ちょっと知能構造体の終始「…」だけだと表情読み取りづらいかなと思って顔文字つけました。「内心ではこう思ってるんだ」位に思って貰えればいいです。
「ニコ、その男をこちらに渡してもらおう」
張り詰めた空気の中
対ホロウ六課課長・星見雅が静かに刀を構えた。
その切っ先は、邪兎屋とアキラたちへ向けられている。
アキラは、まさに絶体絶命の状況に立たされていた。
少し前――。
パールマンの口から語られた真実は、誰もが予想していなかったものだった。
彼はCEOでありながら実権を持たない、ただのお飾りに過ぎなかったという。すべてを裏で操っていたのは秘書のサラ。そして彼女の計画を支え、後ろ盾となっていたのが治安局長官ブリンガーだった。
ニコは事態の収拾を図るため、H.A.N.D所属の対ホロウ六課へ協力を求めた。しかし六課はアキラたち――パエトーンの正体を見抜いていた。
互いに一歩も譲らない緊張感。
沈黙だけがその場を支配していた。
だが、それを破ったのはニコだった。
「考えが変わったわ。今回はあたしの勘違いだった。だからあんたたちの助けはいらない……なんて言ったら回れ右してくれるかしら? 往復分の交通費くらい持ったげるわよ」
雅は小さくため息をつく。
「ニコ……私はもはやH.A.N.Dに入りたての青二才ではないのだぞ」
「チッ……ものの分別がついてない頃のあんたは、そりゃ可愛げがあったわよ……!」
ニコは舌打ちしながらも、ちらりとアキラへ視線を向けた。
そこには申し訳なさそうな色が浮かんでいる。
「プロキシ……ごめん。あたしたちじゃ大した時間稼ぎにもならないかもだけど、できるだけ遠くに――」
その時だった。
バタン――!
大きな物音が響き、一同の視線が入口へ集まる。
そこには、頭から袋を被ったボロボロの男が倒れていた。
「み、水を……誰か……」
「君! 大丈夫かい?」
警戒しながらも、浅羽悠真が水を差し出す。
男は震える手で受け取り、一口飲むとゆっくり顔を上げた。
「ありがとう……けど……もう大丈夫」
その言葉に、月城柳は小さな違和感を覚える。
なぜこんな不穏な空気の場所へわざわざ来たのか。
途中までに何人かいたはずだった。
そして何より――先ほどまで誰もいなかったはずの場所に、なぜ突然現れたのか。
疑問は尽きない。
男は俯いたまま、ぶつぶつと呟き始めた。
「大丈夫……大丈夫……ダ、ダダダダダイジョ……ダイジョウブ……モ、モモモモモ…ダイジョウブ……」
異様だった。
機械が無理やり言葉を発しているような、不自然な音声。
柳がその違和感の正体に気付いた瞬間――。
遅かった。
男の背中が大きく裂ける。
そこから複数の小さい物体が飛び出し、六課の面々へ襲いかかった。
「なっ!?」
飛来物は瞬く間に4人の足を拘束し、その場に縫い付ける。
さらに武器ごと腕を固定し、指一本動かせない状態にしてしまった。
「な、なにこれぇ!? 全然動かせない!」
蒼角が鬼の怪力で引き剥がそうとする。
だがびくともしない。
邪兎屋が身構える中、男は頭の袋を乱暴に引き裂き、ボロボロの服を脱ぎ捨てた。
その正体を見た瞬間、全員の目が見開かれる。
最近行方不明になっていた、あの知能構造体だった。
「……! 君だったのか!」
「助かったぜぇ!」
ビリーは勢いよく飛びつき、そのまま抱き締める。
知能構造体は特に抵抗することもなく、無表情のまま立っていた。
「……(´ー`)」
その微妙な空気を切り裂くように、アキラの端末が鳴る。
リンからだった。
「リン? 急にどうした――」
『お兄ちゃん! 早くそこから逃げて!!』
切羽詰まった声。
アキラの顔色が変わる。
「な、何があったんだ?」
『さっきその知能構造体から暗号が届いたの! Fairyに解析してもらったら、今ブレイズウッドに武装集団が向かってるみたいなの! シーザーたちにはもう連絡したから、お兄ちゃんたちも早く逃げて!』
その瞬間だった。
知能構造体がなにかに反応し、無言のまま腕を掲げ、巨大なエネルギーシールドを展開した。
直後。
ガンッ!!
銃弾がシールドへ激突する。
一発だけではない。
続いて無数の銃声が鳴り響いた。
ダダダダダダダダッ!!
制圧射撃。
雨のような弾丸が降り注ぐ。
「銃撃!? 制圧射撃のリズムだな……包囲するつもりだ! 三方向から!」
アキラが叫ぶ。
雅は知能構造体の拘束を力任せに断ち切ると、刀を振るって飛来する弾丸を斬り払った。
「『邪兎』のニコ。まさか刺客を用意していたのかと思ったが……その知能構造体の反応を見る限り、違うようだな」
「そりゃこっちのセリフよ、お武家ギツネ! あんたが待ち伏せさせたんじゃないワケ? まさか他にもここを狙ってる連中が……!」
その時。
プップーー!!
聞き慣れたクラクションが鳴り響く。
パイパーの大型トラックだった。
タイヤを軋ませながら滑り込み、銃弾の盾となる位置で停止する。
全員が飛び乗る。
そしてトラックは銃弾の雨の中へ突っ込んでいった。
「待て!」
雅が追おうとする。
しかし三人はまだ拘束されたままだ。
彼女は歯を食いしばりながら部下たちを庇う。
足も固定されているため、徐々に押し込まれていく。
その時だった。
「っ!? これは……」
目の前に再びエネルギーシールドが展開される。
知能構造体が、まだ残っていたのだ。
銃弾を完全に防ぎ切ると、知能構造体は無言で六課を見つめた。
「|´-`)チラッ」
ほんの少しだけ様子を窺うように視線を向け、数秒の沈黙が訪れる。次の瞬間には大きく跳躍し、ニコたちを追って姿を消していた。知能構造体が離れたことで拘束具の出力が低下し、自然と崩れ落ちる。
「やっと外れたぁ!」
蒼角が大きく伸びをする。
悠真も深く息を吐いた。
「はぁ……やっと解放された。あの知能構造体、一体何なんですかね、月城さん」
柳は知能構造体が消えた方向を見つめる。
「私にも分かりません。どうやら彼にも話を聞く必要がありそうですが……今は彼らを追いましょう」
そう言って彼女は雅へ視線を向けた。
「課長、どうしますか?」
雅は一瞬だけ考え込み、そして迷いなく答えた。
「無論、あの者たちを追う。柳、こちらは任せた」
言葉が終わるより早く、雅は地面を蹴る。
風を切るような速度。
その背中はあっという間に遠ざかり、数秒後には完全に視界から消えていた。
残された六課の面々は、追いつけないと悟りつつタイヤ痕を見て跡をおった。
知能構造体の画像生成(ChatGPT)を作ったのでもし気になる方がいたらぜひご覧ください。
猫又の口調案外難しくない?
ちゃんとストーリー出来てたかな…