いつも通り、深夜に1人で壊された机と椅子を修理していた。それでも使えなくなった机と椅子は出てくるから、バラして、薪にして作業部屋の片隅に保管した。足りなくなった机と椅子はマスターにお願いして補充してくれた木材を取り出して作成していた。
作業に没頭していたのだが、キリのいい所で手を止め、強張った体をほぐすために外に行き体を伸ばして、水筒に入れてある麦茶らしきもので喉を潤した。
朝日が昇り始めていたので、そろそろマスターが来る頃だろう。
後片付けをして、次に清掃をして、先ほど、修理作成した机と椅子をギルドの広場に設置して、今日の仕事は終了だ。
それと同時にマスターがギルドに入ってきた。
「おはよう、相変わらず丁寧な仕事をしておるのぉ。ありがたい限りじゃ。」
「おはようございます。これが俺の仕事ですから。」
「わかっておると思うが、明日はおぬしの家族が納品に来るから、2日間休んでくれ。ちなみに今月の護衛はグレイが行くことになった。」
「グレイですか、服を脱がないで欲しいのですが、無理でしょうね。でも実力はありますからね、服を脱がないこと以外は信用できますね。」
「まぁ、グレイの体質みたいなものだから、お互いに諦めような。」
会話もそこそこに、恒例となったマスターとの朝食のための準備を始める。
今日はオムレツと茹でたブロッコリーとアスパラのベーコン巻き、昨夜作ったポトフとパンを用意した。
いつも通り、朝食を終え、最後に仕事の報告をして解散となった。
俺も仕事終わりに朝日を浴びて、外の空気を吸うために10キロランニングを始める。ランニングが終われば洗濯をしながらシャワーを浴びて、仮眠を取る。
そうしてギルドに喧騒が包まれた頃に目が覚める。2時間程の寝ていたようだ。
街に行き、新聞と色んな食材と客人に振る舞う用の飲み物を購入して自分の部屋に帰る途中、屋台が目に入った。大ぶりな肉串が売っていたので3本程買って食べながら自室に帰った。
ベットに寝転がりながら新聞を読み始めた。その中に一面を飾る記事を見ていたら、ナツがハルジオンの港で大暴れした記事だった。
て、ことは、ルーシィと出会ったのだろう。物語が始まったようだ。
だけど俺は物語に関わるつもりはない。だけど俺の守りたいものの中にフェアリーテイルやギルドメンバーが加わった。
なにかあれば俺も全力で関わる。と、いう覚悟はある。
ただ、この世界に馴染んできたのか前世の記憶が薄れてきていることを最近自覚した。それも部分的な記憶だ。それは原作の記憶だ。
今現在思い出せる限界はララバイの物語までだ、それ以降はもう思い出せない。
それもあって物語に関わる覚悟が芽生えてきたのだ。
そんな風に新聞を読んでいると、急に大きな声で「ただいまー!!!!」と聞こえて来た。
ナツの声が聞こえた束の間、暴れている音が聞こえてきた。
いつものことだ。2日間の休みと言われたが、仕事が溜まると面倒なので今日も仕事をこなそうと決心した。
その時、魔力を感じたのだが、すぐに「やめんかバカタレ!!!!」というナツ以上の大きな声が聞こえた。
マスターが止めたようだ、なんやかんやと演説のようなことをしていたら「「「「オォォォォォォ!!!!!!」」」」と言う歓声と笑い声が聞こえてきた。どうやら解決と同時に団結力が強まったようだ。
そうしてまたギルド内は楽しげな喧騒に包まれた。
それから日数が経った。
その間の出来事として、マカオを助けにナツとルーシィが雪山に行ったり、エバルー侯爵?ってとこのクエストに行ったりしていた。
そうして今日はマスターが定例会に向かう日なので1人で仕事が終わり朝食を食べて、日課を終わらせて、仮眠に入った。
いつもと違う感じで騒いでいたので気になって起きてしまった。
ロキの声を聞こえてきた。どうやら、エルザが帰って来るようだ。
少ししてから、ズシンッズシンッと言う重たい足音が聞こえてきた。
たしか、よくわからないデカい爪?牙?のようなものを持って帰って来ていたはずだ。おそらくそれが理由のはず。
なぜなら、エルザは鎧の魔導士だが、見た目はかなりの美人でスタイルもミラに匹敵しているからだ。
今回はエルザとナツとグレイのチーム結成して、そこにルーシィが皆んなの仲を取り持つ役割で参加するみたいだ。
毎回思うんだけど、決して俺は盗み聞きしているわけではない。
フィジギフのおかげで肉体だけでなく、五感も鋭くなっているからギルド内であれば会話がある程度聞こえるのだ。
心の中で言い訳をして、また仕事の時間まで睡眠に入った。
どれほど時間が経ったのか分からないが、ノックする音が聞こえて目が覚めた。
誰だろう?と考えながらドアを開けるためにベットから降りた。
そうしてドアを開けるとエルザが部屋の前にいた。
「え?どうしました?」
「すまない、寝ていたのだな。先ほど帰って来たのだが、お土産を持って来たのだ。いつもギルドの備品の修理をしてくれているからな。」
「仕事ですし、気にしなくても良いですよ。でも、わざわざ俺にまでお土産を用意してくれてありがとうございます。」
「謙遜するな。マスターもミラもお前に感謝していたぞ。お土産とは別に食材を買ってきてのだ。もし良ければ一緒に食事をしないか?」
そう言ってお土産のお菓子と食材を頂いた。
食材を見るに、俺が以前作ったカレーが食べたいのだろう。スパイスと具材、それと甘味用の食材もあった。
(なるほど、ケーキを食べたいんだな。)
「わかりました、食材を用意してくれましたし、作りましょう。少し待っててください。」
「ありがとう。よろしく頼む。」
そうこうしてスパイスカレーを作り終えた。米ももうすぐ炊ける。
同時進行していた、スポンジケーキも焼き始めよう。生クリームは完成して冷蔵庫に入れてある。イチゴも冷やしてある。
これでケーキは食後すぐ用意できるだろう。
カレーも用意できたので皿に盛って配膳した。
そうしてカレーを食べて、ケーキも食べて、少し雑談をして解散した。
話を聞いていたが、アイゼンヴァルドやらなんやらの話をしていた。
おそらくララバイの事件だろう。俺の記憶はここまで。その後は成り行きに任せて生きていこうと思う。
それから数日経って事件は解決したらしい。
でも解決するにあたって、定例会議場?を壊してしまったらしい。
もはやフェアリーテイルのお約束だな。
しかもクエスト中に約束した、ナツVSエルザの勝負が今日やるらしい。
ギルドの前に人だかりが出来ていて、その中心にはエルザとナツがいた。
ルーシィもギルド前に到着したみたいだ。
俺も気になるし見ようと思って自室の窓から見ていた。今更だが、俺の部屋はギルドの最上階だ。そこの窓から見れるのだ。
戦いが始まった。だがその戦いを見て俺は心底驚いた。
今まで俺は魔導士の戦いを見た事がなかった。お互いにトップギアではないにしても、すでに2人とも実力者ではあることは明白。周りも驚いたりしている。
にも関わらず、俺は驚きを隠せずにいた。
2人の動きがあまりにもはっきりと見えすぎるのだ。
ナツの動き、エルザの動き。その全てがはっきりと見える。
そこでようやく、俺の存在の異常さを自覚した。
俺のフィジギフは体に馴染みきっていないにも関わらず、俺の強さはおそらくかなり上位に匹敵するみたいだ。
そんな風に驚愕していると、服を着た人型のカエルが来てエルザを逮捕すると言い出した。
驚きに驚きを重ねられ、おれは一度整理しようと思い、ベットに横になった。
エルザの逮捕に関してはどうにでもなるだろう。なにせフェアリーテイルだからな。
ある種の信頼があるからこそ、自分の考えを整理することを優先した。
そこで俺は意識を手放した。
距離を置いていたせいで自分がどれだけ異常なのかを自覚することになったレインくんでした。