奇械姫と騎士 作:水氷(ばっかり手に入る)
ようやっと書けた...
今回サンドローネ全く触れてない...
でもメインはサンドローネだから!!
風と自由を信仰する国に、一人の男の子が生まれた
子は物心ついた時から騎士になると夢見ていた
幸運なことに、子には逸脱した才能があった
母は食事で栄養を摂らせ、父は身体の動きを教え
姉は知識やマナーを教え、子の夢を応援した
その甲斐あって、子は最年少で騎士団へ入団できた
子が入団し暫くして、姉は異国に留学した
寂しい思いもある子を励まそうと、姉の恋人であり子の大先輩でもある騎士が子の面倒を見た
そして元気を取り戻した子を、世界は地獄へ落とした
厄災の訪れにより、慕っていた騎士は遠征で殉職
収束はしたが、多くの犠牲者が出た
その後、騎士の称号を継承した子に不幸が重なる
魔龍が国を襲撃、撃退したが両親を含む犠牲者が出る
心身ともに疲弊した子は無謀にも魔龍討伐に進軍する
部下の兵士は全滅。子も魔龍によって殺されそうになるも、神と龍が助けに来た。神と龍が魔龍と戦ってる間、侵食を受けていた子に青年が現れ、子を治療する
治療を受けた子は数十年、眠り続けた
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「お久しぶりです。第二の人生は楽しんでますか?」
「あんた、いや...あなたは」
気付けば見知らぬところにいて、そこには一人の青年
くせっ毛のあるウルフヘアで髪の長さは胸元辺りまで
髪色は金髪、瞳は銀色。身長は俺より少し上、そして
「胡散臭そう...」
「なにかいいました???」
「いえ、なんでもないです」
まぁ少し声を漏らしてしまったが、間違いない。今はもう殆どの記憶が戻ってきたからわかる。この人は、侵食で苦しんでいた俺を救った恩人だ
「はぁ、人が気にしていることをよくもまぁ」
「あ、それはすみません。恩人に対して失礼でした」
「では敬語もなくしてください。失礼ですよ?」
「どこが!?」
「キャラが被るじゃないですか。恩人のアイデンティティを奪うなんて恩知らずでは?」
「敬語がアイデンティティは薄いわ!!」
もっと特徴的なのあるだろ!金髪はともかく、瞳の色なんか珍しいとは思うが!?
「さて、敬語を外してくれましたね」
「え、あぁ...もしかしてわざとか?畏まらないよう」
「はい。そういうのイヤですので」
苦笑いを浮かべながらそう言う彼の表情は、本当に敬語というか敬われることが嫌いなんだなと感じる
「それで、ここはどこ?俺は確かベリル地区で地盤の下敷きにされそうなのは覚えてるんだけど」
「あぁ、また随分と無茶をなさったようで。まぁ今回は私にも原因の一端がありますから、その点については申し訳ありません」
「どういうことだ?というかその口振りは、まるでさっきの惨状を見てたような感じだな」
「見てた訳ではありませんよ。ただこの子から聞いたのです。大変なことになってたよーって」
彼が言うこの子は、ちょうど彼に飛びついたウサギのことだろうな。そうだ、あのウサギに触れた瞬間ここに居たんだ。このウサギもウサギで一体なんなんだ?
「この子は私の眷属兼友人でして、緊急時にはここへ避難できるようにしてあります。他の者を一緒に連れていくことは可能ですが、少人数の上にその分エネルギーを使うんです。今はもう空っぽですね」
「キュー」
あっさり疑問に答えてくれた...いや、その他にも疑問に思ってることがあるし答えてくれてないな
「で、もう一度訊くがここはどこなんだ?避難してた他の人たちも気になるし、俺の無茶した原因があんたなのも色々気になることが山積みなんだよ」
「まぁそう焦らずにいきましょう?向こうの方でゆっくりと順を追って話しましょうか。まず─」
「─ねぇ、誰かいるの?」
詰めていく俺を宥めていた彼の言葉を遮るように、彼の後ろから声がした。その声は透き通るように綺麗で、穢れを知らない純粋無垢さを感じると同時に、普通ではない雰囲気も感じ取れた
声がした方へ身体を動かし、その主の姿を見た。そこには濃いマゼンタ色が混じった黒の長髪に、白の変わったアイマスクを付けた儚げな少女がいた
「おや、クータル。いま突然のお客さんがいらっしゃいましてね。<霜月の子>ではないのでご安心く─」
「その呼び方、ヤ」
「...はぁ、はやくご自分の名前を決めてくださいね?クーちゃん」
「ふふっ、あなたが私の名前を教えてくれたらね」
姿とかも改めて見ると、やっぱりこの少女は普通じゃない...確証はないが、俺が魔龍にやられそうなとこに助けに来てくれた神の雰囲気に少し似てる?
「ではクーちゃん。私はお客さんの相手をしてますので、緊急の用でなければ待っていてください」
「うん。わかった」
俺が考えてる間に、クーちゃんと呼ばれた少女は彼と少し話をしてから、鼻歌をしながらふんわりとした足取りで遠ざかっていった
「それでは、いろいろ順を追って説明しましょうか」
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恩人に案内されたのは、岩石を椅子とテーブル代わりにした場所だった。だが意外なことに、石だからといって座り心地は最悪ではなかった。むしろいい感じ
「そういえば、自己紹介がまだでしたね
私は<アーガス>。先程の少女のお世話係です」
「俺はアスター、<アスター・ギヨタン>だ」
「改めてよろしくお願いしますね。アスター」
「あぁ。それじゃあいろいろ説明してもらおうか」
「そうですね。まずなにが知りたいですか?」
「モンドはあれからどうなった」
もうモンドにいない身だとしても、やっぱり護ってきた国の現状は知りたい。魔龍が神と龍によって討伐された後どうなったかはいつか直接行くけど、今はこの耳で聴いておきたい
「魔龍襲撃から約100年経とうとしてますが─」
「ちょっと待て!」
「はい?」
「ひゃ、100年!?十数年前の間違いじゃないか?俺がフォンテーヌに住み始めてからまだそれくらいしか経ってないんだぞ?」
「あぁ言い忘れてましたね。あなたに処置を施した後あなたは変質する身体を適応させる為再び眠りにつきました。それから目が覚めるのに数十年の時間が経っていたんですよ」
えぇ...じゃあ、あの時の同僚とかお世話になった人たちはもう年老いて、というかもういないのか...ショックだな。遠目からでも顔を見たかったんだがなぁ
「すみません。事前に説明すればよかったですね」
「あぁいや、大丈夫だ。続けてくれ」
「わかりました。現状は平和になりつつあります。ただ魔龍との戦いで神と龍の傷は深く、両者は討伐後すぐ眠りにつきました。一度そちらにも治療を施そうか話したんですが断られました。恐らく安易に貸しを作りたくはないんでしょうね」
「そっか...ありがとう。じゃあ次にさっきのフォンテーヌでの水害で俺と一緒に避難してた人たちは無事かわかるか?」
「それに関しては先程も言ったように、私はウサギから聴いただけで、見てた訳ではありませんのでなんとも言えません」
「あーそうだったな、悪い。それじゃあ俺が地盤の下敷きにされそうになった原因の一端があんたにあるっていうのは?」
「地盤下敷きに直接関与してる訳ではありません。ただあなたのそれまでの不調に間接的に関与しているだけです」
不調っていうか、あれは突然記憶が戻ってきて頭痛とか動揺してたからなんだがな。まさか記憶が急に戻ってきたのは偶然じゃないのか?
「お察しの通り、今まで十数年間記憶が戻らなかったあなたが水害時に突然戻り始めたのは偶然ではありません」
「ごく自然に心を読まないでくれるか?」
「実は勝手ながら、私があなたに記憶を思い出させないようにしていたのです」
「続けるのかよ...って、なんの為に?」
「企業秘密というやつです。すみませんが現状、私はそう答えるしかないのです」
「ふーん。まぁ...今はそれでいいや。で、ずっと思い出せなかったのが思い出したのはアレか?あのウサギを触ったからか?」
「えぇ、その通りです」
思い返してみれば、ウサギを抱き抱えた瞬間から過去の記憶─幻聴や幻覚と思い込んでいたもの─を思い出していったからな。そのウサギはこの人の眷属らしいし、施錠された記憶を解錠させるっていうことも出来るんだろうな。水害時にソレさせるのは勘弁だったけど
「あ、記憶戻って疑問に思ったこと言っていいか」
「えぇどうぞ」
「治療してもらった時、あんた─俺が人間ではなくなる─って言ってたけど、ホントか?」
あのときの俺は、モンドのみんなが助かるためならって感じで治療してもらう直前に変な脅しをしたからな。俺を治療するならみんなにも治療しろっていう感じで...いま思えばめちゃくちゃだな。それで了承してもらい治療を受けて、そのあと少し気を失って目を覚ました時にそう言われたんだよな
「はい、本当ですよ。あのときのあなたはもう手遅れな程に侵食していましたからね。なので身体の構造を大幅に変えた結果、もう普通の人間とは言えないほどになってしまったんですよね。その過程で<神の目>は機能を失ってしまいましたので、恐らく世界記録的には1度目の人生のあなたは死亡扱いになっていると思います」
「そうか。でもそうまでして俺を助ける意味は?」
「やはり企業秘密というやつですね」
「...」
「...」
「...胡散く─」
「やめてください?本当にこうお答えするしかないんですよ!」
「答えるにしてもその返しじゃ胡散臭いんだよ」
「えぇ...っ!あ、では運命であなたはここで消えていい存在ではないという答え方はどうでしょう!」
「どうでしょうじゃねぇよ!胡散臭さは消えたけど逆にポンコツっぽさが出てきてるんだよ!!」
「胡散臭いのは消えたんですね。よかったです」
コイツどんだけ胡散臭いの気にしてんだよ...この調子じゃ、答えてくれそうにないな。まぁ何か良からぬ企みの為に動いてる訳ではなさそうだ
それよりも、俺はもう人間じゃないのか。確かにもう30以上の歳になるのになにか衰えてる感じが何処にもなかったな、もしかして寿命とかも大幅に...待てよ?
「なぁ、俺の寿命はどうなってる?」
「4桁はくだらない程に長くなりました」
「予想以上に長いな。その事をじいちゃん...アラン・ギヨタンは知ってるのか?俺は人間のソレじゃないって」
「えぇ、引き渡す際に伝えてます。ただこのことはあなたには内密にするようお願いしました」
あぁ、これで納得した。じいちゃんがマリーに渡すようにとアレを俺へ渡した理由が...寿命で悩んでたが、その必要はなくなったな
じゃあ。気長にマリーの成長を待つとするか
少しの安堵とともに顔を緩ませたのを見たのか、アーガスが微笑みながらこっちに話しかけてきた
「なにかいい事でもありました?」
「企業秘密というやつですね」
「...言われた側は少しイラッと来ますね」
「理解してくれてなによりだ。まぁそんなことよりも、現状じゃ最後に気になってることなんだが、どこなんだここ?」
色々質問していて後回しにしていたモノが漸くきけた。ここが何処かなんてのは優先順位が低くなってたからな、明らかに身の危険がない安全な場所だし後回しにもなる
「ここは私と先程の少女の家です。位置的にはスネージナヤの辺境の地<ナド・クライ>で、その地域内にあるヒーシ島です」
「スネージナヤ...随分遠くまで飛ばされたなぁ」
「まぁ、命を助ける手段としてはソレが最善だったわけですので、その点を考慮して頂けると」
「別に責めてないって、むしろ感謝する側だし俺。一度ならず二度も助けてくれたんだからな。なにか返せるものがあればよかったんだが」
避難時に持ってきてた鞄は預けてしまったままだし、そもそもそんな返せるようなモノ入れてないな。武器...も、あそこに置いてきたのか。唯一あるのはポケットの中の例の物。でもコレはマリーに渡すやつだからダメだ
「それでしたら1つ、手伝ってはくれませんか?」
「あぁ、もちろんだ」
「ではこちらを。各国で元素が潤沢な場所で放ってきてもらえませんか?私はクーちゃんのお世話に専念したいので」
「よしわかった」
アーガスから渡されたものは布袋。中にはガラス玉?みたいなやつが6つ入っていた。これを投げてくるってことだよな?意外と簡単...あっ、そういえばマリーはいま世界を旅してるから、各国を巡ることになる俺と鉢合わせになる可能性があるのか...あー、そうなったら少し気まずい
「では暫くここで隠居しますか?さっきの手伝い事は今すぐにしなければならないものではないですし」
「ナチュラルに心読むな...対価は?」
「クーちゃんの遊び話し相手になってください」
「よし、了解」
というわけでここから何年何十年となるかわからんが、隠居生活をした後、アーガスの手伝いの為に各国へ行くこととなったのだった
「あ、彼女の教育に悪いことをしたら即ドカンなのでよろしくお願いしますね?」
「あんたはその子の親か」
「お世話係です」
似たようなもんだろ
──AnotherView──
フォンテーヌ水害から数日後
知恵の国スメール スメールシティにて
巨体の機械を携えた機械少女が、手に持っている記事を強く握りしめていた
「うそ。フォンテーヌに水害...っ」
ご安心を!メインはサンドローネです!
今回はオリキャラとの会話がメインになっちゃってましたが、もしかしたら数話(別のオリキャラも出てしまう)続くかもしれません。理由はあります。
この二次作品ですが、恋愛は1VS1でやっていくと決めたんですけど、自分は他にも好きなキャラがいましてね...番外編としてそのキャラとのやり取りも書きたいんです!だからその為の布石に、オリキャラ用意って訳です
各国に行くのもその布石の面があります。全部ではないです
ご安心を!メインはサンドローネです!