無職転生 ~性格改変_エンジニアリング視点での魔術構築~   作:haru-ha

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【設定について】
本作は『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の二次創作小説です。
pixivに掲載していた小説(完結済)のセルフ転載となります。(所々、追記・修正しています)

以下の独自設定(IF設定)を含みます。
・原作と違って、元々存在していたルーデウスの自我は失われず、そこに「ある男」の記憶だけが継承されたという解釈で執筆しています。
・そのため、原作のルーデウスとは性格や口調、判断基準が異なります。

【注意事項】
・原作のストーリー改変(生存IFなど)が含まれる可能性があります。
・キャラの独自解釈、および設定の捏造が含まれます。
・原作全編のネタバレに配慮しておりません。
なんでも許せる方のみ、お進みください。


第69節 ビヘイリル編:スペルド族の治療、谷底へ叩き落とされる二人の列強

 

Side: ルーデウス

 

冥王ビタの精神侵攻を退け、現実へと意識を同期させた直後。私の内側には『記憶の男』が、騒がしく居座っていた。

 

(『おい、どうにかしろよルーデウス!ルイジェルドさんが……死んじまうぞ!』)

(分かっている。黙っていろ。思考のノイズになる)

 

私は荒い呼吸を繰り返すルイジェルドの傍らに膝をつき、彼を診察した。

顔色はどす黒く変色し、身体は意思に関係なくガクガクと激しく震えている。先ほどまでビタが担っていた「疫病の抑制」が消失したことで、里を蝕んでいた疫病が爆発的に再起動したようだ。

 

「ルーデウス殿!!」

 

扉が勢いよく開け放たれ、シャンドルが飛び込んできた。

 

「目覚められたか!状況は最悪だ、突然里の者たちが連鎖的に倒れ始めた!」

「冥王ビタは死んだ。その影響で、奴が抑えていた疫病の進行が再開したようだ」

「何……!?いつ、どこで奴を倒したというのだ!?」

 

私は手短に情報を共有した。ルイジェルドに憑依していたビタが私への乗り換えを試みたこと、そしてオルステッドの指示で装備していた『ラクサスの骨指輪』が機能し、返り討ちにしたことを。

 

「……なるほど、龍神の用意したセーフティが機能したわけか。しかし、代償が大きすぎるな」

 

シャンドルは即座に思考を切り替えた。

 

「里の状況だが、重篤度には個体差があるようだ。まだ動ける若者たちを徴用し、倒れた者の回収と里の防衛の再構築を指示しておいた。ドーガも今、患者を広い家屋へ集める作業に従事させている」

「流石だ、シャンドル」

「……それで、ルーデウス殿。次の一手はどうする?」

 

私は一瞬で優先順位を策定した。

 

「……まずは里の内部に『転移魔法陣』を設置する。オルステッドに解決策を仰ごう。彼に聞かねばならぬこともある。同時に熟練の医師たちを招集する。シャンドル、引き続き里の防衛と、患者の看護体制の維持を頼む」

「承知した。……では、私は現場に戻る」

 

シャンドルが去った後、私はシャリーアへ戻る前に、一度患者たちの状態を直接診察することにした。

 

ドーガが忙しく立ち働く集団治療所。

私は疑似魔力眼(マナ・サイト)の感度を最大まで引き上げ、竜の眼による高解像度スキャンを併用して、苦しむスペルド族たちの身体を観察した。

 

先ほどルイジェルドを診たときは、彼の身に宿る闘気の密度が濃すぎて内部の術理を透過できなかった。だが、ここへ集められた一般の村人であればより詳細なデータが拾えるはずだ。

 

(……偏りがあるな)

(『そうだな……症状が酷いのは年配の方々だけみたいだ』)

(若者は症状は出ているが、動ける程度の元気がある。子どもに関してはほぼ無症状だ)

(『年配の方をしっかり診察してみるか?お前の目ならできるだろ?』)

 

私は一人の老人の胸元に手を当て、焦点を絞り込んだ。瞳孔が狭まるのが分かる。

 

(これか……)

(『……なんだこりゃ……!』)

 

体内の深部、神経系が密集する座標に、水色の粘体――ビタの分体の死骸と思われる不純物が、まるで寄生虫のように絡みついている。

そして、異常なのはその魔力濃度だ。

 

(……濃すぎる。過剰だ)

 

以前、魔大陸でルイジェルドの身体を診た際と比較しても、明らかに異常な数値を示している。スペルド族という種族が本来保持すべきキャパシティを、内部の魔力圧が大きく超えているのだ。魔力酔い、あるいは魔力過負荷に近い状態と言える。

 

(ソーカス草を処方すれば、一時的な除圧は可能かもしれない。……だが、神経に食い込んだこのビタの死骸を排除できるか……?)

(『若干ナナホシのときと症状は違うみたいだけど……何か良い効果が得られるかもしれないぞ』)

 

私と『男』の思考回路が、複数の治療パターンをシミュレートし始める。だが、決定的な解にたどり着くには、まだ情報が不足している。

 

私は崩れ落ちたラクサスの指輪の残骸を一瞥すると、転移魔法陣を構築を開始した。

 


 

魔法都市シャリーア。転移魔法陣を抜け、私は一刻を争う足取りで事務所にあるオルステッドの部屋へと向かった。

扉を開けると、そこには既に私が来ることを予見していたかのような重苦しい沈黙があった。

 

(『気を付けろよ!ルイジェルドさんが言ってたように、オルステッドが敵の可能性もあるんだろ!?』)

(無駄だ。気を付けていてもオルステッドなら私程度すぐに殺せる)

「……オルステッド」

 

声をかけると、オルステッドは椅子に深く腰掛けたまま、気まずそうに視線を泳がせた。だが、逃げるように目を逸らすことはせず、真っ直ぐに私の瞳を見返してきた。

 

「スペルド族の里を襲っている疫病のこと……貴方は最初から知っていましたね?」

「……知っていた」

(『なんだと!?』)

 

オルステッドの声は、いつになく低く、沈んでいた。身の内にいる『男』の怒った声が響く。

 

「治す方法はありますか?」

「……無い。少なくとも、俺が経験してきた数多のループの中には」

(『オルステッドが知らないなら……解決策なんてあるのか……!』)

 

オルステッドは自身の膨大な記憶の一部を開示した。

通常、どのループにおいてもスペルド族は数年前に絶滅しているのが「歴史の定数」であったという。ルイジェルドが同胞と巡り会うこと自体、本来なら起こり得ないイレギュラーな事象なのだ。

 

「過去、俺もスペルド族を救おうと試みたことはある。ありとあらゆる解毒魔術、世界各地の秘薬を試したが……結果はすべて全滅だ」

(『打つ手なしってことかよ……!』)

「……一つ、疑問があります。貴方はなぜ、過去のループでそこまでしてスペルド族を助けようとしたのですか?」

 

私の問いに、オルステッドは淡々と、けれど戦略的な重要性を説いた。

 

「魔神となったラプラスは、事実上の不死身だ。だが、第三の眼を持つスペルド族だけは別だ。奴らの眼はラプラスの隠された弱点を看破し、致命傷を与えることができる。……スペルド族は魔神ラプラスを効率的に排除するための、最も重要な駒だった」

 

なるほど、因果の整合性が取れた。

なぜラプラスがかつて仲間であるはずのスペルド族に呪いの槍を擦り付け、一族を滅ぼそうとしたのか。それは、自身の生命を脅かす唯一の天敵を根源から排除したかったからだ。

 

(『魔神ラプラス……話には聞いていたが、なんて残酷な奴だ……魔族の皆はこんな奴を崇めていたのか?』)

「……今回、ルイジェルドさんが里を見つけられたのはバーディガーディの案内があったからです。彼は人神(ヒトガミ)の使徒である可能性が高い。……あえて彼を同胞のもとへ導き、疫病に感染させ、冥王ビタの憑依によって命を繋がせることで……。私を誘い出し、ルイジェルドさんと殺し合わせるための盤面を作ったというわけですね」

「そうだ。……そして今の俺にとって、スペルド族の救命はもはや必須事項ではない。ラプラスは再誕した直後の脆弱な状態であれば、スペルド族の手を借りずとも俺の手で処理できるからな。だから俺は、この件を切り捨て、お前にも伏せていた」

(『切り捨てた、だと……!』)

 

オルステッドはそこで言葉を切り、喉の奥に詰まった何かを吐き出すように続けた。

 

「……謝ろうと思っていた。だが、言い出すタイミングを逸し、このような最悪の形で顕在化させてしまった。……すまなかった、ルーデウス」

 

龍神オルステッドが私に対して明確に非を認め、頭を下げた。効率を最優先する彼が、不器用ながらも「良心の呵責」を私に吐露したのだ。

 

(『……切り捨てざるを得なかったのか……』)

「……謝罪を受け入れるかどうかは、スペルド族を救ってから決めさせてもらいますよ、オルステッド」

 

私は冷徹にそう告げ、診察で得たデータを彼に共有した。

 

「里の者たちの体内には、魔力の異常な集積と、ビタの死骸と思われる不純物が観測されました。……ですが、ルイジェルドさんについてはビタの死骸がないはずにもかかわらず、症状が悪化しています。症状が重篤な者に共通する項は『過剰な魔力』です」

 

私はかつての知識を検索し、一つの可能性を提示した。

 

「これは……『ドライン病』ではありませんか?魔力が過剰に供給され、循環不全を起こしている。……魔力過負荷による身体の自壊です」

「……ドライン病だと?」

「はい。……それであれば、ナナホシのようにソーカス草で治療できる」

(『治るのかは分かんないけど……副作用も無いみたいだし、試す価値はありそうだな!』)

 


 

解決策の目処が立った以上、速やかに物資の調達と人員の配置を最適化する必要がある。私は即座に通信石板を起動し、ミリス神聖国にいるクリフへ緊急の要請を送った。

 

「……以前、ナナホシのドライン病の研究用に確保していた分があるはずだ。至急、余剰分をすべてスペルド族の里へ輸送してほしい」

(『頼むぜ、クリフパイセン!』)

 

クリフからは「分かった、すぐに手配する」と頼もしい返信が同期された。同時に、体内に残留した『冥王』ビタの死骸についても、解毒の専門家である彼や各国の医療ネットワークと情報を共有し、最適な排除方法の策定を依頼した。

 

「……よし。オルステッド、貴方もスペルド族の村へ来てください。不測の事態に備えた最大戦力が必要です」

「ああ、承知した」

 

オルステッドが動く決意を固めたところで、私はもう一つ、極めて秘匿性の高い報告を行うことにした。

 

「オルステッド。里へ向かう前に、もう一つ共有しておかなければならない不確定要素……いえ、新たな『リソース』があります」

(『リソースって人を物みたいに……まぁ間違ってはいないけど』)

「……何だ?」

「ビタとの精神戦の最中、私はある個体と接触し、その魂を持ち帰りました。……かつて私に『一生分の記憶』を提供した男の、魂そのものです」

 

私は、ナナホシと同様にこの世界へ弾き飛ばされ、二十年以上も「無の世界」を漂っていた男の情報を説明した。彼は実体を持たないが、人神(ヒトガミ)の独り言を傍受したことがあるという、対人神(ヒトガミ)戦において唯一無二の索敵センサーとしての価値を持っている。

 

「……男の魂だと?だが、俺には何も感知できないぞ」

「ええ。今は私の身体の内側に『混合(コンタミネーション)』させていますから。……可視化しましょう」

(『えっ!?何をするつもりなんだ!?』)

 

私は研究資材置き場に保管されていた、以前ザノバと共に試作した魔導人形のプロトタイプを引っ張り出してきた。精巧な木製の間接と魔力伝導糸で構築された、自律行動可能な器だ。

 

私は自身の内側に意識を向け、男の魂を抽出。そのまま魔導人形の核へと再統合させた。

 

「――っ、おお……おおおぉぉぉッ!!!」

 

ガクガクと、人形が不自然な動きで立ち上がった。次の瞬間、木製の口が開き、耳障りな奇声を上げながら、男は狂ったように手足をバタつかせ始めた。

 

「動く!動くぞぉぉ!地面がある!空気がある!二十年ぶりだぁぁ、最高だぁぁっ!!ふぉぉぉぉーーーーっ!!」

 

人形は激しくのけぞったり、奇妙なステップを踏んだりと、制御不能なエラーを起こしているかのような挙動を繰り返す。

オルステッドが、その異様な光景を信じられないほど胡乱な目で見つめていた。

 

「……ルーデウス。これが、その『情報源』か?」

「……はい。動作テストは不十分ですが、意識の定着は良好なようです」

 

男はひとしきり暴れ回った後、オルステッドの威圧感に気づいたのか、突然動きを止めて地面に膝を突き、完璧な土下座の姿勢をとった。

 

「り、龍神様!はじめまして!いや、二十年間ずっと見てました!貴方のマメな性格、尊敬してます!何でも協力しますから、どうかこの世界に置いておいてください!!」

「……」

 

『マメな性格』……オルステッドの強さではなく性格をまず一番に挙げるのか……変わった感性だ。それなりに付き合いが長くなると雑なところも見えてくるのだが……確かに対人神(ヒトガミ)の作戦立案や、私やファリアスティアに対する気遣いはマメだ。

 

オルステッドは無言で私を見た。「本当にこれを使うのか?」という無言の問いに対し、私は冷静に頷いた。

 

「この男の存在を人神(ヒトガミ)に悟られるのは戦略上避けたいです。基本的にはこの事務所で潜伏させようと思います」

「待ってくれ!俺も協力させてくれ!恩を返したいんだ!」

 

人形で土下座を繰り返す男に、私は新たなタスクを割り振った。

 

「……ちょうどいい。間もなくオルステッドと私はこの拠点を離れる。もしその隙にギースや使徒がここを強襲した場合、職員の避難をサポートしてくれ」

「避難の指揮だな!?任せろ!命……といっても人形だけど、それに代えても、お前の事務所は俺が守る!!」

 

男は張り切って、木製の胸をドンと叩いた。

 


 

龍神オルステッドを伴い、私は再びビヘイリル王国の森の奥、スペルド族の里へと転移した。

里の空気は、数時間前よりもさらに重く、澱みが停滞している。私はオルステッドと共に、倒れ伏す里の者たちを次々と診察していった。

だが、数万年という途方もないループを繰り返し、あらゆる事象の解法を保持しているはずのオルステッドですら、苦い顔をして首を振るばかりだった。

 

「……やはり、俺の知る方法ではこの疫病を治療できない」

 

最強の龍神が匙を投げるという絶望的な状況。だが、私の構築したネットワークは既に次の解決策をこの座標へと送り届けていた。

 

設置したばかりの転移魔法陣が、眩い光を放つ。

最初に姿を現したのは、アリエル女王がアスラ王国中からかき集めた最高水準の医療知識を持つ医師団だった。そしてその集団の中に、場違いな、けれど見覚えのある少女の姿を見つけた。

 

「……ノルン?なぜ君がここに」

「兄さん!……ルイジェルドさんが大変だって聞いて、居ても立ってもいられなくて。お願い、私も手伝わせて!」

 

彼女はシャリーアで守りを任せていたが、居ても立ってもいられずに来たようだ。

かつて、共に旅をしたルイジェルド。ノルンにとって、彼はパウロとはまた別の意味での拠り所なのだ。彼女の強い瞳には、恐怖ではなく、大切な恩人を救いたいという純粋な熱量が宿っていた。

 

続けて、魔法陣が再び明滅した。

現れたのは、クリフとエリナリーゼの二人だ。彼らの手には、私が手配を依頼した『ソーカス草』、そして複数の薬が握られていた。

 

「クリフ、助かったよ。教団の許可を得るのにもっと時間がかかると思っていたが」

「ああ、僕も驚いたよ。だが、教皇猊下と枢機卿が今回ばかりは手を取り合って『特例だ』と後押ししてくれたんだ。君と僕がミリスで構築した信頼がようやく実を結んだということだろう」

 

クリフは不敵に笑うと、即座に医師団と合流し、薬の調合と投与のシミュレーションを開始した。

 

だが、ここで予期せぬ拒絶反応が発生した。

人族、特にミリス教徒によって何百年も迫害され続けてきたスペルド族にとって、彼らが持ち込んだ薬は「救い」ではなく「毒」としか映らなかったのだ。

 

「……人族の薬など飲めるか!俺たちを滅ぼしに来たんだろう!」

「どけ、その不浄な草を捨てろ!!」

 

動ける若者たちが槍を構え、クリフたちを威嚇する。さらに、アスラの医師団までもが、データの乏しい未知の病に対して強引に投薬を行うのは、患者の生命を致命的に損なうリスクがあると反発し始めた。

 

混乱と不信が渦巻く中、その場を沈黙させたのは一人の戦士の咆哮だった。

 

「――静かにしろッ!!」

 

ノルンに肩を借り、震える身体を必死に支えながら、ルイジェルドが家屋から這い出してきた。

彼の顔は依然として蒼白だが、その瞳にはかつての戦士団長としての絶対的な権威が宿っていた。

 

「……お前たちは、このまま全滅したいのか?」

 

ルイジェルドは里の者たちを一人ずつ射貫くように見据え、重く、力強い言葉を紡いだ。

 

「俺は、ルーデウスを信用している。この男が、俺たちのためにどれほど尽力してくれたか、俺は誰よりも近くで見てきた。そのルーデウスが連れてきた男だ。ならば、俺たちの味方だ」

 

ルイジェルドはクリフの前に進み出ると、震える手でソーカス草の茶を一つ、口に運ぼうとした。

 

「ルイジェルド殿……!待ってください、まだ安全性の実証が……」

 

医師団が制止しようとするが、ルイジェルドはそれを眼光で黙らせた。

 

「構わん。……もしこれが毒であったとしても、文句は俺が死んでから言え。……俺は、戦士として十分に生きた。同胞にも会えた。この命、スペルドの未来を拓くためなら、惜しくはない」

 

覚悟、という名の究極の論理。

ルイジェルドが迷いなく茶を飲み下すと、それを見ていた里の者たちも、一人、また一人と武器を下ろし、クリフたちの処方を受け入れ始めた。

 


 

結果は驚くほど劇的に現れた。

投薬を開始してから数時間。深い眠りに落ちていたルイジェルドを始めとする里の者たちは、突如として激しい便意を訴えて目を覚ました。アスラ王国の医師団が困惑しながら報告してきたところによれば、全員が例外なく、不気味な水色の粘液を大量に排泄したという。

 

この目に見える成果を前に、当初は懐疑的だった医師団もクリフの知識と判断力を認めざるを得なかったようだ。

 

私はノルンを伴い、看病で疲労困憊のクリフ、そして静かに状況を見守っていたオルステッドの元へと向かった。クリフは徹夜の作業でふらつき、瞳には隈が浮かんでいたが、その隣ではエリナリーゼが慈しむように彼の身体を支えている。

 

「クリフ、分析結果はどうだ?」

「……ああ。識別眼を使って、村人の生活環境と体内データを照合した。……原因の一つは、この土地の特異な魔力環境だ。ここは地脈が露出しているのか魔力濃度が極めて高く、作物も異常なほど栄養を蓄えている。何百年もその恩恵を――あるいは毒を摂取し続けたことで、彼らの魔力回路は慢性的な飽和状態……つまり『ドライン病』に近い状態になっていたんだ。だから、蓄積期間の短い若者や子供は軽症で済んだ。……理屈は通る」

 

だが、クリフの表情にはまだ「解けない数式」が残っていた。ドライン病はこれほど急激にバイタルを損なうような急性疾患ではないからだ。また、この里に来てそこまで時間が経っていないルイジェルドの症状が重篤化したことも懸念として残っているのだろう。

 

「……私の考察を付け加えよう。『冥王』ビタによる悪質な干渉だ」

 

クリフが顔を上げる。

 

「クリフの仮説が正しいとすれば、里に来て数年しか経っていないルイジェルドさんがこれほど重篤化するのはおかしい。ビタは、里の者たちの症状を表面上だけフリーズさせつつ、実際にはルイジェルドさんの身体を内側から食い荒らしていたのだと思う。……彼を仲間の死の恐怖で脅し、私と殺し合わせるためにね。そして、人神(ヒトガミ)は決闘が終わった後に、ビタというセーフティを外して里を全滅させるつもりだったのだろう。……最初から、救うつもりなど微塵もなかったに違いない」

「……いかにも人神(ヒトガミ)が好みそうな方法だな」

 

オルステッドが、嫌悪感を隠そうともせずに吐き捨てた。彼は続けて、医師団が報告してきた「水色の排泄物」について言及した。

 

「あれは間違いない。ビタの分体の死骸だ。毒素として体外へ排出されたのであれば、峠は越えたと見ていいだろう……先ほど、ルイジェルド・スペルディアも意識を回復した」

 

オルステッドの言葉に、隣のノルンが弾かれたように顔を上げた。

 

「本当ですか!?」

「ああ。顔を見に行ってやるといい」

「失礼します!」

 

私はノルンの背中を追うようにして、診療所の奥へと急いだ。

 

昨晩まで死の影に覆われていたあの部屋。

扉を潜ると、そこにはベッドの上で上半身を起こし、驚くほど血色の良くなった顔で粥を啜っているルイジェルドの姿があった。

 

「ルイジェルドさん!」

 

ノルンが叫びながら駆け寄り、彼の腹のあたりに勢いよくしがみついた。

 

「よかった……本当に、本当によかったです……っ!」

 

大粒の涙を流して泣きじゃくるノルン。ルイジェルドは少し困ったような、けれど穏やかな笑みを浮かべると、口元を拭い、椀を置いて彼女の頭を優しく撫でた。

 

「……心配をかけたな、ノルン」

 

私は数歩離れた場所で足を止め、その光景を静かに眺めていた。失われかけていた絆が、いま、再び正常に接続されたのだと確信した。

 

「……ルーデウス」

 

しばらくして、ルイジェルドが顔を上げた。その眼光には、かつての力強さが戻っている。

 

「ルイジェルドさん。……体調はどうですか?」

「ああ。まだ槍を全力で振るうには時間がかかりそうだが、歩行や食事には問題ない」

「よかった……。本当に、一時はどうなることかと」

「……また、お前に世話になったな。借りが増える一方だ」

「言いっこなしですよ。それに、まだ完治と決まったわけではありませんから、油断はしないでください」

 

私が冷静な警告を発すると、ルイジェルドは深く頷き、それから真剣な表情で私を見据えた。

 

「……だが、先にこれだけは言わせてくれ、ルーデウス」

「なんでしょう」

「身体が戻り次第、俺はお前の力となろう。……人神(ヒトガミ)であれ、ギースであれ、お前の平穏を脅かす者は、俺の槍が許さない」

「……!」

 

胸の奥から突き上げてくる熱い感触。私は言葉を飲み込み、震える右手を差し出した。

 

「……はい。よろしく、お願いします」

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

差し出されたルイジェルドの手は、温かく、そして岩のように力強かった。

 


 

スペルド族の里は、着実に快復のフェーズへと移行していた。

クリフは里の特異な魔力環境を逆利用し、ソーカス草の現地栽培が可能かどうかの実証実験を開始している。ノルンとアスラ王国の医師団も献身的な看護を継続しており、里全体のバイタルは安定しつつあった。

 

私は出発前、里の防衛の維持をシャンドルとドーガ、そしてオルステッドに頼んだ。

広場を通りかかった際、オルステッドがスペルド族の子供たちに混ざって、無表情のまま器用にボール遊びに興じている光景が目に入った。その威圧感を完璧に抑え込み、子供たちと遊んでいる姿を見て、ルイジェルドが「……龍神というのは、見かけによらないものだな」と、感銘を受けたように呟いていたのが印象的だった。

 

シャンドルは私の単独行動を懸念してドーガを護衛に付けようとしたが、ルイジェルドが「ルーデウスは単身の方が、自身の戦闘能力を最大限に発揮できる」と断言したため、結局私は一人で里を後にした。

 

今回のミッションにおける目的は二つ。一、ビヘイリル王国にスペルド族の定住を公式に認めさせること。

二、組織されつつある『討伐隊』を解散、あるいはその攻撃対象からスペルド族を除外させること。

 

私は自身の飛行魔術を駆使し、最短時間で首都ビヘイリルへと到達した。

この国の行政システムは非常に合理的、あるいは即物的だ。一定の「手数料」を支払えば、身分に関わらず国王との短時間の謁見が許可される仕組みが存在している。私は多めの金貨を「潤滑油」として投下し、即日の謁見枠を確保した。

 

案内された謁見の間は大国のそれとは異なり、虚飾を排した実務的な造りだった。私は玉座の前で膝をつき、どこか見覚えのある、老練な気配を纏った王へと頭を垂れた。

 

「陛下、お目にかかれて光栄です」

「礼儀正しき者よ。顔を上げずともよい、そのまま名と用件を申すがよい」

 

視線を交わさない独自の謁見スタイル。私はそのまま自己紹介を開始した。

 

「私の名はルーデウス・ボレアス・グレイラット。アスラ王国の貴族にして、七大列強二位『龍神』オルステッドの仲間にございます」

「おぉ……龍神、だと……!?」

 

王の声音に、明らかな動揺のノイズが混ざった。七大列強という絶対的な「格」の提示は、交渉の初期段階において極めて有効な権威付けとして機能したようだ。

 

「……列強の代弁者が、この小国に何の用だ?」

「はい。現在、陛下が『帰らずの森』へと差し向けようとしている討伐隊。その作戦の中止を要請に参りました」

「中止だと?」

「はい。理由は単純です。森に住んでいるのは討伐対象たる悪魔ではなく、長きにわたりこの国を影から支えてきた『守護者』だからです」

 

私はそこから、スペルド族に関する真実の情報を提示した。

建国以前から森に定住し、近隣の村と不可侵の契約を結んでいたこと。彼らが額の眼を用いて、人族には視認不可能な『透明狼(インビジブル・ウルフ)』を間引くことで、周辺の安全を維持してきたこと。

今回の「悪魔騒動」は疫病が原因であり、現在は龍神の介入によって正常な状況に戻っていること。

 

「……かの悪魔の種族が、人知れず国を守っていたというのか。にわかには信じがたい情報だが」

「実際にご確認いただくのが最も確実でしょう。スペルド族の生態と、その誠実さを証明するための査察を受け入れていただけませんか?」

 

王は顎に手を当て、深い思索の海に沈んだ。だが、やがてゆっくりと首を振った。

 

「……仮に貴殿の言葉が真実だとしても、もはや中止はできぬ。既に国中から猛者たちが、名誉と報奨金を目当てに集まっておるのだ」

「ならば、条件を一部変更しましょう。地竜谷の奥に住まう『森の民』を攻撃対象から外すと通達していただくだけで構いません。透明な魔物は実在しますので、それを狩る分には報奨金を支払っていただいて結構です。不足分の資金が必要であれば、私の方で補填しましょう」

「うーむ……」

 

私はさらにもう一押し、決定的な条件を提示した。

 

「彼らは見返りを求めてはいません。ただ、国の片隅で静かに存続することを望んでいるだけです。……もし、それでも陛下がスペルド族の存在を自国内の不純物と見なすのであれば、私の方で他国への移住ルートを確保します。いずれにせよ、罪なき彼らを殺させるわけにはいかないのです」

「……貴殿は、随分とその種族に肩入れするのだな」

「幼い頃、彼らに命を救われました」

 

私の言葉に、王は再び沈黙した。傍らに控える文官が、残り時間を気にするように時計をチラつかせている。

 

「お時間です。謁見者の方は退出を」

 

事務的な宣告が響く中、私は最後にもう一度、深く頭を下げた。

 

「何卒、ご一考を。決して、陛下にとっても国にとっても悪い結果にはなりません」

 

私が一歩下がろうとした、その時だった。

 

「……ガリクソン、サンドル!」

 

王の鋭い号令が、静まり返った広間に響いた。重厚な足音と共に、二人の近衛兵が進み出る。一人は立派なカイゼル髭を蓄え、もう一人は馬面だが精悍な顔立ちをしていた。

 

「この者に同行し、森の奥に潜む真実を確認して参れ。その眼で確認してくるのだ」

「ハッ!」

 

予想外の展開に、私は一瞬、瞬きをした。

 

「……よろしいのですか?」

「兵を派遣し、正式な査察をさせよう。……だが、ルーデウス殿。もし貴殿の言葉が虚偽であった場合は、予定通り全戦力を投入して討伐を遂行する。良いな?」

「……お心遣い、感謝いたします」

 

交渉の第一段階は、成功だ。

不毛な殺し合いを回避し、共生の回路を構築するための「証人」を確保した。

 


 

国王より派遣された二人の兵士、ガリクソンとサンドルを伴い、私は再びスペルド族の里へと向かっていた。

 

彼らという「外部の目」を連れている以上、転移魔法陣による瞬間移動は秘匿しなければならない。結果として、移動手段は馬車、および徒歩という制約を受けることになった。

 

「距離的には日没までには里へ到着できるはずです。もう少しのご辛抱を」

 

私の言葉に、カイゼル髭を蓄えたガリクソンが不機嫌そうに鼻を鳴らした。

 

「ああ。さっさと連れて行ってくれ」

「……足が疲れてきましたよ。ルーデウス殿、休憩はまだですか?」

 

馬面の兵士、サンドルもまたぼやきを漏らす。

 

私は彼らの身体と挙動を、『魔神鎧』のフードの奥から冷静に観察していた。

 

せっかちで攻撃的なガリクソンは、道中で魔物に襲われた際、躊躇なく前に出て剣を振るった。その身のこなしは洗練されており、一介の近衛兵としては高い水準の戦闘経験を積んでいることが伺える。いや……戦闘力が『高すぎる』。

一方のサンドルは口数が少なく、常に周囲の地形や私の挙動を伺うような視線を送っている。隠蔽された警戒心の高さが彼の慎重な性格を物語っていた。

 

やがて、私たちは『地竜の谷』へと差し掛かった。目の前には深い亀裂を跨ぐようにして二つの橋が並んでいる。

 

「……おい、なんで橋が二つも並んでるんだ?片方はボロボロじゃねえか」

 

ガリクソンが不審げに声を上げる。

 

「元からあった吊り橋は強度が不足しており、渡っている途中で構造崩壊を起こすリスクがありました。そのため、私が土魔術で臨時の石橋を架けたのです」

「ふーん……。で、どっちを渡るんだ?」

「安全性を優先するなら、こちらを」

 

私が自作した石橋を指し示すと、ガリクソンは一切の迷いを見せず、手すりもない高所の橋へと飛び乗った。足元の深い闇を恐れる様子もなく、ずんずんと中央へと進んでいく。

私は彼の後ろに続き、最後尾をサンドルが固める形になった。

 

「……この下に、地竜たちが蠢いているのですか」

 

振り返ると、サンドルが喉を鳴らし、谷底の深淵を覗き込んでいた。

 

「サンドルさんはこの国の方でしょう?地竜の存在はご存じないのですか?」

「……知ってはいます。ですが、この立ち入り禁止の森へ足を踏み入れる機会など、兵士という立場ではまずありませんからね」

 

サンドルは視線を谷底から私へと戻し、探るような問いを投げかけてきた。

 

「ルーデウス殿は、龍神オルステッドの仲間を名乗っておられましたが……。貴殿自身、地竜と戦った経験は?」

「ありませんね。無駄な戦闘はコストの浪費ですから」

「道中、素晴らしい魔術を見せておられましたが……。もし地竜の群れと戦ったとしたら、勝てる見込みはありますか?」

「……恐らく、問題なく勝利できるでしょう」

 

私が感情を排した声で答えると、二人の空気が僅かに強張った。橋の中央。谷風が吹き抜ける、最も足場の不安定な座標。

 

私は足を止めた。それに気づいたガリクソンが振り返り、眉を寄せる。

 

「おい、どうした?早く渡りきっちまおうぜ」

 

サンドルの視線も、鋭い不信の色を帯びて私の背中に突き刺さった。

 

私は無言のまま、あらかじめ『魔神鎧』内で構築しておいた術式を発動した。

 

即席魔法陣(アドリブ・サーキット)』――起動。

 

「――失礼」

 

瞬間、私の身体は座標移動によって上空へと転送された。そして、空中に浮かんだ私の足下で。

 

私が魔力で繋ぎ止めていた石橋の構造が、結合を解除され、轟音と共に崩落を開始した。

 


 

この二人の兵士が「敵」であるという確信は、道中の観察を積み重ねる過程で導き出されていた。

 

シャンドルやオーベールの如き隠蔽技術の極致を知る私にとって、彼らの偽装はあまりにも稚拙だった。ガリクソンの発声パターンは私の記憶にある特定の個体と一致し、道中で魔物を排除した際の、一切の予備動作を排した抜剣――あれは、この世界で数人しか成し得ぬ業だ。

 

ガリクソン。その正体は、剣神ガル・ファリオンだろう。

そしてサンドル。その異常なまでの重心の安定性と、内包している闘気の量から推測される正体は、北神カールマン三世、アレクサンダー・カールマン・ライバック。

 

国力が限定的なビヘイリル王国が、七大列強に名を連ねる最高位の剣士を二名も「近衛兵」として運用しているなどあり得ない。

 

神級剣士二人を真正面から相手するのは危険だ。だから、最も不意打ちが成功しやすいところまで誘導した。足元が崩壊すれば通常、剣士に成す術はない。

 

私が落とした石橋の崩落に際し、彼らは一瞬の動揺を見せた。だが、即座に身体能力を最大出力へと引き上げ、重力を無視した跳躍によって崖の端へと避難した。その動きは、間違いなく「神級」のそれだった。

 

「……おい、なんでバレたんだ!?完璧に変装していたはずだろうが!」

 

ガリクソン――いや、ガル・ファリオンが苛立たしげに叫ぶ。

 

「貴方が道中で無駄に格好をつけて魔物を瞬殺したからでしょう。……雷神の眼を甘く見すぎですよ」

 

サンドル――北神三世が冷淡に突っ込みを入れている。

 

私は上空で慣性制御を維持し、次なる攻撃を展開した。相手が列強二名である以上、中途半端な魔術はリソースの無駄だ。神級には、神級の出力をぶつけるのが最も合理的である。

 

(……本来なら自身の左腕を触媒にすべきだが、これから始まる本番を前に欠損を負うわけにはいかない)

 

私は懐から、先日アトーフェから授かった禍々しい小箱を取り出した。その中身を、臨時の触媒として術式に組み込む。空一面が魔法陣で埋め尽くされる。

 

「『人工神獣・白鯨(アルテ・デイ・アル・ケトス)』」

 

上空から、シーローン戦の際よりもサイズを絞り込み、機動性を高めた純白の巨体が重力加速度を伴って投下された。私の腕を触媒にしていないので魔力を無効化する鱗はないが、剣士相手なら問題ないだろう。

 

「なっ……なんだ、ありゃあ!?」

「っ、回避を――!」

 

白鯨の咆哮。獣族の「声の魔術」を高出力で指向性を持たせて放つ。回避不能な音波による衝撃と、表面から発せられる高電圧のフィールド。

ガル・ファリオンと北神三世の二人は、強力な闘気防御を展開していたものの、至近距離での多層的な干渉を防ぎきれず、全身を痺れさせたまま地竜の谷の深淵へと叩き落とされた。

 

あそこには、上からの侵入者に対して過剰な反応を示す地竜の群れが待機している。神級の剣士といえど、この状況で無傷のまま這い上がってくるには、相応の時間が必要だろう。

 

さて、これからどう動くか。

神級剣士を追ってとどめを刺すべきか。それとも、他に優先すべき動きがあるか。私は上空で静止したまま、思考を高速で巡らせた。

 

――彼らの装備は万全ではなかった。腰に佩いていたのは、騎士に支給される量産品のなまくらだ。本来の得物を取りに戻るはずであり、そうなれば彼らは逃走を選ぶだろう。北神はともかく、剣神の速度で本気の逃走を図られた場合、地竜の群れをかいくぐりながら追いつけるかは疑わしい。

 

――もう一つ、優先すべき動きがある。ビヘイリルの王のもとへ戻ることだ。あの謁見の間で私に『証人』を預けてきた国王。今にして思えば、あの不自然な対話の流れ、そして私のスペックを熟知した上での誘導……。あの玉座に座っていたのは、国王を模した偽物――ギース・ヌーカディア本人である可能性が極めて高い。顔を上げさせなかったのも、挙動の癖から変装が露見することを恐れたためだろう。

 

――既に逃げ出している可能性はあるが、間に合えばこの場でギースを殺せる。仮に取り逃がしたとしても、王と対面すること自体に価値はある。騙された立場である今この瞬間こそ、武力を背景に交渉を進める最適のタイミングだ。ギースとの戦いに決着がついたとしても、スペルド族の問題はなお残り続ける。運が良ければギースを始末でき、逃げられたとしても、王族に釘を刺す材料は手に入る。

 

優先すべきは、こちらだろう。

神級剣士二人は、エリス、ルイジェルド、シャンドル、ドーガが揃う場所で仕留めた方が確実だ。

 

「……奴らの追跡は白鯨に任せるか」

 

私は再度、首都ビヘイリルへと向かって加速を開始した。




『彼』には人形に入ってもらいました。試作品なので、けっこう不気味です。
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