ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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97.ミニこにー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今ならまだ間に合うと思って全員で走っていたら校門付近ににこはいた。

 

 

 

 

 

 

「にこちゃーん!!」

 

「大声で呼ぶんじゃないわよ!」

 

「どうしたの? 練習始まってるよ?」

 

「何か外せない用事でもあるのか?」

 

 あのにこが予備予選突破してすぐに練習を休むとは思えない。であれば理由は家庭的な事情なのかもしれない。

 ちなみにこのバカ共への説教はさっさとにこを追いかけようという事でうやむやにされた。納得いかない。

 

 

「……そうよ。今日は、ちょっと、用があるの……。それより最終予選近いんだから気合い入れて練習しなさいよ!!」

 

「はいっ!!」

 

 言うだけ言って走り去っていくにこ。やはり何かそれだけの用事があるんだろうか。

 

 

「あれ、行っちゃった」

 

「まああのにこが練習を休むくらいの事だ。仕方ない、今日は8人で練習す―――、」

 

「何か怪しくないかにゃー?」

 

 ……ん?

 

 

「確かにっ! あのにこちゃんが練習休むなんて考えられないもん! これはきっと何かあるに違いないよ!」

 

「跡をつけてみるにゃー!」

 

 ……んん?

 

 

「そうと決まればさっそく着替え直そー!」

 

「い、いやいや、待てって。さすがに家庭の事情で休むかもしれないんだし深追いや詮索はどうかと思―――、」

 

「たくちゃんは走って追いかけてて! にこちゃんは途中から歩くだろうし、走っていけば私達もすぐ追いつくから!!」

 

「……、」

 

 行ってしまった。穂乃果や凛を筆頭にあの絵里や海未や真姫までもが走って行った。さっきまでにこの存在を忘れてたとは思えない早さである。どんだけ気になってんだよ。

 

 ……追いかけないとあとで絶対何か言われるよなあ。仕方ない、悪く思わんでくれよにこ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 走ればすぐに追いついた。

 逐一穂乃果に連絡していたおかげか穂乃果達も走ってきて今では一緒に行動している最中だ。

 

 

 

 

 

「隊長、にこちゃんはお店に入ったであります!」

 

「隊長じゃねえ。あとこっそり尾行したいならもうちょっと小声で喋れ」

 

 にこが入っていったのはよくあるスーパーだ。というか思い切り見覚えがある。『はなまるストア』という店名だが、以前俺はここに来た事があるのだ。

 

 あれは忘れもしない。母さんにおつかい(パシリ)という任務をさせられてわざわざタイムセールで猛獣という名の主婦達と死闘を繰り広げた場所である。そういえば初めてにこと会ったのもここだったな。今思えば少し懐かしく思える。

 

 

「にこちゃん、ここでバイトしてるのかな?」

 

「ハマりすぎだにゃ~」

 

 似合いすぎと思ってしまった俺ガイル。何ならバイトリーダーやっててもおかしくなさそうではある。にこの面倒見の良さはほんとおかんと思われても仕方ないと思っている。μ'sのおかん……うん、ダメだなこれ。

 

 

「待って、違うみたいよ」

 

「普通にお買い物してるみたいですね」

 

「なんだ~ただの夕飯の買い物か~」

 

「でも、それだけで練習を休むでしょうか?」

 

「予備予選合格して気合も入ってるはずなのに……」

 

 海未とことりの言う通りだ。

 にこのアイドルへの熱き想いは誰もが知っている。だからこんな事で休むはずがない。なのにこうして休んでいるから尾行までしているのだ。むしろ夕飯の買い物なんて理由で練習休んでいたら俺がお灸を据えてやる。

 

 

「よほど大切な人が来てる……とか」

 

「どうしても手料理を食べさせたい相手がいる、とか……!」

 

「「「「「「……、」」」」」」

 

「……ん? え? 何でお前ら一斉に俺を見てくんの? 仮に誰かに食べさせたいってのが当たってたとして俺なわけないだろ。拓哉さんは絶賛彼女募集中のフリー男子なんだから言わせんな悲しい」

 

「募集中なら私なんてどうかなたっ―――、」

 

「とにかくこれはダメです! アイドルとして1番ダメなパターンです!!」 

 

 いや花陽でかい。声でかいから。あと胸もでかい。アイドルの暗黙ルールっぽい事分かってるのは知ってるからボリューム抑えような。じゃないとにこにバレ……あ。

 

 

「μ'sメンバー矢澤にこ、練習を早退して暗黙のルールを無視しびっくりどっきりスキャンダルがー!!」

 

 ガラガラを目の前の荷台が運ばれ、後ろの車も発進して見事に曝け出された俺達。おまけに凛の声もでかい。胸は小さい。

 そしてこれだけの大声を出していれば当然。

 

 

「まあ、バレるよなあ」

 

「え? あ」

 

 全員の視線が1点に集中される。そしてにこの視線も1点に集中していた。つまり、俺達を見ていた。結論、バレた。

 

 

 

「……ッ!!」

 

「あ、逃げた!!」

 

「そりゃ逃げるだろうな! 何たって尾行がバレてしまったんだもの! 俺の苦労が台無しにされたんだものーッ!!」

 

 何のための尾行だったのか。俺が細心の注意を払って追っていたのにこいつらときたら、好きに喚きやがって……だがしかし、だがしかし!! にこにバレてしまう可能性を考慮していなかったわけではない。

 

 もしバレてしまったら、そんな時のための作戦なのだ。不本意だが、ひっじょーに不本意だが、頼まれたのだから仕方ない、やるなら徹底的にが俺の性分だ。というわけであらかじめ別行動させていた絵里と希に連絡を入れる。

 

 このスーパーは小さいわけではないが大きいわけでもない。だから出口も俺達が入ってきた1つとすぐ右の出口しかない。だけどどちらもレジ近く。走れば迷惑なのは確実だからそんな事はできない。……タイムセールの時以外は。

 

 さあ、とすればにこが俺達から逃げる道を1つに絞られる。

 裏口だ。

 

 

「よし、ここまで来れば問題ない。引き返すぞ。絵里と希と合流だ」

 

「え? ちょ、たくちゃん早いよー!」

 

 尾行がバレたらもうどうにでもなれ精神になるのが基本的な尾行している者の心情だ。ちなみに今の俺の心情だが、バレてしまった以上は仕方ない。何が何でも捕まえて理由を聞く。気持ちの切り替えって大事だよね!

 

 

「悪いけど先に行くぞ!」

 

「何で普段見てるだけなのにあれだけ早いのよあいつは!」

 

「凛でも追いつけないにゃー!」

 

 後ろから着いてくる穂乃果達だけど、このままじゃ埒があかない。悪いがここまできたら俺も本気を出させてもらおう。穂乃果達から一気に距離を離してスピードを上げる。

 

 

「絵里! にこは!?」

 

「ごめんなさい、一度は捕まえたんだけど、上手く希の腕をすり抜けてまた逃げて行ったわ! 今は希が追ってる。あっちを曲がって行ったわ!」

 

「……分かった」

 

 裏口には絵里しかいなかった。逃げ足早いなにこのヤツ。絵里に言われた方へと走る。……どうしてにこが希の手から上手くすり抜けられたのか、その理由を何となく察してしまった俺は悪くないと思う。

 

 

「こっちで合ってるんだよな……いた!」

 

 道を出るとにこを追いかける希の姿が見えたが、またすぐ曲がり角へと消えてしまった。

 追いつけない距離じゃないからいけるはずだ。

 

 

「希!!」

 

「拓哉君! こっちや!」

 

 角を曲がると案外すぐに希に追いついた。

 

 

「げっ、拓哉まで!? くっ……!」

 

 俺に気付くなりにこは横手にある駐車場の車の間をすり抜けるように通って行った。よくもまあそんな小細工をして逃げようと思うな。

 ちょうど希に追いついたところでその勢いのまま希もにこと同じように車の間を通ろうとした。

 

 

 が。

 

 

「んっ……あ」

 

「ぶふぅッ! べはぶぐぁッ!?」

 

 希の胸がでかいせいで車の間を通れなかったらしい、のだが、今の光景は健全思春期男子高校生の拓哉さんには少々刺激が強すぎたらしい。走っていた足がもつれて顔面から転倒。痛いけど眼福でした。

 

 

「ちょ、拓哉君大丈夫!?」

 

「お、おう……これくらい何てことねえぜ……。むしろお釣りがあるくらいだ」

 

「おーい! にこちゃんはーってたくちゃん!? どしたの!?」

 

 みんなも追いついてきたらしい。俺の顔は見ないでくれ。この鼻血はあれだ、転んだからであって決して希の胸がむにゅんとなったからではないぞ決して。そう、決して。

 

 

「……凛ちゃん、ゴーや!」

 

「何か不本意だにゃ~!」

 

 その間に希が凛にゴーサインを出していた。うむ、確かに凛ならにこと負けず劣らずだから問題なく間を通れるな。俺でも頑張れば行けそうだけど、かなり間が細いせいか男のガタイで行けるかは分からない。なら確実に行ける凛を行かせるのは正しい判断だと言える。……ちょっと誰かティッシュちょうだい。

 

 

 

「いないにゃ~!!」

 

 

 道の向こう側で凛の嘆きが聞こえる。

 どうやら、にこ捕獲作戦は失敗に終わったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局逃げられちゃったか~」

 

「しかし、あそこまで必死なのは何故なのでしょう……」

 

 

 

 場所は変わって橋のすぐそばで一休みしている最中である。

 にこを完全に見失ってしまったため、捜索は一時中断。あと俺の鼻血も原因らしい。外で鼻にティッシュ詰めてるの中々に恥ずかしいんだぜ。

 

 

「にこちゃん、意地っ張りで相談とかほとんどしないから」

 

「真姫ちゃんに言われたくないけどね~。あとたくや君も」

 

「うるさい!」

 

「何で俺まで入ってるんですかね」

 

 俺は意地っ張りとかではない。弱音とかめちゃくちゃ吐くし、自分で解決できそうな事なら自分でやるってだけだ。何ならまだ鼻がジンジンするんだけど弱音吐いていい?

 

 

「家、行ってみようか」

 

「押しかけるんですか?」

 

「だって、そうでもしないと話してくれそうにないし……」

 

「つうかにこの家知ってんのか誰か」

 

 俺の問いに頷く者はいなかった。

 同じ学年の絵里も希も知らないらしい。こりゃ明日にでも捕まえてまた聞いてみるしかないんじゃないか? 家も知らないのに探しまわるなんて探偵かストーカーじゃないと務まらねえぞ。

 

 

「とにかく今日は一旦解散にして、明日にで―――、」

 

「ああああああああああッ!!」

 

「何だどうした何事だよもう!」

 

 今日の俺はよく声を遮られる日らしい。なんて日だ。

 

 

「あ、あれ……」

 

 花陽の指さす方向へと視線を向けると、橋の向こうから誰かが歩いてくるのが見えた。何か見覚えのあるシルエットである。

 というか、あれって……。

 

 

「にこちゃん!?」

 

「でも、ちょっと小さくないですか?」

 

「服装も髪型も違うしな。似てるけど別人だろ。そんな都合よくいくわけないっての。小さすぎるぞあの子」

 

「そんな事ないよ~。にこちゃんは3年生の割にちいさ……小さいにゃー!!」

 

 近くまで歩いてきたその女の子は文字通り小さかった。見た目は確かににこに似ているが、それでも身長差はさすがに分かる。まさか親族とかか?

 いやいやそんな上手くいくはずがHAHAHA。

 

 

「あの、何か?」

 

 凛の声に反応したらしい。小さい女の子はこちらに振り向いて話しかけてきた。見た感じ小学生なのに高校生に話しかけるって意外と度胸あるな。いや、怖いもの知らずみたいなもんかこの年齢だと。

 

 

「え? あ、いや……」

 

「あら? もしかしてあなた方、μ'sの皆さんではありませんか?」

 

「……何だって?」

 

「え、知ってるの?」

 

 いや、ちょ、え、ほんとに? まさかまさかもそのまさか来ちゃった? こんな小さい子がμ'sを知ってるなんて、普通に考えたら誰かの家族か友達くらいなはずだ。

 だったらこの女の子は本当に。

 

 

 

 

 

 

「はい! お姉さまがいつもお世話になっております。妹の、矢澤こころです!」

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「えええええええええええええっ!?」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやめっちゃ可愛いなこの子。

……お姉さま??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さて、いかがでしたでしょうか?


希の胸が引っかかるシーンはグッときた覚えがあります。
そしてこころちゃん妹に欲しいです。おまわりさん、僕です。
ロリコンではありませんが、純粋に可愛いと思うならそれは愛です(アウト)


いつもご感想高評価ありがとうございます!!


では、新たに高評価(☆10)を入れてくださった、


nikoriさん


本当にありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!



サンシャイン二期が秋から始まるようで。
何はともあれ楽しみですな。
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