遊びは程々に (リメイク版) 作:凍結中の人
side:優弥
「しかしどうするよ、正直なとこ出て行けるタイミングがないぞ」
「確かに今回出て行ったら、空気読めてない感じになるわね……」
そうなんだよな~、人質が何もしなくても救われたのは良かったんだけど。
そうするとあれだろ、兄弟らしいマーズとマーグの戦いに水を差すような感じになる。
関係ないって言ってしまえばそうなんだけど、もし説得イベとかあったらアレだし引っ掻き回すのはやめといたほうが良いのだろうか?
「だめ、どうしても変な雰囲気にしかならない」
「はぁ~、もう今回は引き上げるか?」
「そうね…このまま誰にも見つからなかったら、今回は関わらないでおきましょう」
.............
「結局なにもなかったな」
「そうね」
「どうしようか、基地へ戻るか?」
「せっかくだから、この日本を観光していかない」
「俺らここに、何しに来たんだろう」
「観光」
.............
side:???
「ねぇ、そろそろよね。何も用意していないみたいだけど大丈夫なの?」
「なんのことだい?」
「なんのことって、わかっているでしょう!もしかして何もしないつもり?!」
「あれはどうしようもないんだよ……どうしようも…」
「もしかして、また
「仕方ないじゃないか、私にはもう背負っているものが……」
「随分と偉くなったものね、呆れた。それで見過ごすんじゃアイツと同じじゃない」
あいつと同じか…それは嫌だな…しかし…
.............
side:フリー
そして数日後の夜、二人は安っぽいザ・ビジネスホテルの一室にいた。
その中からは時折、カチャカチャと金属が触れ合う音がしている。
「ふぁあ~あ。あら優弥、まだ寝ないの」
「早く完成させたくてな」
「そういえば今日、色々と部品を買ってきていたわね。何作っているの?」
優弥の手元にはいくつかの部品らしきものや工具、そして組み上げ途中の装置らしきものがあった。
カチャカチャという音の正体はこの装置を組み立てていた音だったようだ。
「これか?これは超小型ドローンだよ、わざわざZEXISに張り付いて見てるのは大変だからな」
「近くにいなくても、状況がわかるようになるってこと?確かに便利ね」
話が途切れると優弥は作業を再開し、エミリーは携帯をいじり始める。
そのまま少しの時が過ぎて、ドアをノックする音が響いた。
「何かしら、優弥?」
「すまん、ちょっと手が離せない」
「代わりに出とくわね」
「よろしく」
ドアの方へ行くエミリー、少しして帰ってくるとその手には紙の切れ端のようなものがあった。
ドアを叩いたのはホテルの従業員で、その切れ端はその人から渡されたものだ。
ここに泊まる客に渡すように頼まれたらしい。
「よし、完成…で何だって」
「これを届けに来たみたい」
「紙か?なんか書いてあるな」
.............
そして次の日の明け方。
「ここか」
「誰もいないわね」
あの紙に書かれた内容を見たあと、二人は人気のない公園に来ていた。
優弥は帽子にメガネ、コートという誰だかわからないような格好をしており、エミリーにいたっては姿が見えない。
紙にはこの場所の位置と、転生者同士で会おうといったことが書かれていて、そのことについて二人で話し合った結果である。
すると足音が聞こえてきた。
「…じゃあ任せたわよ、優弥」
小声で話すエミリー、今回ここに来るにあたって二人はある作戦を立てていた。
その作戦というのがエミリーは優弥の内ポケットに隠れて、その存在も隠すというものだ。
それにどう反応するかで相手の情報量を探るつもりなのである。
そして優弥の前に一人の男が現れた、顔の作りは悪くないがどこにいてもおかしくない程度の若い青年である。16歳くらいであろうか。
「初めまして、あなたがあの東方不敗の偽物でいいんだよな?」
「その通りだが、これは初めから手厳しいな」
「本当のことじゃないか……まぁいいか。
俺の名前は長瀬 恭司、転生者だ。あなたは?」
「私か…私の名前は後藤 祐作、同じく転生者ということになるな」
当然の如く偽名を使う優弥、もうこれで二つ目である。
「後藤さんもあの電車事故で、だよな」
「あぁ、・・・・・線に乗っていた」
「本当に同郷か、会えて嬉しいよ。できれば顔を見せてはくれないか?」
「それは無理だな、同郷だからといって呼び出されてすぐに信頼はできない」
「それもそうか、じゃあまずは要件から先に言うことにしよう。俺に協力してくれないか?」
「協力?」
長瀬と名乗った男がいう協力というのは、簡潔に言えば自分の言うことに従えというものだった。
もちろんそれを優弥が了承することもなく反発する。
さらに長瀬は自分に従わなければ世界が滅びると言って説得をしたが、物別れに終わる。
「この世界でなら、自分勝手が許されると思っているのか!」
「それはこちらのセリフだな、お前の身勝手に誰が従うものか」
「……そうか、それは残念だよ。やりたくなかったけど…仕方ないっ!」
銃のようなものを取り出し構える長瀬。
「なんのつもりだ?」
「自分が主人公で、すべてが思い通りになるなんて勘違いをしているんだろうけど、それを今から覆してやる」
「それで、か?」
「安心してくれ、当たっても死にはしない。ただ気絶するだけだ」
「そうか、それは…ごめんだなっ!」
そう言うやいなや、優弥は横に飛びつつ何かを長瀬の立つ方へと放る。
「爆弾っ?!、だが無駄だ!」
ちょうど二人の間で破裂したそれは、小さな爆風と共に大量の煙を放出する。
そして煙が晴れた時には既に優弥の姿はなく、薄く残る煙の中にあったのは透明なバリアで覆われた長瀬だけだった。
その長瀬も優弥がいないのに気がつくと、少し苛立った様子でその場から立ち去っていった。
第八話、冒頭部の伏線を回収。