アインズ様が「エボルトォオオオオ!」と叫ぶ話   作:月光舞詐称者姫

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 どうしてこんなにも筆が進むんや、他の作品の息抜きに描いてたやつなんだけどな……


邂逅のブラックナイト

「ンフィーレア・バレアレ?」

 

 なんだその頓知気な名前は、それを口に出さなかった自分をまず褒めたいとエボルトは思った。なんか鳴き声みたいだ。特にンフィーの所が。

 

「はい、この街で有名な、稀有な異能(タレント)を持った薬師なんです。」

「ほぉ?薬師ねぇ、今回の依頼は、そいつの素材収集の護衛か?」

「はい、僕達と、あとモモンさんという人のチームが合同で。」

「モモン?」

 

 また新しい名前に首を傾げると、エボルトが留守にしている間に組むことになった新人の冒険者らしい。

 エボルトは数日、風だと偽り王国の都市内を散策、内情を探っていた。

 結果として八本指と呼ばれる犯罪組織の存在など、ドス黒い面を嗅ぎ取ってしまい辟易としていたのだが、そこに齎されたのがこの情報だった。

 

「凄く強い人で、スタークさんみたいに滅多に鎧を外さないんです。」

「ほー、それじゃあ似た物どうしなのかねぇ?」

「はい、黒い鎧を着ている……あ、あの人です!」

 

 ニニャに連れられ、やって来た先のテーブルでペテル達と座っていたのは、室内にも関わらずゴツい黒のフルプレートを見に纏い、二振りの大剣を背負う巨漢と、その横に腰掛ける長髪の美女だった。

 

「よう、アンタがモモンか。俺のいない間、コイツらが世話になったみたいだな。」

「いえこちらこそ、彼らには色々なことを手助けしていただきました。」

 

 声をかければ、黒騎士の方が快く応じる。

 

「ブラッドスタークだ、よろしく。」

「モモンといいます、スタークさん。」

 

 そのまま握手を交わし、そのまま隣に座る女性に対しても握手をしようと手を伸ばすが……

 

「カスムシが、私に触れるな。」

「おっと、こりゃ……」

 

 氷で出来た刃の様な鋭い眼光で睨まれ、思わず手を引っ込める。

 

「おっと、流石のスタークさんもナーベちゃんの毒舌は堪えるか?」

「す、すみません!彼女はナーベと言ってその、少し性格に癖が……」

「対等なつもりなのだろうが本来ならばモモンさ……んは雲の上のお方、お前如きが手を触れていい方ではない。」

「ナーベ!」

 

 モモンが諌める様に言うが彼女は止まらない。

 

「それがただ手を触れることをお許しになるどころかパーティーを組んでくださるというのだ。お前達の様なフナムシ相手には過ぎたる光栄だということを……」

「まぁまぁ、そう連れないこと言うなよ。」

「ッ!?」

 

 次の瞬間、エボルトは座るナーベの背後に凄まじい速さで移動して、肩に手を乗せて見せる。

 完全体には程遠いブラッドスタークの力でも、この程度のことは全力を出せばできるのだ。

 

「同じ依頼を受ける以上、俺たちはパーティー、つまり仲間だ。仲間ってのは、お互いに背中を預け合うのが、大事なんだぜ?」

「誰がっ!」

 

 弾かれる様に立ち上がり、腕を振るってエボルトを振り払おうとするナーベだったが、エボルトはそれをあっさりと避けてしまう。

 

「おお、怖ぇ。んじゃ、また後でな、ナーベちゃん。チャオ♪」

「このっ!」

「待て、ナーベ。」

 

 ちょっと荷物まとめてくるわ、と背を向けたエボルトに、怒りに染まった顔で追撃しようとするナーベだが、モモンがそう言うとピタリと動きが止まる。

 

「席に戻れ、ナーベ。」

「ですが……」

「席に、戻れと言っている。」

「…………はい。」

 

 少し強められた語気に、彼女はすごすごと従うしかなかった

 

「申し訳ありません。相棒が飛んだ粗相を……」

「いえいえ、お気になさらず!」

「うむ、これはモモン殿が指名された依頼、ナーベ殿の言葉にも一理あるのである。」

 

 深く頭を下げるモモンに、慌ててダインとペテルがフォローする。

 

「しかし、無礼を働いたのは事実。後ほど、しっかりと謝罪させていただきます。」

「そつそう、それでお互いになにもなしってことにしようぜ?な、ナーベさん?」

「いい気になるなよ、ウジムシが……!」

 

 ナーベの美貌に惹かれて何度もアタックするたび、その毒舌で鎮められるルクルットが道化を演じてその場を収めるが、ニニャは去ったスタークを追いかけ、モモンは内心で冷や汗をかいていた。

 

 

「(いやぁ、面白ぇモンを見れたな。)」

 

 あの驚いた様な顔、星を滅ぼす中で何度も見た、己を強者だと信じるものが、その誇る実力を上回られた瞬間の驚き。しばらく地球で退廃的な生活を送り、ここに来てからは弱い人間の育成に注力していた為久々に見たものだ。

 それにナーベのハザードレベルの適性を測った時の結果も面白かった.

 

()()()()()()()5().()0()()()()()()()か。オマケにモモンの方は()()()()()()()()と来た。ありゃ、どっちも人間じゃねぇな。」

 

 漆黒の剣と冒険する際戦ったモンスターのハザードレベルを試しにはかったことがある。人間よりも耐性が低いモンスター、高いモンスター、種族によってバラバラだが稀に測れないモンスターがいた。

 それがゾンビやスケルトンなどの所謂アンデット系のモンスターだ。既に死人だからなのか、肉体と呼べるものがないせいか、ネビュラガスを投与しても何の効果もない。ハザードレベルが測れないと言う事態に最初はスタークも混乱したものだ.

 

「しかし、そんな連中が何のつもりでここに来たのか……まぁいい。少しは楽しめそうだ.」

 

 新米冒険者を装うにはやけに装備が豪華だし、傲慢さや強さを隠す気が少ない。彼らは一体何が目的なのか.もしあれならばナーベにドライバーを与えてみるのもありか。そんなことを考えていると

 

「スタークさん!」

「おぅ、ニニャか。どうしたんだ?」

 

 慌てたニニャが駆けつけてきた。

 

「あの、ナーベさんのことなんですけど」

「あぁいいっていいって、気にしてねぇよ。」

 

 焦るニニャにエボルトはヒラヒラを手を振って答える。

 

「え?でも……」

「ま、ムカつかないって言ったら嘘になるな.でもほら、俺は大人だからよ。」

 

 自分を親指で指し、ニヒルに言って見せる。

 

「ムカつくことがあったら、自分の好きなモンのことを考えるのさ。俺の場合はそうだなぁ、コーヒーとかだ。」

「こ、コーヒー?」

「知らないか?この世で一番イカした飲み物さ。」

 

 深い、深い、闇の様な黒い色と香り。なぜか自分が会心の出来栄えだと感じる黒々としたそれは圧倒的な苦さで不評なのだが……

 リ・エスティーゼ王国の嗜好品といえば紅茶ばかりでコーヒーは見当たらない。喫茶店開店の夢は遠いなと全く関係ないことを考えていると、

 

「好きなものを考える……僕は……」

「ん?」

「いや、なんでもないです……ごめんなさい。」

 

 その言葉に、どことなく暗い表情をするニニャを見た。適当にそれっぽくぶっこいたセリフだったのだが、ニニャには思いの外刺さったらしい。

 

「ま、いいか。」

 

 細かいことはそれこそ考えていても仕方ないと、エボルトはニニャを連れてモモンの元に戻るのだった。

 

 

 駆け出し冒険者モモン、その正体は死の支配者(オーバーロード)というアンデッド系モンスターの、魔法詠唱者としての最上位のクラスを持つ、モモンガというスケルトンだ。

 そして元は、エボルトが訪れた300年後の地球で決して豊かとは言えない生活を送っていた鈴木悟という人物でもある。自分が愛してやまなかったVRのフルダイブ型MMO、《ユグドラシル》のサービス終了の知らせを受けて、その日の0時までログインしていた結果、ギルド拠点のNPC達と共にこの異世界に転移してしまった。

 それ以降、この世界の全容を探りつつ、同じギルド、《アインズ・ウール・ゴウン》で冒険をした仲間達を探す為に活動している。

 王国の内情を探る為、新人冒険者モモンと言う身分を得たはいいのだが、問題は隣に立つ美女、ナーベこと、アインズ・ウール・ゴウンのNPCの1人、ナーベラル・ガンマのことだ。

 アインズとしては自分も元は人間だったこともあり、人間とは仲良くやっていきたいのだが、彼女は口を開けば人間を下等生物と見下した発言をする。そりゃ、自分達より遥かに弱い存在だというのはそうなのだが、少しはオブラートに包んで欲しいというものだ。

 しつこくこちらをナンパしてくるルクルットに対する態度ならまだ言い訳は立つものの、快く接してきてくれたスタークという自分と同じくアーマーで身を包んだ、漆黒の剣と一緒に活動する実力者だという男にも無礼を働いてしまった。

 

「(怒らせたかなぁ……絶対怒らせたよなぁ……)」

 

 そういう意味で見ればスタークはナーベよりも遥かに"大人"だ。こちらの態度に怒るでもなく、それどころかナーベにそれとなく警告までしてくれた。

 

「(しかし、レベル60を超えるナーベをスピードで上回るか……)」

 

 この世界の平均的なレベルは高くない。かつて助けた王国で最強の戦士だというガゼフも、レベルとしては高く見積もって30後半から40といったところだろう。少なくともレベル100である自分には遠く及ばない。

 自分は魔法詠唱者でありながら見ての通り剣しか利用していないし、ナーベには力を抑え、本来なら第七位階の魔法すら軽々と使いこなす存在でありながら、第三位界、場合によっては第五位階までしか使うことを許していない。

 だが身体能力なら別だ。後ろに回られ触れられたナーベの動きは、完全に咄嗟の動き、つまりその場で出せる最速だった。にも関わらず、スタークはそれを軽々と避けてみたのだ.

 それだけのスピードと技量があるのは間違いない。それに考えてみれば、自分のように鎧を外さないというのも言われてみれば奇妙だ。

 

「よう、戻ったぜ。」

「スタークさん、先程はとんだご無礼を……」

「いやいや気にすんな、そこの嬢ちゃんは、それだけアンタが大事ってことだろ?」

 

 後でカマをかけてみるか、いやいやそれよりもまずは謝罪だと頭を下げるモモンだったが、スタークはそういってやんわりと頭を上げるように促す

 

「お熱いねぇ。羨ましいかぎりだよ。」

「なっ、私とモモンさ……んはそのような関係では……!」

「恥ずかしがんなよ、ナーベちゃん?」

「このっ……!」

 

 顔を赤るナーベを煽るスターク。思わず殴りかかりそうになるナーベだったが、モモンに制されることで、盛大な舌打ちだけを残すことになった.

 

「あのナーベちゃんを手玉に……すげぇなスタークさん!」

「お前はどこに感動してるんだよ……」

 

 ルクルットの調子良さげな言葉に呆れたように言うペテル。そんな和やかな雰囲気の中別室で待つンフィーレアの元を訪れた。

 

「来てくださってありがとうございます、モモンさん。そして漆黒の剣の皆さん。改めまして、ンフィーレア・バレアレです。本日はよろしくお願いいたします。」

 

 伸ばした前髪で瞳の隠れた少年は、そういって頭を下げる。モモンやニニャ達が名乗っていき、スタークも手を差し出して握手を交わす

 

「(ハザードレベルの適性は……おっ、こいつもそれなりにはあるな。候補に入れておくか。)」

 

 もはや人間のことを仮面ライダーの素か何かとしか認識してないような物言いだが、それ以外にもエボルトはこの少年の薬師としての側面に目を向けていた。

 

「(魔法っつう未知の技術も気になるが、やっぱ科学は捨てがたいからな。)」

 

 宿敵であり、何度も自分の予想を超えるアイテムを開発してみせた、天才物理学者の自称に偽りの無かった己の宿敵、桐生戦兎。彼を支えてきた科学技術の設備も理論もこの世界には合ったものではないが、彼の研究データは、一度戦兎の体を乗っ取った際に頭に入れている。

 アイテム自体はあることだし、設備と優秀な頭脳を持った人間を用意出来れば復活させられる可能性もあるだろう。

 

「(その為にもこいつの知識がどれほどのものか、見極めさせて貰おうじゃないか。)」

 

 ニニャにモモンにンフィーレア。好奇心を刺激する観察対象ばかりで、エボルトの内心はウッキウキだ。一方のモモンも、そんなエボルトを警戒するように見つめていた.

この中で一番好きなキャラは誰ですか?一位のキャラには見せ場を用意、最下位には酷い目にあってもらいます

  • アルベド
  • シャルティア
  • コキュートス
  • アウラ
  • マーレ
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