ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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最近忙しくて執筆時間がとれませんぜ。





93.UTX学院

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故かその笑顔が恐ろしいと思った。

 

 

 

 

 

 目の前に突然現れた少女に4人が呆然とし、画面に映っている少女と目の前にいる少女が同一人物だという事を理解するのに10秒ほどの時間がかかった。

 短いようで長い時間がたってようやく理解が追いついた瞬間。

 

 

 

 

「……あ、あら―――、」

 

「しっ!来て!」

 

 穂乃果が声を出そうとしたすんでのところで遮られる。

 そのまま少女が穂乃果と隣にいた拓哉の手を掴んで急に走り出す。

 

 

「なっ、ちょ、おい!」

 

「ちょちょちょちょちょっと待って~!!」

 

 いきなり手を掴まれて引っ張られるように走っている拓哉と穂乃果が叫ぶが引っ張っている本人も、周りの人々も誰も気に留めない。本人はあえて無視しているのは何となく分かるが、周りはみんな画面に釘付けになっているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 小泉花陽が星空凛と共に画面を見ている最中。

 凛が綺麗に八の字眉で見ている中、花陽は目をキラキラさせながらうっとりと画面は見つめている。

 

 

「さすがA-RISE~……。ん?」

 

 それでもふと視界の隅に映った影に気付いたのは、見知った制服と人が2人ほど走っていたからだろう。そして、その2人の手を掴んで走っている人物に自然と目がいった。

 意外と早くにそれが誰なのか分かった。理解もした。絶対に見間違えるなんて事はあり得ないと自負していた。

 

 

 だから。

 

 

 

「あ、かよちん!?」

 

 走り出す。

 穂乃果と拓哉が引っ張られていたという事は、少なくとも無関係ではないはずだ。というかむしろ、もしかしたらあの綺羅ツバサと間近で話せる口実になるかもしれない。

 立ち止まっている人の群れのあいだを駆け抜けていく。

 

 

「あ、あれは絶対……!」

 

「ツバサよね!!」

 

 どうやら同志がいたらしい。にこも花陽の隣に来て一緒に走っている。

 生粋のアイドル好きの2人にははっきりとあれが綺羅ツバサだと分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連れて来られたのはUTX学院の中だった。

 まるでパスカードのようなものをかざして学校内に入るらしい。拓哉的にはこれが学校の格差社会かと思ってしまうほど中身は豪華だった。

 

 

 

「はあ……っ、はあ……っ」

 

「初めまして」

 

 息切れしている穂乃果とは違ってツバサは平然と笑顔を保っていた。

 仮にも2人の手を掴んだまま不安定な態勢で走っていたのにも関わらずだ。

 

 

「は、初めまして……!」

 

 何とか息を整えて挨拶を返す穂乃果。瞬間、何だか嫌な予感がした拓哉。そういえば以前、自分はツバサと1度会った事がある。その時に伝言ぽい事を言われた記憶もきちんと残っている。というかさっき秋葉に来た時にも思い出していた。

 

 つまり。

 黒一点岡崎拓哉は何だか今かなり非常にとても気まずいというかいっそ帰りたいとまで思考が発展しているのだ!

 

 

「何だ、戻っていたのか。ツバサ」

 

「急に外に走り出していくものだからびっくりしたじゃない」

 

「ごめんなさい、どうしても会っておきたかったからちょうどいいと思って」

 

 拓哉が思考停止しかけていた時。

 ツバサのうしろ方面から2つの声が響いてきた。

 

 2つの声にツバサは軽く反応する。もはや振り返りすらしない。誰の声かなど、ほぼずっと一緒にいるのだから見るまでもない。ツバサの態度にうしろの2人も動じない。むしろそれでいいとさえ思っている。振り返らずに誰かを率いる、リーダーの資質。

 

 

「う、嘘……」

 

 コツコツと、ゆっくりだが確実に近づいてくる人物に穂乃果は目を見開く。まるで架空の人物が現実に出てきたのを目撃してしまったかのように。

 

 

「ははっ、総出でお出迎えってか……」

 

 対して拓哉はさほど驚いてはいなかった。ここはUTX学院だ。綺羅ツバサがいるなら当然他のメンバーもいるだろう。ただ、やはり画面で見るのと実際に見るのとでは全然違う。

 

 風格。

 まさにその言葉が合っているだろう。そんな雰囲気をただ立っているだけで醸し出す。“本物”のオーラ。

 

 

 これで揃った。

 A-RISEが。

 

 

 

 綺羅ツバサ。

 

 統堂英玲奈。

 

 優木あんじゅ。

 

 

 

 第1回ラブライブの王者が、拓哉と穂乃果の目の前に出そろった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、UTX学院へ」

 

 最初に沈黙を破ったのは綺羅ツバサ。

 それに何とか応じようと穂乃果が声を出そうとした時。今度は穂乃果と拓哉のうしろから段々と音が響いてきた。

 

 

「A-RISE!?」

 

 穂乃果のうしろから覗き込むようなかたちでやってきたにこ。

 

 

「あ、あの……よろしければ、サインください!!」

 

 次いで、走りながら鞄から取り出したであろうサイン色紙をツバサの方へと差しだし始めた花陽。抜かりはなかった。

 

 

「ちょっとズルいわよー!!」

 

 すかさず花陽に詰め寄るにこ。これでも一応同じスクールアイドルをやっているはずなのだが、あのA-RISEを目の前にするとどうしてもファンになってしまうらしい。ある意味いつもの2人だった。

 

 

「ふふっ、いいわよ」

 

「い、いいんですか!?」

 

「ありがとうございます!!」

 

「めちゃくちゃマイペースだなお前ら。ただのファンじゃねえか」

 

 ついさっきまであった例えようのない緊張感が一気に抜けてしまっていた。変に強張っていた穂乃果もにこ達を見て思わず笑みがこぼれる。

 

 

「というか来るの遅かったな。お前らならもっと早く追いついてきそうだったのに」

 

 雰囲気がいつも通りになった事で疑問に思った事を口に出す。

 A-RISEのファンであるにこと花陽ならもっと早くに来るだろうと思っていたのだが、割と時間がかかっていたのだ。

 

 

「ああ、ほら、この学校って入るのに生徒が持ってるパスカードがいるでしょ?さすがに突っ切るのはマズイと思って近くにいた生徒に入れてもらったのよ」

 

「おお、そういう常識はあったんだな。少し見直したぞ」

 

「A-RISEの前でそういう事言うな!」

 

 確かに自分はツバサに連れて来られたからすんなりと入れたが、元々個別でいたにこ達はわざわざUTXの生徒に声をかけていたのかと思うと納得もできる。にこはまだしも放送室でボソボソ声だった花陽も見ず知らずの子に声をかけたのかと思ったが、A-RISEのためなら簡単にしそうだと心の中でそう解釈しておく。

 

 にこ達より数十秒たってからまたうしろから足音が響いてくる。見ると、慌てたように海未達が走って来ていた。どうやら同じようにUTXの生徒に声をかけて入れてもらったのだろう。

 

 

「本当に、A-RISE……!」

 

 絵里が最初にそのような言葉を口に出したが、もうその流れは穂乃果やにこで間に合っていたから拓哉はスルーする。

 

 

「ことりと海未って俺達と1番近くにいたのに何でこんな遅かったんだ?」

 

「あはは……海未ちゃんがちょっとね~……」

 

 ことりの視線に促されながら海未を見て察する。

 そうだ、海未は花陽とは違い特にA-RISEのファンでもない。だからいきなりそういった根性を見せる事もできないわけで、つまりはいつも通りの恥ずかしがり屋発症である。今も拓哉から目を逸らして合わせようとしない。

 

 

「仲が良いのね、あなた達」

 

 ふと、透き通るような、それでいて芯の通った声が耳に入ってきた。

 笑顔が一瞬で消える。視線は声のした方へ自然と向けられる。いつものペースに戻ったと思った瞬間にまた相手のペースに呑まれるような感覚。

 

 

「さあ、ちょうどそちらも全員揃ったんだし、移動でもしましょうか」

 

「どうして、それを……」

 

 思わず穂乃果がそれを口に出した。

 全員揃ったとツバサは言ったが、そんなのμ'sを知っていないと分からないはずだ。ましてや、ラブライブの覇者に知られているなど考えるわけもない。

 

 

 

 

 

 だから。

 なのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろん、前から知ってるからよ。μ'sのみなさん」

 

 

 

 

 

 

 

 μ's全員が驚愕の目をしている。

 だが、たった1人だけ、嫌な汗をかきながらバレないように目を逸らしている少年がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 案内されたのは食堂の奥にある、まるでVIPルームのような場所。

 食堂を通った際の良い匂いが今も鼻に残っている。外は夕方になっており健全な男子高校生岡崎拓哉のお腹は既に空腹になりつつあった。

 

 

 

(というかもう夕方だろ?放課後なのに何でまだこんなに生徒が残ってるんだ?というか何でまだ食堂やってるんだ?というか何であんなに美味そうなんだ!!)

 

 色んな意味で現実逃避している理由には空腹以外に1つあった。

 移動している際、何故かツバサが幾度か振り返っては自分の方を見て微笑んでくるからだ。何とか愛想笑いなり気付かないフリをしたりで繕ってはいるが、気が気ではない。

 

 

 

 

 

「ゆっくりくつろいで。ここはこの学校のカフェスペースになっているから、遠慮なく♪」

 

「は、はぁ」

 

(食堂という呼称ではなくカフェスペースって言うところがもう何かアレ。格差を感じますぞ拓哉さんは。俺の思考と綺羅の思考では優雅さが違いすぎる!!そしてチラチラ見るな怖い!!)

 

 内心心臓バクバクで今にも鼓動が聞こえそうなほど焦る拓哉。

 もう見当違いな事を考えていないとすぐにでも走って逃げそうな気がする。

 

 

「あなた達もスクールアイドルなんでしょう?しかも同じ地区」

 

 くつろいでと言ったのも束の間。

 いきなり核を突いてくるような話をあんじゅが切り出した。ここで拓哉の焦り度メーターが頂点に到達する。これ以上この話題が進むとマズイような気がする。いやマズイ。多分臨死体験しそうな予感マックスだ。

 

 

 

 その話題に乗っかるようにツバサも口を開く。

 

 

「一度挨拶したいと思っていたの。高坂穂乃果さんっ」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 そしてそして。

 岡崎拓哉の嫌な予感というものは、ほとんどの確率で的中する。嫌な予感と思ってしまえば最後、それは現実となるのだ。

 

 

 

 

「……それと、また会えたわね。拓哉君っ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一瞬で部屋の空気にピシィッ!!と亀裂が入った気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でいきなり名前で呼ぶんだとか嬉しそうに笑顔向けてくるんだとか狙ってやってんなら見事に大ダメージだとか色々と文句は山ほどあるけどとりあえず土下座させてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


修羅場は今回だと思った?
次回です。今まで言ってこなかったツケです。
さあ、空気に亀裂が入ったとの事ですが、主に誰がそんな雰囲気を醸し出したでしょうか??
正解はありません。読者の皆さんの好きなように思って妄想してください。あの子かな?それともあの子?意外とあの子だったり~とか、嫉妬は無意識になるものですから、花陽とかでも全然ありですね。
自分は断然穂乃果です←


いつもご感想高評価ありがとうございます!!


新たに高評価(☆10)を入れてくださった、

ケンロウさん
gamdanhiさん
ざんきさん

計3名の方からいただきました。大変ありがとうございます!!(何か久々)
これからもご感想高評価お待ちしております!!




何故ツバサは岡崎に対してにへらと微笑みかけるのか。
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