ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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110.意外な真実

 

 

 

 

 

 

「まさかこんな事になっていたなんて……」

 

 

 

 

 

 屋上で絵里が呆れた風に言った。

 

 

 

「まあ2人とも育ち盛りやから、そのせいもあるんやろうけど」

 

 メンバーも全員揃い、屋上に行けば穂乃果と花陽が地面に膝をついて落ち込んでいた光景を見た3年組に一応事情説明はした。

 ダイエットするメンバーが1人追加されたのは俺も予想外だったが。

 

 

「でもほっとけないレベルなんでしょ?」

 

「まあな。家で和菓子や隙あらばスナック菓子食ってる穂乃果に、白米という炭水化物が好物な花陽だからなってしまった事案みたいなもんだ」

 

 お気の毒だが自業自得。

 スクールアイドルで最終予選まで進んだグループの一員なんだから、そこらへんはもうちょっと意識してやってほしいレベルで食いまくってるからなこいつら。

 

 

 そんなわけで、我らがμ'sのまとめ役の1人として超真面目筆頭な海未の楽しい楽しい(厳しい厳しい)ダイエット訓練が始まろうとしていた。

 

 

「これが今日からの2人だけの限定メニューです」

 

 海未の手には分厚い紙束が握られ、その一番前には『ダイエット~ギリギリまで絞るプラン~』と書かれている。

 わ~お、2人分のプランだとしてもあの厚さは普通じゃないってのが一目見て分かっちまうな。

 

 

「一応手伝いとして拓哉君の分まで印刷しているのでこれを」

 

 あ、やっぱ俺も手伝わされるのね。これもアイ研として大事なことだし手伝うけど。

 海未に渡されたプランをペラペラ捲っていくと、まあ海未が考えるだけあってそれなりの事が色々書かれていた。

 

 

「うぇ~、夕飯これだけ!?」

 

「お米が……」

 

「夜の食事を多く摂ると体重増加につながります。その分、朝ご飯はしっかり食べられるのでご心配なくっ」

 

 うっわ、良い笑顔してはるわあの園田さん。悪魔の微笑みとはまさにこのことか。

 

 

「何か失礼なこと考えましたか拓哉君?」

 

「はっはっは、何を言っているのか分からないぞ。俺がそんな事思うはずないだろ海未ー」

 

 心読んでくるのやめろ。ほんとに悪魔かあいつは。あの微笑を見ると体がビクッてなるから勘弁してほしいであります。

 

 

「頑張るしかないよ穂乃果ちゃん……」

 

「そうだね……」

 

 穂乃果はまだしも、大好きなお米が食べれなくなる花陽はもっと辛いのに何て良い子なのだろうか。ちょうど新米の季節なのに大好物を食べられないのは相当な苦痛になるだろう。

 

 

「でも良かったよ! 私と同じ境遇の……仲間が1人いてくれて!」

 

「……仲間……?」

 

「……目、逸らした?」

 

 何か良い感じふうに言ってるけどそんな境遇の仲間はいらないと思うぞ。俺もいらない。

 屋上で謎な空気が広がったと思った矢先、普段なら誰も来ないはずの屋上のドアが開かれた。

 

 

「あの~、今休憩中ですよね……?」

 

 見ると、そこには3人の女の子が色紙っぽいものを持って立っている。

 リボンを見るに1年か。

 

 

「まあそんなとこだ。それで、何か用か?」

 

 手伝いの身として一応俺が率先して聞いてみるが、その子達はもじもじしながら口を開く。

 

 

「あ、あの……良かったら、サイン頂きたいんですけどっ……」

 

「あん? サイン……?」

 

「たくちゃん威嚇しないの。ごめんね、この先輩口調がちょっとキツイだけだから」

 

 え、別にキツくしたつもり一切ないんだけど。そんなキツく聞こえた? 普段慣れてるヤツらばかり相手してるからそういう口調になってたりとか? だとしたらちょっと傷付くぞ泣いちゃうぞ。

 

 

「えっと、それであなた達は?」

 

「あ、すいませんっ」

 

「私達、ずっとμ'sが好きだったんですけど、この前のハロウィンライブ見て感動して!」

 

 ほう、あのライブを見てくれたのかこの子らは。それで勇気出してここまで来てくれたのか。

 同じ学校の生徒に言われると嬉しさがまた違ってくるな。

 

 

「ありがとう、嬉しいわ。どう、穂乃果?」

 

「もちろん! 私達でよければ! いいよね、たくちゃん!」

 

「いいんじゃねえか? こうやって身近に自分達を応援してくれる人たちがいるってのは良いモチベーションになるしな」

 

 次々とサインが書き足されていく色紙を見て思う。こいつらいつの間に自分のサイン決めてたんだ……。いやいいんだけど。

 9人分のサインを書かれた色紙を女の子達は嬉しそうに抱きしめている。うん、これも良い刺激になりそうだな。

 

 

「ありがとうございます!! 実は私、園田先輩みたいなスタイルに憧れたんです!」

 

「そ、そんなスタイルだなんて……」

 

 確かに、プロポーションはノーコメントでいかせてもらうが、海未は家でも色んな習い事をして体を動かしてる分、他のメンバーよりもバランスはいいのかもしれない。まあ、あの園田家だしな。

 

 

「私、ことり先輩のスラッとしたところが綺麗だなって!」

 

「全然スラッとしてないよ……」

 

 分かる、分かるぞ1年少女よ。ことりはもう非の打ちどころがないほどの天使だからな。そりゃもうスラッとして当然よ。謙遜しながら照れてるところも素晴らしい。写真撮って家に保存しておきたいレベル。

 

 

「私は穂乃果先輩の……!」

 

「の!?」

 

「……あー、元気なところが大好きです!」

 

「あ、ありがとう……」

 

 完全に気を遣われているでござる。俺から見ても見た目の変化は分からないが、同じ女子目線から見れば分かるものなのだろうか。ここが男子と女子の違いか……。

 

 

「……それと私、実は岡崎先輩にも憧れてるんです!」

 

「……はい?」

 

 いきなり思わぬところから振られてしまって変な反応してしまった。赤茶っぽい髪を真ん中分けにした女の子、髪型が似てるせいかどことなく雪穂っぽい雰囲気がある。

 振り返ればさっきとは違ってキラキラした目で俺を見ている。何だこの子、心理掌握(メンタルアウト)の使い手か。学園都市第五位か、目にしいたけできてるぞ。

 

 あとちょっと周りの空気が張りつめたような感じになったと思うのは気のせいですかね。

 

 

「えっと、何で俺……? μ'sの手伝いだから直接関係があるわけじゃないし、何かした覚えもないんだが……」

 

「μ's復活ライブの時も見てましたから! 岡崎先輩のおかげで復活できたって!」

 

「……あ、あー」

 

 そういやあの時音ノ木坂の生徒はほぼ全員来てたんだっけか。その時この子達もいたとなれば納得できる。というより生配信で放送されてた上に、今でもその時のライブの映像はネット上に残っている。ライブ映像なのに関係ない人物がいきなり映り込んだのは多分俺だけかもしれない。

 

 

「他の人からも岡崎先輩のこと色々聞いて、今までどんな事をしてきたかとか、そういうの含めて憧れました!」

 

「いや、それはまあ悪い気はしないけどさ、憧れる要素は特にないと思うんだけど……」

 

「私、今はバスケ部のマネージャーをやってるんですけど、岡崎先輩みたいにもっとみんなを支えられるようになりたいんです! どうすればなれますか!?」

 

 めっちゃグイグイくるなこの子……。元女子校の部活にもマネージャーなんていたのか。

 ……んー、まあ、答えないわけにはいかないよなあ。

 

 

「あー、や、そのーだな……。別にそのままでいいんじゃないか?」

 

「……え? そのまま、ですか?」

 

 こっちが驚くくらいキョトンとしてるな。まあ頼りにしてくれたのに現状のままでいいなんて言われたら大体の人はそうなるか。

 

 

「おう。つうかもうそれだけの気持ちがあるなら変わる必要なんてねえさ。“みんなを支えたい”。そう思ってるんだろ? ならそれだけでいい。自分の気持ちに素直に従って自分のわがままを貫き通せばいいんだよ。誰かを支えたい、誰かを救いたい、そんなありがた迷惑なお節介を恥ずかしげもなく言えるなら、他の誰のためでもない、自分のために動いてるだけでみんな分かってくれるはずだ」

 

「……、」

 

 あれ、何か固まっちゃったよこの子。ポカンとした目でこっち見ながら硬直してるんだけど。メドゥーサになったつもりもハンコックになったつもりもないんだけど。どっちも俺と性別違ってたわ。

 

 

「あー、またやっちゃったよたくちゃん」

 

「もはや病気ですね」

 

「感染症とも言うよね~」

 

「ああやって被害者が増えていくのね……」

 

「いつもの通常運転やけどねえ」

 

「呆れを通り越して殴りそうなんだけど」

 

「さ、さすがです……」

 

「何かずるいにゃ~……」

 

「うちの病院来ても治せないわねアレは」

 

 悲報、ワイ、μ'sメンバーから酷い罵詈雑言を浴びせられる。

 酷くない? 聞かれたから答えただけなのに何故病気とか言われないといけないのか。猛抗議したい。した瞬間袋叩きされそうだから絶対しないけど。

 

 

「……ぁ、ありがとうございます! その言葉、忘れずに頑張ります!」

 

「お、ぉーう……」

 

 言い終わる前にその子は走って去って行き、あとの2人もお辞儀してから慌てて出て行った。

 おかしい、変な事は言ったつもりないんだけど。

 

 

「ふふっ、でもたくちゃん、1つ確かなことは分かったね!」

 

「確かなこと? 何か分かったか今ので。お前らの言葉で拓哉さんは今メンタルクラッシュしてるんですが」

 

「私達を応援してくれる人達も、たくちゃんを認めてくれてるってことだよ!」

 

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「……バーカ。たった1人だけだろ。あんなふうに言ってくれたのは。いや、3人か? でもあの子しか言ってくれなかったしなー」

 

「でも1人は確かに認めてくれてるって分かったでしょ!」

 

「……うっせ」

 

「にひひ~、照れてる照れてる~!」

 

 こんのヤロウ……ここぞとばかりに俺をおちょくりにきてやがる。

 いいだろう。最大に調子乗ってる今こそ、最低にテンションを下がらせてやろうではないかこの小娘がァ!!

 

 

「おーそうだなー。なら俺ももっと頑張らないとだよなあ穂乃果!」

 

「そうだーそうだー! たくちゃんももっと認められるようになろー!」

 

「よーし、じゃあさっそくお前達の体型を元に戻せるようにダイエット作戦を始めないとだよなあ?」

 

「そうだそ……oh……」

 

 見事にテンションが逆転したなこいつ。

 俺をからかうなんて5年早いわバーカバーカ!!

 

 

「さあ海未よ! さっそくこのバカと花陽にダイエットさせようではないかあッ!!」

 

「盛り上がってるとこ申し訳ありませんが、まず生徒会室に戻って書類を整理してからです」

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういや生徒会の仕事も手伝わないといけないんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、いかがでしたでしょうか?


意外とあのライブ映像を見た人が岡崎をどう見ているのかは書いていませんでしたので、ここで書いてみました。
もし誰かが自分と同じように誰かを支える立場にいたらどう見えるのか。そして聞かれたらどう答えるのか。
そこは変わらずの主人公。いつだって自分の見たい最高なもののために、ですね。

ダイエット本編は次回です。
あの息遣いだけのシーンを入れたいけどどうしようか、と悩んでますよ~(笑)


いつもご感想高評価ありがとうございます!!

では新たに高評価(☆10)を入れてくださった


ピポサルさん

こちーやさん

計2名の方からいただきました。久々の高評価(☆10)にテンション上がりました!!ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!



気付けば感想も600後半……目指せ700。
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