転生したので、好きに生きる   作:牛丼の並、汁だくだくで。

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S級クエストに行っちゃった

 俺のこの世界における異常さを自覚して整理がついた。

 現時点での俺の強さはやはり異常だ、おそらくだが、マスターにも余裕で勝てるだろう。

 だからこそ異常な存在である俺の役割を決めた。

 俺はギルドを守るためだけに戦う。いわゆる門番的な役割だ。

 そうでなければ無双してしまう。

 今回の件は俺1人で抱えるわけにはいかない。

 異常な戦略を持つギルドになってしまった以上、すぐにマスターに相談して、判断を仰ごう。

 みんなが広場にいるのにも関わらず俺は気にせずマスターの元に向かっていった。

 俺がこの時間帯に広場にいることは今まで無かったからなのかみんなザワザワしていた。

 気にせず向かうけど。

 だけど俺にとっても好都合なことが起こった。

 みんな寝ていったのだ。この感覚には覚えがある。ミストガンだ。

 フィジギフのおかげなのだろう。俺は耐性も超強化されているから睡眠魔法は効かないみたいだ。

 

「驚いた、やはりお前には効かないんだな。」

「久しぶりですね。クエストに行くのを少し待ってください。」

 

 そう言って俺はいつものようにミストガンに自作した長持ちしながら美味しく食べられる非常食を袋一杯に持たせた。

 

「これ、弁当にしてください。お気をつけて。」

「いつもすまない。感謝する。」

「待たんかい!眠りの魔法を解かんかい!!!」

「5秒後に解けますよ。いってきます。」

 

 カウントダウンしてギルドを出ていった。0になった瞬間みんな起き始めた。みんなミストガンの仕業だと理解してザワザワしていた。

 みんなミストガンの顔を知らない話をし始めた時、上から声がした。

 

「いんや、俺は知ってっぞ。」

 

 みんなラクサスがいることに驚いていた。

 

「ミストガンはシャイなんだ。あんまり詮索してやるな。」

「ラクサス!!!!俺と勝負しろー!!!!」

「エルザごときに勝てねぇようじゃ、俺には勝てねぇよ。」

 

 そう言い放ってエルザはキレていた。

 売り言葉に買い言葉。ナツがラクサスの元に行こうとしたらマスターに止められていた。

 上の階はS級のための場所だからだそうだ。

 それ以外の者は立ち入ることすら許されないらしい。

 俺は修理修繕の為に何度も入ってたから知らなかった。

 そんな風にトラブルがあったから、おれの存在はなくなった。

 ラッキーと思っているとマスターが俺にあちらに来いと言うように目配せしてくれたのでこっそり向かった。

 

「お主がこの時間にここに来るのは初めてじゃな。何があった?」

「先日、ナツとエルザの対決があったのですが、その時に自覚したことがあるんです。」

「それはなんじゃ?」

「俺の実力の異常さです。あの時の勝負を見ていたのですが、あの2人がトップギアになる前の実力だったことは分かりますが、もし仮に本気でやり合ったとしてもあの2人を瞬殺できる確信があります。なのでおそらく俺の実力はかなり上位に位置付けされてると思います。なのでその確認と今後の俺に対する対応をマスターにお願いしたいのです。」

「瞬殺とは思い切ったな、とは言えないくらいの確信がお主の中にあるのだな?よし、わかった。後日、エルザとワシとレインの3人で秘密裏に実力の確認を行うとしよう。」

「ありがとうございます。日時場所が決まったら教えてください。」

「うむ、ではワシは戻る。お主はどうする?」

「俺も自室に戻り今日の仕事に備えようと思います。失礼します。」

 

 そう言って解散した。

 

 次の日、ミラの大声に起こされた。

 どうやらハッピーがS級クエストを盗んで行ったようだ。

 なにやら険悪な気配を感じる。ミラとラクサスあたりだろうな。

 グレイがナツ達を連れ戻す役目を受けて出発したそうだ。

 まぁ、グレイなら何とかなるだろ。

 そう思い、また夜に備えてまた寝ることにした。

 

 

 

 翌日、マスターから話を受けて、俺の実力を確かめる試験的なものをすることになったのだが、内容はこうだ。

 エルザと共に、ナツ、グレイ、ルーシィ、ハッピーを連れ戻すこと。

 マスターがエルザに命令をする形となり、無理矢理了承してもらった。

 

「レイン、S級クエストの渦中に飛び込むことになるのだ。生半可な覚悟なら引き返せ。」

「悪いけど今回は引けないですよ。俺にも事情がありますから。」

「マスターにも言われたからお前を連れて行くが、私の指示に従ってもらう。」

「了解しました。」

「さっそく指示を出そう。まずはお前のその敬語を無くせ。こうなった以上、レインと私は一蓮托生だ。やり取りにラグが生まれないようにする。」

「わかった。」

 

 そうして俺とエルザはラグナ島に向かった。

 1時間ほど経って島が見えて来た。

 砂浜のとこでルーシィと謎の女が戦って決着がついたときにバカでかいネズミがルーシィを襲う瞬間だった。

 エルザは即座に行動してネズミを一刀の元、ぶっ飛ばした。

 すぐ後に俺も追いついた。

 

「私がなぜ、ここにいるか分かっているな?」

「あ…いや…そのぉ……連れ戻しに…ですよね?」

 

 空気の読めない空飛ぶ青い猫、ハッピーが来てルーシィの無事に喜んで声をかけたが、エルザがいることに気付いて逃げようとした瞬間、エルザに捕獲されていた。

 

「ナツはどこだ?」

「ちょっと聞いて!勝手に来ちゃったのは謝るけど、今この島が大変なことになっているの!!!」

 

 そこから何があったのかを感情のままエルザに伝えていた。

 そして、ルーシィは助けてあげたいと伝えたのだが

 

「興味がないな」

 

 と、ピシャリとエルザは言い切ってしまった。

 ルーシィは納得がいかなかったのか、

 

「じゃあ、せめて最後まで仕事を…」

 

 言い切る前にエルザは言葉を被せる。

 

「仕事?違うぞルーシィ。貴様らはマスターを裏切った。ただですむと思うなよ。」

 

 怒るエルザに圧倒され怯えているルーシィ。

 その顔には恐怖が浮かんでいた。

 

 そうしてエルザはルーシィとハッピーを気絶させ、縛り上げた。

 

「お前はルーシィとハッピーを抱えて着いてこい。」

「仰せのままに。エルザ殿。」

 

 軽口を叩くと睨まれたが、すぐに踵を返し、先を歩いて行く。

 

 

 

 それからほどなくして、村に到着した。

 村ではグレイが怪我の治療をされて眠っていた。

 

「この者が目覚めたら、私の元に来いと伝えてくれ。」

 

 村娘にそう伝えて客人用のテントに向かった。

 俺も着いて行った。、

 

 数刻が経ち、グレイはエルザと俺がいるテントに来た。

 グレイはエルザがいることに驚き、ルーシィとハッピーがシクシク泣いていることにも驚き、俺がいることには首を傾げていた。だがエルザは気にせず言葉を発していく。

 

「だいたいの事情はルーシィから聞いた。お前はナツ達を止める止める側ではなかったのか?グレイ。呆れてものも言えんぞ。」

「ナツは?」

「それは私が知りたい。」

 

 不機嫌そうにエルザはそう吐き捨てた。

 

「ルーシィ…ナツはどうした?」

「わからない。村で零帝の部下と戦っていたはずなのに、そいつらは片付けられてたのにナツの姿はなかったの。」

 

 ルーシィは正直に伝えて、続けた。

 

「それでね、とりあえずグレイところにつれてけって言われて…。」

 

 それからグレイ、ルーシィ、ハッピーの3人で軽くやり取りをして、エルザは口を開く。

 

「つまり、ナツはこの場所がわからずにフラフラしてる訳だな。」

 

 エルザは立ち上がり言葉を続けた。

 

「グレイ、ナツを探しにいくぞ。見つけ次第ギルドに連れ帰る。」

「何言ってんだ?エルザ。だいたいの事情を聞いたのならこの島の状況を理解しているはずだろ。」

「それが何か?」

 

 冷たく言い放った。

 

「私は、ギルドの掟を破った者を連れ戻しに来ただけど。残るはナツ1人。それ以外の事には一切興味がない。」

 

 そう言い放ったエルザに、俺は落胆した。

 たしかに、エルザは正しい。それは誰が見てもそうだろう。

 だが人としてはどうだろう?解決するだけの力がありながら掟だ何だと言って放置するのは間違っていると俺は思ってしまった。

 

「この島の人達の姿を見たんじゃねぇのかよ!!!」

「見たさ。」

「それを放っておけと言うのかよ!?」

「依頼者は各ギルドに発行されている。正式に受理されたギルドの魔導士に任せるのが筋だろう。」

 

 グレイが怒りに震えているのか、何かを言おうとしていた。

 その前に俺が我慢できなかった。

 

「なるほど、フェアリーテイル含めた全てのギルドのS級は名ばかりの腰抜け集団なんだな。了解した。ここからは別行動させてもらう。」

「なんだと?貴様今何と言った?」

 

 俺の発言、エルザの怒り。両者の雰囲気にこの場にいるグレイ、ルーシィ、ハッピーは怯えていた。

 

「腰抜けと言ったんだ。その耳は飾りか?」

「貴様、魔導士でもない奴が我々を侮辱している意味は分かっているのか?」

「侮辱?何を言ってんだ、事実しか言ってないぞ?俺は。」

 

 俺の発言に怒りを、俺の首に剣を向けてきた。

 だが無視だ、俺にも感情がある。だからこそ見過ごせない。

 

「納得がいかないなら答えろ。エルザ・スカーレット。なぜどこのギルドからもS級魔導士は来ないんだ?なぜ困ってることがわかっているのに誰も協力して一緒に解決しようとしないんだ?」

 

 俺は怒りを我慢しながら言い放った。怒気が漏れているのかこの場にいる全員が怯えた表情をしていた。

 

「それは、S級魔導士と言えど、得意不得意がある。相性の問題だ。だから誰も来なかったのだ。ギルド同士の連携は実際にあるが、それでも各ギルド同士のプライドがある以上自分達から言えないのだ。」

「そんなこったろうと思ったよ。依頼を出すと言うことは助けを求めていることと同義だろ。そんな助けを求める人達を無視してまでギルド間のプライドだと?恥を知れ。そんな役に立たんプライドなんぞ、そこらの犬にでも食わせてしまえ。」

 

 だが、感情に任せていても埒が明かない。

 

「今はとりあえずこの依頼を完遂しよう。話はそれからだ。それでも困ってる人間たちを見捨てるのであれば好きにしろ。グレイ、行こう。改めて話を聞かせてほしい。」

「あ…あぁ、わかった。」

 

 俺はそのままグレイを連れて外に出て行った。

 エルザの中には複雑な感情が湧いて自らの疑念を口に出していた。

 

「レイン…あいつは何者なのだ?なんなんだ…あの威圧感。この私が一歩も動けなかった…。」

 

 だか、そこはエルザ。思考を即座に切り替えた。

 (得体の知れなさはあるが、あの威圧感はあいつの実力に裏付けされているものだ。それに対話の余地はある。マスターから、レインの実力を確かめると言う依頼もある。)

 振り返り、ルーシィとハッピーのロープを手にしている剣で切り裂いた。

 

「レインの言う通り、まずは依頼を達成しよう。話はそれからだ。」

 

 ルーシィとハッピーの表情がパッと明るくなったが、すぐに青ざめる発言をした。

 

「ただし、罰は受けてもらうからな。」

 

 1人と1匹は青ざめて静かに頷いた。

 

 

 そんなことは知らずに俺はグレイから話を聞いて対策を考えていたのだった。

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