アインズ様が「エボルトォオオオオ!」と叫ぶ話 作:月光舞詐称者姫
スタークが戦闘前にニニャに渡したアイテム、ラビットタンクスパークリング。当時は石動惣一として仮面ライダービルドの変身者、桐生戦兎の面倒をみていたエボルトだったが、その正体がブラッドスタークであると突き止めた戦兎と惣一との決戦となり。その決戦に備えて、当時惣一が知らない切り札として用意したものだ。
並列のフォームチェンジであるビルドの各フォームとは異なり。パンドラボックスの内部に残留した成分と、ラビット、タンクの各ボトルから抽出した成分を混ぜ合わせた一つの缶型アイテムを利用する。
ザナックが手に入れていたそれを、ラナーを利用した交渉で手に入れたエボルトはニニャに渡していたそれは、フルとカチャカチャと音を立てるフルボトルとは違い、シャカシャカと気体と液体が混じっているかの様な音を立て、プルタブを引く小気味良い音と共に、パッと泡が広がるかの様な音で周囲が満ちる。
心なしか、いつもよりもテンションが高い様に感じるドライバーのセット音声と共に、ニニャがハンドルを回す。現れる生態装甲を形成する為のスナップライドビルダーも、普段のプラモデルのランナーの様な形ではなく、上下に飛び出た歯車の様なビルドのエンブレムを模した骨組みとチューブの様なもので構成され、赤と青の液体が注ぎ込まれることでビルドの半身をそれぞれ形成している。
チューブに注ぎ込まれた赤と青の液体が泡立つ音をBGMに、ベルトがニニャに問いかけてくる。
ニニャは迷わず叫んだ。かつて、桐生戦兎が初めてこの姿になった時自分の恩人が己の目的の為に人の命を平然と弄ぶ悪魔で、自分はそれに利用されてヒーローをやっていたと知ってなお、己の正義を貫くと示した時の様に、ニニャもまた、己の助けたいものを助け貫く為の、覚悟を決めて
スナップライドビルダーが組み合わさり、その衝撃で吹き出す青と赤、そして白。普段のビルドよりも装甲に刺々しい印象を持つその姿は、液体内部にパンドラボックスの残留物質から抽出した気体が入り込むことで発生する泡を利用するフォーム、ラビットタンクスパークリング
再誕の歓喜に震えるのか、心なしかいつもよりもテンションの高い音声と、変身時の衝撃で飛び立った泡を祝福のシャワーの様に浴びる姿に、ナイトローグは身構える。その直後
「はぁあああああ!」
「何っ!?」
踏み込んだビルドが、ナイトローグの前まで来ていた。咄嗟にガードしようとするが間に合わず、その拳をまともに受けることになる。大きく吹っ飛ばされ、先ほどまで座っていたソファを破壊しながら地面を転がった。
「ちょっと!?ぶっ飛ばされちゃってるじゃないのよ!?」
「意表を突かれただけだ、パワーもスピードも格段に上がっている……!」
秘密は泡だ。右半身の生み出す赤いラピッドバブルは踏み込む際などに弾けて推進剤となり、左半身の生み出す青いインパクトバブルは衝撃の際に弾けて更なるダメージを生み出す。
この泡が、他のフォームとは違いパワーの左とスピードの右で織りなすバランスの良いフォームであるラビットタンクの力を引き上げている。
「やぁああああっ!」
「良い動きだ。駆け引きを覚えた様だな。」
ナイトローグの反撃を回避し、こちらの攻撃を叩き込む。スパークリングのスピードとパワーを活かしてのヒットアンドアウェイ。前回の勝負よりも格段に見違えた動き。こちらのフェイントまで対応してくるその成長をナイトローグは称賛する
「だが……」
「これで……」
スパァン!と拳が当たり、泡の弾ける激しい音がする。飛び込んできたニニャの拳。その一撃を
「相変わらず技は成っていない!」
「そんなっ!?ぐっ!?」
ナイトローグは地面を踏み締め受け止めていた。
「膂力、スピード、体格差、そんなもので勝負が決まるのなら、冒険者はオーガにすら挑めない!」
結局は技量がものを言うと、反撃の左手も叩き落としそのまま連続で拳打を見舞う。
ゼロが利用したのは受けの技術。武術において、時に攻撃よりも重要とされる己の身体のダメージを最小限に止める技は、衝撃を受け止めゼロをその場に踏み止める。だがそれは、一流の戦士の指導でも、一朝一夕で身につくものではない。
「多少の駆け引きを覚えた程度で……」
こちらの蹴りを見切り、ギリギリで避けて逆にビルドの右足を掴む。
「しまっ!?」
「この俺には及ばない!」
体制を崩したニニャの前で、
「ゲホッ……コホッ……っ!?」
その衝撃に一瞬肺の動きが止まり、咳き込みながら呼吸のペースを戻そうとするニニャの視界に映り込んできたのは、檻の隅で怯える子供達だった。
見窄らしい格好と痣が目立つ彼らの扱いがどうだったかは、想像に難くない。そんな子供たちが、縋るような目でこちらを見ている。自分たちを本当にここから助けてくれるのか。そう問いかけられてるようで、ニニャはどう動けば良いのか一瞬わからなくなった。
「姉を助けると、そう言っていたな。」
大きく跳躍し、その檻の入り口までやってきたナイトローグに、思わず身構える。
「だが実態はこれだ。俺の、八本指の力の前に、せっかく手に入れた力でさえ押されるしかない。街の連中が語るヒーローなど、
「違うっ!」
そう言って振り下ろされる手刀を。ニニャは取り出したドリルクラッシャーで受け止めた。
「幻想にはさせない。僕が、絶対に……!」
「吠えるな。素人が!」
そう言って放たれる、膝をついた状態で上からの手刀を受け止めるニニャの頭への膝蹴り。それに対してニニャは
「はぁあああああ!」
思いっきり、迫る膝に向けて自ら頭を振り下ろした。ヘッドバットだ。
「ぐっ!?」
「くぅっ!?」
やぶれかぶれの攻撃も、ラピッドバブルで加速しインパクトバブルで勢いをブーストすれば立派な攻撃だ。それで受けた衝撃に、思わずよろめくナイトローグ。一方今ので頭が揺れたのか、ビルドもふらついて構え直した。
「所詮お前はハリボテに過ぎない!ハァッ!」
力を込め、全身の刺青の力を解き放つ
「
バチバチと火花が散り、ナイトローグの背中から蝙蝠の翼が生える。
「飛んだ!?」
ニニャが驚いた直後、飛来したナイトローグの拳を顔面に受けることになる
「ぐあっ!?」
「俺にとってこれは単なる力の一つだ。これが無くても、俺はそこにいるブレイン・アングラウス相手に互角に立ち回ってみせよう!」
ブーストされた速度で、多角的な攻撃を受け空中でバウンドするビルド。
「だがお前はどうだ?その道具を使って変身できなければ残るのはたかだか第二位階の魔法詠唱者!」
「カハッ!?」
「そんな奴がこの俺に、"闘鬼"ゼロを倒すだと?八本指の支配から助けるだと?思い上がるな!!」
トドメと言わんばかりにスレッジハンマーで地面に叩きつけられ、肺に残った空気を吐き出す。それでもと立ちあがろうとしたところで
「もうやめて!」
ツアレの叫びに、動きが止まった。
「もうやめて、やめようよ、セシー……」
「姉さん……」
「セバス様を、頼ればいいじゃない……誰かに助けて貰えばいいじゃない。いいから、もう私はいいから、お願いだから貴方は貴方のことを……!」
「姉さんは!」
ボロボロになりながら立ち上がるニニャに、これ以上戦わなくてもいいじゃないかと叫ぶツアレ。もう、私のことなんて気にしなくていいと言うツアレに、ニニャは叫んだ
「姉さんは、それでいいの……?僕の顔を見るだけで、辛い記憶が蘇ってくる。ここにいる子供達も!ずっと、暴力と権力で苦しめられてきて、その鎖に縛られたままの人生を送ることになる!」
楽しい記憶があっても,過去は消えない。その過去と結びつく、重い何かがある限り。ツアレの場合はそれがニニャだ。
「でも今は、貴方が縛られているじゃない!」
ツアレという鎖に、逆に縛られているのはニニャの方だとツアレは叫ぶ。それに縛られ意地を張って、そこまでボロボロになってるじゃないかと。
「違う、違うよ姉さん。僕は、姉さんに縛られてるから、姉さんを助けるんじゃないんだ。」
空中で磔にされ、涙を流すツアレに、ニニャはそう言う。
「今僕が姉さんを助ける為に戦うのは、あの時助けられなかった過去を生産する為でも、姉さんを奪った怒りをぶつけるためでもない。」
「ほざけ、これで終わりだぁ!」
トドメと言わんばかりに振り下ろされるナイトローグの拳。ニニャは
「はぁああああっ!」
「何ぃっ!?」
その拳を顔を晒してギリギリで避け、クロスカウンター。ナイトローグがよろける中で、立ち上がったニニャが声を上げる。
「ゼロ!道具頼りのハリボテだとお前は言ったが違う!これが、このアイテムが僕の……仮面ライダーの力だ!そして
叫びながらドライバーのハンドルを掴み回転させれば、スパークリング缶の赤と青の部分が交互に点滅していく。
翼を広げたナイトローグは、全身に煙を纏い、大きく飛び上がる。今、本当のトドメに必殺の一撃を放とうと言うのだ.
同様に泡を纏ったビルドが飛び上がる。
ビルドの放つ渾身のライダーキックと、空中で錐揉み回転しながら足元から突っ込んでくるナイトローグ渾身のキックがぶつかり合う
両者の攻撃がぶつかり合ってせめぎ合い、泡と煙が激しく散って混ざり合う。
「フッ……フフッ!」
「ぐぅううううう!」
だが、僅かにナイトローグが優勢か、じわじわと自身の蹴りが相手を押し込んでいく感覚に、ゼロは笑みを浮かべる。ここまでか、そんな言葉がニニャの頭をよぎった時だった。
「がんばれ……」
最初は、誰が言ったのかもわからない、蚊の鳴くような細い声だった。
「がんばれ……」
だがその言葉は、檻の中の子供達に伝染していく。ずっと、息を殺して見ているだけだった子供達が、口々に言う
「がんばれ」
「頑張れ」
「お願い」
「負けないで」
「ちょっ、アンタ達何を……黙りなさい!黙れ!今、すぐにッ!!」
その様子にコッコドールが思わず叫ぶが。
「「「「頑張れ!仮面ライダー!」」」」
その声は、もはや止められないほど強くなる。皆んなが、願っていた。勝ってと、助けてと。そして、それは
「あ…………」
今まで、仮面ライダーの装甲越しにしかニニャを直視できていなかったツアレにも、届いていた。ニニャが戦っている。全力で、必死に、私たちの笑顔のために。その光景が
「が、」
彼女の心を縛る鎖を、砕いていく
「頑張れ……」
もう彼女は、ニニャを見ても、恐怖がフラッシュバックすることは無いだろう。もう彼女は、自分をボロボロにしてまで守っていた庇護の対象でも無ければ、自分が死ぬほど苦しんでいた苦しみを作った元凶でも無い。
「頑張れ……負けるな……!セシー!」
その言葉に、ニニャも持てる力を振り絞る。
「ッ!馬鹿な!?」
次第に、力の均衡が変わっていく。劣勢から互角へ、互角から優勢へ、その力に押し込まれ、ナイトローグの回転も次第に弱くなっていく。
「馬鹿な、さっきまで俺が優勢だった、ブーストする力なんてどこにもないはず!」
「貴方には分からない!1人で戦おうとする貴方には……!」
そんな問答を通したのち、完全に回転の止まったナイトローグを、ビルドのスパークリングフィニッシュが押し切った。
「ぐぁあああああああ!?」
直撃したキックの衝撃に悲鳴をあげながら、ナイトローグが爆散するその煙を背景に着地したビルドは、一度でツアレの十字架の元まで跳躍し、吊し上げてる鎖を切って、彼女から鍵を引き抜き自由にする
「ポーションです。」
「ありがとうございます。」
これくらいはさせてくれと、セバスが取り出したポーションをニニャは受け取り、ツアレにゆっくりと飲ませる。
「確保しろ!」
「馬鹿な……この俺が……」
動けない体のまま、確保されるゼロとコッコドール。それに、立ち上がり変身を解除したニニャは言う。
「貴方は、確かに強い。これが無くても戦えるほどに。」
「…………」
「でもそれが貴方に、このアイテムを、一つの武器では無く狡い道具として見せたんです。」
これもまた立派な力。利用できるもの、そう考えて、ナイトローグの力をさらに自在に引き出していたら、それこそブラッドスタークのようにスチームブレードとトランスチームガンを自在に操る領域までナイトローグをゼロが高めていれば,戦況はわからなかっただろう。
「ただ只管に、自分の力を高めることを求めていた貴方には、分からないことかもしれません。」
誰かを守りたいと言う気持ちがハザードレベルを引き上げる。ニニャの到達した領域は、夜闇に紛れる
「そんな力が、俺を上回ったと言うのか?」
「はい。」
「……認めん。」
腕を拘束され、もはや対抗する力も無い体を無理やり起こされながら、そう呟く。何年も鍛錬を重ね、高めてきた力を否定されたようで、我慢がならなかった。
「認めんぞ。必ず貴様の前に舞い戻る。そして、俺の強さを証明する。」
「もし貴方がまた誰かを泣かせるのなら……その時はまた貴方を打ち破ります。仲間達と一緒に。」
ゼロの目を真っ直ぐ見返しそう言うニニャに、面白くなさそうに顔を歪め、ゼロは衛兵に促され、歩いていくのだった。
「ニニャ〜!」
「無事であるな!?」
「勝ったんだな!?」
そんなゼロと入れ違いになるようにして、仲間が入ってくる
「皆さん、僕よりも傷だらけじゃ無いですか!」
「馬鹿!お前が一番強敵を相手してたんだろうが!」
「仮面ライダーのアーマーがある以上、数の少なさは言い訳にならないのである!」
「そうそう、大金星を祝わせろよ。」
ペテルにいたってはダインに担がれながらだが、そう言って笑いかける三人につられて、ニニャもくしゃりと笑みを浮かべる。そんな様子を、クレマンティーヌは遠くから見ていた。
「なんだ、混ざらないのか、ミカンちゃん?」
「ぶっ飛ばすぞ。」
そんな様子を見て話しかけてくるブレインにそう一言。
「いいのよアタシは。あくまで追加のメンバーだからね。あぁ言う場所に入らないで。」
でもまぁ、とその様子を見て言葉を続ける。
「安心したわ。ちゃんと戻った。」
「素直じゃ無いな。」
「マジでぶっ飛ばされたいわけ?」
ヘラヘラと笑って言うブレインにそう言いながら拳を握るクレマンティーヌ否、冒険者ミカンは、彼女の立ち直りに素直に賛辞を述べる。
「もう、大丈夫ですか?」
「はい、セバス様。」
一方、そんな彼らのせいで置いてけぼりを喰らっていたツアレは、冒険者仲間に囲まれるニニャを見てから、セバスに向き直った。
「……よろしいのですか?」
「きっと、また会えますから。それに、もう大丈夫です。」
彼女に、仮面ライダーに、助けてもらいましたから。そう言って笑うツアレから、かつての妹に関する呪縛は感じられない。その様子にそうですか、とセバスは一言。ツアレを連れて帰ろうとする。その時だった。
ドッガァアン!とここまで届く凄まじい音と揺れが驚いたのは
「な、なんだ!?」
「裏手の方からだ。」
「行ってきます!」
「あっ!お前無茶は……」
ルクルットの耳を頼りに、ビルドドライバーを装着して走り出すニニャ。ペテルの制止も聞かずに飛び出してしまう。
「(あの激しい音は戦闘の余波!そんな激しい戦闘をすることになってると言うことは……)」
王国最強の戦士長、ガゼフ・ストローフか、青の薔薇の誰かか、モモンかナーベか、はたまた……自分達の恩師、ブラッドスタークか、誰かがゼロ以上の相手と戦っている。それもこの近くで。そう思うと居ても立っても居られないいられなかった。そんな彼女が出た先で見たのは……
「ぐっ……おっ……コイツは、マジでヤバいかもな……」
「そんな……!」
ダークエルフの少年と向き合う、ボロボロのブラッドスタークの姿だった。
「全くあいつは……」
クレマンティーヌも、ニニャと同様のことを察したが、そんな怪物を相手にするかと一瞬足が怯んでしまい、迷わず突き進んだニニャに対して歯噛みする。
しかし、冷静に辺りを見回したことで、気づいたのだ。
「アレは……」
そこに落ちている、ナイトローグのトランスチームガンとバットフルボトルの存在に。
よぅ、久しぶりだな。またまた後書きに失礼するぞ、俺はエボルト。ご存知地球外生命体だ。
この話も今回でいよいよ20話。話数は21だって?気にすんなよプロローグはノーカンだ。俺が出てきたことと今回のエピソードについてたマークで察してる奴もいるかもしれないが、またまたルート分岐のアンケートだ。
今回もがっつり変わるぞ。ゼロが落としたナイトローグ変身セット、トランスチームガンとフルボトル。これを見つけたクレマンティーヌがどうするかだ。手を取るか取らないかで、今後の展開が大きく変わる。
前回はニニャが無事に仮面ライダーになったことで,将来的なグッドエンドに近づいたが、今度はどうなるかな?このままミカンちゃんをナイトローグにしちまっていいのか。よぉく考えて投票しな。あえてヒントを残すとしたら、作者が言っていたんだが次回からまた新章に入るらしい。早いねぇ前回新章突入したの何話目だっけ?その新章に向けて戦力を補充するもよし、彼女は相応しくないとスルーするもよしだ。
それじゃ、お前らの選択を楽しみにしてるぜ?チャオ♪
クレマンティーヌはトランスチームガンを
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手に取る
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手に取らない