衝動に任せて執筆しました。
俺は頑張って生きた訳ではない。
仕事をしても税金を払い、借金返済を続けて、貯まらない貯金。
頑張って生きてる人達の中で、俺は頑張ることをやめた負け犬。
それが、俺である。
車で出勤中、対向車線から10トントラックが突っ込んできた。タイヤがバーストしたみたいだ。だって異常な破裂音がしていたのだから。
心の中で(これは流石に、死んだわ。)と思い、走馬灯が流れた。
一際目立つ記憶は無かった、平坦な道を歩んできた人生だと理解はしていた。それでも、あれ?俺、なんもないじゃん…。って呆れてしまった。そこで意識は途絶えた。
だが、意識が戻った。(あれ?おれは死んだのではないのか?)と瞼を開いた。見慣れない天井だった。木の板が剥き出しの天井だったからだ。
ここはどこだろう?と不思議に思いながら俺は体を起こした。
見渡した部屋には当たり前だが木のドア、正方形のガラス窓に十字の木の枠が付いていたり、木の椅子と机、ベットの横にはカラーボックスサイズの木の棚がある。
俺がよく見ていた異世界作品とかで見るような風景だ。
ハッとして自分の手を見たら、手が小さくなっていた。
「ん?ん?ん?ん!? マジで転生したのか!?」
と、思わず大きめな声を出してしまった。
そんな俺の声に反応したのか、タッタッタッタッと小走りする音が聞こえてきた。
そしてドアがバンッ!と勢いよく開いた。
そこには若い女性がいた。亜麻色の綺麗な長髪、瞳の色も髪の毛と同じ色。スタイルも良く、顔も可愛い女性。身長は170センチないくらい。
女性を見た瞬間、記憶が蘇ってきた。この記憶はこの身体のものだろう。
そして、目の前にいる女性は母親であることを認識できた。
「目が覚めたのね!?よかった!!!」
と、泣きながら抱きしめてくれた。
記憶を辿って、今自分が置かれてる状況を把握した。
今の俺の名前は、レイン・アーノルド。3歳らしい。なんかサッカー選手みたいな家名だなと思ったのは内緒だ。
母親の名前はノエル・アーノルド。父親の名前はダンテ・アーノルド。
そしてノエルがここまで泣いて喜んでいる理由は、俺が高熱を出して1週間寝込んでいたからだ。高熱の理由は俺の記憶を思い出したことが原因だった。
「熱は無さそうね。本当に良かったわ。あなたが目を覚ましたことを早くあの人に伝えてあげないと!早く帰ってこないかしら。」
俺を抱っこしながらそう言った。
父親は仕事に行っているようだ。どんな仕事をしているのかはわからないが帰ってきたら聞いてみよう。
くぅ〜と可愛らしい音が俺のお腹からなった。
「ふふふ、お腹が空いたのね。今、お粥を作るから待っててね。それまで横になってようね。」
そう言って、俺をベットに降ろして、部屋を出て行った。
ノエルの言葉に従うようにベットに横になった。
(俺はどんな世界に転生したのだろう、剣と魔法のファンタジーな世界なのか?)
思い出したり、考えてみたりしていたのだが何も分からなかった。
でも何となくだけど、前世では感じなかった謎の感覚がある。
これは魔力とかを感じるための第6感なのだろうか?
もしそうだとしたら面白そうなのだが、自分の内側からは謎の感覚が反応しない。何故なのだろうか?と不思議に思っていると歩く足音と美味しそうな匂いがしてきた。そしてドアが開いた。
「お待たせ!お粥が出来たよ!梅干しもあるからね。」
と、ノエルが来て、フーフーと冷まして食べさせてくれた。
正直に言うと、子供の舌には梅干しは酸っぱすぎた。だがノエルが作ってくれたのだ、酸味に体を震わせながら我慢して食べた。
そんな俺を見て「えらいねぇ」と褒めながら食べさせてくれたのは嬉しかった。
そうしてお腹いっぱいになったら、睡魔が襲ってきたので、そのまま身を任せて寝てしまった。
その後、父であるダンテが帰ってきて声をかけてきたので目を覚ました。
ダンテは緑色の短髪で瞳の色も同じ緑色。身長は180センチくらいで引き締まった体をしているイケメンだった。
俺の体も元気になり晩御飯をみんなで食べた。
ダンテの仕事を聞いてみたら、農家と答えた。
畑の規模も広大で、種類も多く、何よりものすごく美味しい野菜と果物を作ってるみたいだ。
従業員も15人雇ってるらしい。豪農かよ。
しかも野菜と果物を卸してる場所がフェアリーテイルと言う魔導士ギルドなのだから驚いた。
フェアリーテイルの世界に転生したと理解したおかげで、感知していた謎の感覚の正体が魔力だと分かった。
だとしたらノエルとダンテからは感じないので、魔導士ではないみたいだ。
だが不思議なのが、普通は魔力を感知することが出来るのは魔導士だけらしいのだが、俺には魔力が無いのに魔力を感知することが出来るのだ。
ノエルとダンテにも原因は分からないみたいなので、来月野菜と果物を卸しに行く時に俺もついて行き、ギルドの人間に相談しに行くことが決定した。
楽しみにしながら、卸しに行く日まで過ごした。
そして、野菜と果物を卸しに行く日になった。
どうやら野菜と果物を卸す時は必ずフェアリーテイルのマスターが来て護衛をしてくれるようだ。たまに他の魔導士と来るらしい。
「ごめんくださーい!」
聞き覚えのあるおじいちゃんの声が聞こえてきた。
「お待たせして申し訳ありません。マカロフ殿、いつもありがとうございます。」
「なんのなんの、こちらこそ感謝しておるのでな。」
ダンテがマカロフと雑談を交わしていたのだが、俺の話題になった。
「して、件のご子息はどちらにおるんだ?」
「今、妻と出発の準備をしているところです。あ、来ました。この子がレインです。」
「さぁ、レイン。ご挨拶をしなさい。」
「はじめまして!レイン・アーノルドです。よろしくおねがいします!」
まだ流暢に話せるほど成長していないせいで舌足らずな喋り方となってしまうのは少し恥ずかしい。
「うむ、初めまして。ワシはマカロフ、フェアリーテイルの3代目マスターじゃ。よろしくな。」
優しく、そして気さくな雰囲気を持つ人だ。
そこからは会話も終えて、準備も野菜と果物を入れた木箱を荷台に積み終わり、出発した。
本物のフェアリーテイルに感動しながら、未だに原作のキャラクター達がいないことから本編より前の時代のようだ。
荷下ろしをして、検品を終え、俺の不思議体質の話になった。
「さて、話を伺って、色々考えてみたのだが、前例の無いことじゃな。」
そうだろうと思っていたので、落胆はなかった。
何故なら俺の中で答えは出ていた。
前世で見ていた作品のキャラクターに今の俺と似た体質を持つものがいたから同じなのでは無いか?と考えていたからだ。
呪術廻戦に出てくる天与呪縛。その中でも有名なフィジカルギフテッドが今の俺と似ていると思った。
確認のために体を動かしたらすぐに理解できた。
3歳児とは思えないくらいの身体能力だったからだ。
でもまだ馴染んでいない感覚があった。
しっかり馴染んでしまえば完成したフィジギフになると思う。
大人達は悩んでいるみたいだけど、これに関しては俺も成長するまでは誤魔化そうと思っている。理由は特にないけどね。
そうこうしている内に分かり次第また手紙を送る話に落ち着いた。
帰りもマスターが護衛をしてくれて安全な旅路となった。
ここからはダイジェストみたいになるが
俺が4歳の時、双子が産まれて、妹と弟ができた。
妹がマリア、弟がアベル、可愛らしい子達だ。
それから色々な勉強をしながらダンテの手伝いをするようになった。
そうして月日は経ち、俺は16歳になった。