無職転生 ~性格改変_エンジニアリング視点での魔術構築~ 作:haru-ha
本作は『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の二次創作小説です。
pixivに掲載していた小説(完結済)のセルフ転載となります。(所々、追記・修正しています)
以下の独自設定(IF設定)を含みます。
・原作と違って、元々存在していたルーデウスの自我は失われず、そこに「ある男」の記憶だけが継承されたという解釈で執筆しています。
・そのため、原作のルーデウスとは性格や口調、判断基準が異なります。
【注意事項】
・原作のストーリー改変(生存IFなど)が含まれる可能性があります。
・キャラの独自解釈、および設定の捏造が含まれます。
・原作全編のネタバレに配慮しておりません。
なんでも許せる方のみ、お進みください。
ルーデウス・ボレアス・グレイラット。
その名は、現代の世界において知らぬ者が存在しないほどに轟いている。
世界各地の至る所に、彼の足跡と名が刻まれている。
各国に敷設された国際転移門の土台に。
世界中で出版されている新版魔術教本や絵本の奥付に。
清潔な水を行き渡らせる上下水道の配管に。
そして、各国の王都にそびえ立つ国立美術館の壮麗な彫像の台座に。
実に様々な場所に、彼の爪痕が刻み込まれている。
現代を生きる者で、彼の恩恵を受けずに一日を終える者はまず存在しないだろう。
だが、彼が一体何者であったのかと問われると、人々は口を揃えてこう答える。
「甲龍暦四〇〇年代を代表する、有史以来最強の魔術師」
「魔術教育を一新させ、世界中の識字率を跳ね上げた学問の神」
「印刷、地脈インフラ、近代土木を切り拓いたあらゆる工業の父」
「国際首脳会議
「異界の美と彫像技術を融合させ、文化革命をもたらした至高の芸術家」
「世界の理をも超越する神話級の武具を世に送り出した希代の鍛冶師」
魔術、教育、工業、政治、芸術、鍛冶。
あらゆる分野に革新をもたらした万能の英傑。
人々はいつしか、彼を畏敬を込めてこう呼ぶようになった。
——『六面のルーデウス』。
かつて世界を裏から操り、破滅へと導いていた悪神
『甲龍暦505年 アスラ王国資料室 室長 ジェド・ブルーウルフ』
■ ■ ■ ■ ■
ルーデウス・ボレアス・グレイラット
『概要』
ルーデウス・ボレアス・グレイラット(甲龍暦407年 - )は、アスラ王国およびラノア王国を拠点に活動する魔術師、技術者、政治家、芸術家である。
424年のアスラ王国王位継承戦において当時の水神レイダを討滅した功績からアリエル女王より『雷神』の称号を授与され、430年のビヘイリル決戦において北神カールマン三世アレクサンダー・カールマン・ライバック、および闘神バーディガーディを撃破したことで、七大列強『第三位・雷神』の座に君臨した。
四大属性魔術のすべてを神級の領域で操り、独自系統魔術『雷魔術』を開祖した史上最強の魔術師。
二つ名は『雷神』『六面のルーデウス』『雷鳴』『大魔導師』『近代工業の父』『学問の神』等。
龍神オルステッド、甲龍王ペルギウス、北神アレクサンダー、そして後の機神であるルードらと共に絶対の密室『無の世界』へ侵入し、破滅の未来の元凶たる
国際総合機関『龍の爪』の創設者であり、アリエル女王と共に世界初の多国間首脳会議
『生涯』
・幼少期
甲龍暦407年、アスラ王国フィットア領ブエナ村において、下級騎士パウロ(388年 - )と治癒術士ゼニス(390年 - )の長男として生まれる。
一歳にして言語を習得し、三歳で無詠唱魔術を発現。才能を見込んだ両親により、家庭教師として当時水聖級魔術師であったロキシー・ミグルディアが招聘され、五歳にして水聖級水魔術『
同五歳の時、城塞都市ロアにてボレアス・グレイラット家令嬢エリス・ボレアス・グレイラットの家庭教師に就任。算術、読み書き、魔術を指導しつつ、独自の土魔術による精密彫刻や魔道具開発の基礎を確立。
十歳の時、ロア上空に発生した未曾有の魔力災害に際し、五重の複合防御結界を展開。ロアの完全消滅を食い止め、都市の一角の損壊のみに抑え込む。この時、介入してきた光のアルマンフィの攻撃により結界が乱れ、エリスと共に魔大陸へと強制転移した。
・魔大陸横断と中央大陸帰還
魔大陸の荒野にて、スペルド族の戦士ルイジェルド・スペルディアと出会い、パーティ『デッドエンド』を結成する。
ルーデウスはルイジェルドの体内に刻まれていたラプラスの術式付与(呪い)を看破・解除し、スペルド族の悪評を払拭するための戦略を主導。リカリスの街での水聖級魔術の販売、治安維持、B級冒険者の救助などにより、特例でパーティランクをB級、後にS級へと押し上げた。
道中、魔界大帝キシリカ・キシリスより『予見眼』を授与され、自作の『
十二歳の時、赤竜の下顎にて七大列強第二位『龍神オルステッド』と初交戦。心臓貫通および頸部切断の致命傷を負い、魔力の過剰使用によって白髪化するも、オルステッドによる蘇生とナナホシの介入により生還。オルステッドから
ロアへ帰還後、エリスと結ばれて正式に婚約。エリスはルーデウスを守れる剣士となるべく剣の聖地へ修行に旅立った。
・学生時代と肉体の変異(竜人化)
422年(十五歳)、ラノア魔法大学へ特待生として入学。
幼馴染のシルフィエット、シーローン王国第三王子ザノバ、ミリス教皇の孫クリフ、異世界転移者ナナホシらと交流を深め、研究拠点を確立。不死魔王バーディガーディとの決闘において『
423年(十六歳)、
迷宮守護者
師ロキシーの献身的な支えにより生きる意志を取り戻したルーデウスは、
424年(十七歳)、シャリーアへ帰還。剣の聖地にてエリスの承認を得た後、ロキシー、シルフィエットと婚約した。
同年、龍神オルステッドと正式に同盟を結び、アスラ王国の王位継承戦に介入。水神レイダ・リィアを『
・
427年(二十歳)、国際総合機関『龍の爪』を設立。実務の最高責任者として妹アイシャを据え、後に彼女を四人目の妻として迎える。
同年、シーローン王国の動乱に介入し、神級雷魔術『人工神獣・白鯨』を用いて数万の連合軍を壊滅させ、パックスによる共和制移行の基礎を確立。
430年(二十三歳)、ビヘイリル王国の戦いに参戦。
北神カールマン三世であるアレクサンダー・カールマン・ライバックを撃破して『王竜剣カジャクト』を鹵獲し、自ら『神獣化・雷電魔石多頭竜』となって闘神鎧を喰らい尽くし、闘神バーディガーディに完全勝利。七大列強『第三位・雷神』を襲名した。この戦いで全魔力を使い果たし十歳前後の姿へと一時退行したが、後に肉体を再成長させた。
431年(二十四歳)、世界初の多国間首脳会議
五龍将の秘宝の複写品、王竜剣カジャクトの重力制御、そしてルードの案内を統合し、絶対の不可侵領域であった『無の世界』への空間穿孔に成功。
オルステッド、ペルギウス、アレクサンダー、ルードと共に突入し、激闘の末に
その後、異世界転移魔術を完成させ、長年の盟友であったナナホシ(七星静香)を異世界へと無事帰還させた。
・その後
子供たちがそれぞれの道へ巣立った後も、ルーデウスは変わらずシャリーアの自宅とラノア魔法大学、そして『龍の爪』事務所を拠点に活動を続けている。
自らの肉体に定着した
なお、父パウロ、母ゼニス、養母リーリャ、そして正妻エリス、四人目の夫人アイシャは、既にそれぞれの天寿を全うしている。長寿種であるロキシー、そして長命のエルフの血を引くシルフィエットの二人は、現在もルーデウスの傍らに寄り添い続けている。
『使用した装備・武具』
・王竜剣カジャクト
北神カールマン家に伝来した重力操作の神剣。ビヘイリル決戦にてルーデウスがアレクサンダーより鹵獲し、自らの愛剣とした。空間座標の強制固定や超高圧転圧、時間停止魔術の発動など、戦闘のみならず土木・異世界転移魔術の要としても多用された。
・魔導鎧『機神』
ルーデウスとザノバが共同開発した体高三メートルの巨大人型決戦兵器。ルード専用機として運用され、ルーデウスの鱗を用いた絶対魔力遮断弾を撃ち出すガトリング砲『アヴェンジャー』を装備し、
・
重力魔術で宙に浮遊・自律機動する四基の金属筒から、極大の荷電粒子熱線を一斉掃射する遠隔兵装。射角の死角を完全に無くしたルーデウスの最強攻撃手段の一つ。
・魔剣『
長男アルスに授けられた緋色の片刃剣。鉱神ゴッドバルドとの合作。刃を交えた相手の闘気を強制強奪・吸収し、自己治癒および極大の衝撃波砲撃として放つ。
・魔剣『
次男ジークハルトに授けられた漆黒とエメラルドグリーンの大剣。飛行能力、暴風操作、実体分身『偏在』を可能とする神話級魔剣。
・杖『
次女ララに託された杖。全属性の魔術構築を極限まで最適化する特殊金属と五龍将の秘宝の特性が組み込まれている。
・『変身・
末っ子の双子(アイリス、ルーシュ)のために制作された、竜の肉体構造を完全に人族へと偽装・変身させる魔道具。
・『特製ストール』
妹ノルンに授けられた、
『雷魔術体系(開祖)』
水聖級魔術『
現在、雷魔術は他の四大属性と並ぶ正式な系統として各国の魔法大学に登録されており、その位階は以下の通り、初級から神級までの七段階が確認されている。
・初級:『
対象への電気信号の単純介入。指向性を絞った高電圧により、相手の筋肉・神経系を瞬時に麻痺させる。
・中級:『
術者を中心とした近距離広域制圧の稲妻。網状の電界を展開し、複数の敵を一斉に無力化する集団戦向けの術。
・上級:『
着弾点で轟音とともに爆発的な威力を発揮する高出力雷撃。破壊力と爆縮に特化した対大型魔物・対城塞用術式。
・上級:『
指向性を極限まで高め、電気を光子へと相転移させた極細レーザー。単一目標への超長距離精密狙撃・貫通を追求した術。
・聖級:『
光子の直進性を曲げ、複数の対象を自律的に追尾する誘導光線。障害物や味方を回避しながら目標のみを正確に撃ち抜く。末の息子ルーシュが無詠唱で完全習得したことでも知られる。
・王級:『
広域の気象そのものを操作し、雨粒すべてを帯電させて無差別に落雷を誘発させる戦略級魔術。回避不能の絶対制圧領域を形成する。
・帝級:『
魔力構成体に限定的な意思を持たせ、自律的に戦闘を行わせる帝級の自律戦闘ユニット群。水属性と融合したシャチ型(突撃・放電)、火属性と融合した蜂型(高機動・爆縮)、土属性と融合した蜘蛛型(地中潜伏・自動迎撃・センサー)が存在する。
・帝級:『
水神流『剥奪剣界』の理合を雷魔術と結界魔術で再現した自動迎撃領域。領域内で規定以上の速度や敵性魔力を持って動く対象に対し、自動で不可避の雷撃を落とし行動不能にする。
・帝級:『
多層魔法陣と重力制御により荷電粒子を極限まで収束・加速させて放つ極太の熱線砲。射程限界が事実上存在せず、不死魔王バーディガーディや水神レイダの肉体を一撃で消滅・蒸発せしめた。
・神級:『
自らの切り離した腕(竜組織)を触媒とし、空中に全長百メートルを超える雷光の巨鯨を顕現させる戦略級召喚・雷魔術。音響衝撃波、広域泥濘化、魔術無効化、超高圧放電を併せ持ち、数万の軍勢を一撃で壊滅させる。
・神級:『神獣化・雷電魔石多頭竜』
自らの全肉体・全魔力を雷電と
『雷魔術以外の使用・開発した魔術体系』
・神級土魔術『
上空に直径数十メートルの超高密度隕石を形成し、重力魔術による極大引力で地上へ叩き落とす戦略級破壊魔術。土魔術における神級の到達点として、ルーデウス自身が命名・理論化した。
・
空中に魔力の幾何学回路を無詠唱で瞬時に描画・多層展開する独自技術。あらゆる魔術の起動・並列処理基盤として汎用的に応用された。
・
外部魔法陣をバイパスとして使用し、人族の肉体限界を超えた魔力出力をタイムラグなしで連続行使する戦闘プロトコル。
・
既存の魔法陣や龍門の容量を、自らの莫大な魔力で力ずくで書き換え、過負荷を吸収する技術。
・
物質や生体組織を魔力情報化して体内に統合・出力、あるいは情報から実体を無から生成する身体改変・再顕現技術。ルーデウス自身の竜化や闘神鎧の分解、五龍将の秘宝の複写、ルードの肉体再構築に用いられた。
・
王竜剣カジャクトの重力操作を極小範囲・無限大密度で発動し、対象周囲の時間軸をコンマ数秒単位で凍結させる。
・
魔力化・取り込んだ物質や肉体の情報構造を書き換え、性質や所有権そのものを改変する技術。
・
対象に刻まれた呪いの構造を力ずくで粉砕する荒技。解呪ではなく破壊であるため、別の形へと変質する(
・
超高粘度の泥沼と土の鋸、重力魔術を組み合わせ、敵を一瞬で地中深くに引きずり込んで無力化する代名詞的魔術。
・
重力魔術を応用し、地盤や建材を瞬時に超高密度へ圧縮・硬化させる土木技術。
・
帝級の解毒魔術と神聖治癒魔術を組み合わせた同時複合行使。四肢の完全再生や進行性の重篤疾患を瞬時に根治せしめる。
『研究・文明的功績』
・無詠唱魔術の学習法と詠唱長大化理論
幼少期の魔力枯渇反復による魔力総量拡張の法則を発見。さらにロキシーと共に無詠唱魔術の習得理論を論文化。執筆時期には「詠唱をあえて長く引き伸ばすことで極小魔力でも高位魔術を発動可能にする」省魔力技術を体系化した。
・近代インフラ・衛生革命
地脈魔力を利用した自動給水システム、ステンレス鋼管による上水道、水洗トイレ、そしてバイオコンポストによる汚水・糞尿の完全滅菌堆肥化技術を開発。ロアの大穴を埋め立て、ごみ処理場として再開発するなど、都市の衛生環境と農業生産力を劇的に向上させた。
・高純度魔力結晶精錬と新エネルギー
ガスロー地方の有害毒ガスを中和・高圧圧縮し、高純度の魔力燃料結晶として精錬する産業を創出。この産業は瞬く間に世界中へと拡大し、それまで顧みられなかった魔大陸の資源価値を飛躍的に押し上げた。これに目をつけた一部の人族勢力が武力による資源の強奪を画策した際には、不死魔王アトーフェを旗頭とする魔族連合にルーデウスが介入し、魔族側の意識統一と防衛力強化を主導。最終的には人族・魔族間の資源利用に関する平和条約の締結にまで導いている。
・活版印刷と教育普及
ナナホシと共に活版印刷機を実用化。妹ノルンの絵本や魔術教本を大量生産し、世界中の識字率を大幅に向上させた。
・国際美術館と彫像芸術
ラノア、アスラをはじめ世界各国に国立美術館を設立。自ら原寸大赤竜像、闘神像、神獣化した
・異世界転移と通信ネットワーク
重力魔術を組み込んだ超高精度転移魔法陣を確立し、ナナホシの日本帰還を達成。さらにリアルタイムで文字情報を同期する『通信石板』を開発し、世界的な情報通信網を敷設した。
『人物・性格・逸話』
・容貌は白髪、右目が
・性格は極めて温厚、親切、誠実で愛妻家。
「家族が幸せに笑って生きるためにこそ、家という器がある」という絶対の信念を持ち、どれほど世界規模の激務にあっても必ず自宅へ帰り、子供たち一人ひとりの話に真剣に耳を傾けた。
・妻たちへの愛情は深く公平であり、エリス、ロキシー、シルフィエット、アイシャの四人を生涯愛し抜いた。
・ドーナツ、そして自作の高濃度蒸留酒『
・子供たちに対する教育方針は徹底して「本人の意志の尊重」であり、政略結婚や家督のための犠牲を子に強いることを何よりも嫌った。長男アルスが自らの意志で武者修行へと旅立った際も、次男ジークハルトが親友と共に危険な辺境開拓へ旅立った際も、本人の選択を全面的に後押ししたと伝わる。
『家族・親族』
父:パウロ・グレイラット(グレイラット剣術道場師範、シャリーア守備軍剣術指南役)
母:ゼニス・グレイラット(治癒術士、元冒険者)
侍女・養母:リーリャ・グレイラット(グレイラット家筆頭侍女)
妹:ノルン・グレイラット(元ラノア魔法大学生徒会長、小説家・絵本作家、ルイジェルドの妻)
妹・第四夫人:アイシャ・グレイラット(国際機関『龍の爪』最高執行責任者)
正妻:エリス・ボレアス・グレイラット(剣神流狂剣派開祖、剣帝)
第二夫人:ロキシー・M・グレイラット(ラノア魔法大学講師・教授、水王級魔術師)
第三夫人:シルフィエット・グレイラット(元アリエル女王護衛術士、魔術師)
長男:アルス・ボレアス・グレイラット(母:エリス/ボレアス家当主、魔剣『
次女:ララ・グレイラット(母:ロキシー/占命魔術師、水魔術師、聖獣レオの主、杖『アクア・ハーティア改』継承者)
長女:ルーシー・グレイラット(母:シルフィエット/政治・学術、ミリス神聖国教皇の妻)
四女:クリスティーナ・グレイラット(母:エリス/アスラ王国 王女)
次男:ジークハルト・サラディン・グレイラット(母:シルフィエット/シーローン開拓者、後の『風神』、大剣『
三女:リリ・グレイラット(母:ロキシー/魔道具工学技術者、汎用魔導鎧開発者)
双子長男:ルーシュ・グレイラット(母:アイシャ/竜人、雷魔術研究者)
双子五女:アイリス・グレイラット(母:アイシャ/竜人、北神流剣士)
『関連人物』
・オルステッド
七大列強第二位『龍神』。ルーデウスの最大の盟友であり、共に
・ペルギウス・ドーラ
『甲龍王』。ルーデウスの芸術性と知性を深く認め、共に異世界の文化を見聞した朋友。
・アリエル・アネモイ・アスラ
アスラ王国国王。ルーデウスと強固な同盟を結び、
・ルイジェルド・スペルディア
スペルド族長。ルーデウスの恩師であり戦友、後に義弟(ノルンの夫)となった。
・アレクサンダー・C・ライバック
北神カールマン三世。『無の世界』決戦を共に戦い抜いた無二の戦友。
・ルード
『機神』パイロット、国際機関『龍の爪』秘書。
・サイレント・セブンスター
異世界からの転移者。ルーデウスの支援を受けて異世界への完全帰還を果たした。
・ザノバ・シーローン
元シーローン王国第三王子、彫刻家。ルーデウスの筆頭弟子であり、共に美術館建設と『機神』開発に携わった生涯の友。
・クリフ・グリモル
ミリス教皇の孫、魔導学者であり、教皇となる。ルーデウスと共に結界・呪い研究を進めた無二の親友。
・アトーフェラトーフェ
不死魔王。ネクロス要塞の主。ルーデウスとは友誼に厚く、魔大陸資源問題においても共闘した。
・キシリカ・キシリス
魔界大帝。ルーデウスに『予見眼』を授けた恩人であり、酒と甘味を共にする長年の飲み友達。
・バーディガーディ
魔王。かつて闘神鎧を纏いルーデウスと死闘を演じたが、後に和解し、無二の酒豪仲間となった。
・パックス
シーローン共和国元首。ルーデウスの介入により共和制移行を果たした盟友。
『参考文献』
・アスラ王国史料編纂室『アスラ王国正史』甲龍暦480年
・ノルン・グレイラット著『大魔術師ルーデウスの冒険』ザノバ人形商会 470年
・ノルン・グレイラット著『夢の悪神と、銀の髪の龍神』ザノバ人形商会 432年
・ノルン・グレイラット著『スペルド族の誇り』ザノバ人形商会 435年
・アイシャ・グレイラット編『龍の爪 世界産業年鑑』龍の爪出版 475年
・ロキシー・M・グレイラット、ルーデウス・ボレアス・グレイラット共著『現代魔術体系と無詠唱の構造』ラノア魔法大学出版 450年
・ジェド・ブルーウルフ著『六面の男を追う——雷神ルーデウスの真実』アスラ王立出版 485年
Side:記者(ジェド・ブルーウルフ)
王都アルス、ボレアス家の豪奢な貴賓応接室。
部屋の中に満ちる静寂が、私の心臓の鼓動をこれでもかというほど大きく響かせていた。
革張りのソファーに座る私の向かい側で、一人の男が私が書き上げたばかりの分厚い羊皮紙の束——『アスラ王国人物録・六面のルーデウス』の草稿を、パラパラと静かにめくっている。
私は喉の渇きを覚えながら、震える声で尋ねた。
「……あ、あの……こんな感じで、いかがでしょうか……ルーデウス様……」
恐る恐る伺いを立てる私の視線の先。
そこにいる人物の姿を直視するたび、私の脳髄は「信じられない」という強烈なめまいに襲われていた。
七大列強の第三位『雷神』。
神話の悪神
歴史の教科書や神話の絵本の中にしか存在しないはずの伝説の怪物が、今、私の目の前で生きて呼吸をし、静かにお茶を啜っているのだ。
しかも——信じられないことに、目の前のルーデウス様は驚くほど若々しかった。
頭頂に輝く美しい白銀の髪、両目に宿る竜の瞳、そして手首に覗くエメラルドグリーンの硬質な鱗。
それらの異形の証を抜きにすれば、その肌の艶やかさや引き締まった肉体の躍動感は、二十代前半の最も脂の乗り切った青年のそれと何一つ変わらない。御年九十八歳とは、到底信じられなかった。
噂には聞いていたし、その内容を書に記している。
かつて魔石多頭竜の細胞と魔力回路を自らの肉体に定着させたという、あの伝説の
その特異な肉体は、自らの身体能力と魔力が極限の『最盛期』に達した瞬間の状態を完全に記憶し、細胞の老化や代謝の劣化がほぼ完全に停止・固定化されているのだという。
私はごくりと唾を呑み込み、胸の中に渦巻いていた禁断の問いを、恐る恐る口にした。
「……失礼を承知でお伺いいたしますが……ルーデウス様。貴方様の『寿命』は……一体どれほど残されているのでしょうか? 人族の限界を遥かに超えて、数百年、あるいは数千年と生き続けられるのでは……」
私の問いに、ルーデウス様は草稿から視線を上げ、少し困ったように眉尻を下げて苦笑した。
「さあね……自分でも正確な寿命なんて分からないよ。理論上は、魔力が枯渇しない限り肉体が老衰することはないのかもしれないけれどね」
ルーデウス様は湯呑みをソーサーに置くと、窓の外の青空を優しげな瞳で見つめながら、静かに、けれど一切の揺らぎのない声で告げた。
「でもね……私は、妻が一人もいなくなった世界を、生き続けるつもりはないんだ」
「え……?」
私の息が止まった。
「エリスも、アイシャも……もう見送った。二人とも、最後まで気丈で、綺麗な顔で逝ったよ」
ルーデウス様の声には、深い喪失の痛みと、それを乗り越えた者だけが持つ穏やかさが同居していた。
「残っているのは、ロキシーとシルフィの二人だけだ。長寿種のロキシーも、長命のエルフの血を引くシルフィも……いつか必ず旅立つ日が来る。私は彼女たちを、最後の一人に至るまで誠心誠意見届けるつもりだ。そして……全員を看取ったその時が来たら、私も自ら命を絶って、彼女たちの後を追うよ」
淡々と、まるで明日の予定を語るかのように紡ぎ出される、自死の宣告。
「そ、そんな……! 龍神オルステッド様や、甲龍王ペルギウス様が絶対に反対されるのでは……!?」
「ああ、あの二人には猛反対されるだろうね。『世界の守護のために生き続けろ』って怒られるかもしれない。でもね……愛する家族が一人もいない世界で、永遠の孤独を生き続けるなんて、私にとっては地獄でしかないからね。そればかりは、私の絶対の自由さ」
世界を滅ぼす力を持つ最強の絶対者が、世界の覇権など微塵も望まず、ただ一人の愛妻家として、家族と同じ時間の中で命を使い切ろうとしている。
その澄み切った覚悟に、私は魂が震えるほどの深い畏怖と感動を覚えていた。
ルーデウス様は手元の草稿の最後のページを閉じると、照れくさそうに頭を掻いた。
「それにしてもジェド室長……これ、ちょっと私のことを良いように書きすぎじゃないかい? 『学問の神』だの『近代工業の父』だの……読んでいるこっちの背中が痒くなってくるよ」
「えっ……? で、ですがルーデウス様……ここに記した内容は、すべて紛れもない事実なのでしょう?」
私の問いに、ルーデウス様は「まあ……」と視線を泳がせた。
「まあ、事実ではあるんだけどね。でも、どれもこれも私一人の力で成し遂げたわけじゃないんだよ。教育はロキシーやノルンがいたからだし、魔導鎧やインフラはザノバやルード、アイシャが実務を回してくれたおかげだ。私が一人で偉そうに踏ん反り返っているように書かれると、気恥ずかしくてたまらないよ」
私は心の中で深く戦慄していた。
(……やはり、事実なのか……!)
誇張でも、後世の神格化でもない。
本物の怪物を目の前にしているという実感が、じわりと背筋を伝っていく。
ふと、私は疑問に思っていたことを尋ねた。
「あの……そもそもルーデウス様は、私が資料室でこの人物録を極秘裏に編纂していたことを、どこでお知りになったのですか?」
国の最高機密として、限られた編纂官だけで進めていた極秘プロジェクトだったはずなのだ。
ルーデウス様は悪戯っぽくニヤリと笑った。
「どこでって……妻のアイシャが統括していた『
(お、恐ろしい……!)
王宮の最深部の極秘情報すら、半日で筒抜け。
この組織にとって、アスラ王国どころか全世界が自分の庭のようなものなのだ。
ルーデウス様は草稿を机の上にトンと置くと、少し困ったような、照れ屋な顔をして私に身を乗り出してきた。
「ねえ、ジェド室長。これ、本当に出版しなければダメかい?アスラ王国資料室の本棚の一番奥に、ひっそりと非公開でしまっておくだけじゃ……ダメかな?」
本気で恥ずかしそうに提案してくるその姿に、私は思わず噴き出しそうになり、慌てて居住まいを正した。
「と、とんでもございません、ルーデウス様!この人物録の出版は、ボレアス家の現当主をはじめとする御子孫の皆様、そしてアリエル女王陛下からの『雷神ルーデウスの真の足跡を、後世のために正しく全世界へ布教せよ』という、たっての遺言でございますので……どうかご辛抱ください!」
「うげぇ……アルスやジークたちにまで読まれるのか……絶対にからかわれるよ……」
ルーデウス様は両手で顔を覆い、本気で項垂れていた。
世界を震撼させる最強の雷神でありながら、誰よりも照れ屋で、誰よりも家族を愛する一人の男。
その人間味あふれる温かな横顔を目の当たりにし、私は確信した。
この人物録を世界へ送り出すことは、歴史家としての私の生涯において、最も誇らしい仕事になるだろう、と。
私は深く一礼し、机の上の大切な原稿を胸に抱き寄せたのだった。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。
この人物禄が一旦の最終話となります。
何か新しい話が思い浮かんだら、時間を戻すことになりますが、新たなエピローグとして書き加えようと思います。
長編にお付き合いいただき、感謝申し上げます。