新エリー都を生きる壊れた知能構造体   作:そらまめまめま

4 / 16
やっと本編に入れる。
ちょっと知能構造体の終始「…」だけだと表情読み取りづらいかなと思って顔文字つけました。「内心ではこう思ってるんだ」位に思って貰えればいいです。


六課

〜ブレイズウッド〜

 

 

 

「ニコ、その男をこちらに渡してもらおう」

 

 

張り詰めた空気の中

対ホロウ六課課長・星見雅が静かに刀を構えた。

その切っ先は、邪兎屋とアキラたちへ向けられている。

アキラは、まさに絶体絶命の状況に立たされていた。

少し前――。

 

パールマンの口から語られた真実は、誰もが予想していなかったものだった。

彼はCEOでありながら実権を持たない、ただのお飾りに過ぎなかったという。すべてを裏で操っていたのは秘書のサラ。そして彼女の計画を支え、後ろ盾となっていたのが治安局長官ブリンガーだった。

ニコは事態の収拾を図るため、H.A.N.D所属の対ホロウ六課へ協力を求めた。しかし六課はアキラたち――パエトーンの正体を見抜いていた。

 

互いに一歩も譲らない緊張感。

沈黙だけがその場を支配していた。

だが、それを破ったのはニコだった。

 

 

「考えが変わったわ。今回はあたしの勘違いだった。だからあんたたちの助けはいらない……なんて言ったら回れ右してくれるかしら? 往復分の交通費くらい持ったげるわよ」

 

 

雅は小さくため息をつく。

 

 

「ニコ……私はもはやH.A.N.Dに入りたての青二才ではないのだぞ」

 

 

「チッ……ものの分別がついてない頃のあんたは、そりゃ可愛げがあったわよ……!」

 

 

ニコは舌打ちしながらも、ちらりとアキラへ視線を向けた。

そこには申し訳なさそうな色が浮かんでいる。

 

 

「プロキシ……ごめん。あたしたちじゃ大した時間稼ぎにもならないかもだけど、できるだけ遠くに――」

 

 

その時だった。

 

 

バタン――!

 

大きな物音が響き、一同の視線が入口へ集まる。

そこには、頭から袋を被ったボロボロの男が倒れていた。

 

 

「み、水を……誰か……」

 

 

「君! 大丈夫かい?」

 

 

警戒しながらも、浅羽悠真が水を差し出す。

男は震える手で受け取り、一口飲むとゆっくり顔を上げた。

 

 

「ありがとう……けど……もう大丈夫」

 

 

その言葉に、月城柳は小さな違和感を覚える。

 

なぜこんな不穏な空気の場所へわざわざ来たのか。

 

途中までに何人かいたはずだった。

 

そして何より――先ほどまで誰もいなかったはずの場所に、なぜ突然現れたのか。

 

疑問は尽きない。

男は俯いたまま、ぶつぶつと呟き始めた。

 

 

「大丈夫……大丈夫……ダ、ダダダダダイジョ……ダイジョウブ……モ、モモモモモ…ダイジョウブ……」

 

 

異様だった。

機械が無理やり言葉を発しているような、不自然な音声。

柳がその違和感の正体に気付いた瞬間――。

遅かった。

 

男の背中が大きく裂ける。

そこから複数の小さい物体が飛び出し、六課の面々へ襲いかかった。

 

 

「なっ!?」

 

 

飛来物は瞬く間に4人の足を拘束し、その場に縫い付ける。

さらに武器ごと腕を固定し、指一本動かせない状態にしてしまった。

 

 

「な、なにこれぇ!? 全然動かせない!」

 

 

蒼角が鬼の怪力で引き剥がそうとする。

だがびくともしない。

邪兎屋が身構える中、男は頭の袋を乱暴に引き裂き、ボロボロの服を脱ぎ捨てた。

その正体を見た瞬間、全員の目が見開かれる。

最近行方不明になっていた、あの知能構造体だった。

 

 

「……! 君だったのか!」

 

 

「助かったぜぇ!」

 

 

ビリーは勢いよく飛びつき、そのまま抱き締める。

知能構造体は特に抵抗することもなく、無表情のまま立っていた。

 

 

「……(´ー`)」

 

 

その微妙な空気を切り裂くように、アキラの端末が鳴る。

リンからだった。

「リン? 急にどうした――」

『お兄ちゃん! 早くそこから逃げて!!』

 

 

切羽詰まった声。

アキラの顔色が変わる。

 

 

「な、何があったんだ?」

 

 

『さっきその知能構造体から暗号が届いたの! Fairyに解析してもらったら、今ブレイズウッドに武装集団が向かってるみたいなの! シーザーたちにはもう連絡したから、お兄ちゃんたちも早く逃げて!』

 

 

その瞬間だった。

知能構造体がなにかに反応し、無言のまま腕を掲げ、巨大なエネルギーシールドを展開した。

 

直後。

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

銃弾がシールドへ激突する。

一発だけではない。

続いて無数の銃声が鳴り響いた。

 

 

 

ダダダダダダダダッ!!

 

 

 

制圧射撃。

雨のような弾丸が降り注ぐ。

 

 

「銃撃!? 制圧射撃のリズムだな……包囲するつもりだ! 三方向から!」

 

 

アキラが叫ぶ。

雅は知能構造体の拘束を力任せに断ち切ると、刀を振るって飛来する弾丸を斬り払った。

 

 

「『邪兎』のニコ。まさか刺客を用意していたのかと思ったが……その知能構造体の反応を見る限り、違うようだな」

 

 

「そりゃこっちのセリフよ、お武家ギツネ! あんたが待ち伏せさせたんじゃないワケ? まさか他にもここを狙ってる連中が……!」

 

 

その時。

 

 

プップーー!!

 

 

聞き慣れたクラクションが鳴り響く。

パイパーの大型トラックだった。

タイヤを軋ませながら滑り込み、銃弾の盾となる位置で停止する。

 

全員が飛び乗る。

そしてトラックは銃弾の雨の中へ突っ込んでいった。

「待て!」

雅が追おうとする。

しかし三人はまだ拘束されたままだ。

彼女は歯を食いしばりながら部下たちを庇う。

足も固定されているため、徐々に押し込まれていく。

その時だった。

 

 

「っ!? これは……」

 

 

目の前に再びエネルギーシールドが展開される。

知能構造体が、まだ残っていたのだ。

銃弾を完全に防ぎ切ると、知能構造体は無言で六課を見つめた。

 

 

「|´-`)チラッ」

 

 

ほんの少しだけ様子を窺うように視線を向け、数秒の沈黙が訪れる。次の瞬間には大きく跳躍し、ニコたちを追って姿を消していた。知能構造体が離れたことで拘束具の出力が低下し、自然と崩れ落ちる。

 

 

「やっと外れたぁ!」

 

 

蒼角が大きく伸びをする。

 

悠真も深く息を吐いた。

 

 

「はぁ……やっと解放された。あの知能構造体、一体何なんですかね、月城さん」

 

 

柳は知能構造体が消えた方向を見つめる。

 

 

「私にも分かりません。どうやら彼にも話を聞く必要がありそうですが……今は彼らを追いましょう」

 

 

そう言って彼女は雅へ視線を向けた。

 

 

「課長、どうしますか?」

 

 

雅は一瞬だけ考え込み、そして迷いなく答えた。

 

 

「無論、あの者たちを追う。柳、こちらは任せた」

 

 

言葉が終わるより早く、雅は地面を蹴る。

風を切るような速度。

その背中はあっという間に遠ざかり、数秒後には完全に視界から消えていた。

残された六課の面々は、追いつけないと悟りつつタイヤ痕を見て跡をおった。

 

 

 

 

 

 

 

 




知能構造体の画像生成(ChatGPT)を作ったのでもし気になる方がいたらぜひご覧ください。

猫又の口調案外難しくない?

ちゃんとストーリー出来てたかな…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。