無職転生 ~性格改変_エンジニアリング視点での魔術構築~ 作:haru-ha
【設定について】
本作は『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の二次創作小説です。
pixivに掲載していた小説(完結済)のセルフ転載となります。(所々、追記・修正しています)
以下の独自設定(IF設定)を含みます。
・原作と違って、元々存在していたルーデウスの自我は失われず、そこに「ある男」の記憶だけが継承されたという解釈で執筆しています。
・そのため、原作のルーデウスとは性格や口調、判断基準が異なります。
【注意事項】
・原作のストーリー改変(生存IFなど)が含まれる可能性があります。
・キャラの独自解釈、および設定の捏造が含まれます。
・原作全編のネタバレに配慮しておりません。
なんでも許せる方のみ、お進みください。
Side: ルーデウス
朝焼けの朱色が地平線を染め、冷たい風が私の頬を打つ。私は風魔術による慣性制御を利かせ、王竜王国の首都へと向かって静かに空を滑空していた。
高度を維持しつつ、私は右目の
広大な大地から立ち上る無数の魔力反応。その中から、周囲の風景を歪めるほどに強大で、かつ鋭利な「核」を探し出すのは造作もない作業だった。この捜索方法では相手が強力なほど見つけるのが容易になる。
「……見つけた」
街の外れ、街道へと続く森の入り口付近に、一点の巨大な魔力の澱み。
私は急速に高度を下げ、風のクッションで衝撃を殺しながら、その男の眼前に着地した。
銀色の髪を朝露に濡らし、返り血一つ浴びていない端正な顔で歩み寄ってきたのは、他ならぬ龍神オルステッドだった。周囲の木々は不自然なまでに静まり返り、まるでこの一角だけが世界から切り離されているかのような、重い静寂が漂っている。彼が通った後には、そういう気配が残るのだと、今更ながらに実感した。
「オルステッド」
名を呼ぶと、彼は足を止め、鋭い三白眼を私へと向けた。
「ルーデウスか」
「はい。たった今、後始末を終えてきました」
オルステッドは無表情のまま、私の全身を一瞥した。私の腕の鱗や鋭い黒爪の状態、そして魔力の残量をスキャンしているのだろう。
「シーローン王国はどうした。パックス・シーローンの安否は?」
「危ない場面は多々ありましたが、なんとかパックス陛下の生存は確保しました。現在は『死神』ランドルフ殿、そしてザノバ、ロキシーの三名に護衛を任せています。王城内の安全は当面の間、保証されるでしょう」
「……そうか。ランドルフ・マリーアンは、使徒ではなかったか」
「ええ。彼とは少し話をしましたが、極めて理性的で、主君への忠義も純粋なものでした。彼が使徒であれば、とっくにパックス陛下は暗殺されていたはずです」
私の報告に、オルステッドは僅かに頷いた。
「その代わり、と言っては何ですが。……ジェイド将軍が使徒でした」
「ジェイドだと?……それで、殺したのか?」
「いいえ。殺すまでもなく、彼は
私はそこから、この数日間の詳細な経緯をオルステッドへ共有した。
カロン砦での戦争。その裏で進行していたジェイド将軍によるクーデター。そして、地下通路を通った潜入と、ジェイドの身柄確保。
「……なるほど。ジェイドを駒として、パックスを物理的・精神的に追い詰める算段だったわけか。……ところで、ルーデウス。先ほど、シーローンの方角から、この王竜王国まで届くほどの強烈な魔力反応を感じたが……。お前の仕業か?」
オルステッドの問いに、私は少しだけ肩をすくめた。
「北の国々の連合軍が、弱ったシーローンを食い荒らそうと進軍してきていたので。……少しばかり、『掃除』をさせてもらいました。神級と定義した新術式の良い実験台になってくれましたよ」
「……神級、か。相変わらず、お前の成長曲線は俺の予測を超えてくるな」
オルステッドは僅かに感嘆を含んだ溜息を吐くと、自らが滞在していた王竜王国の状況についても情報を共有してくれた。
「こちらの始末も終わった。王竜王国の国王、レオナルド・キングドラゴン。奴が
「……国王自らが、ですか」
「ああ。
オルステッドの冷徹な言葉。
これで、
「国王レオナルド、そしてジェイド将軍。……残る一人は誰でしょう?まだシーローン国内に潜伏している可能性が高いですか?」
「その可能性は否定できん。使徒が必ず三人いるとも限らん。確認が必要だ」
オルステッドは、地平線の彼方に霞むシーローンの方向を見据えた。
「オルステッド。……もしよろしければ、このまま私と共にシーローンへ戻りませんか?ロキシーに転移魔法陣の座標を持たせてあります。一瞬で王城まで戻れますよ」
「助かる。すぐに向かおう」
「了解しました」
まだ太陽が地平線の向こう側に微かな予兆を滲ませている、朝の早い時間。私は王竜王国の郊外で合流したオルステッドと共に、シーローン王国の王城へと帰還するための術式を起動した。
転移の先は、王城内にあるロキシーに与えられた部屋だった。
光が収束し、視界が戻った瞬間、ベッドで眠っていたロキシーが飛び起きて、目を丸くさせた。
「――っ!?ルディ!?……それに、龍神オルステッド様!?」
「朝早くにすまない、ロキシー。驚かせてしまったね」
私は寝間着姿の彼女を安心させるように、穏やかな声をかけた。
実は、彼女に持たせていたあの『簡易魔神鎧』には、魔術的な細工を施してあったのだ。それは単なる防具ではなく、私の魔力にのみ反応する『移動用の中継座標』としての機能を備えている。ロキシーがピンチに陥ったときには即転移できるようにしていた。
「いざという時に、いつでもロキシーの元へ駆けつけられるように……という保険だったのだが。今回は帰還に利用させてもらった」
「あ、そういうことだったんですね……。びっくりしました。でも、無事に合流できたようで良かったです」
ロキシーが安堵の息を漏らした直後、扉が勢いよく開け放たれた。
「何事だッ!!」
部屋に飛び込んできたのは、骸骨のような風貌の騎士、ランドルフだった。彼は殺気立った様子で室内を見渡したが、そこに立つオルステッドの圧倒的な威圧感――たとえ呪いが軽減されていようとも、強者であるほどに察知してしまう死の気配、それをキャッチしたのだろう。ランドルフの身体が、一瞬で硬直した。
「ランドルフ殿、剣を収めてくれ。彼は私の仲間であり、パックス陛下の協力者だ。……陛下には、朝食前の時間を少しだけいただけないかと伝えてもらえるか?昨夜の戦果を含め、重要な話をさせていただきたい」
私の言葉に、ランドルフは冷汗を拭いながらも、静かに頷いた。
朝食を控えた静かな謁見の間にて、私たちはパックス陛下、そして彼の側に寄り添うベネディクトと向き合った。
オルステッドの手首には、私が制作した『呪い軽減の腕輪』が巻かれている。それでもなお、目の前に立つ伝説の龍神という存在に、パックス陛下は椅子に深く沈み込むようにして身を竦ませていた。
「パックス陛下。……まずは報告です。カロン砦を迂回し、王都へ迫っていた北の国諸国連合軍ですが。……私の魔術によってほぼ壊滅させました」
「……何だと?」
パックスが驚愕に目を剥く。
「ジェイド将軍の率いる軍勢は、残党の掃討と戦後処理に使われるでしょう」
「……本当なのか、それは。……数千、いや数万はいたはずの軍勢を、たった一晩で……。ザノバがいつも言っていた『師匠は最強だ』という言葉は、大袈裟な戯言だと思っていたが……。まさか、本当だとはな……」
パックスは自嘲気味に笑い、それから視線をオルステッドへと移した。
「……龍神オルステッド。……ルーデウスを余の元へ派遣してくれたこと、感謝する。こいつがいなければ、余はこの城と共に瓦礫の下に埋もれていたところだ」
オルステッドはその感謝に対し、特に感情を動かす様子もなく、ただ淡々と、一国の主への忠告を口にした。
「……気にするな。パックス・シーローン。貴様がこの国を繁栄させたければ、……武力だけでなく、商人を頼れ。……それだけが、国を真の意味で強固にする唯一の手段だ」
パックスはその言葉を、重い真実として受け止めるように深く頷いた。
その時、ランドルフが謁見の間に入ってきた。
「皆様、失礼。……よろしければ、朝食を共にいかがですか?丁度、私が腕によりをかけて作った料理が完成したところでしてね。陛下の命を救ってくださった皆様へ、せめてものお礼をさせてください」
死神の意外な申し出に、ザノバとロキシーは顔を見合わせた。
食事の間に備え付けられた食卓。そこに並べられたランドルフ殿の自慢料理は、正直に言って……形容しがたいものだった。
深い紫がかった煮込み料理には、見たこともない香辛料が振りかけられ、その表面はぬらりと光沢を放っている。付け合わせの野菜は原形を留めぬほど細かく刻まれ、皿の縁には得体の知れない緑色のソースが渦を巻くように盛り付けられていた。
「……何ですか、この匂いは」
「……見た目も、その、随分と毒々しい色をしていますが……」
ザノバとロキシーは、皿から漂う魔大陸風の刺激的な臭気に、顔を引き攣らせて完全に引いている。
だが、魔大陸での生活経験がある私と、世界を巡っているオルステッドにとっては、それはどこか懐かしさすら覚える香りだった。
「いただきます」
私は迷わずフォークを口に運んだ。
……味は、複雑だ。スパイスの奥に深い旨味があり、最初は驚くが、食べ進めるうちに癖になる、そんな独特の魅力があった。噛むごとに香りの層が変化していき、最後には仄かな甘みすら感じられる。オルステッドも、無言で、けれど止まることなく料理を口に運んでいる。パックス陛下も、ベネディクトの世話をしながら美味しそうに食べていた。
「美味いな、ランドルフ殿。……癖は強いが、もう一口食べたくなるような、不思議な中毒性がある」
「おお、そう仰っていただけると、料理人冥利に尽きますなぁ!」
ランドルフは、骸骨のような顔をこれ以上なく嬉しそうに崩して笑った。
「……し、師匠。無理をなさらずとも……」
引き続き皿の中身を凝視したまま固まっているザノバに、私は苦笑を返した。
「ザノバ、味自体は本当に美味しいぞ。見た目と臭いにさえ慣れれば分かる」
「……分かりました。見た目だけで判断してはなりませぬな……」
意を決したように、ザノバが一口をすくって口へ運ぶ。その表情が、驚きから徐々に感心へと変わっていくのを、私は横目に楽しく眺めていた。ロキシーの方は、まだ皿の端の方から慎重に、少しずつ攻略を進めているようだった。
「ランドルフ殿。……一つアドバイスをさせてくれ。この味そのものは素晴らしいが、やはり見た目と匂いが、多くの人にとっては拒絶の対象になってしまっている。……ここを改良すれば、広く一般の民や貴族にも受け入れられる美食となるはずだ。先ほどオルステッドが言ったように、商人との関わりを持つつもりなら、彼らの嗜好を研究し師事してみるのが良いだろう」
「なるほど、見た目の改良と商人への弟子入り……。盲点でしたな。勉強になります」
ランドルフは、私の言葉を忘れないようにと、懐から取り出した手帳へ生真面目な様子でメモを取り始めた。
朝食を摂った後、私はオルステッドと共に、シーローン王国の主要な官僚や貴族たち、そして捕らえた反乱軍の幹部たちへの検分を完了させた。もはや彼らに反抗する意思はないようで、非常にスムーズに検分が進んだ。
私の
「……これで、シーローンにおける任務は完了ですね」
「ああ。これより先、王竜王国の軍事的介入さえ抑え込んでおけば、パックスの統治は安定する。私は一度、シャリーアへ戻ることにする」
オルステッドの言葉に従い、私は彼をラタキア近郊に設置した自前の隠し拠点へと案内した。
人目を避け、静かな街を二人で歩く。早朝の市場には、まだ戦乱の傷跡を色濃く残しながらも、少しずつ開店の準備を始める商人たちの姿があった。誰もが、隣に歩く男が今しがた一国の王を暗殺してきた龍神だとは、夢にも思っていないだろう。
「オルステッド。一つ、今回の任務の『真意』について伺ってもよろしいでしょうか」
「……真意だと?」
「はい。パックス陛下を助けることが、将来的にシーローンが強国となるためのフラグである……というお話でしたが。……先ほど、あなたが彼に『商人と交流せよ』と具体的に助言されたことが少し気になりまして。……単なる国力増強以上の、もっとピンポイントな目的があるのではないですか?」
私の推論に、オルステッドは歩みを止めることなく、僅かに感心したように目を細めた。
「相変わらず、察しが良いな。……お前の言う通りだ。パックス・シーローンという人物を存続させることには、もう一つのより重要な意味がある」
オルステッドは、数多のループで培った膨大なデータベースの一部を開示した。
「私の知る歴史では、パックスが共和国を樹立した後、彼はある一人の人物を重用することになる。……ボルト・マケドニアスという名の奴隷商人だ。そして、そのマケドニアスの子孫から……八十年後、魔神ラプラスが再誕する」
「……っ、魔神ラプラスの依代ですか」
「そうだ。ラプラスがいつ、どこに生まれてくるか。……それが事前に予期できているかどうかは、俺の戦略において決定的な差異を生む。……パックスが死に、歴史が不透明化すれば、魔神がどこで復活するか分からなくなる。……ラプラスが現れるのは、ループにおける終盤だ。……もちろん奴には勝てるが、
その情報の重みに、私は思わず言葉を失った。
八十年後。今この瞬間、まだ生まれてもいない一人の男の血筋の先に、あの魔神が眠っている。歴史というものが、これほどまでに繊細な糸で編まれているのだという事実に、背筋が僅かに冷えるのを感じた。
(なるほど。……パックスを生かすことは、魔神ラプラスの発生ポイントを固定し、オルステッドの魔力消費を最小限に抑えるためだったか)
「一つ確認させてください。……マケドニアスという男自体は、どのような人物なのですか?未来において、私たちが接触すべき対象になるのでしょうか」
「今はまだ、ただの野心のある商人に過ぎん。……お前が動くべき局面ではない。奴の系譜が正しく続くよう、遠くから見守るだけで良い。焦って介入すれば、かえって因果を歪める」
「……承知しました。この件については、静観に徹します」
「パックスが生きていることで、俺は魔神の出現を正確に待ち伏せできる。……ルーデウス。今回、お前が奴の暗殺を防いだことは大きな成果だ。改めて、よくやったと褒めておこう」
「光栄です。お役に立てたのなら何よりだ」
私は自らの右腕に刻まれた鱗を撫で、次なる一手を提案した。
「……ところで。この件、甲龍王ペルギウス様に共有してもよろしいでしょうか?」
「…………」
オルステッドの眉間に、不快そうな皺が寄る。
「……ペルギウスも協力はするだろうが。……だが、奴はいずれ俺の敵になるかもしれん存在だ。五龍将の秘宝。あれを回収する際に、奴を殺さねばならぬ日が来る」
「それについてですが。……もし、私が現在進めている『秘宝の解析と複製』が成功したならば、殺さずに目的を達成できるはずです。その目途が立ち次第、彼と話をしたいと考えています」
「……なぜ、そこまでしてペルギウスを巻き込もうとする?」
「合理的だからですよ」
私は淡々と答えた。
「魔神ラプラスを確実に、かつ効率的に殺すという点において。……かつて一度奴を封印した経験を持つペルギウス様は戦力になります。そして何より、
「……仲間、だと?」
「はい。
オルステッドは、驚愕に目を見開いた。
何万年という途方もない時間を、ただ独りきりで戦い抜き、……他者を「必ず敵対する者」として切り捨て続けてきた彼にとって、周囲を味方として強固に結びつけ、物量で神を圧倒するという発想はまさに盲点だったのだろう。
「……ハッ。……ハハハ……!!」
オルステッドは、無表情な仮面をかなぐり捨てて、短く、けれど愉快そうに笑い声を上げた。
「……面白い。お前のその作戦、試してみる価値はありそうだ。やってみろ、ルーデウス・グレイラット。……俺が、後ろから見届けてやろう」
「了解しました。では、シャリーアにお送りします」
隠し拠点の地下。青白く光る転移魔法陣を起動した。
私は再びシーローン王国の王城へと戻ってきた。
城内は、昨日の喧騒が嘘のように静まり返っていた。反乱の首謀者であったジェイド将軍は、現在戦後処理に当たっており、まだ城には戻っていない。だが、北の国諸国連合軍が「跡形もなく消失した」という報告は、既にパックス陛下の元へ届いていた。
私は最上階の執務室を訪れ、窓の外を眺めていたパックス陛下に声をかけた。
「パックス陛下。……明日の早朝、私はこの国を発ちます」
パックス陛下は振り返り、その目に複雑な色を浮かべて私を見つめた。
「……そうか」
彼は椅子に座り直し、組んだ手の上に顎を乗せた。
「ルーデウス・ボレアス・グレイラット。……貴様に一つ聞きたい。アスラ王国の守護神などという、窮屈な立場に不満はないか? あそこは伝統と格式ばかりが重んじられる、風通しの悪い国だろう?」
「……不満、ですか。特に感じたことはありませんが」
「アスラを捨て、このシーローンに来る気はないか?望む地位も、研究費も、余が責任を持って用意しよう。貴様ほどの力があれば、この国を世界一の強国にすることさえ容易いはずだ」
異例の勧誘だった。一国の王が、他国の重鎮を公然と引き抜こうとしている。だが、私の答えは既に決まっている。
「……身に余る光栄ですが、お断りさせていただきます。アスラのアリエル女王には多大なる恩義がありますし、何より、私には守るべき家族がいます。……私の帰る場所は、あそことシャリーアの自宅だけなのです」
パックス陛下は、私の迷いのない返答を聞くと、小さく溜息を吐いて肩を落とした。
「……ふん。やはりそう答えるか。貴様ならそう言うだろうと分かっていながら、つい口に出てしまった。残念だよ、実に」
彼はあっさりと引き下がった。今の彼には、無理に他者を縛り付けても真の忠誠は得られないということが、理屈ではなく経験として分かっているのだろう。
話題は、パックス陛下の横で静かに控えていたザノバへと移った。
「ザノバ。……お前はどうするつもりだ?ルーデウスと共に、今すぐシャリーアへ帰るのか?」
私は、隣に立つ弟子の顔を覗き込んだ。
「ザノバ。君の意思を聞かせてくれ」
ザノバは一歩前に出ると、パックス陛下に向かって深く、重厚な一礼を捧げた。
「……陛下。余は、……いえ、私は、あと数ヶ月はこの国に留まるつもりです。これからのシーローンは、戦後の復興と外交交渉で、かつてないほど多忙を極めるでしょう。ジェイド将軍だけでは手が足りぬはず。……不肖の兄ながら、この身を以て陛下の手足となり、泥を被る覚悟にございます」
「ほう……。余を手伝うというのか」
「はい。そして、この国の基盤が整い、私の役割が終わった暁には、……私は正式に王族の籍を離れ、一人の人形師としてシャリーアへ帰ろうと考えております」
「……籍を離れる?なぜだ?」
パックス陛下が眉を寄せた。ザノバは穏やかな、けれどどこか寂しげな笑みを浮かべて答えた。
「今回の戦いで、私の武名が民や兵に広まりすぎてしまいました。『神子』でもある私がこのまま王族としてシーローンに居座り続ければ、将来的に陛下の治世を妨げる火種、あるいは担ぎ上げられる神輿になりかねませぬ。……それは、私の本意ではありません」
ザノバの、自己犠牲にも似た合理的な提案。
彼は、愛する弟が築こうとしている新しい国の未来を守るために、自らの故郷での身分を、その居場所そのものを、自ら消去しようとしていたのだ。
しかし、その言葉に真っ向から待ったをかけたのは、他ならぬパックス陛下だった。
「――寝ぼけたことを言うな、ザノバ!!」
激しい怒声が室内に響いた。驚愕に目を見開くザノバに対し、パックス陛下は椅子を蹴らんばかりの勢いで立ち上がった。
「王族を辞めるだと!?貴様、余を誰だと思っている!余はパックス・シーローンだ!この国の歴史を塗り替え、すべての邪魔者を叩き潰して頂点に立った男だぞ!!」
パックス陛下はザノバの胸ぐらを掴まんばかりの距離まで詰め寄った。
「……いいか、よく聞け。貴様を王に担ぎ上げようなどという不届きな考えが、誰の頭にも浮かばぬほどに、余がこの国の政治を完璧に安定させてみせる!民も兵も、余以外の王など想像すらできぬほどに、圧倒的な王として君臨してやる!!」
「陛下……」
「貴様がそんなことを考える必要がなくなるほど、余が立派にやってみせると言っているんだ!だから、余計な気遣いなどして逃げようとするな!……今はまだ、お前を歓迎する余裕はないがな。数年、いや十年経って、この国が真の意味で豊かになったとき……」
パックス陛下は少しだけ照れくさそうに顔を背け、ぶっきらぼうに付け加えた。
「……お前がいつでも帰ってこられる『兄としての席』くらいは、余が用意しておいてやる。それまでシャリーアで、精々人形で遊んでいろ」
ザノバは、その言葉を信じられないといった様子で反芻していた。
身内を殺し、孤独な王座を選んだはずの弟。
その弟が、不器用ながらも、自分にだけは「家族」としての居場所を残そうとしてくれている。
「……っ……、はは……」
ザノバの目から、一筋の涙が零れ落ちた。
彼は、これまでの人生で一度も見せたことがないような、純粋で、温かな、そして救われた者の笑顔で微笑んだ。
「……有難き、幸せにございます。……パックス陛下。……我が、自慢の弟よ」
二人の間に流れる時間は、もはや憎しみでも利用価値でもない、確かな「絆」へと書き換えられていた。
私はその光景を眺めながら、心の中でオルステッドの予測した『シーローン共和国』の萌芽を見た気がした。
王を支える神子。そして、兄を愛する王。
この二人が手を取り合う未来なら、
「さて。……それじゃあザノバ。数ヶ月後、シャリーアで君の帰りを待っているよ」
「……はい、師匠!必ずや、一回り大きくなった姿でお会いしましょう!!」
私は満足げに頷き、夕暮れに染まるシーローンの地を、最後にもう一度だけ見渡した。
シーローン王国での一連の動乱を鎮圧し、ザノバとパックスの間に新たな信頼が構築されたのを見届けた私は、その足で魔法都市シャリーアへ……ではなく、一度アスラ王国へと向かうことにした。
今回のミッションの同行者であるロキシーと二人、まずはアリエル女王へ事の顛末を報告しておく必要があると判断したためだ。情報は鮮度が命であり、特に国家間の武力衝突が絡む案件は、速やかな情報共有が望ましい。
私たちは王都アルスにある、以前アリエル様から功績の対価として譲り受けた屋敷の隠し部屋へと転移した。
室内の魔力密度を測定し、異常がないことを確認してから、私はアリエル女王への公式な面会依頼を送った。
「……さて。返答が来るまで少し時間がある。ロキシー、食事に行かないか?」
「ええ、喜んで。ルディのおすすめがあるのですか?」
「ああ。以前、ノルンの機嫌を直すためにルークに教えてもらったレストランがあるんだ。あそこのスープは絶品だった」
私はロキシーの手を取り、夕暮れ時の王都へと繰り出した。
案内したレストランは、相変わらず洗練された内装と、適度なプライバシーが保たれた良質な空間だった。
運ばれてきた料理を口にしながら、ロキシーはどこか遠くを見るような、物思いに耽る表情を見せていた。
「ルディ。……今回のシーローンでの戦い。パックス様の変貌もそうですが、やはり『戦争』という事象は、人の精神に強烈な負荷をかけますね。……私自身もどこか神経が高ぶっているのが分かります」
「……ロキシー。それは、戦場という極限状態に置かれたことで、一時的な興奮状態なっているのかもしれない……無理に抑え込む必要はないよ」
「……そうですね。でも、それだけではないんです」
ロキシーはワイングラスを見つめ、少しだけ声を潜めた。
「……シルフィもエリスも、もう新しい命を授かっているでしょう? 私だけが、まだ……。それが、今回の戦いでの高揚感と混ざり合って、なんだか……とても、落ち着かないんです」
彼女の瞳に宿る、静かな、けれど熱を帯びた独占欲。
その言葉の意味するところを、私の鈍い恋愛演算回路もようやく正しく読み取ることができた。
その夜、屋敷に戻った直後。
ロキシーの「精神的な高ぶり」は、物理的な熱量となって私に襲いかかってきた。
堰を切ったように溢れ出す彼女の情熱。
もはや、それは「交流」という生温いものではなく、自らの存在を私の中に刻み込もうとする強烈な「上書き」に近い。
「……ルディ、……ルディ……ッ!!」
竜人化した私の強靭な体力、そして
私はその圧倒的な情動の奔流を、ただ受け止めることしかできなかった。
翌朝。私は腰に僅かな重みを感じながらも、ロキシーを伴って王城シルバーパレスへと登城した。
案内されたのは、広大な謁見の間ではなく、アリエル女王の私室だった。
扉を開けると、そこには案の定、執務机に積み上がった書類の山に埋もれ、幽霊のようにやつれたアリエル女王の姿があった。
「ルーデウス様……。お待ちしておりましたわ……」
「……お久しぶりです、アリエル様。随分と、……その、……お疲れのようですね」
「ええ。お察しの通りです。……ところで、ルーデウス様。……今日は、シルフィも……ノルンも……連れてきてはくださらなかったのですね……」
アリエルは、私が連れているのがロキシー一人であることを確認すると、目に見えてがっかりと肩を落とした。彼女にとって、あの王権争奪戦を共に戦い抜いたシルフィや、無垢な温もりを持つノルンは、枯渇した精神を癒やすための「最高級のバッテリー」なのだ。
「……申し訳ありません。シルフィは子育ての真っ最中でして。ノルンも生徒会が忙しく。……もし良ければ、私が身代わりになりましょうか?恩のあるアリエル様のためなら、抱きしめられるくらいは我慢しますよ」
私が冗談めかして(けれど半分は本気で)提案すると、背後に控えていたルークと侍従たちが、苦笑いしながら割って入った。
「ルーデウス、その申し出はありがたいが。……君のその鱗や黒爪は、今のアリエル様を癒やすどころか、不用意に触れれば物理的に傷つけてしまう恐れがあるからね。……やめておきたまえ」
「……そうですわね。陛下が求めておられるのは、もっと……柔らかく、可憐な癒やしですもの」
ルークと侍従にやんわりとリジェクトされた私は、肩をすくめて引き下がった。
だがその時。アリエルの虚ろな瞳が、私の隣で所在なげにしていたロキシーを、じっと、獲物を定める狙撃手のような鋭さで射抜いた。
「……?アリエル様、何でしょうか」
「…………。……ルーデウス様の、師匠で奥方、……でしたわね」
「え、あ、はい。ロキシー・ミグルディア・グレイラットと申します」
ロキシーが慌てて居住まいを正す。
「……シルフィほど柔らかくはないかもしれませんが。……この、凛とした冷たさと、微かに漂う魔力。……ふふ。……これは、新しい境地かもしれませんわ……」
「……え? ちょ、ちょっとアリエル様!?」
ロキシーの困惑を無視して、アリエルは吸い寄せられるように彼女に歩み寄り、そのまま彼女を抱き寄せて自らの膝の上に乗せてしまった。
「ああ、……これはこれで……。良いものですわね……」
「……あ、あうっ。……あの、私はこの中で一番年上なのですが……。ル、ルディ! 助けてください!!」
首筋に鼻を寄せられ、小さな悲鳴を上げるロキシー。
だが、私は彼女から向けられた必死の助けを求める視線を、お茶を一口啜ることで静かにスルーした。
女王の精神的再起動のためだ。ロキシーには、ここは一つ「バッテリー」として機能してもらうのが最も合理的だ。
アリエルがロキシーの「充電」にある程度満足し、ようやく対話が可能な状態まで復旧したのを確認し、私は今回のシーローンでの動乱について詳細な報告を開始した。
「……シーローン王国におけるパックス陛下によるクーデター、およびジェイド将軍の反乱。それに関する一連の記録です」
私は、カロン砦での戦争、城内でのクーデター発生の経緯、そしてジェイド将軍の拘束と、彼が
さらに、私が独自に開発した神級魔術『白鯨』を用い、数万の連合軍を一瞬で殲滅したことも付け加えた。
「……なるほど。シーローン辺りが騒がしくなっているという情報は掴んでいましたが、そこまで徹底的に……文字通り『掃除』をされたのですね。ルーデウス様、貴方の武力はもはや、一国家の軍隊という定義すらも無意味にさせる」
アリエルは畏怖と感嘆の混ざった溜息を吐いた。だが、彼女が最も驚愕を示したのは、別のデータだった。
「……龍神オルステッドが、王竜王国の国王、レオナルド・キングドラゴンを暗殺した、……と?」
「はい。龍神が直接手を下しました。パックス陛下を追い詰めるための『不確定要素』を、根源から断つために」
アリエルの顔から、一瞬で余裕が消えた。
王竜王国はアスラ王国には及ばないものの、この大陸において無視できない国力を持つ大国だ。そのトップが交代したという情報は、国際政治のバランスを激変させる特大の爆弾に等しい。
「……凄まじい情報ですわ。……龍神が自ら動いたとなれば、王竜王国の混乱は当面続くでしょう。……ですが、あそこは基盤が強い国。すぐに次代の王が立ち、体制は立て直されるはず。……ルーデウス様。確認ですが、貴方は今回の暗殺に直接は関与していませんのね?」
「ええ。私はシーローンでの防衛と殲滅に専念していました。王竜王国の件は、あくまで龍神個人の判断と行動です」
「……そうですか。安心いたしました。貴方の手が直接あちらの血に染まっていないのであれば、アスラ王国としても外交上の懸念は最小限で済みますわ」
アリエルは胸を撫で下ろし、目に見えて安堵の表情を見せた。
「……素晴らしい成果ですわ。ルーデウス様、今後も世界に大きな変異の兆しが現れたなら、真っ先に私へ届けてください。貴方の得た情報こそが、アスラを正しい未来へと導く道標になるのですから」
「承知いたしました。オルステッドの秘匿事項に触れない範囲で、最大限ご協力しましょう」
その後、アリエルは機嫌良さそうに(そしてロキシーを膝に乗せたまま)、シルフィとの子供たちの様子について尋ねてきた。私は親バカな部分を隠そうともせずに家族の成長を語り、私的なお茶会は穏やかな空気のままお開きとなった。
ただ一点。
解放された後のロキシーが、これまで見たことがないほど恨みがましい、底冷えのするような視線を私に向けていたことだけが、今回の任務の唯一の計算違いだった。
館に戻った後。
「ルディ、……よくもあんな恥ずかしい目に遭わせてくれましたね。……お仕置き、……まだ、足りていなかったのでしょう?」
微笑みながらも瞳の奥が笑っていないロキシーによって、再び「エネルギーの過剰抽出」が開始されたことは、言うまでもない。
明日、シャリーアに戻るための転移魔法陣を起動する際、私の魔力残量が底を付いていないことを祈るばかりだった。
ロキシーを魔法都市シャリーアの自宅へと送り届け、家族の無事を確認した後、私は単身で空中城塞ケィオス・ブレイカーを訪れた。獲物を狙うような目つきのエリスとシルフィ、更にはアイシャから逃げ出したわけではない。
転移魔法陣を抜けた先、冷涼で澄んだ空気が肺を満たす。
案内されたのは、広大な謁見の間ではなく、以前アルマンフィ殿の像を納めた、ペルギウスお気に入りの美術品が並ぶ個室だった。
壁際には、以前ザノバと共に磨き上げた彫像の他にも、見覚えのない新しい絵画が数点、丁寧に飾られている。誰かから献上されたものか、あるいはペルギウス自身が新たに見出した才能の作品か。相変わらず、この部屋の芸術に対する審美眼だけは徹底している。
室内で待機していると、ほどなくして背後の扉が開いた。
現れた甲龍王ペルギウス・ドーラは、私の姿を認めると、まずはその鋭い視線を周囲へと巡らせた。
「……ルーデウスか。ザノバはどうした?貴様と共に帰還したのではないのか」
その声音には、明確な不信と、隠しきれない懸念の色が混ざっていた。
ペルギウスはザノバを、単なる一国の王子ではなく、芸術を解する数少ない友として高く評価している。その彼が隣にいないという事実に、内心穏やかではいられないのだろう。
「ご安心ください、ペルギウス様。ザノバは無事です。ただ、現在のシーローン王国は戦後処理と新体制の構築で、文字通り猫の手も借りたい状況でしてね。彼は数ヶ月ほどパックス陛下の補佐として現地に留まることを選択しました。お借りしていた防御用魔術具は、彼が戻る際に責任を持って直接お返しに伺うとのことです」
「……ふん、あやつめ。余計な気遣いなどしおって。……無事であるなら、それでよい」
ペルギウスはぶっきらぼうに吐き捨て、椅子に深く身を預けた。
一見すれば不機嫌そうにも見えるが、その肩の力が僅かに抜けたのを私は見逃さなかった。
ルイジェルドやオルステッドという、感情の出力を最小限に抑えた「無表情の達人」たちと長年付き合ってきたおかげで、今の私には相手の僅かな魔力の揺らぎや微細な筋収縮から、その本音を読み取るスキルが備わっている。
「……それで。シーローンでの顛末、聞かせてもらおうか。アリエルにも報告したのだろう?」
「はい。アリエル女王には既に概要を伝えてあります。……ペルギウス様、貴方にも今回の任務の情報を共有させていただきます」
私は、カロン砦での周辺諸国連合軍との会戦、ジェイド将軍によるクーデター、そして神級魔術の実地試験を兼ねた連合軍の殲滅について、順を追って説明した。
伝説の英雄であるペルギウスは、私の語る戦況の変化や魔術の行使プロセスに対し、時折鋭い相槌を打ちながら真剣に耳を傾けていた。特に、私が自らの左腕を触媒として『白鯨』を顕現させた下りでは、僅かに片眉を上げ、「……その発想、正気の沙汰ではないな」と、珍しく感嘆とも呆れともつかない呟きを漏らしていた。
一通りの報告を終えると、ペルギウスは金色の三白眼を細め、核心を突く問いを投げかけてきた。
「……ルーデウスよ。貴様のその異常なまでの献身。それは龍神オルステッドの指示によるものだな?あの男、一体何を企んでいる。……単なる一国家の存続など、奴にとっては取るに足らぬ事象のはずだが」
「その点については、現時点では詳細な情報共有は控えさせてください。龍神の秘匿事項に触れる可能性がありますので」
「む……。我を蚊帳の外に置くか」
ペルギウスの気配が、僅かに峻烈なものへと変わる。
「だがな、ルーデウス。……龍神が動くということは、この世界の根幹を揺るがす何かが胎動しているということだ。それはもはや、我にとっても他人事ではないのだぞ。貴様たちが何を敵と見なしているのか、教えろ」
私は沈黙した。
オルステッドとの守秘義務。だが、ペルギウスという強大なリソースを味方に引き入れることは、今後の「仲間づくり」戦略において不可欠な工程だ。
私は言葉を選び、情報の断片を提示することにした。
「以前も申しました通り、私たちの動き、その最終的な目的は。……
ペルギウスは黙って私の言葉を待つ。
「そして……。その過程において、『魔神ラプラス』討伐も、避けては通れぬ事項として含まれています」
「ラプラス討伐だと!?」
ペルギウスが椅子を蹴らんばかりの勢いで身を乗り出した。
その反応は、これまで幾度となく見てきた彼のどんな表情よりも激しいものだった。四百年もの間、この空中城塞に籠り、いつか復活するであろう宿敵の気配だけをひたすらに監視し続けてきた男。その執念の深さを、私は今更ながらに肌で感じ取った。
ペルギウスが地上を監視する理由、それは魔神ラプラスが復活し次第、抹殺するために他ならない。
私は言葉を続ける。
「魔神ラプラスがいつ、どこに再誕するのか。既にオルステッドは予測しています。……私は、その日のために力を蓄え、そして『仲間』を集めることにしました」
「仲間、だと?」
「はい。
私はペルギウスの瞳を真っ直ぐに見つめ、一歩も退かずに告げた。
「ペルギウス様。貴方は、ラプラスを殺すという一点において私たちと目的を同じくしています。……オルステッドの許可が出次第、すべての詳細を共有させていただきます。その時は、どうか。力を貸していただけないでしょうか」
ペルギウスはしばらくの間、口元に手を当て、深い思案に耽っていた。壁に飾られた無数の美術品を眺めやり、それからゆっくりと視線を私に戻す。
「……ルーデウス。……貴様という男は、……どこまでも我を退屈させぬな」
やがて、彼は低く笑い、その眼光を再び私に向けた。
「よかろう。オルステッドとの調整は貴様に任せる。我は、貴様が導き出す『解』を待つとしよう。ラプラスの首、我がこの手で落とせるというのなら。……その時は、共犯関係も悪くない」
「有難く存じます。……必ずや、納得のいくプランを持って戻ります」
私は深く一礼し、その部屋を後にした。
龍神オルステッド、アスラ王国の女王アリエル、そして甲龍王ペルギウス。
世界の頂点に立つノードたちが、少しずつ、確実に一つの回路として繋がり始めている。
転移魔法陣へと向かう私の足取りは、いつになく軽やかだった。
対
裏切り者には気を付ける必要はありますが、