ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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どうも、先週更新できなかったのは法事がありまして、それが終わった直後に風邪にやられたからです。

年末も近いのに体調を崩す愚か者は吾輩です。
皆さんもどうかお気を付けください。胃腸風邪に初めてなりましたけど、厄介すぎてもうなりたくありません。


では、年内最後の投稿です。





89.班分け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶえっほいッ!!」

 

「くしゃみの仕方凄いな」

 

「もう……下が川で無事だったから良かったけど……いくら何でも無茶しすぎよ」

 

「仕方ねえだろ?にこと凛が落ちなくて済んだんだし、風邪ひく心配もなくて結果オーライじゃねえか」

 

「あなたの事を言ってるんだけど……」

 

 

 

 

 

 結局、あのあと俺は川へと見事なダイブをした。

 浅くもなく深くもなくで、幸いケガは免れたがこの季節だ。まだ寒くなる前とはいえ、さすがに山中は冷えるらしい。川めっちゃ冷たかった。山の俺に対する態度がドライすぎて悲しい。文字通り体が冷えた。

 

 

 

 落ちてからこの合宿所に帰って来れたのはにこと凛の上からのサポートと、真姫に見せてもらった周辺の地図の記憶が残っていたおかげでもある。

 びしょ濡れで震えながら走っている俺の姿を想像してもらえれば分かる。痛々しいだろ、色んな意味で。

 

 

 

 

「凄い!本物の暖炉!」

 

「おい穂乃果、結果オーライとは言ったが心配の欠片もないのか貴様は。お?」

 

「だってたくちゃんだもん。川に落ちたくらいじゃどうって事ないのは分かってるよ~」

 

「お、おう……。それは全面的に信頼してくれて言っているのか、それともただ単に頑丈だから大丈夫っしょ的な意味なのかよく分からないけど喰らえ俺のエキスを含んだ濡れたタオルアタックっ!!」

 

「ぶぎゃッ!」

 

 とりあえず何か気に食わなかったので穂乃果の顔面にタオルをクリーンヒットさせた。……あれ、おい、何だこいつ。タオルを数秒凝視したあと何かと思ったら普通に首にタオル巻いたぞ。あれか、練習後だからむしろ冷たくて気持ちいいとか、幼馴染だから今更気にしないってやつか。……俺が気にします、きゃっ。

 

 

「静かにしないと~、上で海未ちゃん達が作業してるんやし」

 

「あ、そっか」

 

「作業、か……」

 

 果たして上手くやっているのだろうか。真姫はまだしも、静かすぎて逆に海未とことりは落ち着かないと思っていそうだけど。

 ……って、

 

 

「あれ、真姫は……?」

 

「お茶用意しました~。はい、拓哉くん」

 

「ん、おう、サンキュー」

 

 俺の声は花陽のトロけるボイスにかき消された。ふむ、温かいお茶とはやはり気が利くな花陽は。飲んだお茶の温かさが体の中まで伝わってくる。まるで花陽の優しさが俺の体の中に染み渡っているようだ。……何て気持ち悪い表現をしてんだ俺。

 

 

「あ、じゃあ海未ちゃん達には私が持って行くよ」

 

「俺も気になるから一緒に行くわ」

 

 作曲してるはずの真姫がピアノのとこにいないのも気になるしな。

 

 

「たくちゃんは濡れてるから来ない方が良いと思うんだけど」

 

「よく見ろ。ちゃんとさっき着替えたし暖炉のおかげで体も温まったから完璧だっつの。完璧すぎてパーフェクトヒューマンまであるぞ」

 

「もう古いよそれ」

 

 おい待て。一応まだ今年の流行なんだから古いはやめろ。割と好きなんだぞ俺は。

 俺を放置してお茶を持ちながら2階へ上がっていく穂乃果をすぐさま追いかける。すると穂乃果は階段のすぐそばで立ち止まったままだった。

 

 

「静か……、みんな集中してるんだなあ……」

 

「部屋に1人だけだったら普通は静かなのが自然だろ。……それが果たして集中してるのかは不明だけど」

 

「?」

 

 おそらく疑問符を浮かべているであろう穂乃果を無視して海未がいる部屋をノックする。

 返事はないがそのままドアを開ける。ノックはしたから不法侵入ではないはずだ、多分。

 

 

「あれ、海未ちゃん?」

 

「いない……?」

 

 後ろからひょこっと覗いてから部屋へと入っていく穂乃果に続いて俺も入る。しかしどこにも海未の姿はない。トイレか?と思うのは失礼かもしれないが、それ以外の理由が思い付かないのも事実。

 

 

「うわ!た、たくちゃん!こ、これ!!」

 

「んあ?何だこれ?……『探さないでください』?」

 

「海未ちゃんがどっか行っちゃったんだよ!タツノリ跡を濁さずってやつだよきっと!!」

 

「立つ鳥跡を濁さずな」

 

 タツノリって誰だよ。限定的にも程があるだろ。というか跡濁しまくってんじゃねえか。思いっきり紙置いて物的証拠残してんぞ。海未でこうなってしまったって事は……。

 

 

「穂乃果、ことりの部屋にも様子見に行くぞ」

 

「うん!」

 

 慌てた様子でことりの部屋へ走って行く穂乃果。俺もそれに続いていく。

 

 

「ことりちゃーん!海未ちゃんが……ってあー!?」

 

「やっぱことりもいなくなってん……いや余裕あるなこいつ。変に凝ってんじゃねえか……」

 

 ことりの部屋にも書置きみたいなものはあったが、何かもはやダイイングメッセージ的な感じで壁に『タスケテ』とある。知らない人が見たら殺人事件か心霊現象と思っても違和感ないかもしれない。

 

 

「た、大変だ……ぁ、たくちゃんこれ!」

 

「これは、布を繋げて1本のロープに見立ててんのか。……穂乃果、多分ことりも海未も真姫もこの外にいるはずだ。それとメンバーも一旦下に集合させる。ほれ、外見てみろ」

 

「うん……あ、いた……」

 

 外を見ると木陰辺りにことうみまきの3人がいた。予想通りではあったが、ことりのやつ器用というか度胸あるなオイ。仮にも即興で作った布ロープを使って2階から下へ降りたのか。俺でもちょっとは躊躇してしまうぞ。

 

 

「それでたくちゃん、みんなを集めてどうするの?」

 

「んなの決まってんだろ。緊急会議だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「スランプぅ!?」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 一旦全員を一か所に集合させた。

 元々俺が川に落ちたせいで看病?してくれていたのが練習メンバー全員だったから呼ぶのは海未達だけで済んだ。

 

 

 

 

「つまり、今までよりも強いプレッシャーがかかってるっていう事?」

 

「はい……。気にしないようにはしているのですが……」

 

「上手くいかなくて、予選敗退になっちゃったらって思うと……」

 

「わ、私はそんなの関係なく進んでいたけどね……!」

 

「その割には譜面真っ白にゃ!」

 

「って、勝手に見ないで!」

 

 見事に3人が同じ理由でスランプに陥っている。

 この3人が部屋脱走してしまうくらいだもんな。普通に考えたら異常である。……いや、

 

 

「確かに、3人に任せっきりっていうのも良くないかも……」

 

「だな。というより俺達は今まで3人に頼りすぎていたんだ。海未達が作詞作曲衣装全てをやってくれるって思いこんで積極的に手伝えなかったのが原因でもある。適材適所ってのは確かにあるけど、それを理由に海未達がこんなになってちゃグループとして見過ごせない」

 

 作詞ができるのは海未、衣装を作れるのがことり、作曲をできるのが真姫。元々グループ内にピンポイントでこれだけできるメンバーがいる事自体が奇跡に近い。だからみんなそれに甘えてしまっていた。もちろん俺も。

 

 自分達にはできないからと、できる者に任せようという固定概念に囚われてしまっていた。つまり、今回はもうそれだけじゃダメなレベルにまでなっているという事だ。予選だけれど、その相手の中にあのA-RISEがいる。

 

 そのプレッシャーに3人がやられていつものように作業ができなくなっている、かもしれない。それに、3人だけに負担を持たせていたらいつプレッシャーにやられてへばってしまうか分からない。

 

 

「そうね。責任も大きくなるから負担もかかるだろうし……」

 

「じゃあみんなで意見出し合って話しながら曲を作っていけばいいんやない?」

 

「そうね、せっかく9人揃ってるんだし……ついでに拓哉もいるし、それでいいんじゃない?」

 

「おい、何で俺をおまけ扱いした。否定はしないけど何でだ。それなりに拗ねるぞ」

 

「うるさいわよ拓哉。じゃあ私の作詞した『にこにーにこちゃん』に曲をつけ―――、」

 

「なーんて9人で話してたら、いつまでたっても決まらないよ?」

 

 希の言う通りである。

 話し合うに越した事はないが、それでは意見がバラバラになる可能性も否めない。少人数ならまだしも9人もいればそれは必然になってくる。

 であれば。

 

 

「そうね……あ、そうだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ3班に分かれましょ」

 

「なるほど、王様ゲームみたいに割り箸で振り分けか。考えたな」

 

「もうちょっと例えを年相応にしいや」

 

 あれ、王様ゲームって高校生じゃ年相応じゃないのか。王様になった人が番号を言って好きなように命令できるっていう何とも魅力溢れるゲームなのに。……うん、これは確かに大人の遊びだったわ。

 

 

「ことりを中心に衣装を決める班と……」

 

 まずは衣装班。メンバーはことり、穂乃果、花陽の3人らしい。何だこのメンバーは。こいつらに囲まれたら脳みそが溶けてなくなりそうな感じがしてならない。なくなった後はきっと脳内はお花畑になってるに違いない。1番平和な班だな。

 

 

「海未を中心に作詞する班」

 

 次に作詞班。メンバーは海未、凛、希の3人。……おかしい、真面目な海未がいるのにも関わらずこの班から何故か危険な香りがプンプンしやがる。俺の嫌な予感はほぼ確実に当たるけど、そのセンサーが暴発しそうになってるまである。

 

 

「そして、真姫を中心に作曲する班」

 

 最後に作曲班。メンバーは真姫、絵里、にこの3人。ことり達が1番平和な班なら、真姫達の班は1番真面目そうな班だな。真姫と絵里は言わずもがな、にこも何だかんだで真面目だし、安心できそうだ。……え?海未の班?知らない。

 

 

「で、拓哉は1つの班を贔屓してもらうのもダメだから、時間を見て順番に班を確認してもらってくれるかしら」

 

「まあ、それが順当だよな。……何気に疲れそうだけど」

 

「よーし、じゃあみんなで曲作り頑張ろー!!」

 

「「「「「「おー!!」」」」」」

 

「……お~」

 

 

 

 かくして、3班に分かれた曲作りが始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って、どうして別荘があるのに外でテント張らなきゃならないのよ!」

 

「少し距離取らないと、3班に分けた意味ないでしょ。丁度別荘にテントあったし」

 

「テント張ったのは俺1人だけどな」

 

 別荘から1番近いという事でまずは作曲班の手伝いをしているわたくしこと岡崎拓哉。さっそくテントを張らされるという役割を押し付けられましたでございます。小さめのテントだからそんなに苦労はせずに済んだが……、

 

 

「さすがにこのテントに4人は狭くない?」

 

「遠回しに俺に出ていけって言ってるな?そうだろ?そうなんだろ?」

 

「仕方ないでしょ。ジャンケンで負けて小さいテントになったんだから、我慢しなさい」

 

 我慢しなさいって事は絵里も少なくとも狭いと思ってるって事だな?ん?

 

 

「こんなのでほんとに作曲できるの~?」

 

 こんなのって言うな。特に苦労もしてないけど俺が1人で張ったテントにこんなのとか言うな。泣くぞ、テントと主に俺が。

 

 

「別に私はどうせあとでピアノのところに戻るから」

 

「ふふっ、じゃあ食事でも作りましょうか。真姫が少しでも進めるように」

 

「……!~~~ッ!」

 

「じゃあ俺が作ってくるよ。飯なら任せろ」

 

「あら、あまり舐めないでちょうだい?私だって料理の1つや2つくらいできるんだからね?」

 

「夏合宿の時を忘れたの?にこの料理の腕は相当なんだから手伝わせなさい」

 

 確かににこの腕は大したものだった。サラダのみなのに美味しかったり、何日目かの夕飯を作らせてみた際はとても美味しいハンバーグを作ってくれた。こいつ絶対良い主婦になるわ。絵里の腕は分からないから見物かな。

 

 

「私の腕に不安があるなら共同作業しましょう?新婚夫婦みたいで面白いかもねっ」

 

「ッ……うるせ、とっとと行くぞ……」

 

 言ってテントから出て足早に別荘へ向かう。

 絵里みたいな女の子がそういう事言うと大変危険である。そこら辺の男子なら一瞬で落ちてるな。俺も一瞬落ちかけたけど現実はそんなに甘くないと現実に戻る事ができた。クォーターって恐ろしい……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は今川沿いを歩いている。

 別荘である程度料理を作ってから時間を見てそのまま移動してきたのだ。

 

 

 軽食におにぎりと卵焼き、ウインナーのみと本当に簡単なものしか作らなかった。……本格的な料理だと思って腕がどうとか言ってたのが恥ずかしいわちくしょう。そんなわけで真姫のテントに戻らずそのまま次の班を見に来ている俺なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 確かことり達の班はここら辺にいるって言ってたような……と、あれか。川沿いだから見つけやすいな。別荘から少し距離が離れているため結構歩いたが、少し肌寒く感じるよりこうして歩いた方が体も温まるのは好都合だ。

 

 

「あ、たっくん」

 

「おう、ことりか」

 

 テントに近づくと偶然にもことりがテントから出てきた。スケッチブックを持っているところを見ると、デザインの途中だったのか。

 

 

「どうだ、調子は。描けそうか?」

 

「うーん、一応頭にイメージは浮かんできたんだけど~……」

 

「そうか、穂乃果と花陽はテントの中か?」

 

「花陽ちゃんはデザインに参考にできるのがないか少しお散歩してくるって外に行ったよ。穂乃果ちゃんは……あ、あはは~」

 

「……、」

 

 ことりの顔がどうも引き攣っている。穂乃果の事を聞いてことりがこういう顔をする時は大抵穂乃果がいらん事をしているか余計な事をしている時だ。どっちも変わらんな。でも確信はした。穂乃果は今きっとことりの役に立っていない。

 

 花陽は外に行ったとことりは言っていた。つまり穂乃果はこの中にいる事になる。

 俺は勢いよくガバッ!とテントのチャックを下に降ろして中を覗く。

 

 

 

 

 そこにいたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気持ちよくテント内で熟睡している穂乃果がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、たっくん?気持ち良さそうに寝てるから、今だけは起こさなくても―――、」

 

「班分けしたのに手伝いもせず堂々と寝てんじゃねえぞオルァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 さて、いかがでしたでしょうか?


 何かをやっていればスランプは誰にでも来るものです。
 自分もスランプがあったりなかったりと繰り返しが続いた時期がありまして、腹いせに色んなアニメ見てました。……アニメはいい。
 狭いテントの中で女の子に囲まれるとか役得すぎるんだよなあ。


 と、改めて先週更新できなくて申し訳ありませんでした。
 風邪、インフル、ノロウイルスにはくれぐれもお気をつけて……。

 そして、年末という事で今週来週は予定が結構詰まっていて忙しいので、これが年内最後の投稿となります。
 次話は来年となりますが、いつ更新になるかは不明です。
 できれば早めに、1週の月曜の2日に投稿したいところではありますが、家にいないのでそれも不明です←。
 ですので、更新報告とかそういう情報はできるだけ細かくTwitterの方でお知らせする予定なので、もし気になる方がいればTwitterを見て頂ければお分かりになるかと。
 ではでは、皆さんもよい年末を、そして良い年始を!!


 いつもご感想高評価ありがとうございます!!
 これからもご感想高評価お待ちしております!!



Twitter情報です。主に進捗情報、更新が遅れる際などをお知らせしています。
https://twitter.com/tabolovelive




何気に総合100話突入しましたね。年内最後の更新が100話丁度で嬉しいです(笑)
記念すべき100話なので何かとも思いましたが、そういえばもうすぐでこの小説が始まって2周年なので良いかなとw
何かできそうであればまた考えておきます!
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