レイヴントが護送車を追って走って向かっているとアキラから連絡が入る。
「アキラか、どうした」
『レイヴント、今さっき情報が入った。どうやら星見さんを乗せた護送車はブリンガーの演説会場に向かっているらしい。けど人が多くて通れそうにないからこっちはデッドエンドホロウに入って近道を使うことになった。護送車の特徴を送るから君はそのまま追ってほしい。』
「わかった、そっちも気を付けろよ。」
通話を切り高速道路を使って走る。
[BT]:レイヴント、お待たせしました。機体を"指定された場所"の上空に待機させました。
「あぁ、しばらく待機させろ。それと……郊外のホロウで戦った黄色いラインをした知能構造体が現れた。詳しいことは俺の記録を見てくれ」
あの時レイヴントが言っていた郊外で戦った知能構造体とは、あの黄色の知能構造体だった。
[BT]:拝見致しました。今は拘束された星見雅様を追っている最中なのですね?
「あぁ、アキラから共有された特徴を元に街中の監視カメラを調べてく――ぐああっ!?」
轟音とともに爆炎が弾け、突如飛来したミサイルがレイヴントの脇腹を直撃し、衝撃でガードレールを突き破り、そのまま高速道路の外へ投げ出された。
眼下へ落下していく体でなんとか安定させ、両足部のスラスターから噴射炎を噴き出す。
「くっ……!」
推力を無理やり立ち上げ、辛うじて空中で姿勢を立て直した。
爆煙の中で静止したレイヴントは周囲を見渡し、センサーを最大出力で展開する。
「……なんだ。近くからは生体反応がまるでない」
敵影は映らない。熱源も、通信波も、索敵に引っかかるものは何一つ存在しない。
まるで"姿を消したまま"攻撃だけが飛んできたかのようだった。
[BT]:警告。追尾ミサイルを多数検知。
レイヴントの視界いっぱいに、赤い警告マーカーが次々と点灯する。
「……っ!」
前方、左右、そして後方。
複数の追尾ミサイルが白煙を引きながら一斉に飛来し、逃げ場を塞ぐようにレイヴントへ迫っていた。
「ここじゃダメだ……」
レイヴントはそのまま上へ一直線に飛び上がる。ミサイルも即座に方向を変え、レイヴントを追う。
[BT]:レイヴント、さらに追加でミサイルが接近中。
十分な高度まで来るとレイヴントは加速を維持したまま機体をひねる。
そして――急旋回。
機体が高速でスピンしながら軌道を変え、空中で幾重もの円弧を描く。
重力を無視するような鋭い旋回に、追尾ミサイルはわずかに遅れて進路を修正。
しかし、そのわずかな遅れが致命的だった。レイヴントの肩部装甲が展開し、迎撃ミサイルを射出する。
轟っ!!
密集した追尾ミサイルの近くで爆発で一掃する。
「……」
レイヴントは警戒を解かず、静かに構えていると下からあの黄色の知能構造体が飛んでレイヴントと同じ高度までくる。
「ターゲットを確認。コードネーム:ジャイロ、任務を開始する。」
「なんだ…喋れんなら言えよ。俺が言えたことじゃないが…」
「はぁ……コードネーム:レイヴント 任務を開始する。」
お互い戦闘体勢になった瞬間、ジャイロが3体に分裂する。
「…っ!?ハッ!」
レイヴントは咄嗟に構え、迫る一体へと反撃を繰り出す。だが、それは囮だった。
「ぐっ…!」
左右から迫った二体が間髪入れずに攻撃を浴びせ、さらに背後へ回り込んだ最後の一体が鋭い一撃を叩き込む。
三方向から途切れることなく襲いかかる猛攻。
一撃を防げば別の一撃が飛び込み、反撃しようとすれば死角から攻め立てられる。
「くっ…フッ!でぇりやぁ!」
レイヴントは懸命に応戦するものの、三体の完璧に連携した攻撃は隙を与えない。
「BT、時間がねぇ……あれをやるぞ…」
[BT]:あれは…あまりおすすめできません。
「今の俺にはそれしかねぇ…頼む。」
[BT]:……了解、援護します。
レイヴントは突然ホロウの方に向かう、ジャイロが元に戻ってすぐさま銃やミサイルで追撃しながら追いかける。
「やっぱりな。」
[BT]:はい、分裂してる時はその他のミサイルなどの武器などは使えないようです。
デッドエンドホロウの上まで止まると、ジャイロが再び3体になり襲い掛かる。
応戦するが完璧な連携に怯む一体が懐へ入り込み、拳がレイヴントの体を貫く。
――グシャッ!!
一体が懐へ入り込み、拳がレイヴントの機械の体を貫く
「なっ…!?」
続けざまに2体がさらに体を貫く
「終わりだ」
「私たちには勝てない」
「ここで壊れろ」
「それは、無理な願いだ。」
レイヴントはジャイロを思いきり掴んで「スチーム・バインダー」でしっかりと固定する。
「このときを待ってたんだ…!」
レイヴントの体が炎で燃え上がる。
「離せ…!」
ジャイロは元に戻り、暴れてミサイルなどを放つが既に遅く爆破する。
ドガア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ン゙
爆破は地上からだとそこそこ遠くで花火が聞こえたぐらい音なので、演説を聞きに来た人々には興味すら持たれなかった。
[BT]:作戦、上手くいったようですね。
炎が晴れた中心で、レイヴントは静かに飛んでいた。
胸部は爆発で大きく貫かれていたが、その穴は赤い光を帯びながら瞬く間に再生し、元通りになる。
「あぁ、やっぱり"このコア"だと再生してくれるから助かる。まぁいい…急いで雅のところに――」
そこで空中からでも分かる紫色の炎のようなものが輝いた。
―――――――――――――――――
『雅さん!しっかりするんだ雅さん!!』
「雅!目を覚ましてください!」
演説会場に現れた雅だったが、無尾の暴走した力に飲まれ意識を失っていた。
会場は既に大混乱になってしまっていた。朱鳶とアキラはなんとかデッドエンドホロウまで誘導し、被害を最小限に防いだ。
だが雅に止められる者はおらず目に入る、または迫り来るエーテリアスを斬り倒しては次の
ただ斬るためだけに存在する鬼のようだった。
「…店長さん、逃げてください。ここは私が何とかします…」
『そんな、無茶だ!』
「うっ……ワ……タし……ハ……!」
雅もまた、必死に意識をつなぎ止めていた。
だが一瞬でも気を抜けば、その身体も心も完全に乗っ取られてしまう――そんな危うい均衡の上に立たされていた。
やがて、ゆっくりと雅の刃が朱鳶たちへと向けられる。
「これじゃ、いつまでもつか……」
朱鳶が苦々しく呟いた、その瞬間だった。
――ギィンッ!
視界から消えたかと思うほどの神速の一閃。
朱鳶は反射的に身をひねり、紙一重でその斬撃をかわす。
雅は着地と同時に体勢を崩すことなく、音よりも速く迫る二の太刀。
その切っ先が、容赦なく朱鳶たちへと襲いかかる――。
ことわなかった。
人影――レイヴントが朱鳶たちを庇うように刀を受け止めていた。
「『レイヴント(さん)!?』」
「遅くなってすまない…追っ手をなかなか振り切れなくてな」
そう言うと、彼は相手の力が込められた瞬間を見計らい、あえて押し返さずに力を抜く。
均衡を失った敵の刀は、そのままレイヴントの狙い通り大きく前へ流れた。
「──もらった。」
敵を自らの間合いへと引き込み、そのまま蹴り飛ばす。
雅は怯むことなく地を蹴り鋭い斬撃が幾重も襲いかかるが、そのすべてを紙一重でかわし、最小限の動きでいなしていく。
一歩。半歩。
避けるたび、拳や柄、蹴りが的確に急所を打ち抜き、雅の体勢を容赦なく崩していきいつしか雅が一方的に追い詰められていた。
「お前、正直郊外で交えた時の方が強かった……敵の思惑にハマって簡単に操られてんじゃねぇよ」
怯んだ収まる雅の胸ぐらを掴み、思いきり頭を振りかぶる。
「いい加減目を覚ませ…
雅!!」
思いきり頭突きをする。
「ぁ……わ、たし…は……」
雅は自身の力で無尾の刀身を鞘に収めていく。
その瞬間、力が抜けその場で倒れようとしていた彼女をレイヴントは受け止めた。
「…やればできんじゃねぇか」
「レイヴントさん!雅!」
慌てて駆け寄る朱鳶に雅をそっと預けると、レイヴントはバタリとその場に倒れる。
「ア゙ア゙…つっかれた…」
雅はよろけながらも自分でたち3人に頭を下げる。
「ありがとう、お前たちのおかげで大切な人たちを傷付けずにすんだ。」
「いつでも、頼ってください。友達なんですから」
『あぁ、そうとも。』
レイヴントは右手を上げ、ただ雅に向かってGoodを向けていた。
「はぁ…頼むから少し休ませ――」
『お兄ちゃん!』
ボンプ越しにアキラとリンが慌ただしくなるのが聞こえる。
『リン、どうしたんだ?』
『緊急事態なの!対ホロウ六課のみんなが講演会の場所についたんだけど会場は今大混乱で…ブリンガーはこの隙に逃げようとしてるみたい!』
「な、なんですって!?」
「はぁ……まだまだ休めそうにねぇな…」
戦いは、まだ終わりではない。
だがもうすぐこの戦いに終止符が打たれようとしていた。
今回ルミエールを絶対取る気なので配布キャラはジェーンにしようと思います。