準備を終えたアキラと六課一行は、ホロウへと入り、座標に従ってブリンガーの指定した「待ち合わせ場所」についた。
ブリンガーが現れるが六課一行を見つけると、その場から逃走しようとする。
「待て!」
「はっ……! はっ……!」
息を切らせながら駆けるブリンガー横から一筋の閃光が横切った。轟音とともにレイヴントの腕部から火を噴き、ジェット噴射による凄まじい加速で一気にブリンガーの前へと回り込む。
急停止したレイヴントは、逃げ道を完全に塞ぐように立ちはだかった。
「落ち着けって、茶くらいなら出してやるぜ?」
「くっ…!」
「投降しなさい。ブリンガー副総監…いえ、今は「容疑者」…ですね。」
ブリンガーは、囲まれている状況だと言うのに余裕のある含み笑いを浮かべた。
「ふん……。容疑者、か。随分と威勢のいいことを言う…だが、お前たちは何か勘違いをしている」
ブリンガーはゆっくりと両手を広げ、六課の面々を見渡した。
「私が逃げている? 違うな……私は、お前たちをここへ誘い込んだんだよ」
六課の全員が息を呑み、武器を構える手にさらに力が入る。
しかし、ブリンガーだけは余裕を崩さない。
まるで、この状況すべてが自らの掌の上にあると言わんばかりだった。
「ジャイロが貴様を破壊できなかったのは、少々計算外だったが……まあいい、私が直々に手を下してやる。」
ブリンガーはレイヴントを真っ直ぐ指差す。
「見せてやろう、妖刀の力で手に入れた……」
ホロウの時代を先駆ける究極の姿を――!
なにかの液体が入った注射器を懐から取り出し、躊躇なく自分の右腕に注入する。
始まりの…主よ――再創を!!
ブリンガーの体が光り出すと、足元から光り輝く円がブリンガーを囲むように現れ、そこにエーテルが集まる。
「っ!これは…!」
『付近のエーテル活性上昇! 気を付けて!』
集まったエーテルがブリンガーを包み込み
目が付いている巨大な白い腕の異形な怪物に変貌する
『あの腕は――!?』
誰かが驚愕の声を上げる。
すると、巨大な腕の掌がゆっくりと開いた。
掌の中心から人型ともエーテリアスともつかない異形が姿を現れ、ブリンガーの声で高らかに哄笑する。
【フハハハハハッ!! 素晴らしい……実に素晴らしい力だ!これで貴様らを――この場で葬り去ってやる!!】
巨大な腕が唸りを上げ、六課へと容赦なく振り下ろされる。
轟音とともに地面が砕け散り、土煙が舞い上がった。しかし、その一撃を六課の面々は紙一重で回避する。
「悪者なんかに、負けないんだから!」
蒼角が気迫のこもった叫びとともに斧を振り下ろす。鋭い一撃は空気を裂き、ブリンガーへと迫る――だが。
【そんな単調な攻撃、造作も無いわぁ!!】
ブリンガーは嘲笑を浮かべるように、軽やかな動きで斧をかわし、黄金に輝いた左腕から剣を形成し、蒼角に振りかざそうとしたその瞬間。
「それじゃあ……これならどうかな?」
【ぐっ…!】
回避した直後で体勢を崩したブリンガーに悠真の矢が鋭く突き刺さり、電流が流れた。
怯んだその隙を逃さず、レイヴントは柳の手首を掴んでスラスターで飛び上がり、ブリンガーの真上で落とす。
「はあぁっ!」
【があぁああ!!】
ブリンガーの体に薙刀を突き刺し追撃の電流を流す。
ダメージを与えられたと思った瞬間、虚空を引き裂くように黒い亀裂が走り、その中からあの巨大な腕が姿を現した。
「なっ――」
反応する暇すらなかった。
ドォォォンッ!!
巨大な腕がレイヴントを真正面から叩きつける。
「ぐあぁっ!」
衝撃で体が宙を舞い、地面を何度も跳ねながら吹き飛ばされ壁にぶつかる
『レイヴント!!』
皆の視線がレイヴントに集められたのをブリンガーは見逃さず再度出現させた腕でアキラたちを吹き飛ばす。
【見たかぁ!これが妖刀の力だァ!】
1人残ったレイヴントは再度戦闘態勢になる。
【ふん!貴様ごときに何が出来る、この力の前には遠く及ばないのだぁ!!】
圧倒的な力を前にしても、それでも動じない
小さく息を吐く。
そして、ほんのわずかに口元を緩めた。
「……ああ。そうかもな」
一歩。
レイヴントは前へ踏み出す。
「けど――」
その瞳に宿るのは、諦めではない。
「姿が変わるのは……お前だけじゃねぇ」
そう言って懐へ手を伸ばす。
取り出したのは、1つのベルトとバックルだった。ベルトを腰に付けると自動で巻き付かれる。
レイヴントの体が変わり、シンプルな黒い体に狐の仮面が頭部に付けられる。
続けてレイヴントはベルトに、銃を想像させるデザインをしたバックルをセットする。
リボルバーの部分を回しトリガーを押すと、弾丸が放たれる。
放たれた弾丸がボディを形成する。
――変身!
再度トリガーを押す。
ボディを自身の体に身につける。
「よし…やっと成功した」
何度も失敗を繰り返した試行。 諦めることなく求め続けた力。その成果が、今ここに形となった。
対峙していたブリンガーは、その姿を見て動きを止める。
【な、なんだ貴様ぁ……その姿は!?】
レイヴントは腰に付けていた銃――マグナムシューター40Xを手に持ちながら、ゆっくりと顔を上げ赤い複眼を敵へ向ける。
「これは……俺が選んだ力だ。さぁ仕切り直しだ!
コードネーム:レイヴント――任務を開始する。」
【舐めるなぁ!!今度は叩き潰してくれる!!】
怒号を轟かせたブリンガーは、腕部に膨大なエネルギーを収束させる。次の瞬間、灼熱の光線が一直線にレイヴントへ放たれた。
轟音とともに地面を抉る閃光。
しかしレイヴントは、その軌道を見切るように一歩踏み込み、紙一重で光線をかわすとそのまま駆け出す。
走りながらマグナムシューターの銃口をブリンガーへ向け、迷いなく引き金を引く。
――ダァン! ダァン! ダァン!
乾いた銃声が連続して響き、高威力の弾丸がブリンガーの脆い箇所へ次々と命中する。火花が散り、体がわずかによろめいた。
だがレイヴントは攻撃の手を緩めない。
「ふっ!」
次々と放たれる光線を軽やかなステップで回避しながら射撃を継続し、銃撃による牽制と圧力でブリンガーとの間合いを一気に詰めていく。
「っ!」
だが放たれた光線の内の1発が胴を掠り、レイヴントは少しだけ怯む。
【これで終わりだぁ!!】
勝利を確信した叫びとともに、ブリンガーは再度出現させた巨腕を振り下ろす。
「ふっ…甘いな!」
【なにぃ!?】
しかし、その巨腕が地面を叩くよりも早く、レイヴントの姿は視界から消える。
紙一重で一撃をかわすと、その勢いのまま振り下ろされた腕へ軽々と飛び乗った。
【く、来るなぁ!!】
勝利の確信の叫びが焦りに満ちた声へと変わり、形成した斧を投げつける。
「ぐっ…!」
反応がわずかに遅れ、マグナムシューター40Xが斧に両断される。激しい爆炎が視界を埋め尽くした。
【…ふっ……ハハハハァ!! 終わりだァ――】
だが。煙が晴れた先に、レイヴントの姿はなかった。
【…なっ…どこだァ……どこへ行ったァ――】
敵が辺りを見回した、その瞬間。
――ダダダダダッ!
【ぐうぅっ!?】
見上げた先には高く跳躍したレイヴントがおり、
その身体は、重力に身を任せて落下しながらも微塵も姿勢を崩さない。
両前腕に装備された短銃が絶え間なく火を噴き、雨のような銃弾がブリンガーへと降り注ぐ。
銃撃に怯んだその一瞬を、レイヴントは逃さなかった。
左腕の装甲が重厚な駆動音とともに変形を開始する。
幾重もの装甲が展開・連結し、紅蓮色のエネルギーが砲身を駆け巡る。
左腕ごと変え、展開された「FULL CRIMZON MARK-2」の巨大砲身。をブリンガーへ向ける。
『LOADING▶ COMPLETE』
『OUTPUT▶COMPLETE』
『CONSTRUCT▶COMPLETE』
『LIMITER ▶RELEASE』
「あんだけたくさん光線撃って来たんだ…1発ぐらい返しても文句ないよなぁ?」
【ま、待て――】
ブリンガーがなにか言おうとしていたがレイヴントは聞く気もなく
『FIRE!』
【ぐああああぁああ!!】
エネルギー光線がブリンガーに命中し、大ダメージを与えた。息も絶え絶えとなっていたがそれでもブリンガーの瞳だけは、獲物を逃すまいと獰猛な光を宿していた。
【ぐぅ……まだ……終われるかぁっ!!】
「……マジかよ、これを食らってまだ立つのか。とんだ化け物だな……。まぁいい。」
銃口を再びブリンガーへ向け、静かに構え直す。
「六課の連中が来るまで、付き合ってやるよ。」
その言葉に、ブリンガーは口元を歪め、不気味な笑みを浮かべた。
【ククク……そう簡単に、奴らがここへ辿り着けると思うか?】
「……何?」
レイヴントの眉がわずかに動く。
ブリンガーは両腕を広げ、勝ち誇ったように笑い声を響かせた。
【そう簡単に――私が逃がすわけなかろう!!道中にエーテリアス以外にコンテナの中にロボットが何体か隠されている。人体に反応し殲滅させるプログラムを施してある。倒せたとしてもそう簡単には来させ―――】
「それがどうした」
動じないレイヴントにブリンガーの笑みは一瞬で止まる。
【なに?】
「こっちも念の為に備えて準備してたんだよ…そんじゃそこらの今の軍事用ロボットより賢く強力な――」
――タイタンをな!
一応翻訳
『LOADING▶ COMPLETE』
「読み込み完了」
『OUTPUT▶ COMPLETE』
「出力完了」
『CONSTRUCT▶ COMPLETE』
「構築完了」 または 「生成完了」
『LIMITER ▶RELEASE』
「リミッター解除」
「FULL CRIMZON MARK-2」
「フル・クリムゾン マークツー」