新エリー都を生きる壊れた知能構造体   作:そらまめまめま

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なんだかんだで7話目、お気に入り登録してくれている皆さん、本当にありがとうございます。


新芽

 

 

 

 

時を同じくして

 

 

「っ!!!」

 

 

ちょうど修理を終えた知能構造体は、ホロウに以上なエネルギー反応を感じ取る。

 

 

「…?どうなされたのですか?」

 

 

心配する柳を置いて腕のデバイスのボタンを押し、アクセルフォームになり反応がした方へ走り出す。

 

 

「お、おい!ちょっと待てって!!」

 

 

ビリーが止めようとした合間に

 

Start up

 

そのまま高速でエネルギーの感じた方向に向かってしまった。

 

 

 

 

 

______________

 

 

 

 

 

 

場面は戻り、青々しかったエネルギーが赤く染まり、周りには炎の旋回のようなものが雅を包む。

 

 

「くっ……これは…!」

 

 

斬れ! 刀を慰めろ… 斬れば楽になる…斬れ!

 

 

雅の頭に流れ込む言葉に少しずつ飲まれかける。

 

 

…みさん……ほしみさん……!」

 

 

 

星見 雅さん!!

 

 

 

鞘を持って炎の旋回の中に入ってきたアキラが必死に呼びかけた事でなんとか意識がはっきりする。

 

 

「雅さん…どうすればいい?、

鞘で封じられるか!?雅さん!!」

 

 

「うっ……くっ……持っていろ!」

 

 

雅はなんとか刀を鞘の方に向け、二人で納めようと奮闘するが、無尾はそれを拒みもう一段激しくなる。

 

「ダメだ……このままじゃ…!」

 

 

そんな中、1人の機械体が躊躇うことなく旋回の中に入って鞘と刀を掴む。

 

 

「…君は!」

 

 

「知能構造体!」

 

 

ドローンが壊れる寸前に、BTはキャロットの情報を知能構造体に送っており、その情報を得た知能構造体が最短で来たのだった。

 

 

 

「踏ん張れ!」

 

 

 

知能構造体が初めて叫ぶ。刀身から溢れ出る力を1番近くで受けているため、修理した装甲が剥がれる。

 

 

「ぐうぅぅぅ…!」

 

 

知能構造体のおかげもあり刀身が鞘に収まると周りに出ていた竜巻もなくなる。

アキラは力が抜けて倒れそうになるのを知能構造体が支える。

 

 

「はぁ……はぁ…来てくれてありがとう。」

 

 

 

 

 

 

数分後、何度もアキラが雅に話しかけるがすぐ無言という気まずい空間が続き、また雅に話しかける。

 

 

「こほん、星見さん…調子はどうだい?」

 

 

「ああ、すまない…映画にしか出てこないような経験をしたものだから。あの奇妙な炎の旋回は、とうてい人体に無害なようには見えなかったし…」

 

 

[BT]:スキャンの結果、体に異常は見られません。

ですが心拍数の上昇、筋肉の緊張が見受けられます。

 

 

「大事ない、心配は無用だ。」

 

 

さっきまで二人で話していた知能構造体とBTも話に割って入る。

その時にアキラがそっと知能構造体に耳打ちする。

 

 

「なら良かった……ただ、星見さん…毛先が燃えてチリチリになってしまっているけれど?」

 

 

「…星見家は、代々くせっ毛なのだ。私の心配は無用だと言っている。この程度、比にならない修羅場をいくつもくぐっていた。」

 

 

[BT]:ならば、私の視覚に映っている刀から火花が出ている視覚映像は偽物でしょうか

 

 

「何っ――!?」

 

 

雅は刀の状態を確認するが無尾から火花は出ていなかった。

 

 

[BT]:すみません。嘘をつきました。動揺させて申し訳ありません。プロキシ様に言われ仕方なく…

 

 

「…笑えないな。これは至って正常な反応だ!」

 

 

「わかったよ、僕はただ…

星見さん!体から狐火が出ている!!」

 

 

「どこだ――!?」

 

 

雅は自身の体を確認するが狐火どころか火花すら出ていなかった。

 

 

「……ごめんよ、今のも嘘だ。

これだけ立て続けに騙されるようでは…やはりさっきから、内心穏やかじゃないんだろう。」

 

 

「…貴様!私を幾度も愚弄して、どういうつもりだ…?」

 

 

「うっ…!誤解だ、

僕はただ、君の助けにもなりたいと…!他意はない!」

 

 

必死にアキラは弁明するが雅の機嫌は治っていなかった。

知能構造体はというと再び無言に戻り、

喧嘩中の夫婦を見ているような気持ちになっていた。

 

 

「星見家の人間は、同じ間違いは三度犯さないと言ったね…

星見さん、さっきので三度目ど。

これは事態が深刻だという証左だろう?」

 

 

キツネの少女の目から、憤怒の色が徐々に抜けていく。

やがてそれは困惑と少々の焦りに代わられた。

 

 

「…先ほど刀が制御を失ったとき、お前はなんの備えもなしに狐火の中へと飛び込んだな…何故だ?」

 

 

雅は自身を助けたアキラの事が心底不思議だった。

 

 

「出口の方向が算出できたのなら、私を置いて

脱出することもできたはずだ。

その手が後ろに回る憂いとも、それきりだったと言うのに。

お前もだ、知能構造体。」

 

 

まさか自分にも振られると思っていなかったのか、知能構造体は少しピクつく反応を見せる。

 

 

「僕は…僕が星見さんのプロキシだからだ。

たとえ一時的な協力関係に過ぎないとしても、

君を連れて脱出すると約束した以上は、必ず連れ出してみせる。」

 

 

そんなことを言うアキラの目は、ただひたすら真っ直ぐだった。知能構造体も喋らないわけにはいかず、溜息をつきながら声を出す。

 

 

「別に…助けられると思ったから助けた……それだけだ。」

 

 

「――!」

 

 

星見雅はまた何か考え込むように押し黙る。

しばらくした後、彼女は自分の刀を「仲間」の眼前に差し出した。

 

 

「これは、星見家の家に代々伝わる家宝だ。

歴代の当主に従い、勧善懲悪を成してきた。」

 

 

「父上が鞘を誂えてくださってからこのかた、

異常が起きたことはなかった。

零号ホロウの核心エリアに深く入った時でさえ、暴走することなど無かったのだ…」

 

 

雅は刀身をそっと鞘にしまう。

 

 

「ようは、暴走した理由や理屈は見当もつかない…

けど今こうして暴走した、つまり外的な要因という可能性があるということか…?」

 

 

「あぁ、父上であれば何か知っているかもしれないが…

ホロウを離れねば尋ねることもできまい。

それに今日、父上は市長と会っているはずだ。

おおかた今頃は、自分のグラスに注がれたワインをジュースとすり替えるのに忙しいだろう…どのみちだめだな。」

 

 

今さらっと父親の秘密暴露しなかったか?とツッコミたくなる2人だったがあえてそこは気にしなかった。

 

 

「その刀、少し見せてもらっていいだろうか?」

 

 

「…なんだ、お前はプロキシであるだけでなく刀匠の心得もあると?」

 

 

「そういうわけではないけれど…その鞘、知能化されているだろう。君さえよければ、僕のほうで調べていい。

それに……刀匠の心得はいつも色んな武器を生成して戦っている彼の方があるだろう。」

 

 

また急に飛び火する知能構造体

 

 

「確かに刀もたまに使うが、かといってそんな目で見るな…」

 

 

「話を戻すけど、僕は両目に入っているインプラントは、ある程度なら電子機器にアクセス出来るんだ。

メインの機能は依然としてダメだけどね。その鞘に手掛かりがあるかもしれないだろう?」

 

 

雅はまた何か考え込むと刀身を抜いて鞘を差し出す。

 

 

「…さ、鞘だけなら触れることを許そう…」

 

 

触れた瞬間、アキラは突然倒れてしまう。

 

 

「「プロキシ!」」

 

 

知能構造体は即座にアキラの体を支えながらスキャンをする。

 

 

「なんでこんな致死量のエーテルエネルギーが……とにかく早くホロウから抜けねぇとやべぇな…」

 

 

急いでアキラに緩和剤を投入するが明らかに足りなかった。

 

 

[BT]:この状態では緩和剤を持って35分、それ以降はかなり危険な状態になります。

 

 

タイミング悪く脱出経路の方からエーテリアスが大量に寄ってくる。

即座に構え警戒する雅に、薄いブルーのレンズが付いているサングラスを渡す。

 

 

「雅、このサングラスを付けろ」

 

 

「…?わかった」

 

 

言われた通り付けるとサングラスに脱出路の情報が共有される。

 

 

「そのサングラスにはBTとは違うサポート知能が搭載されている。まぁ自我は持っていないが…

壁の向こうの敵や、視界外の敵の動きを常時教えてくれるはずだ。

俺はプロキシを抱えて走りながら援護する。お前が先導してくれ。」

 

 

「承知した、プロキシを頼んだ。」

 

 

こうして二人はエーテリアスの群れの中へ突っ切っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 





タイトルなのですが「少しずつでも信頼が芽生えた」と言う意味でこのタイトルにしました。

サブタイトルって付けるのこんなに難しいんだな…
頑張ります。
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