新エリー都を生きる壊れた知能構造体   作:そらまめまめま

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やっとノルムーイベントが終わった。
終わり方が個人的に感動して泣いちゃった。


それぞれの使命

 

 

 

「これはこれは……

本当に予想外の邂逅だ!」

 

 

「……ブリンガー。」

 

 

雅の警戒と敵意の含んだ声をブリンガーは気にも留めず、楽しげに肩をすくめた。

 

 

「パールマン。ヴィジョン・コーポレーション事件の黒幕め、飛行船で郊外へ逃亡したかと思えば……この街へ舞い戻ってくるとはな。よほど治安局に捕まりたいと見える。」

 

 

そう言うと、ブリンガーは視線をゆっくりと横へ流し、その場に居合わせた対ホロウ六課の面々を一本の指で示した。

 

 

「それと……H.A.N.D.所属、対ホロウ六課の執行官たちよ、なぜ重大被疑者であるパールマンと共にいるのだ?これはヤヌス区治安総局副総監の名において…治安総局で、じっくりと話を聞かせてもらえるかね…?」

 

 

ブリンガーはこちらを睨む六課たちを前にして勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

 

 

「星見雅課長。君は重要事件の犯人パールマンと不正な取引をしていた疑いがある。君の部下およびそこの知能構造体とともに、我々とご同行願おうか。」

 

 

緊張と張り詰めた空気を破るように柳が前へと出る

 

 

「お待ちください!ブリンガー長官、どうやら貴方は大きな誤解をされているようです」

 

 

「…誤解だと?」

 

 

一瞬、場の空気がさらに冷え込む。

 

 

「はい、対ホロウ六課内部で、重要な容疑者と水面下で接触を行った疑惑があるのは、確かです。

ですが…それは課長の個人的の行動にすぎません。」

 

 

「なるほど…?つまり君たちは無関係であると?」

 

 

「我々は対ホロウ六課として、上司の不適切な行動を止めるべくここへかけつけました。それが今ご覧になっている状況です。」

 

 

その言葉を聞いたブリンガーは、一瞬だけ目を細めると、次の瞬間、堪えきれないとでも言うように高らかに笑い声を上げた。

 

 

「君は、次期総監たるこの私をたわけだと思っているのかね?」

 

 

「事実を述べているだけです。、意義があるのでしたら、治安局の監察官に報告し、検証を要求することも出来ます。」

 

 

「……「人間万事」、これに続くのは?」

 

 

「はぁ?わ、私に聞いているのか?」

 

 

「不正解だ。」

 

 

「な、なにを――ぬわぁぁっ!?!?

 

 

雅はパールマンの服を掴み、通ってきた裂け目へと投げ飛ばす。これには終始無言だったレイヴントも驚きを隠せない。

 

 

「ほ、星見雅!貴様、何をしている!?」

 

 

「まともに答えられなかったため、怒りからホロウに投げ捨ててしまった。」

 

 

パッ、パッと手を払いながら無表情のまま答える。

 

 

「柳の言う通り、私は独断専行型でな。捕らえたけれは捕らえればいい。私だけを、な。」

 

 

「キサマ――!」

 

 

ブリンガーの背後に控えていた一人の女性が、静かな足取りで前へ進み出る。そして取り乱す彼の肩へそっと手を置くと、落ち着き払った声音で告げた。

 

 

「もうすぐ演説よ。こじれる前に、適当なところで切り上げましょ。」

 

 

その言葉が終わるのと同時に、女性の背後から一体の知能構造体がゆっくりと姿を現した。

規則正しい足音を響かせながら歩み寄るその姿に、周囲の視線が一斉に集まる。

 

 

――その外見は、レイヴントと驚くほど酷似していた。

体格も、装甲の形状までもが瓜二つ。

だが決定的に違う所があった

 

顔全体を覆うマスクは、レイヴントのものとは異なる無機質な四角い形状。そして黒を基調としたボディには、鋭く走る黄色のラインが刻まれていた。

 

 

『……か、彼が……二人?』

 

 

静寂が場を支配した、その瞬間――。

レイヴントの身体から、肌を刺すような凄まじい殺気が溢れ出した。

 

 

「ブリンガー長官……1つ聞きたい、この知能構造体をどこで手に入れた…」

 

 

「それは、企業秘密というやつだ。」

 

 

「答えろっ!!!」

 

 

それまで一言も発することなく、ただ静かに立っていた黄色の知能構造体が動いた。

無数の拘束具が瞬時に展開され、レイヴントの腕や脚へ絡みつく。

 

 

「なっ…!?」

 

 

次の瞬間、体に電流が流れる。

 

 

 

バチィッ!!

 

 

 

無機質な警告音が頭の中でけたたましく鳴り響く。

過剰な電流に耐えきれず、各部の回路が次々と焼き付き、白煙が立ち上り、意識さえもノイズに飲み込まれていく。

 

 

「……っ、が……!」

 

 

『レイヴント!?』

 

 

アキラの声も遠ざかり、世界はゆっくりと色を失っていく。

膝から力が抜ける。

支えを失った身体は、糸の切れた人形のようにその場へ崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!くっ…」

 

 

電流でボロボロになった体を無理矢理起こすと、そこはホロウの中であり、六課の面々と通信越しにアキラ、リン、朱鳶、青衣、そしてパールマンがいた。

 

 

『レイヴント!大丈夫かい?』

 

 

「あぁ…これならちょっと休めばなんとかなる……悪かった、つい怒りにまかせて我を忘れた……雅はどうなった。」

 

 

「課長はブリンガー長官たちに捕まりました。今は私たちでなんとかなるするしかありません。そこで、機械に詳しいあなたに見てほしい物があります。」

 

 

柳はパールマンのうなじにある傷を見せる

 

 

「パールマンのここの箇所に、GPSタグが埋め込まれています。それをあなたに摘出してほしいんです」

 

 

レイヴントは静かにパールマンの牛のうなじにしゃがみ込み、傷口を静かに観察した。

 

 

「……なるほど。埋め込まれているのは皮下数ミリ程度だ。神経束からも少し外れている。これなら取り出せる」

 

 

そう言うと、内部から銀色に輝く極細のマニピュレーターアームが数本せり出した。医療用メス、精密ピンセット、止血用レーザー──それぞれが用途に応じた器具へと変形する。

 

 

「少し時間をくれ。失敗すれば組織を傷つける」

 

 

「わかりました、お願いします。」

 

 

その場にいた誰もが息を潜める中、レイヴントはパールマンに麻酔を打つと、傷口をわずかに開き内部へ工具を滑り込ませた。

彼の手は一切の迷いがなく取り出す。

 

 

「……見つけた」

 

 

金属同士がかすかに触れ合う音が響く。

レイヴントは慎重にチップを固定し、ゆっくりと引き抜いた。

数秒後、黒い装置が彼の指先に姿を現し、

 

 

「これがGPSだ」

 

 

握り潰し放り投げる。

 

 

「これでひとまず場所を探られることはなくなったかな、これからどうするんです?」

 

 

そこで通信越しに話を聞いていた青衣が喋りだす。デッドエンドホロウの外出の近くにブリンガーの特設会場におり、それが予定通りに行われるらしい。

 

 

『みんな、手分けして行動しよう!

星見さんとブリンガーを同時に探し出すんだ!』

 

 

「わかりました、雅は我々が探します!

直ちににホロウから出ますので、ガイドをお願いできますか!」

 

 

しかし、その勢いを遮るように、悠真が静かに口を開いた。

 

 

「……いや。僕たちは課長を追うべきじゃないと思いますよ。」

 

 

その一言に、柳は思わず振り返る。

 

 

「なぜです? 雅が心配ではないのですか?

もし彼女に万が一のことがあったら、私は――!」

 

 

「月城さん、落ち着いてくださいってば。

僕たちの現在地は、どちらかというとブリンガーの近くですよ。それにこっちはまだ、パールマンを連れてるんですから」

 

 

『月城さん、ここは僕たちに任せてブリンガーを追ってほしい。星見さんは必ずこっちでなんとかする』

 

 

「ナギねぇ…わ、わたしも、今回だけはハルマサの言う通りかなって…!こんなことめったにないんだし、たまにはきいてあげようよ?」

 

 

柳は小さく息を吐き、気持ちを落ち着かせるように目を閉じ、再び顔を上げると、いつもの冷静さを取り戻していた。

 

 

『……雅は私とプロキシさんが追跡します。囚人護送車の位置は特定できますし、私も治安局の人間なので容易には疑われないかと、』

 

 

「わかりました。雅を、頼みます。」

 

 

『雅は私の昔からの友人です。ですからあなたの気持ちもよく分かります。必ず、連れて帰ると約束しますね』

 

 

『よきかな。配役は決まったようであるな?

我はビデオ屋に残り、後顧の憂いを断つとしよう。』

 

 

「では、それぞれ開始しましょ――「待ってくれ」…どうしたのですか?」

 

 

それぞれ行動を開始しようとした時、レイヴントがなにか葛藤している様子で止める。

 

 

「突然すまない……俺にも雅を追わせてほしい。」

 

 

「ちょっと君、さっきまでちゃんと話聞いてた?ここからならブリンガーを追った方が早いって」

 

 

「わかってる。だが、どうにも胸騒ぎがするんだ。

けど雅が簡単にやられるわけないのはわかってる…だが、どうしても嫌な予感が消えないんだ……頼む。」

 

 

そう言ってレイヴントは頭を下げる。

 

 

「分かりました…ではすぐ店長さんたちの方へ向かってください。」

 

 

「……!ありがとう」

 

 

complete

 

 

レイヴントはアクセルフォームになって走り出し、他の者たちもそれぞれが己の使命を胸に、行動を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 




レイヴントを女誑しにするかしないかでアンケートを取りましたが結果女誑しにすることに決まったので

他人の恋には鋭い洞察眼ですぐわかるけど
レイヴント自身は誰かがどれほど好意を寄せようと、どれだけ露骨な態度を示そうと、レイヴントはそれを恋愛感情だとは思わず
――まさか、自分が好かれているはずがない。
という思い込みが強すぎて気付かない設定です
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