ギルドが破壊されたことに、俺以外の仲間達は憤っていた。
俺も気に入らないとは思っているが、そこまで怒りは湧いてこなかった。建物は修繕すればいいだけ。なんならもっと使い勝手を良くして綺麗にして…って未来を考えながら、設計図を脳内で作成していた。
「オレたちのギルドを…。」
「何があったというのだ…。」
「ファントム、くやしいけど……やられちゃったの…。」
ミラがそう言って近づいてきた。
俺達はミラの案内でギルドの地下へと向かっていた。
地下には皆がいた。
どうやらファントムとフェアリーテイルは仲が悪いらしい。
「よ!おかえり!」
酒を飲みながらマスターが迎えてくれた。
「ただいま戻りました。」
「じっちゃん!!!酒なんか飲んでる場合じゃねぇだろ!!!」
「おー、そうじゃった。お前たち!勝手にS級クエストになんか行きおってからに!!」
マカロフの発言にルーシィ、グレイは困惑していた。
ナツはそうじゃないだろと言うように怒鳴っていた。
だがマカロフは無視をして、ナツ、グレイ、ハッピーの頭に「めっ」と軽くチャップをかました。
ルーシィにはニヤけながら「めっ」と尻を叩いていた。そんなマカロフにミラはダメでしょ!って注意をしていた。
そんな事をしていると、ついにエルザとナツがキレた。
「マスター!!!今がどんな事態かわかっているのですか!!!」
「ギルドが壊されたんだぞ!!!!」
「まあまあ、落ち着きなさいよ。騒ぐほどの事でもなかろうに。」
マカロフは吐き捨てるように言った。そして続けた。
「ファントムだぁ?あんなバカタレ共にはこれが限界じゃ。誰もいねぇギルドを狙って何が嬉しいのやら。まぁ、レインが襲われなかったのは不幸中の幸いだったがな。これからは日中に仕事をしてはどうだ?」
「そうですねぇ、検討しようと思います。ですが夜中に働くのはやめないと思います。毎日毎日物を壊されるので、夜中に1人でいっぺんに仕事をする方が効率的なので。」
それもそうか、とマカロフは納得して最後にいつもありがとう、と感謝をもらった。
マカロフと俺の会話を聞いて、ミラが補足してくれた。
「襲われたのは夜中らしいの。」
「マスターとレインの会話を聞いて把握していたが、怪我人はいないのだな。」
「不意打ちしかできんような奴等にめくじらたてることはねぇ、放っておけ。」
「なっとくいかねぇよ!!!!オレはあいつら潰さなきゃ気がすまねぇ!!!!」
ナツはずっと、駄々をこねる子供のように喚き散らしていた。
「話はこれで終わりじゃ、上が直るまで仕事の受注はここでやるぞい。」
「仕事なんかしてる場合じゃねぇよ!!!!」
「ナツぅ!!!いい加減にせんかぁ!!!!」
マカロフはナツを叱りながらルーシィの尻を叩いた。
ルーシィは呆れて、ミラは注意をしていた。
そんなマカロフにナツは疑問に思っていた。
「悔しいのはマスターも一緒なのよ。だけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されているの。」
「先に手を出したのはあっちじゃねぇか!!!」
「そういう問題じゃないのよ。」
「マスターのお考えがそうであるのならば、仕方あるまい。」
俺はギルドの修繕のために、こっそり離れた。
どれだけの被害で、どれだけの資材が必要になるのか調査を始めた。
ある程度調査も終わって、今ある資材や使える工具を確認するために倉庫に行った。すると何か奥の方から何かが落ちる音がした。そこにはかなり古い本が落ちていた。なぜここにあるのかがわからないが、もの凄く気になってしまい、本を手に取り、開いてしまった。本に書かれている文字は何一つ理解できない。この世界で見た事ない文字だからだ。
そうして全てのページを確認したが、読める箇所は無かった。
気になるが、理解できないから、後日ルーシィやレビィ、マカロフに聞いてみようと思い本を閉じた。
今日はもうここまでにしようと、自分の部屋に行ったのだが、案の定ボロボロだ。先ほど見つけた本を自室のベットの横に置いてある棚の上に置いた。そして生き残っていた、魔道具とベットにラッキーと思い、冷蔵庫から飲み物と保存食を用意して食べて、ベットに横になり、瞼を閉じた。
夢を見た。
暗いと言うより、黒い空間浮かんでいる物を見つけた。
錆びついて黒ずんだ刀剣類と、大盾。合計5点。
一つ一つ見ていると、銘と能力が浮かんできた。
両刃の大剣、断魔の剣。両刃の片手剣、宿魔の剣。剣先が丸まった両刃の片手剣、滅魔の剣。日本刀、斬魔の太刀。大盾、破魔の大盾
断魔の剣は、刃は全ての魔法を切り裂き、刃の側面は魔法を反射する。衝撃は残るので腕力が必要。
宿魔の剣は、刀身に魔力を吸収して、斬撃として飛ばしたり、ビームのように飛ばすこともできる。
滅魔の剣は、周囲の因果を断つことができる。魔法を受けた事実をなかったことにできる。
斬魔の太刀は、持ち主が斬りたい物だけを斬ることができる。
破魔の大盾、受けた魔法や魔力を帯びた攻撃を無効化することができる。衝撃は残るので腕力が必要。
それぞれが強力な能力を有してるようだが、切れ味がない、魔法を切るだけの物のようだ。大盾も防ぐことはできるだろうが、錆びついて、端の部分も欠けたりしている。
手に持とうと手を伸ばした瞬間、俺と目の前の刀剣の存在が繋がったような感覚があった。困惑していると目の前の刀剣が黒い何かに包まれたがすぐに黒い何かが俺の目の前に飛んできて、本の形になった。
倉庫で見つけた本だ。かなり古い本だったのだが、黒い何かを吸収して新品の漆黒の本になった。
そして、漆黒の本から黒い何かが俺の中に入り込んできた。
ハッ!となって目が覚めた。外を見ると夜が明けていた。
先ほどの夢はなんだったのだろうと考え、ベット横にある本を手に取る。
夢で見たように、漆黒の本になっていた。
そして表紙にある文字は結局分からない。と、いうことは中身もわからないだろう。
だが本の能力が開花されたのか、アイテムボックスのような物になったようだ。本に収納されている物が脳内に浮かび上がっているからだ。
それに保存中は時間は止まっているのだとか。なろう系によくあるぶっこわれ能力じゃねーかよ。って思ったが、ありがたく使わせて貰おう。
とりあえず武器を取り出してみようと思い、断魔の剣を取り出した。
だが、夢で見た物と違うものが出てきた。
形に違いはないのだが、本と同じく漆黒の体験に変わっていた。
刃は鋭くなっており切れ味もあるようだ。
この変化を見て、全ての刀剣と大盾を取り出した。
全て同じ変化が起こっていた。漆黒となり、刃は鋭くなっていた。
大盾も漆黒となり欠けていた部分が無くなり、新品のようになった。
これは凄いな、と感心していた。
だけど本を持ち歩くのは面倒だなと感じていると、本が漆黒の光?に包まれて俺の中に入り込んで、心臓のあたりを中心に黒いタトゥーのようになった。
悪魔のようにも、鬼のようにも見える顔のタトゥーだった。
もしや、と思い行動を起こした。念じるだけで、物を取りだすことができるようになっていた。しまうのも何時等だけでよくなった。本当に便利な物になってしまった。
魔道具とか家具、資材、なんでも自由に取り出すこともしまうこともできる。作業の効率化ができるぞ!?と感動した。
確認作業をしていると、外が騒がしくなっている。
どうやら何者かが問題を起こしたようだ。それにギルドメンバーが巻き込まれたそうだ。
胸騒ぎを感じて、俺もマカロフと共に確認に行った。
とある大木に痛めつけられたレビィ、ジェット、ドロイが縛り付けられていた。
レビィのお腹にファントムのマークが描かれていた。
マカロフがキレてしまった。
「ボロ酒場までならガマンできたんじゃがな…。ガキの血を見て黙ってる親はいねぇんだよ…。」
マカロフは手に持っていた杖を握り潰し、憤怒に染まった顔で宣言をした。
「戦争だ。」