μ'sが九人になりフルメンバーとなった。
「せっかく九人になったんだし、皆んなでお昼ご飯食べようよ!」
練習終わりに穂乃果が言い出した。
「交流を深める意味でもいいと思います」
「賛成!」
海未とことりも続く。
「でも九人一緒だと禄に話も出来ないんじゃ無い?」
「でしたら、三人ずつを複数回するのはどうでしょうか?」
「いいと思います!」
そうしてくじで決めた組でお昼ご飯を食べることになった。
「ちなみに俺は?」
「あんたは全部参加に決まってるでしょ!」
「左様ですか」
どうやら俺は全部参加みたいだ。
「明日の昼ご飯、楽しみだなー!!」
翌日の昼休み、最初の三人が部室に集まった。
「絵里先輩、真姫ちゃん、滉季くん今日はよろしくね!」
「ええ、よろしくね」
「まぁ、よろしく」
「おう」
最初のメンバーは穂乃果、真姫、絵里。
「じゃあいただきまーす!」
穂乃果がパンにかぶりつく。
「穂乃果は昼はパンなのね」
「ウチ、和菓子屋なのでご飯はいつもお米ばっかりなんですよ、だから昼くらいはパンが食べたくて!」
「食べ過ぎ注意だぞ」
「もー!分かってるよ!」
「前から思っていたけれど、穂乃果と滉季って仲いいわよね?」
「はい!小さい頃からの幼なじみなので!」
「腐れ縁ってやつですね」
「いいわね、二人の関係」
「どっちかって言うと飼い主と尻尾を振る犬みたい」
「えー!真姫ちゃんひどーい!」
開始早々に和気藹々とした雰囲気となった。
「絵里先輩、μ'sはどうですか?」
「あら、心配してくれるの?」
「そりゃ気になりますよ」
「ふふっ優しいのね」
絵里がμ'sで上手く過ごせているか念のため確認。
「そうね、皆んな頑張っていると思うしメンバー間の仲もいい。私もすぐに打ち解けることが出来たわ」
「生徒会長の時のイメージとは全然違ったわね」
「絵里先輩厳しいけど優しくて私はすぐ仲良くなれたよ!」
「それなら良かったです」
この様子だと問題は無いようだな。
「改めて絵里先輩、μ'sに入ってくれてありがとうございました」
「私がμ'sに入れたのは皆んなのお陰でもあるけど滉季、あなたの存在もあったからよ」
「俺ですか?」
「あの時、私にかけてくれた言葉、響いたわよ」
「滉季くん、あの時って??」
「μ'sには絵里先輩が必要だって言ったんだよ」
「カッコいい男の子にあそこまで言われると私も少し来る物があったわ」
「いいなー」
「ま、私も似たような事言われたけどね」
「真姫ちゃんも!?」
「私の曲が必要だ!って」
「滉季は口説くのが上手みたいね」
「・・・俺はμ'sのことを考えてですよ」
からかわれると立場が小さくなってしまう・・・
「私は最近滉季くんにあんまり褒めて貰ってないのにー」
穂乃果が膨れ顔でそう言う。
「俺はちゃんと穂乃果のこといつも見てるぞ」
「ほんと!?」
「だから心配するな」
「うん!」
「あらあら」
「ふーん」
話を変えるために絵里と真姫のお弁当に話を振った。
「絵里先輩と真姫のお弁当おいしそうですね」
「私のはロシア料理が入っているの」
「私のはマ、お母さんが作ってくれて」
「そうだわ、滉季」
「はい?」
「ロシア料理食べてみないかしら?」
「いいんですか?」
「遠慮しないで」
「あーでも箸が」
考えてみると俺は箸を持っていない。
「私のでいいわよ、ほらあーん」
そう言うと絵里は自分の箸で料理を掴み俺に差し出してきた。
「・・・」
いいのか?
「あら照れてるの?可愛いところもあるじゃない」
向こうが良いと言ったんだ、拒むのも悪いと思い口に運ぶ。
「あむっ・・・おいしいです」
「ほんと?よかったわ」
「・・・私も」
「真姫?」
「ほら口開けなさいよ」
同じように真姫も自分の箸でおかずを掴み俺の口に運んだ。
箸を持つ手が若干震えていた。
「どう?」
「うまい」
「当然よ」
そう言うと真姫は顔を背けて髪の毛クルクルしている。心なしか耳が赤くなっていた。
「二人ともずるいー!滉季くんあーん!」
「パンは別に・・・」
「私のは食べられないの?」
「分かったよ」
穂乃果が口を付けた所を食べても良いのかと一瞬考えたが、笑顔で向けてくるためそのままかぶりついた。
「ありがとう、穂乃果」
「うん!」
なんだか餌付けされているような気もしたが悪い気はしなかった。
美少女三人に食べさせて貰うなんてご褒美レベルだな。
「それで次の曲なんだけど」
その後ご飯を食べ終わった後は次の曲についての相談。
先ほどまでとは変わり三人とも真剣な表情で話をしていた。
そうして初日のご飯は終わった。
「今日はにこ達の番ね!」
「よろしくお願いします」
「お願いします!」
二日目は海未、花陽、にこの三人だ。
「不思議な感じですね」
「不思議?」
海未は席に着くと唐突に切り出した。
「ええ、最初は穂乃果とことりと始めたμ'sですが、花陽が入りにこ先輩が入って最終的には九人になりました」
「そう言えばあんた達最初は三人だったわね」
「それが今では九人です、感慨深い物もあります」
「私はあの時、勇気を出してμ'sに入ってよかったって思います!」
「にこも、もしかしたら今もこの部屋に一人だったかも知れないし」
「希先輩の言葉を借りるのなら、この九人になるのは運命だったのかも知れませんね」
「・・・でも、運命だけじゃなかったんじゃない?」
「そうです!!」
「確かに、滉季の存在も必要でした」
「背中を押して貰ったこと、忘れません!」
「にこを引っ張ってくれたこと、認めてくれたこと感謝してるわよ」
「皆んな・・・」
「滉季、あなたがしてくれたこと私たちは忘れません、その事は覚えておいてくださいね」
急に褒められて照れくさくなる。
「さっ、ご飯にしましょ」
にこが話を切替えてくれた。
「じゃじゃーん!」
それぞれのお弁当には個性があった。
にこは家庭的な弁当、海未は和風弁当、花陽は大きなおにぎりであった。
「花陽のおにぎり、すごく大きいですね」
「それ食べられるの?」
「お米大好きなんでこれくらい余裕です!お米はパワーの源なんです!!」
俺の顔より大きいおにぎりを笑顔で持つ花陽。
「にこ先輩のお弁当もおいしそうですね」
「聞いて驚くと良いわ、このお弁当はにこの手作りなのよ!」
「すごいです!」
「すこし分けてあげるから食べなさい!」
「ありがとうございます」
その光景を見守っていると
「何やってるのよ、あんたにもあげるに決まってるでしょ」
「いいんですか?」
「当然よ、むしろ滉季が食べないと意味ないじゃ無い」
「それじゃあ」
色とりどりの家庭的なメニューが並んだお弁当はとてもおいしそうだ。
お弁当の中からピックが刺さってるミニハンバーグを口に運んだ。
「うまいっ!」
冷めていてもジューシーなハンバーグは絶品であった。
「おいしいです」
「ごはんと相性抜群です!」
よく見ると、にこのお弁当箱は女子が食べるには大きいように見えた。
最初から皆んなに分けてあげるつもりでいたのだろう。
「流石にこ先輩です、今日のためわざわざ手作りするなんて」
「・・・そうね!」
一瞬間があった気がするが気にする人はいなかった。
その後もいくつかおかずをもらいお弁当は空になった。
「にこ先輩、ごちそうさまでした。どれもすごくおいしかったです」
海未と花陽も同等の褒め言葉を送る。
「好評なようで何よりだわ。そ・れ・に」
にこ先輩は俺の隣の椅子に座り頭を肩に乗せながら俺の目を見ていった。
「料理も出来るにこの虜になっちゃった??」
ドキッ、以前にもやられたがにこ先輩は距離が近いな。
「にこ先輩の料理、また食べたいくらいです」
「やったにこ!また作ってきてあげるわね」
「・・・」
俺たちを見つめる海未と花陽。
「・・・いいのあんた達?ボサッとしてると全部終わっちゃうわよ」
「ダメです!!」
「あわわわ」
一体何のことだ?俺だけが話の内容を分かっていなかった。
「精々がんばることね」
「?がんばれ!」
それだけ言うとにこは元の席へ戻っていった。
「料理、頑張ろうかな・・・」
「ですね・・・」
こうして二日目のお昼ご飯も終了した。
「やっとウチらの番やね」
「待ったにゃー!」
「楽しみだね!」
最終日はことり、凛、希の三人とだった。
「えりちとにこっちから話は聞いとるよ~中々楽しそうだったらしいやん」
「色々と話が出来て楽しかったですよ」
「ほな、ウチらも楽しませてもらおうかー」
各自お弁当を広げて。
「いただきます」
「いただきます!」
「いただきますにゃー!」
それぞれがご飯を食べ始める。
「こうやって後輩の子と食べるのって新鮮やな」
「いつもは穂乃果ちゃん達とだからことりも思います!」
「滉季くんは両手に花でいいな~」
「滉季先輩ひゅーひゅー」
ワイワイと時間が進む。
「そうだ、ことり」
「なにかな?」
「衣装の件、ありがとうな」
「ううん、気にしないで」
オープンキャンパス直前にメンバーが増えたために、急遽追加で衣装を用意することになった。
勿論全員で手伝ったのだが、衣装担当のことりの労力は人一倍だっただろう。
「ことりちゃんの衣装、めっちゃ可愛いな」
「着るとワクワクするにゃー!」
「二人ともありがとう!」
「あんまり手伝えなくてごめんな」
「大丈夫だよ、気遣ってくれてありがとう」
ため込む癖があることりだ、様子はしっかり見ていこう。
「希先輩、練習の方はどうですか?」
「一応、なんとかなっとるよ」
加入が最後となった絵里と希は他のメンバーより練習時間が少ない。
経験がある絵里と違って一からのスタートとなる希は追いつくために遅くまで自主練をしていた。
「俺に何かできることがあったら言ってくださいね」
「おっそれならー」
「なんでしょうか」
「ウチ胸がおっきいやん?だから運動すると肩がこるんよ。だからマッサージしてほしいな」
その言葉を聞いたことりと凛。特に凛は希の胸を注視した。
「その手でウチの事ほぐして欲しいな?」
希はその大きな胸を揺らしながら俺に向かって体を向ける。
「・・・肩ですよね?」
「んー?どこやと思ったん?」
「・・・」
「きゃー!滉季くんのえっち~」
希は笑いながら体を腕で隠す。
「座ってください!!」
「わっ!」
立っている希を椅子に無理矢理座らせる。
「お望み通りバッチリほぐしてあげますよ!!」
「えっえっ!?」
「いきます!」
「待って!?」
もみもみ
「あうううう」
当然俺が揉んだのは肩だ。たしかにこっている。
「どうですか?」
俺はしっかりと力を込めながら繊細さにも気を遣い肩を揉む。
「あっ、これあかんって」
「んっっ」
「きもちいい・・・」
しっかり五分間ほど肩もみをした。
「どうでした?」
「これは癖になってします気持ちよさや・・・」
大分とろけた表情で希が言う。
「・・・希先輩、すごいね」
「・・・えっちにゃ、アダルトにゃ」
離れてみていた二人は何やら震えていた。
「ふぅ最高やった、せや凛ちゃんとことりちゃんもやってもらえば?」
「凛は肩こってないので大丈夫です!!」
「ことりも今はいいかな!!」
ついでに二人にもしようかと思ったが断られてしまった。
「でもええなー」
「なにがです?」
「滉季くんのことや」
「男手が必要なときはもちろんのこと、メンバー個人個人の事もしっかり考えてくれる、こんなのいないやん?」
「滉季先輩は凛達にとって大切な存在にゃー!」
「・・・ことりの自慢の幼なじみです♪」
「ことりちゃんは昔から隣におるんか、羨ましいなー」
「でも今は皆んなの滉季先輩にゃ!」
「・・・」
「ことり?」
「ううん、なんでもないよ!」
一瞬ことりの表情が曇った気がしたが気のせいか。
「ともかく、滉季くんのマッサージのお陰で練習がんばれそうや」
「ならやった甲斐がありました」
「お昼ご飯一緒に食べるの楽しかったから、またやりたいね!」
「別の人と食べるのも楽しみにゃー!」
「また企画してやりますか」
「もちろん!」
「?」
「滉季くんは全部参加やね!」
こうしてお昼ご飯会は無事終了した。
皆んなからも好評であったために、近いうちに第二回が開かれるようだ。
色々あったが、直接皆んなと交流できた良い機会だったな。