐める舌の感触。あと少しで、もっと奥まで——。
「くっ……あぁ……!」
腰が浮く。
快感が一気に押し寄せる。
声を押し殺すも、体が勝手に痙攣する。
汗で湿ったシーツに顔を埋めながら、アタシはゆっくりと目を閉じた。
「……犯すっ…!犯すっ………!ブチ犯して……!無様に命乞いしたら……!犯しながら!ブチ犯してやる!」
初めてあのヤニカス女と会った日のことを、思い出す。
空白地帯の外縁部。
北と南で小競り合いが続くエリアだった。
当時、アタシは北関東連合の任務で、そこそこ強い妖魔の討伐に当たっていた。
ところが、予想以上に厄介な個体で、単独では苦戦を強いられた。
そこへ現れたのが、あいつだ。
煙を纏った、とても可愛らしい顔をした幼い容姿の魔法少女。
正直に言って、かなり好みのタイプだった。
「……南の事務所か。邪魔するなよ」
そう言い放ったアタシに、あいつはタバコをくわえたまま、面倒くさそうに肩をすくめた。
「邪魔する気はねえけどよ…お前がやられて、このデカブツとタイマンするのが面倒なんだよ」
「…ったく…仕方ねぇな。ここだけだぞ」
苦戦していた私には、渡りに船だった。
結果、呉越同舟で共闘することになった。
アタシの強力な風で、アイツの出した攻撃性のある煙を妖魔に高速でぶつける。
煙を纏った風は竜巻のように妖魔を包み込み、確実にダメージを与えた。
急拵えの連携ではあったが、アイツとは最高の相性だった。
ヤツと協力したら、アッサリと妖魔は撃滅できた。
問題は、その後だ。
妖魔がドロップした資源を巡って、即座に第二ラウンドが始まった。
「この資源、最初から相手をしていたアタシが持っていく。文句あるか?」
「あるに決まってんだろ。後から来たとは言え協力したんだ。半分よこせ」
元々は敵対していた南側の魔法少女だ。
結果、ヤツとバトルになった。
能力の相性は、最初からアタシが有利だった。
風で煙を散らし、一気に追い詰める。
あいつの動きは鈍くなり、ついに膝をついた。
「……やめて……お願い……怖いよ……」
ヤカラのような太々しい、ヤツの態度が一変。
弱々しい声。震える肩。涙目で見上げてくる、可憐すぎる顔。
アタシは一瞬、息を飲んだ。
(……可愛い)
その瞬間、警戒心が少し緩んだ。
「降参するなら土下座してお願いしろ、乞食。そうすれば、戦果の一部を分けてやってもいい」
あいつは素直に頭を下げた。
地面に額を擦りつけるように、土下座する。
アタシは興奮した。
レズ気質のアタシにとって、あの容姿は好みすぎた。
しかも、今は完全に屈服している。
調子に乗ったアタシは、あいつのコスチュームの胸元を掴んで引きちぎった。
白い肌が露わになる。
「ふふっ……いい体してるじゃねえか。もっと見せろ」
抵抗しないあいつを、アタシは好き勝手に触り、辱めた。
興奮が止まらない。
アタシは完全に油断していた。
そのときだった。
足元から、密かに広がっていた煙が一気に凝縮し、アタシの四肢を拘束した。
「……は?」
風を起こそうとしても、煙が視界を遮り、喉元まで侵入してきて、呼吸が乱れる。
能力が封じられた。
次の瞬間、あいつの拳が顔面に叩き込まれた。
「人が大人しく我慢してりゃ、調子に乗りやがって…」
そこからは一方的だった。
煙で動きを封じられたアタシは、ひたすら殴られ、蹴られ、地面に叩きつけられた。
殺されるかもしれない、と本気で思った瞬間、あいつはようやく手を止めた。
「資源は全部もらう。文句あっか?」
意識が朦朧とするアタシの前で、あいつは妖魔の資源を全部回収し、タバコの煙を吐きながら去っていった。
……それから、アタシはあのヤニカスを忘れられなくなった。
好意と憎しみが、ぐちゃぐちゃに混ざったまま。
そして、先日の再会。
出先の任務で、久しぶりにアイツの気配を感じたとき、アタシは内心で小さく笑った。
(……また会えたな。ラ・フュメ)
久しぶりの再会に、胸の奥が熱くなる。
今度こそ、堕としてやる。
あの土下座した顔をもう一度見て、もっと奥まで奉仕させて——。
「…っ!?……チッ……相棒かよ」
しかし、あいつの隣に立っていたもう一人の魔法少女を見た瞬間、その熱が一気に怒りに変わった。
相棒の言動を見るに、ルーキーのようだった。
「よう、ヤニカスロリ女…おそかったじゃねえか」
「……またお前かよ。面倒くせえ……」
アタシを見た瞬間、アイツの目が一気に冷めるのが分かった。
もっとアタシを見て感情を動かせよ。
「よお、マジカル・ストーム。今日は穏便に済ませて立ち去ってくれねえか?妖魔はもう倒れてるみたいだし、俺たちも面倒なのはごめんだ。ここは、お互い引き下がろうや」
穏便に済ませたいクセに、その手には煙が巻かれている。
闘う気マンマンだよ、コイツ。
「はん? アタシにそんなお願いされてもなぁ……あの時の屈辱、忘れる訳ねえよ…なぁ?ラ・フュメ!」
コイツも前回のやり方を自覚してんのか、アタシが引き下がらない事は承知しているようだ。
だが、一対二の状況は不利に変わり無い。
「新人! お前を全面に出す!俺は後ろから援護する!怪力で突っ込め!」
コイツの相棒はおそらく、煙使いの弱点を補うパワータイプの魔法少女だろう。
面倒なタイプは、さっさと退場させるに決まってるよなぁ。
「甘いなぁ!」
アタシは即座に強風を放った。
相棒の魔法少女は、アッサリと遠くへ吹き飛ばされた。
これで一人だ。
アタシはラ・フュメに向き直った。
「ふふっ、これでタイマンだなあ……ええ?ヤニカスゥ」
あいつはタバコをくわえたまま、面倒くさそうに煙を展開した。
アタシは笑った。
「アタシは嵐だ。南の魔法少女どもを、アタシの風で吹き飛ばしてやる」
目測通り、闘いは能力の相性でアタシの圧倒的有利に進んだ。
ヤツの攻撃性のある煙も、嵐の前には雲散霧消ってヤツだ。
それで勝負を諦めたコイツは前回と同じように、弱々しい声で命乞いを始めた。
「……やめて……お願い……怖いよ……」
その声を聞いた瞬間、アタシの中で何かが弾けた。
あの時と同じだ。
「跪けよ、ヤニカス。本気で命乞いすんだろ? なら土下座してアタシの足を舐めろ」
あいつは歯を食いしばりながら、膝を折った。
地面に額を擦りつけるように、土下座する。
アタシはブーツを脱ぎ、素足をあいつの顔の前に突き出した。
一日中ブーツを履き続けた足だ。
臭いに決まってる。
たまに自分で、足のニオイを嗅ぐから間違いない。
「舐めろ」
あいつは不本意そうに、舌を這わせ始めた。
足の指を丁寧に舐めてくる感触が、背筋を震わせる。
「ふふっ……もっと丁寧に……指の間も……」
あいつの舌が、足の指一本一本を丁寧に舐めていく。アタシの息が荒くなる。
「はあ……いい……前より上達してるじゃないか……ラ・フュメ……」
興奮したアタシは、足をさらに上げ、ふくらはぎへ移した。
あいつは黙って舌を這わせ、汗の味を飲み込んでいる。
興が乗ったアタシは、太腿まで舐めるよう強要した。
しまいにはスカートをたくし上げ、鼠蹊部も舐めさせられる。
「もっと……奥まで……」
アタシは足を広げ、股間をあいつの顔に近づけた。
今度こそ屈辱に塗れさせて、完全に屈服させてやる。
それで、アタシの奴隷にして——。
その瞬間だった。
「先輩!!」
豪速で戦線に復帰した相棒魔法少女が、強烈な体当たりをアタシに叩き込んだ。
「ぐあっ……!」
体が吹き飛び、地面に激突する。
痛みが全身に広がる。
(…チクショウ!!)
形勢が逆転した。
煙を捨てたラ・フュメと、怪力の新人。
二人掛かりで襲ってくる。
アタシは風を振り回して抵抗したが、負傷した体では限界があった。
「くそ……アタシの……奴隷になるはずだったのに……!」
恨み節を残して、アタシは風を纏って撤退した。
そして現在に至る。
アタシはベッドの上で、ゆっくりと体を起こした。
指先に残るヌメリを確かめながら、小さく笑った。
「次は、絶対に…」
窓の外では、北関東の夜風が静かに吹いていた。
アタシはシーツを掴み、再び指を動かした。
「あのヤニカス…今度会った時は……犯して、ブチ犯して、首輪付けて、アタシの…アタシだけの…嫁奴隷にしてやるからな……」