「う、う〜ん……こ、ここは…僕は……一体…」
アキラが目を覚ますと足音が聞こえてくると同時に、人魂のようなものが視界に映り、
顔をあげると赤い瞳でこちらを見る星見雅がいた。
襲撃を受けて制御を失ったトラックはただひとしきり走り続け、郊外ホロウエリアの座標も不明な地点にいた。
「…どうだ?修復は出来たか?」
「ダメそうだ。誰とも連絡出来そうにない。横転したときの衝撃でインプラントがおかしくなってしまったのかもしれない…メインの機能が使えないとなると、外との連絡は絶望的だ…」
「そうか…」
少々気まずい空気が流れたため、アキラは思い切って雅に話しかける。
「その、雅…さんの方はどうだい?仲間の人との連絡はできたか?」
「応答はない。1人で追っている最中、1度あの知能構造体と離れた場所で交えてからここに来たのでな。どの辺りにいるかも分からない。」
「彼と戦ったのかい?」
「あぁ、私が本気を持ってしてどこか手加減している程であった。」
アキラは驚く、あの知能構造体は強いとは思っていたがまさか虚狩りと対等に渡り合えるぐらい強いとは思っていなかったから
「プロキシ、あの知能構造体は何者なのだ?」
「何者…と言われても、僕にもよく分からないだ。出会ってからそこそこ経つけど、
今分かっているのは彼が男で未知の素材で体が構成されているということだけなんだ。
何度かコミュニケーションも試したけど、終始無言でね。」
「そうか、まぁいい。ホロウを出てからあの者にゆっくりと聞くとしよう。」
「その、雅さん…?さっきからなんで手を掴んでいるんだい?あ、汗を拭きたいから放してほしいんだけど」
アキラの手を掴む力は、弱まるどころか強まる。
「無理だ。私はあの知能構造体との戦闘で上空から地面に叩き付けられるように投げ飛ばされ、
肋骨にヒビが入り、体中を打撲している。それでもお前達を追って、こうして追いついた。」
「そ、それは災難…だったね」
「ホロウの中でお前を見つけた幸運、次はないだろう。
星見家の人間として、
同じ過ちを三度繰り返すわけにはいかないのでな」
「「二度と繰り返さない」、ならわかるけど…
けど僕は逃げたりしない。そもそも道が分からないしな…
キャロットもないのに無闇に動き回っても、迷うだけだよ。」
「ならば座れ。ホロウに迷った折は、
安全な場所で救助を待てと指南書にあった。
私の仲間は必ず救助に来る。」
だがアキラに待つという選択肢はなかった。
「そうなると時間がかかるはずだ。雅さんは一刻も早く仲間の元へと行きたいと思っているのだろう?
それは僕も同じさ、だから雅さん…協力しないかい?
自慢じゃないけど僕は、プロキシとしてキャリアは結構長いんだ。
ただ…ホロウの出口を探すならお任せなんだけど、自分の身を守るってなるといまいちで…」
「そこで私の力を借りたいと?だが先程、なにやら重要な機能が使えないとこぼしていたのは自身であろう。
それで案内が務まるのか?」
アキラは雅にプロキシのワザを説明する。
「つまりキャロットの元になるデータがあればホロウから出られる確率が上がるのだな」
「あぁ、出られる方法があると捉えてもらっても構わない。
雅さんはエーテリアスを倒しながらデータスタンド探しを手伝ってもらえると助かる。
そこからは僕に任せてくれていいから。」
雅は説明が終わると、しばらく思案した後、静かに頷く。
「承知した。ここは一時休戦とし、手を結ぶとしよう。」
歩きだそうとしたとき、遠くから小さなプロペラの音がし、ドローンのような飛行物体が飛んでくる。
アキラは雅が斬ろうとしているのを止めているとドローンは2人の前で止まり、男のような声を出し始める。
[???]:驚かせて申し訳ありません、ご安心ください、私は味方です。
「名乗れ、貴様は何者だ。」
[BT]私はBT。あなたたちが呼んでいる知能構造体のサポートAIです。彼は今、星見雅様との戦闘で機体の破損が大きく、
動けない状態にあり、代わりに私があなたたちのサポートに馳せ参じました。
「彼のサポートAIだったのか、ならデータスタンドがある場所はわかるかい?」
[BT]:はい。道案内致します、こちらです。
雅が襲いかかるエーテリアスを切り伏せながら、BTの小型ミサイルなどの援護で進んでいく。
「うっ、生身でホロウに入ると…こんな嫌な感じなんだな…」
「戦いは任せろ、お前は自分の歩調に合わせればいい」
[BT]:お二人とも、念の為こちらを投入してください。
BTはドローンからアームを出し、緩和剤と痛み止めの薬を2人に渡す。
[BT]:あの方は星見雅様もこちらにいると想定、お二人の状態を案じ私をドローンで飛ばし、
この緩和剤の受け渡しとサポートを命令されましたがホロウの状況が悪く、
想定より到着が遅れてしまいました。
申し訳ありません。
「来ないよりかは断然マシだ。これでしばらく侵蝕の心配はない。助かった。」
[BT]:任務を続行、前方にデータスタンドを確認。そこからデータを入手しましょう。
入手したデータは私への共有を要求します。
「わかった。僕に任せてくれ」
[BT]:こちらのデータスタンドはまだ誰の手にもついていないようです。
「あぁ、すぐにデータを読み取って簡易的な「キャロット」を作ってみるから、少し時間をくれ。」
「わかった。BTよ、少し話したいことがある。」
そう言ってBTと雅はエーテリアスを警戒しながら少し離れたとこで話す。
「BT、お前の主は何者なのだ。」
[BT]:黙秘、お答え出来ません。
「何故だ。」
[BT]:あの方が話さない限り、私から言えることは何もありません。
「ここで私がお前を斬り裂いてもか?」
[BT]:構いません。あの方は私を信じている、私もあの方を信じています。
その信頼を無下にはしません。そのような言葉で私の忠義は揺らぎません、黙秘します。
その言葉に揺らぎは一切もなかった。たとえ自身が朽ち果てようと自身の主の秘密を守る気だった。
「そうか……すまない、馬鹿な事を聞いた。」
「2人とも、すまないがまだ少しかかりそっ…って、何の話をしていたんだい?」
「いや、ちょっとした世間話だ。なにも問題ない。」
だが雅の刀はわずかにカタカタと震えていた。
「けど、さっきから刀が震えていような……
本当に大丈夫かい?」
「あぁ、問題ない。これしきの些細なことに気を取られるな、お前はデータの読み取りに専念しろ。」
「わかった。作業に専念するから、あとは雅さんに任せるよ。BT、悪いけど少し手伝ってくれるかい?」
[BT]:了解
そうしてそれぞれの役割の為に別れた。
サポートAIの名前思いつかなくてとあるゲームに出てくるロボットの名前にしちゃった。
分かる人には分かると思う。