アインズ様が「エボルトォオオオオ!」と叫ぶ話 作:月光舞詐称者姫
王都に逆巻く悪意が、巻き込んではいけない連中を巻き込んで災いを引き起こし、ヒーローとなったニニャは、仮面ライダーになることを問いかけられる。その先に待つ強敵と新たな力。エボルト、アインズ、ラナー、ほして八本指、複数人の陰謀渦巻く王都動乱編の前編となる物語にどうぞご期待ください。
「指名手配……ですか!?」
「えぇ、連続で店を襲った強盗であると……」
「なるほどね、通りで王国の連中が迂闊に手を出せないわけだ。」
一方のニニャ達は、そんな状況をセバスによって知らされ、ルクルットがそういうことかと自体を把握する
「どういうことだ、ルクルット」
「連中、表向きは普通の店なのさ。踏み込むにも証拠がなくちゃ踏み込めない。奴隷売買禁止の法律を逆手に取って、一連の事件を俺たちによる従業員の不当な誘拐ってことにするつもりだ。」
「なんと……!」
ルクルットのその推察を妄言と一蹴するには、ダイン達が見てきた八本指の悪意の根は深すぎた
「こうなった以上、皆さんを屋敷に留め置くわけには行きません。即刻出て行ってもらいます。」
「お嬢様、そのような物言いは……」
こちらを忌々しそうに見るソリュシャン。その視線の実態は、親愛なるプレアデスの仲間、ナーベの仇スタークの一味だからというのが事実なのだが、彼らにはよくもこんな厄介ごとをと言っている様に見えた。だがそれも仕方ないとペテル達が席を立とうとするのを、セバスが静止する
「勿論、別室で寝ている二人もです。歩ける程度の治療は終えましたし即刻……」
「お言葉ですが、一度受け入れると言った物を放り出すのは」
「もうそういう状況ではないと分かっているでしょう!?」
セバスの言葉に腹立たしげにソリュシャンが声を上げる
「そこの人の言葉が正しければ、貴方も誘拐をしたことになるのよ!」
「ですが、彼女は私に助けて欲しいと言いました。」
「また貴方はそのようなことを……一旦こちらへきなさい!」
本来ならばソリュシャンの方が階層守護者のセバスよりも立場としては下だ。
そんな人間に命令する形で意見を具申している。そんな演技もニニャ達の前では限界になってきたソリュシャンは、そう言って腹立たしげに部屋を出ていく。
「お嬢様はあぁ言っておられますので、説得に行って参ります。」
「セバスさん、何もそこまでしなくても……」
「いえ、お構いなく。"誰かが困っていたら、助けるのは当たり前"ですから。」
そう言って立ち上がって出ていくセバス。残されたニニャは、ポツリとこぼす。
「遠いなぁ……」
自分よりもヒーローとして完成されたその姿に、そう零さずにはいられなかった。
「どういうおつもりですかセバス様、奴らは仮面ライダーですよ?そして、怪我のひどい人間はその姉です。」
「えぇ、それがどうかしましたか?」
「そんな人間に、わざわざアインズ様からいただいたスクロールを……」
そう、治癒に利用した魔法とは、ソリュシャン自身ではなく、彼女の持つ治癒系統のスクロールーーーー羊皮紙に魔法の呪文を刻み、誰でも発動できる様にしたマジックアイテムーーーーを利用したものである。それに主人であるアインズの許可を仰いでいない。
何より彼らのリーダー、ブラッド・スタークと自分達は敵対関係にある。そんな人物と親しい人間を匿い、あろうことか治癒まで施すなど。
「逆に考えれば、彼女には人質としての価値があるということです。」
「そんな回りくどいことをしなくても、この場で溶かして仕舞えばいいじゃ無いですか。」
美しい人間の姿をしているが、ソリュシャンのその本性はスライム。それも人を溶かして食べる邪悪な物だ。そして何より嫉妬深い、セバスがゴーサインを出せば、彼女は瞬く間にニニャ達を飲み込み、骨すら残さず窒息すら許さず、じっくり、じっくりとその体内で溶かしていくことだろう。だがセバスはそれを良しとしなかった。
「この件はこのまま、今日の定時連絡でアインズ様に判断を仰ぎます。それまでは、保留という形にしておいてください。」
「…………」
どう見ても火急の案件だからさっさと報告してはどうか、とは言えなかった。セバスがこう決めたのだ。彼は首を縦には振らないだろう。ならばセバスの目を盗んで自分で
「「ッ!?」」
それが何かは予想がつく。だがこんなにも早く、そんな強引な手段に出てくるとは、二人も予想外だった。
「セバス様、緊急の連絡は。」
「……お願いします。私は様子を見て参ります。」
こうなっては仕方がないと、ソリュシャンの意見をセバスは了承する。そして、音のした客間へと向かうセバスを後目に、部屋に入ったソリュシャンは
一方、いきなり壁を破って突っ込んできた衝撃から起き上がった漆黒の剣一行。慌ててそれぞれの獲物を構えるが、突っ込んできた敵の姿に唖然とする
「なっ!?」
「スターク氏……であるか!?」
「いいやよく見ろコウモリだ!」
黒を基調としたパイプの生えたアーマーは、一瞬見間違えるほどスタークのものによく似ていた。違うのは、胸の意匠。緑の毒々しいコブラではなく、闇夜に怪しく輝くコウモリ、
「その通り。俺の名はナイトローグ。この国の警備隊長を務めている。」
そう名乗るコウモリ男、否ナイトローグ。
「ブラッドスタークなどというお前達とごっこ遊びに興じている輩と一緒にされるのは心外だ。俺とやつではモノが違う。」
「違うかどうかは、戦わなくちゃ分からない!」
その言葉に触発されたニニャが、ボトルを振ってセットする
変身してファイティングポーズを取るニニャ。それを前にしたナイトローグは一言、面白い。と言って構えを取る。
「……おい、気をつけろ。」
それを見て口を開いたのはクレマンティーヌ。
「え?」
「あの構え……あいつは間違いなく、格闘系の戦士職だ。」
つまりニニャとは異なり、中身から肉弾戦のプロフェッショナル。その言葉を聞いてニニャは
「それならこれで!」
肩から伸びるフューリーオクトパスによる波状攻撃、しかし狙ったそれは、一本のタコ足を掴まれたことで瓦解する。
「なっ!?」
「その程度か?ふんっ!」
引き話そうと暴れる他のタコ足を弾きつつ、力任せに掴んだそれを引っ張る
「うわっ!?」
「オォッ!」
「がっ!?」
そのまま引き寄せられたところに叩き込まれる拳で吹っ飛ばされ、ニニャは家具を破壊しながら壁に叩きつけられた。さらに
「お次はコイツだ。」
「ボトルまで持ってんのかよ!?」
「チッ!貸せっ!」
取り出した赤のフルボトル、消防車ボトルを振り、装填。その様子に危機感を感じたクレマンティーヌは、倒れるビルドのベルトから一本ボトルをもぎ取り、奮って突撃する
「ラァッ!」
フルボトルの力を得て放たれたその拳。しかしナイトローグはそれすら受け止める
「なっ!?」
「いいパンチだ。だが!」
「がっ!?」
そのまま腹に一撃。重ねがけしていたバフのおかげで致命傷には至らなかったが……
「い、一撃……!」
「そんな、ミカンちゃんまで……!」
「だったらぁ!」
フューリーオクトパスをその腕に巻き付け、パンチ力を強化する。ボトルの組み合わせではなく、専用のボトルを利用する今後の強化フォームにも威力だけなら匹敵するパンチは
「当たらない、どうして!?」
「生っちょろい拳だ!腰が全く入っていない!」
全てナイトローグに躱されてしまう。
「いいか、パンチとは……」
「やぁあああッ!」
フンッとニニャの動きを鼻で笑った直後、
「こう、打つのだ!」
「がっ!?」
向かってきたニニャの拳に合わせてクロスカウンター、さらに怯んだところに蹴り、膝と流れる様に叩き込んで怯ませては
「うわぁあああああ!?」
トランスチームガンに消防車ボトルをセットして発射。炎を纏ったエネルギー弾が直撃し、吹っ飛ばされたニニャは変身を解除してオクトパスとライトのボトルを取り落とす。全く歯が立たないのだ。
「所詮はこの程度か、仮面ライダー。」
「くっ……!」
「本来ならば逮捕するのが理想らしいが、お前達は民衆に人気だからな。」
王国警備隊長などと名乗ってはいるが、言わば彼は八本指の粛清担当。
「ここで始末してくれる。
ヴン、と音を立ててナイトローグの左足が発光する。そのまま地面を蹴り、ニニャの頭を刈り取ろうと放たれた回し蹴りは
「なるほど、
「ほう、わかるのか?」
割り込んだセバスが両腕をクロスさせて受け止めていた。
「えぇ、モンクの技法は、少々嗜んでおりますから。」
「俺のそれとは別口のようだが。まさかその燕尾服の下に、俺と同じ様に刺青を仕込んでいるわけではあるまい。」
「えぇ、その通りです。その分私の拳打は威力に欠けると評されていましてね。」
「その分、他に優れているということだろう。」
そう言いながらナイトローグはトランスチームガンとスチームブレードを構える。
「(さて、拙いことになりましたね……)」
一方のセバスは、頭を悩ませていた。セバスのさっき言ったことは間違いではない。純粋な正面戦闘の技量であれば、ナザリックの同じ最上位の戦士職、アルベドとコキュートスを上回る実力を有している。しかしその一方で純粋な火力は劣るのだ。
防御系のスキルを多く持つアルベドなどと戦えば、先に自分の方が力尽きてしまう。だがその一方で、攻守共にバランスが取れていると言えるそんな自分に
「(防いだ上で、ダメージが通りますか……)」
自分も、
恐らくこの男のレベルは高く見積もっても30代後半、間違いなく40には届いていない。それがセバスにダメージを与えられるだけの攻撃力を持ち、
「
「6つ同時とは……恐れ入ります。」
「俺も初めてだ、俺と同等、いやそれ以上のモンクと渡り合うのは!」
セバスの拳をバフありきとはいえ受け止めている。タンクに弱いというのはあくまで同格の話で、この世界のタンク職ならば障子紙の様に貫ける、セバスの拳をだ。
「むっ!?」
そんな中スチームブレードから突如として放たれる氷の蒸気。バックステップで慌ててそれを回避する。
「ほう、そんなお前でも流石に氷は堪えるか。」
「えぇ、少々苦手でして……」
セバスの種族は龍人、隠しているが、彼の本来の姿は巨大なドラゴンである。属性のダメージを受け、それを守るために自分の竜の鱗が彼らの前で暴発すれば、自分たちの工作が露呈してしまう。それは避けなければいけないかった。
「(相性はかなり悪い、となればどうするか……)」
「皆さんはお下がりを。この男は周りを気遣いながら戦える相手ではございません!」
「は、はい!」
セバスの言葉に、ペテルはニニャを、ダインはクレマンティーヌを担ぎ上げ、ルクルットが散らばったボトルを回収する。
「行かせるか!」
「それはこちらのセリフです!」
それを追いかけようとするのをセバスが阻む。そこから繰り出される拳打の応襲。
「シィッ!」
セバスの拳を横によけた勢いのままナイトローグが跳躍。まるで重力が横になっているかの様に壁に立ち、その状態から拳を繰り出してくる。
「アイアン・スキン!」
変則的なその攻撃をガード。続くスチームブレードをスキル、アイアンスキンにより受け止める。そうして一進一退の攻防を繰り広げていると、
「よう、楽しそうなことしてるじゃねぇか。」
そんな声と共に放たれた光弾が、ナイトローグに直撃する。
「むぅっ!?」
「ほぉ、今ので変身解除されないとは、ニニャが苦戦するのも当然か。」
「貴方は……」
地面を転がったナイトローグ。現れた援軍、ブラッドスタークの姿に、セバスも驚く。まさかここをこんなに早く突き止めてくるとは思わなかったのだ。
「よぅ、ウチのモンがずいぶん世話になったな。」
「まさかお前まで来るとはな、スターク……」
「それで、2対1なワケだが……どうする?」
「当然、撤退だ。この男に加えてお前まで……となれば流石に部が悪い。
だが、これでお前は明確に王国に背いたならずものだ。そしてそこのご老人。」
言いながら起き上がったナイトローグ。計画と言わんばかりにセバスに顔を向ける
「お前が攫った女の変換をあの店は求めている。それか、金貨500枚の賠償をとな。」
「……それはまた、法外な金額ですね。」
「だろうな、だが国からの命令だ。明後日、返答を伺うことにさせてもらう。」
そう言って去ろうとするナイトローグ。しかしセバスはそれを呼び止めた。
「お待ちを。」
「まだ何かあるのか?」
「えぇ、おかげさまで屋敷がこの有様です。当然ですが、補填はしていただけるんでしょうね?」
そう言うと、ローグはたまらなさそうに笑い
「役所に申請しろ。書類が通れば金が出る。」
「そうですか。」
その返答に、それ以上は何も言えなかった。
「ではな。また戦える日を楽しみにしている。」
一方のナイトローグはそう言って全身のパイプの様なパーツから煙を吹き出し、姿が消える。
「やれやれ、まさかこんなことになるとはね。」
「あのアイテム……お知り合いですか?」
「いや、多分違うな。」
それからのセバスの問いに、スタークはそう回答する。
「おそらく、俺の故郷のアイテムではある。だが、中が誰かは分からん。」
「なるほど……承知いたしました。」
「ここに来るまでに聞いたが、ニニャの姉を保護したんだって?」
「……えぇ。」
その言葉に、セバスは少し顔を顰める。人質にしたい意図のあるこちらとしては、引き渡せと言われた時に回答に困るのだが……
「治療まで施してくれてるんだって?助かるよ、この借りは、必ず返す。」
そう言って、握手を求めてきた。
「街の英雄、仮面ライダーの師にそう言っていただけるとさら光栄です。」
ハザードレベルを測られてしまうが、あれだけの実力を見せた後だ、スタークには気づかれているだろう。致し方ないと、セバスは握手に応じるのだった。
「(ほほぅ……ハザードレベルの上限値が高いだけじゃない。ハザードレベルそのものが高いと来たか……)」
誰かを守りたい、少なからずそんな気持ちを抱ける人間ということだ。そしてこの感じ
「(アインズの仲間、それでいてかなりの善人。)」
この爺さん、使えるなと、エボルトは内心でほくそ笑むのだった。
ナイトローグの現状は手加減してるレベル100相手にレベル60くらいなのでカスダメとはいえダメージが通るしバフありきなら相手の攻撃にも耐えられる。そんな状態です。
スタークはどうする?※注意!このアンケートの結果でストーリーが分岐します 分岐によっては取り返しのつかない結末に至るのでご注意くだ
-
ニニャとンフィーレアだけを確実に逃す
-
一か八か、全員を逃す