無職転生 ~性格改変_エンジニアリング視点での魔術構築~ 作:haru-ha
【設定について】
本作は『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』の二次創作小説です。
pixivに掲載していた小説(完結済)のセルフ転載となります。(所々、追記・修正しています)
以下の独自設定(IF設定)を含みます。
・原作と違って、元々存在していたルーデウスの自我は失われず、そこに「ある男」の記憶だけが継承されたという解釈で執筆しています。
・そのため、原作のルーデウスとは性格や口調、判断基準が異なります。
【注意事項】
・原作のストーリー改変(生存IFなど)が含まれる可能性があります。
・キャラの独自解釈、および設定の捏造が含まれます。
・原作全編のネタバレに配慮しておりません。
なんでも許せる方のみ、お進みください。
Side: ルーデウス
今日は家族を連れてのアスラ王国への出張だ。同行するのはシルフィと長女ルーシー、そしてエリスと長男アルスの四人。ビヘイリル王国での戦いに際し、多大なる援軍を送り届けてくれたアリエル女王へ、直接の謝意を伝えるのが今回の主目的である。
「お父さん、アスラってどんなところ?」
出発前、ルーシーが私の裾を引きながら興味津々に尋ねてきた。母であるシルフィの生まれ故郷でもあるその国について、彼女なりに思うところがあるのだろう。
「とても大きくて、立派な王宮がある国だよ。ルーシーのお母さんが、昔仕えていた人が治める場所でもある」
「へえっ!すごい!」
一方、アルスは旅の準備そのものに夢中になっていた。小さな鞄に木剣を無理やり詰め込もうとして、エリスに「そんなもの持っていっても仕方ないでしょう」と呆れられている。それでも聞かず、結局その木剣は鞄の外側に括り付ける形で決着した。血は争えないものだと、私は密かに苦笑した。
まずは転移魔法陣を起動し、王都アルスにある私の館へと移動した。
ルーシーとアルスにとっては人生三回目の転移体験だ。視界が一瞬で切り替わる事象に、相変わらず二人は手を取り合って「わあぁっ!」と大興奮していた。
「お空を飛んだみたい!」
「俺、目つぶってなかったよ!すごいでしょ、お父さん!」
競うように報告してくる二人の頭を、私は順番に撫でてやった。歳がほぼ同じの異母兄妹、こうして無邪気にはしゃぐ姿を見ていると実に微笑ましいものがある。
翌朝、私たちは連れ立って王宮へと向かった。
ルーシーとアルスはこの日のために新調した小さな正装に身を包んでいる。ルーシーは淡い水色のドレスに身を包み、いつになくおすまし顔だ。アルスもまた、慣れない襟の詰まった上着に居心地悪そうに首元を引っ張っていた。
そびえ立つ純白の外壁、頭上高くに掲げられた紋章旗、居並ぶ近衛兵たちの整然とした佇まい。初めて潜る豪華な王宮の威容に、二人は流石に緊張を隠せないようで私の服の裾をぎゅっと握りしめていた。
「……お父様、私たち大丈夫……?」
ルーシーは不安そうだ。アルスも普段の威勢はどこへやら、そわそわと目を泳がせている。私は膝を折り、二人と視線を合わせた。
「大丈夫だ。二人ともよく練習しただろう?アリエル様はとても優しい方だよ」
その言葉に二人は僅かに強張った表情を緩め、こくりと頷いた。
私自身は、新たに誂えた魔神鎧を纏っている。驚くべきことに、龍神オルステッドがどこから調達したのか、今の私の体格に完璧にフィットする子供サイズの外套をプレゼントしてくれたのだ。
「……サイズは合っているか」とだけ、いつもの無表情で問われた時は、思わず言葉に詰まった。最強の龍神が、真剣な顔で子供服のサイズを測っている姿を想像すると、なんともシュールな気分になる。
女王の私室へと案内されると、そこにはアリエル女王とルーク、そして親しい侍従たちが控えていた。
陽光が差し込む上品な部屋には、花の芳香が漂っている。
扉が開いた瞬間、室内の空気が凍りついたように静まり返った。誰もが言葉を失い、こちらを凝視している。
「……ルーデウス、様……?」
アリエルが目を丸くし、確認するように呆然と呟いた。普段は微塵も崩れることのない完璧な淑女の仮面が、今この瞬間だけは見事に剥がれ落ちている。
私たちは順番に頭を下げ、挨拶を交わした。女王はすぐに持ち前の柔和な笑顔を取り戻すと、まずはルーシーとアルスへ視線を移し、腰を屈めて目線を合わせながら優しく迎え入れてくれた。
「ようこそ、可愛らしいお二人さん。遠いところ、よく来てくれましたね」
その気品ある物腰に、ルーシーは頬を紅潮させ、アルスもぎこちないながらも精一杯の礼をしていた。
だが、ルークだけは驚愕の表情を貼りつかせたまま、ふらふらと夢遊病者のような足取りで私に近づいてきた。そして、何を確認するかのように、無言で私の頭をさわさわとなで始めた。
……この、抵抗できないほどの強引な可愛がり方。パウロと全く同じだ。グレイラットの血筋には子供を見れば頭を撫でずにはいられない共通の性質が組み込まれているのだろうか。
しまいには、ルークは私の脇の下に手を入れ、ひょいと「高い高い」をし始めた。窓から差し込む光を背にした彼の顔は、なぜか感極まったような表情を浮かべている。
「ルーク。……身体は縮んだが、中身は以前と変わっていないのだが?流石にこの高度は落ち着かないな」
私が冷静に指摘すると、彼はようやく我に返ったように、照れくさそうに私を下ろした。
「……失礼。つい手が動いてしまったよ。……なにせ、以前のお前は絶対にこんな真似をさせてくれなかったからな。感慨深くてね」
そう言って笑うルークの顔には、悪戯心と共に、確かな安堵の色が滲んでいた。彼もまた、私がこうして無事に帰ってきたことを心から喜んでくれているのだろう。
気を取り直し、私は表情を引き締めアリエルに向き直った。そして、ビヘイリル王国にシャンドルやドーガ、イゾルテとギレーヌを派遣してくれたことに対し、最敬礼の礼を尽くした。
「アリエル様。貴女の迅速な決断と援助のおかげで、私たちは誰一人欠けることなく、完全な勝利を収めることができました。心より感謝いたします」
「……顔を上げてください、ルーデウス様。それに、そのような他人行儀な口調は不要ですわ。私たちの仲でしょう?」
アリエルはそう言うと、私の元へ歩み寄り、そのまま私を優しく抱きしめた。さすがに驚いてしまう。
以前、彼女は私のことを「癒やしの対象にはならない」と評していたはずだ。そのことを問うてみると、彼女は満足げに微笑んで答えた。
「ええ、以前の貴方は可愛げがありませんでしたわ。けれど、今のこのサイズなら十分に対象内です!ああ……なんて心地よい暖かさ……」
しばしの間、私は女王に抱きしめられ、その首筋に鼻を寄せられるという「急速充電」の対象にされた。背後で見守る子供たちや、シルフィとエリスの視線が痛い。
挙句の果てに、アリエルはシルフィたちに向かって悪戯っぽく微笑みかけた。
「貴女たちの旦那様、とっても可愛いですわね。……このままもらってしまってもよろしくて?」
「だ、だめです!」
「絶対にだめよ!」
シルフィとエリスが、珍しく息ぴったりに声を揃えて即座にリジェクトした。あまりの息の合い方に、アリエルはころころと楽しそうに笑い声を上げている。
ようやく解放されたと思ったら、今度はアリエルの関心はルーシーとアルスへと移った。
「さあ、こちらへいらっしゃい。お菓子もたくさん用意してありますわよ」
ルーシーはまだ緊張が解けない様子で私の影に隠れようとしていたが、対照的にアルスは「わぁ、お姉さん綺麗だね!」とばかりに、物怖じもせずアリエルの膝の上に自分から登っていった。
……どうやら息子は、パウロのあの「女好き」の気質を、私の魔力量よりも色濃く受け継いでしまったらしい。
そんな弟の物怖じしない姿を見て毒気を抜かれたのか、ルーシーもおずおずと歩み寄り、差し出された焼き菓子を受け取った。一口齧った瞬間、その表情がぱあっと輝く。
「……おいしい!」
「でしょう?たくさんありますから、遠慮なく召し上がれ」
菓子を頬張るルーシーの様子に、アリエルは目を細めて微笑んでいた。
アスラ王国の王宮、その一角にあるアリエル女王の私室。
窓の外には手入れの行き届いた庭園が広がり、柔らかな陽光がレースのカーテン越しに差し込んでいる。
そこには、連日の公務による疲れを微塵も感じさせないほど満面の笑みを浮かべ、私の子供たちをこれでもかと可愛がっているアリエルの姿があった。
「ああ、なんて愛らしいのでしょう。……ふふ、今のルーデウス様と並ぶと、まるでお三方とも兄妹のようですわ」
アリエルは膝の上にアルスを乗せ、その隣で少し緊張して固まっているルーシーの頭を優しく撫でまわしている。
私はその光景を眺めながら、静かに差し出された茶を啜った。
「アリエル様。……ビヘイリルでの戦いについては、既にシャンドル殿から報告が行っているのですね」
私の問いに、アリエルはルーシーの頬を優しく突きながら頷いた。
「ええ。詳細な記録を受け取っていますわ。……ルーデウス様、貴方は本当にとんでもないことを成し遂げてくれました。おかげでアスラ王国は、世界で最も強力な『戦力』を陣営に抱えていると世界に認知されました。私がこれまで貴方に投下してきた投資など、この名声一つで余裕を持って回収できてお釣りが来るほどですわ」
「……戦場は辺境であるビヘイリルでした。そこまで正確に情報が周知されるものなのですか?」
私が疑問を口にすると、アリエルは「あら、まだご存じなかったのですね」と、いたずらっぽく微笑んで一枚のメモを差し出してきた。
そこには、最新の『七大列強』の序列が記されていた。
第1位 技神 ラプラス
第2位 龍神 オルステッド
第3位 雷神 ルーデウス・ボレアス・グレイラット
第4位 魔神 ラプラス
第5位 死神 ランドルフ・マリーアン
第6位 剣神 ジノ・ブリッツ
第7位 北神 アレクサンダー・カールマン・ライバック
「…………三位」
私は思わず絶句した。手にしたメモを持つ指先から、僅かに震えが伝わってくる。
戦いの最中、アレクサンダーを下したことで、石碑の第七位が私の紋章に書き換わったことには気づいていた。だが、闘神を下したその後の再集計の結果、私はかつての魔神と肩を並べる位置にまで跳ね上がっていたのだ。
――冗談じゃない。世界の頂点にほど近いその場所に、自分がいるという実感が、まるで湧いてこない。
「第二位の龍神と知己であり、第三位の雷神を国内に保持するアスラ王国……。もはや外交において、我が国に正面から異を唱えられる国は存在しません。貴方は歩く戦略兵器となったのですわ、ルーデウス様」
アリエルの言葉を継ぐように、背後に控えていたルークが誇らしげに口を開いた。
「ルーデウス。この世界の理において、第四位と第五位の間には、文字通り『神』と『人』を分かつほどの、とてつもない壁があると言われているんだ。……特に、あの魔神ラプラスよりも上位に君臨したという事実は、全世界に激震を走らせている。もはや誰も、お前を単なる魔術師としては見ていないだろうよ」
その説明を聞きながら、シルフィとエリス、そして私の隣にいたアルスまでもが、自分のことのように自慢げな表情を浮かべていた。特にエリスは「当然よ!ルーデウスが最強なんだから!」と言わんばかりに腕を組み、アルスも父親の偉業を誇るように胸を張っている。……全く、よく似た親子だ。
「……さて。これほどの地位を手に入れた貴方ですが、これから先はどう動くおつもりかしら?」
アリエルの問いに、私は背筋を伸ばして答えた。
「基本的には変わりません。ラノア魔法大学で講師としての職務を全うしつつ、オルステッドの手伝い……
「ふふ、それを聞いて安心いたしましたわ」
その夜、私たちはアリエルの強い勧めで王宮に一晩泊まることになった。
初めて訪れる豪華絢爛な客室に、ルーシーとアルスは当初、緊張で眠れないのではないかと心配していたが……。
蓋を開けてみれば、アリエルに半日中「可愛い、可愛い」と愛でられ、文字通り体力を使い果たされるまで遊び相手をさせられた二人は、ベッドに入った瞬間に深い眠りへと落ちていた。
小さな寝息を立てる二人の髪を、シルフィとエリスがそれぞれ優しく撫でつけている。その柔らかな光景を眺めながら、私は静かに部屋の灯りを落とした。
アリエル女王への表敬訪問を終えた翌日、私はエリスとアルスを連れて、王都アルスにあるボレアス・グレイラット家の屋敷を訪れた。シルフィとルーシーは、前日の疲れもあってか、王宮に残ってゆっくりと羽を伸ばすことを選んだ。
ボレアス家は一度は没落しかけたが、フィリップたちの頑張りとアリエル女王の即位、そしてエリスと私の婚姻によって、今や以前を凌ぐほどの権勢を取り戻している。かつて焼け落ちた屋敷の面影は、もうどこにも見当たらない。
執事に案内されて屋敷の玄関ホールに足を踏み入れると、真っ先に目に飛び込んできたのは、一際目立つ場所に鎮座する『ギレーヌ像』だった。かつて私が心血を注いで制作し、ギレーヌに贈ったものだ。柄まで精緻に再現された剣を携えたその立ち姿は、まるで今にも動き出しそうな迫力を宿している。
「アルス、見て。これがパパとママの師匠、ギレーヌよ。パパが作ったの、凄いでしょ?」
エリスが自分のことのように胸を張り、アルスに語りかけている。
「かっこいい……!お父さん、これ、本当にお父さんが作ったの?」
アルスもまた、その精緻な造形から放たれる強者の気配に圧倒されたのか、熱心に像を見上げながら、興奮気味に尋ねてきた。
奥へ進むと、フィリップ、ヒルダ、そしてサウロスの三人が姿を現した。
「…………」
私を一目見た瞬間、フィリップとサウロスは揃って目を見開き、言葉を失った。やはり、パウロと同じ反応だ。今の私の姿は、彼らの記憶にある「幼い頃のルーデウス」そのものなのだろう。
「おおおおぉぉぉっ!!ルーデウスではないか!!」
沈黙を破り、サウロスが凄まじい咆哮と共に駆け寄ってきた。そして、私の返事を聞くよりも早く、私の脇の下に太い腕を差し入れ、ひょいと高く持ち上げた。
高い。パウロやルークの比ではない。サウロスは以前会った時よりもさらに身体を鍛え直しているようで、その筋肉は岩のように硬く、隆起していた。
(……天井にぶつかるようなら、重力魔術で軌道を修正しよう)
そんなことを考えつつ、私は野獣のような老人の愛情表現に身を任せた。
「いや、驚いたよ。話には聞いていたが、これほどまでに当時の面影そのままだとはね」
フィリップが目を細めて苦笑した。その隣からは、ヒルダが我慢しきれないといった様子で歩み寄り、私をぎゅっと抱きしめてきた。
「ふふ、ごめんなさいね、ルーデウス。でも、本当に懐かしくて……。エリスが小さかった頃を思い出してしまうわ」
……ここでもか。もはや私に拒否権はないようだ。後ろで唇を尖らせて睨んでいるエリスも、いい加減この「抱擁の連鎖」に慣れてほしいものである。
「お爺様、義母上。まずは孫とひ孫を可愛がってあげてください。今の主役は私ではなく、アルスですよ」
私は自分への関心を逸らすため、アルスを前に押し出した。
作戦は成功した。ヒルダは即座にアルスを抱きしめ、サウロスも「おお、これがエリスの子か!」と豪快に高い高いを開始した。アルスは少し目を回していたが、それでも嬉しそうに笑っている。その様子を見て、ようやく屋敷の空気が和やかになった。
お茶を飲みながら、私たちは最近の情勢について語り合った。
ビヘイリルでの死闘の結果は、既にフィリップの元にも詳細な情報が届いているらしい。
「七大列強の第三位。……まさか、我がボレアス家からそんな伝説の存在が生まれるとはな。はっはっは、痛快だ!」
サウロスが上機嫌に笑い、フィリップもまた、疲れの見える顔に満足げな笑みを浮かべた。
「……義父上、随分と忙しそうですね。少し痩せられたのではないですか?」
「ああ、お察しの通りだよ。有難いことに、今やボレアス家はアスラ大貴族の筆頭だ。アリエル女王の最大の後ろ盾として、国政の舵取りを一手に引き受けているからね。寝る間もないほどだが、退屈する暇もなくて楽しいよ」
そう語るフィリップの目元には、隠しきれない疲労の色が滲んでいた。だが、その口調には、確かな充実感も同時に滲んでいる。
フィリップの言葉通り、今のボレアス家はアスラ王国の心臓部そのものとして機能しているようだ。
談話の最中、一人の女性が静かに入室してきた。
足音一つ立てない、洗練された気配。
ギレーヌだ。
彼女の姿を認めた瞬間、エリスの顔がパッと喜色に染まった。アルスもまた、本能的に察知した強烈な「剣」の気配に、憧れに満ちた視線を送っている。
「ルーデウス、エリス。……息災だったか」
「ギレーヌ!久しぶりね!」
エリスが弾かれたように立ち上がり、駆け寄って彼女の腕に抱きついた。普段は堂々としたエリスが見せる、数少ない年相応の無邪気な仕草だ。
ひとしきり再会を喜び合った後、二人が席に戻ったところで、フィリップが誇らしげに一つの新設された制度について説明してくれた。
「アスラ王国では今後、七大列強に倣って、『アスラ七騎士』という最高位の称号を設立することになったんだ。……既に幾人かの顔ぶれは決まっているよ」
『王の懐刀』ルーク・ノトス・グレイラット
『王の大剣』シャンドル・フォン・グランドール
『王の猟犬』ギレーヌ・デドルディア
『王の門番』ドーガ
『王の大盾』イゾルテ・クルーエル
「……なるほど、各分野のスペシャリストを揃えましたのですね」
私が感心していると、エリスがギレーヌの肩を叩いて「流石ね、ギレーヌ!」と彼女の栄誉を寿いだ。ギレーヌは相変わらずの無表情を貫いていたが、その耳が僅かにピクピクと動き、照れを隠しきれていないのが分かった。
……ギレーヌにも、こうした可愛らしい一面があったのかと、私は場違いにも少し嬉しくなった。
その後、サウロスの思いつきで、急遽中庭で剣の鍛錬を見学することになった。
乾いた金属音が澄んだ空気に響き渡る。エリスとギレーヌが剣を合わせ、鋭い火花を散らす。かつての師弟が、いまや対等の戦士として技を競い合う姿は、見ていて胸が熱くなるものがあった。
アルスもまた、子供用の木剣を握りしめ、自分より遥かに大きな二人に向かって果敢に挑んでいく。何度も弾き返され、尻餅をついても、すぐに立ち上がってまた突っ込んでいくその姿は、なるほど、確かに母親譲りだ。
「あはは、アルスったら、まだまだね!」
エリスが楽しそうに笑いながら、それでも手加減は忘れない優しい太刀筋で、息子の相手をしてやっている。
黄金の陽光が降り注ぐ中、私は穏やかな気持ちでその光景を眺めていた。
まだ
だが、こうして守り抜いた家族が、笑いながら剣を交える姿がある限り、私はいくらでも前へ進んでいけるだろう。
そんな確信めいた想いを胸に、私はしばらくの間、その温かな光景に浸り続けた。
エピソード 第1話目です!
これくらいの長さでゆっくりと書いていこうと思います。
アリエルの変態性はまた別話で描きましょう。