ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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116.女の子は複雑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せっかくの日曜日だが一度よく考えてみてほしい。何のために日曜日が存在するんだと。俺は自信をもって言おう。それは全国民にとって基本共通である休日ということを意味する。つまり日曜日は休むことを前提とされた日。なら日曜は働いたり学校行ったり外に出ることなく家でじっくりのんびりゴロゴロするのが実質正解なのだ。ということでレッツ日曜満喫ひゃっほう」

 

「御託はいいから早く穂乃果ちゃんの家に行きなよ」

 

 

 

 

 我が愛しの妹に無慈悲な洗礼を浴びせられたわたくしこと岡崎拓哉。

 日曜に穂乃果の家でラブソング会議をすることになったのだが、人間というのは不思議である。その時は何気なく了承しても、いざ当日になると気だるくなり嫌になってしまうものだ。例えるならライブ当日まではワクワクしてたのに、当日になると行くのめんどくせえってなるやつ。

 

 今の俺がそれである。穂乃果の家に集合が昼過ぎなせいですっかり昼まで寝ていた俺は唯に起こされ飯を食い、着替えを済ませ準備を終えたところでダルくなった。

 そうだ、そうだよ。俺は元々こういう人間だった。引きこもる時は引きこもる。それが俺なんだ。

 

 

「なあ唯……」

 

「なに?」

 

「今日体調悪いから行かなくてもい―――、」

 

「また私を怒らせたいの?」

 

「ひいっ!?」

 

 とても素直な悲鳴が出てしまった。

 先日唯に何も連絡せずに帰りが遅くなってしまい、唯にこっぴどく叱られたのを思い出す。

 

 飯抜きじゃなかったのは不幸中の幸いだが、それ以上に笑顔で迫ってきた唯の目が一切笑っていなくて1時間正座で説教された挙句、罰としてその日は久々に唯が一緒に寝ようと言い出し同じベッドで寝た。当然、俺は妹だとしても美少女が隣で寝ている状況で満足に寝れるはずもなく、徹夜した。

 

 だから今日は非常に眠い。全然寝足りない。今すぐにでも自室の布団でぬくぬくと温もりながら寝たい。

 

 

「はあ……みんなで一緒にラブソング、だっけ。それを作るから話し合いするんでしょ? お手伝いのお兄ちゃんがいないでどうするの」

 

「ほ、ほら、あいつらももう俺がいなくても自分達だけでどうにかできるかもだし、今日ぐらい俺がいなくても何とかなるさきっと!」

 

「目線が2階に向いてるよ。どれだけ寝たいのさ……。それに、ラブソング作るならお兄ちゃんは絶対に行かなきゃダメだよ」

 

「え、何で?」

 

 聞いたら唯はこれでもかと思うほどにため息を吐いた。

 何でそんな呆れた目を送ってくるんだ妹よ。ため息でかすぎだろ。幸せ逃げちゃうぞ。そしたら俺が唯を幸せにするけどな!

 

 

「いいから早く行く!! もしまだ行きたくないとか言ったら今日は晩ご飯抜き! それと今日も私と一緒に寝ることを強要します!」

 

「さらば妹よ!! 俺は今夜の安眠のために仕事を全うしてこようぞ!!」

 

 勢いよく家を出る。

 ただでさえ寝足りないのに今日も徹夜とか明日の学校軽く死ねる。そんなのは絶対御免だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は穂乃果の家。

 メンバーも全員揃い、今は現在進行形で会議なう&色々試している最中である。

 

 

 

 

 

「好きだ! 愛してる!」

 

 そう言ったのは穂乃果。

 もちろんラブソングを作る手がかりのための演技だ。言い方が完全に男から女に告白する時みたいになってる。何を参考にしたんだこいつ。

 

 

「んあー! こんなんじゃないよね~!!」

 

「ま、まあ、間違ってはないわよね……」

 

「ラブソングと言っても女の子から男子へって限ってるわけでもないしな」

 

 そう思えば穂乃果の今の演技ももしかしたらヒントになるのだろうか。いや、こいつのは直球すぎてもはやラブソングというよりラブストレートだ。うん、何を言ってるか俺も分からん。

 

 

「はあ……ラブソングって難しいんだねえ……」

 

「ラブソングは結局のところ、好きという気持ちをどう表現するかだから、ストレートな穂乃果には難しいかもね」

 

 穂乃果をさりげなくフォローする絵里を見る。特におかしい異変は何もない。いつもと違うのは、学校でよくやっているポニーテールじゃなく髪を下ろしているとこだけだ。ふむ、夏の合宿の夜にも見たが、髪を下ろしてる絵里はどことなく大人の色気がある。クォーター万歳。

 

 ふと真姫を見ると、真姫も絵里を訝しむように見ている。気持ちは分かるがもうちょっと自然にしろ。ガン見しすぎて目付きがいつもの数倍鋭くなってるぞ。……いつもだな。

 

 

「ストレートというより、単純なだけよ」

 

「と言ってるにこっちもノート真っ白やん」

 

「これから書くのよっ」

 

 これでにこからの案は期待できなくなったな。夏休み明けに宿題する学生かお前は。

 にこでこれなら恐らく同じ知能数の凛もダメそうだ。案の定呑気に饅頭食ってやがる。

 

 

「そうだっ。ならこれはどう? 丁度男の子の拓哉がいるんだし、穂乃果がさっき言ったことを拓哉に言ってみるのは」

 

「「え?」」

 

 穂乃果と声が被った。

 他のみんなもキョトンとしている。

 

 

「この前やってたのと同じように、実際に男の子を前にして言ってみれば何か分かるかもしれないじゃない?」

 

「つ、つまりそれって穂乃果ちゃんが拓哉くんに告白紛いなことを言うってことですか……?」

 

「そういう体でね。それに幼馴染どうしならまた違うヒントが出るかもしれないしっ」

 

 

 

 

 そんなわけで穂乃果と向かいあう事になった。

 くそう、絵里め。幼馴染だからってヒントが出るなんて根拠どこにもないだろうが。いくら聖人君子な俺でも面と向かって言われるとなるとちょっと恥ずかしいんだぞ。

 

 いや、でもどうせ穂乃果だしいつもみたいな感じで気楽に言ってきそうだな。むしろ男子的にはストレートに好意を伝えてくる女の子の方が珍しいし想像もつかん。……あれ、これもしかして割と中々に良いアイデアだったりする?

 

 

 と、そんなことを考えながら穂乃果からの言葉を待っている俺なのだが。

 

 

「……ぁ、えと……その……す、す……」

 

「……、」

 

 おい、早く言えよ。何言い淀んでんだよ。さっきまでの威勢はどうした。演技だからってそんなに俺相手には言いたくないかこのやろう。という虚勢は置いといて、そんな顔赤らめんな。俺まで何か恥ずかしくなるでしょうが。演技か、演技なのかそれは。

 

 

「わ、わた……私っ、た、たたたたたたた、たくちゃんの、こと……その……す、す……す、す……」

 

 何で言い直してんの。何でそんな本格的な告白シーンみたいになってんの。そんな演技派じゃなかったろお前。ここで抜群な演技力発揮してんじゃねえよやめろ。暑い、暑いぞ! この部屋暖房効きすぎなんじゃないの!?

 

 

「す…………………………すき焼き!!」

 

「お…………すき焼き食いたいよなあ! あー俺もすき焼き食いたいなー! 寒いし熱い鍋でグツグツと美味い肉食いてえよなあ!!」

 

 あ、危ねえ……。思わず反射的に俺もって言いかけた。もちろん演技としてだ。断固として本気でそう言いかけたわけじゃない。演技だから、ホントに演技だから!!

 

 

「……うん、振った私が言うのもなんだけど、ある意味穂乃果には難易度高かったわね……いや、全員荷が重いか」

 

「俺も重いわ」

 

 演技だとしても、性格はどうあれ美少女9人から告白されるのは俺が持たない。終わるころには全員に告白OKしてると思う。

 穂乃果も顔が茹でだこ状態になっている。頭からフシューと湯気のようなものが見えるのは多分気のせい。

 

 

「う、うぅ……さっきまでは平気だったのに……。たくちゃんを前にしたら緊張しちゃったよ~……ごめんねたくちゃ~ん……」

 

「あ、ああ……」

 

 何とか返事を返すが俺も結構動揺してる。あんな本気で顔を赤らめている穂乃果を見たのは初めてだと思う。だからだろうか。普段のギャップもあってか、穂乃果がとても可愛く見えた。……いや、元から容姿は全然可愛いんだけど。

 

 

「大丈夫です穂乃果。私も同じ立場になったら絶対言えません。まず気絶させてから手紙を置いて去ります」

 

 何か不穏な単語聞こえたんだけど。気絶とか日常会話で普通使わないのにあっさり聞こえたんだけど。告白の仕方がバトルマンガ並なんだけど。

 

 

「元気出して穂乃果ちゃん。私は慣れてるけ……げふんげふん。そ、そうだっ、なら参考ついでに恋愛映画見てみない?」

 

「恋愛映画か。俺は普段アニメ映画とかしか観ないから分からないけどいいんじゃないか」

 

「最後のカミングアウトは必要だったかしら」

 

 とりあえずことりが選んだ恋愛映画とやらを見ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で今時白黒でしかも字幕映画なんだ……」

 

 

 一応邦画であるようだが、何故か白黒で音声なしの字幕と、今を生きる現代娘っ子のことりがこんなマイナーな映画を選んだことが1番の謎である。

 正直退屈だ。眠い。だが寝るわけにもいかない。

 

 ので今の状況を軽く説明すると。

 俺の後ろで寄り添いながら寝ている穂乃果と凛。テレビの前で感動しているのか絵里、ことり、花陽がグスグス言ってる。俺の向かい側にいるにこはハンカチ持ちながら思いっきり泣いてる。

 

 

「う、うぅっ……何よ……安っぽいストーリーねえ……!」

 

「涙出とるよ」

 

 言動と表情が見事に嚙み合っていない。隣にいる真姫も呆れながらにこを見ている。希も希でさすがに苦笑いのようだ。

 どうやらまともに見ているのは俺と真姫と希ぐらいか。絵里達はラブソング作るためのヒント探ししなきゃいけないのを多分忘れてる。

 

 さて、極め付けに映画をまともに見ていないのはもう1人いる。

 我らが恥ずかしがりの幼馴染。

 

 

 

「うぅぅぅぅぅ~……」

 

 海未だ。

 座布団で耳と視界を塞いでいるが、何分音声はないのでほとんど意味を成していない。こういう時ポンコツになるのがこいつのデフォなのだろうか。

 

 

「何で隠れてるの? 怖い映画じゃないよ?」

 

「そうよぉ……こんな感動的なシーンなのにぃ……」

 

 ことりの優しさが何だか小さい子供を宥めるような言い方なのは何なんだろう。確かに今の海未からは幼さが感じられるけど。

 あと絵里、お前はまず鼻をかめ。クォーター美人が崩れてるぞ。

 

 

「分かってます……! けど、恥ずかしい……はっぁぁぁああああ……!」

 

 チラッとテレビに目を移すと、クライマックスシーン、つまりキスシーンだった。

 視界に入ったが最後、海未は見ないようにしていたシーンから目が離せなくなっている。もはや涙目だ。絵里達とは違う意味で。

 

 シーンは進む。

 唇が重なりそうになる瞬間。

 

 

「うぅぁぁああああああッ!!」

 

 海未の叫びと共にリモコンによってテレビは消され、雰囲気を保っていた部屋の明かりが点けられた。

 叫ぶ必要はあったのか。

 

 

「恥ずかしすぎます! ハレンチです!!」

 

「そうかなあ」

 

「そうです! そもそもこういうことは人前ですべきことではありません!!」

 

 いや、そもそもこれは映画だから人前とかそういう問題ではないような気がするんだが。

 恥ずかしがりも極致までいくとこんなのになるのか。

 

 

「というかお前PVじゃ何回か投げキッスしてるし、そのくらいは平気だと思ってたわ」

 

「なッ……な、あ、ああ……」

 

「確かにそうだね」

 

 俺の言葉にことりも頷く。海未は普段恥ずかしがり屋なのに、PVでは何故か投げキッスをするぐらい大胆になっていることがある。俺もPVチェックするときは結構ドキッとなっているのは内緒だ。

 

 

「それは、あれです! スクールアイドルとしてなので……割り切っているんです!!」

 

「割り切ってどうにかなるならこれも大して変わら―――、」

 

「これは本当の意味で恋愛を意味しているからハレンチなのです!」

 

「いや、元々ラブソング作るために見てるんだからハレンチもクソも……」

 

 ダメだ、これ以上はよそう。海未がめっちゃ涙目になって俺を睨んでいる。赤面しながら泣かれるとこっちが悪いみたいになる……というか、こう、男としてかは分からないが、女の子のこういう表情にはグッとくるものがある。

 

 

「ほぇ……?」

 

「終わったにゃ……?」

 

「穂乃果ちゃん、開始3分で寝てたよね……」

 

 このバカ2人は映画もまともに見れないのか。開始3分て、ウルトラマンの活動限界時間か。

 

 

「ごめ~ん、のんびりしてる映画だなって思ったら眠くなっちゃって……」

 

「あんだけ照れてたくせに何言ってやがんだお前は」

 

「あ、あれはまた違う意味だからノーカンだよ!」

 

 映画見るのと実施するのとでは感覚でも違うのか?

 女の子でない俺には一生分からない考え方なんだろうな。

 

 

「中々映画のようにはいかないわよね。じゃあ、もう一度みんなで言葉を出し合って―――、」

 

「待って」

 

 ここで真姫が割って入ってきた。

 多分痺れを切らしたのだろう。本題に入るつもりだ。

 

 

「もう諦めた方がいいんじゃない? 今から曲を作って、振り付けも歌の練習もこれからなんて、完成度が低くなるだけよ!」

 

「でも―――、」

 

「実は私も思ってました。ラブソングに頼らなくても、私達には私達の歌がある」

 

「そうだよね……」

 

「相手はA-RISE。下手な小細工は通用しないわよ」

 

 1人が切り出せば、賛同の意見は次々と出てくる。

 本当はみんなずっとそう思っていたかのように。希や絵里が言うから頑張ったりしてみたが、結果も著しくない。それを分かっているのか、絵里も苦悶の表情を浮かべている

 

 

「……でも―――、」

 

「確かにみんなの言う通りや。今までの曲で全力注いで頑張ろ?」

 

「……希?」

 

「今見たらカードもそれが良いって」

 

「待って希……あなた……」

 

「ええんや。1番大切なのは、μ'sやろ?」

 

 やはり、というか、これで確信した。

 この件には希も1枚嚙んでいたらしい。だけど、希自身がたった今それを放棄してしまった。

 

 絵里の表情、希の諭すような言葉。

 ただラブソングを作りたいってわけでもなさそうだな。

 

 

「どうかしたの?」

 

「ううん、何でもない。じゃあ今日は解散して、明日からみんなで練習やね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃーねー!」

 

 穂乃果の家を出て今日は解散となった。

 だけど、俺は絵里と希が気になってしょうがない。あれは絶対何かを隠してる。

 

 

「花陽、凛、先帰ってて」

 

 真姫も何か気付いたらしく、絵里達を追いかけるつもりだろう。

 仕方ない、後輩1人に任せるのも後味悪いし、これに関しては俺ももうほうっておける段階じゃない。

 

 

「待てよ、真姫」

 

「拓哉? どうして……」

 

「分かってるんだろ?」

 

 俺の言葉に真姫も理解したようで笑みを浮かべた。

 お互い考えることは同じってことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行こうぜ。めんどくせえ女神様のとこへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





さて、いかがでしたでしょうか?


ここぞとばかりに意識させまくっております。
穂乃果の赤面顔は至高(確信)
面と向かって好意を伝えるのはまだ無理なようです。ことり以外は。

次回で希編もクライマックスです。
どうしようもない女神を、どうしようもないお人好しがとことんお節介します。


さあ、では次週、となるところなのですが、実は来週から8月の始まりまでハワイまでちょっくら旅行してくるので、来週と再来週の最新話投稿は厳しいかもしれません。
夏は何かと忙しかったりするので……。
まずは生きて帰ってこれるよう頑張ります←

なので諸々の更新情報などについてはTwitterで報告していきます。
もし気になる方がいらっしゃる場合は、このリンクから見て下されば分かりやすいかと!
https://twitter.com/tabolovelive/


いつもご感想高評価(☆10)ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!最近高評価ないので寂しい。




ハワイにPC持ち込めないのほんと惜しい……。
あっちにいるあいだアニメ見れないのが1番の痛手ですけど。
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