ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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どうも、今回で最終予選編クライマックスです。


あとがきでは今週投稿されるコラボ告知もありますので最後までお読みください!


では、どうぞ。





121.思いと想い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーに泣いてんだよバーカ」

 

「……だ、だって、たくちゃんがいるなんて、思わなくて……っ」

 

 

 

 

 必死に涙を拭う。

 後ろからもすすり声が微かに聞こえたから、おそらく海未とことりも穂乃果と同じようになっているんだろう。

 

 突然の岡崎拓哉の来訪。

 たったそれだけで、絶望的だった局面が何か変わったように思えた。

 

 

「拓哉君が早いのか、穂乃果達が遅いのかこれじゃ分かんないね」

 

「穂乃果達が遅いんだよ! また少し積もっちゃったじゃなーい!」

 

「でも、急いだ甲斐はあったみたいだな」

 

 そういえばヒデコ達の姿を見なかったような気がする。

 もしかしてと思うが、まさかこの吹雪の中でずっと雪かきをしていたのだろうか。

 

 

「……もしかして、これ、みんなが……?」

 

 吹雪いていた強風は止み、視界も晴れているから見えた。階段の下まで。

 ヒデコ達と同じく、雪かきのためにシャベルを持った音ノ木坂の生徒達が。

 

 

「にっしし! そうだよ。まあ正確に言えば全部拓哉君の指示だけどねー」

 

「え、たくちゃんの?」

 

 振り返ると、何やらバツが悪そうに顔を逸らしている少年がいた。

 

 

「……まあな。俺にはできそうにない事をヒデコ達に頼ったおかげで、辛い作業を全部してくれたのはヒデコ達だ。俺はただここまで走ってきただけに過ぎない」

 

「もー、そんなこと言って! これだけ寒いのに学ランにマフラー装備だけの人が何言ってるのー? 今だってあれだけ走ってきたおかげで寒くないだけのくせに」

 

 ヒデコの言葉を聞いて改めて拓哉の服装を確認する穂乃果達。

 見慣れた学ラン。最近付け始めたマフラー。どこまでも見慣れた、そんなありふれた服装をしているのにも関わらず、今の現状からすれば只々違和感しか感じなかった。

 

 

「何でそんな寒そうな格好してるのたっくん!?」

 

「や、まあ、あれだ。走ってたら絶対コートだと暑くなるだろうなと思ってこれで来たわけだけど……」

 

 服装にはうるさいことりの言葉を理解しているのかしていないのかよく分からない返答をする拓哉。

 というよりもだ。穂乃果達3人からすればもっと重要視すべき点がある。

 

 会場から学校までは決して短くない道のりがあるはずだ。穂乃果が絵里に電話したのは数十分前だが、まさかその時からこっちに向かおうとしてきたのか。それでもこの早さで着くのは異常である。

 

 なら考えられる結論は一つ。

 交通手段が何も使えないなら、ただその足をひたすらに動かしてここへやってきたということになる。

 

 どれだけ必死になって来てくれたのか。

 そう考えるだけでも、また瞳から雫が溢れてきそうになる気分だった。

 

 

「はいこれ、スノーブーツ。サイズ合わなくても多めに見てね」

 

 いつの間にかそんな物まで目の前に用意されていた。

 

 

「心配しないで!」

 

「会場までの道のりは私達がサポートするよ!」

 

「私、達……?」

 

 さっきから話が色々と掴めない。

 会場の道のりまでは相当距離がある。まだ1時間ほど時間があるとしても、先ほどの吹雪で安全に走っていける保証なんてないはずなのに。ヒデコ達は当然のように言っている。

 

 

「吹雪を校舎の中で見てたらね、拓哉君から電話があったの」

 

「たくちゃんが?」

 

「うん。私に電話してきた時にはもう拓哉君はこっちに向かってきててね、頼み事されたんだよ」

 

 普通に聞けば何てことない言葉。だけど、穂乃果達には違和感しかなかった。

 今日は大事な日。だから普段手伝わせている拓哉にも今日だけは手伝ってもらわずに会場へ行ってもらった。

 

 頼りすぎちゃダメだから、頼ってばかりじゃ自分達だけでは何もできないと思ってしまいそうだから。誰もそんなことを思ってもいないのに、自分の中でそう結論付けてしまった。

 

 けれど、ヒデコ達は頼れと言った。

 自分のためじゃない、自分達のためならば、頼っちゃいけないルールはないと。

 

 だから、普段なら絶対誰かに頼ろうなんてしないと思っていた拓哉も、ヒデコ達を頼った。

 大事な日だからこそ、頼らなくちゃいけない。身勝手で、我が儘で、それでも、きっと正しい選択をとった。

 

 

「ねー拓哉君!」

 

「……ああ。俺なら会場から学校までの近道を知ってるから、俺の通ってきた道をちゃんと雪かきできていれば順調に行けると思ってな」

 

 μ'sの手伝いをしている身の上、会場までの道のりは一応色々調べておいたのが功を奏したのである。

 

 

「だけどそれにはもちろん人手がいる。それも大人数のな」

 

 スノーブーツに履き替えながら拓哉の話を聞く。

 決して短いとは言えない距離。それを全て除雪するには、それ相応の人数が必要になるのは必須。

 

 

「だから音ノ木坂じゃロクに友達もいない俺じゃ無理だと判断してヒデコ達に頼んだんだ。できるだけ多くの友達に連絡して作業を手伝ってくれないかって。人数さえ確保できれば、俺の指示した道で除雪作業してくれるしな」

 

「電車も止まってるらしいし、どうしようかってなってたところで拓哉君からの電話がきたの。あの拓哉君からの頼み事だよ? そんなの断るわけないじゃんね!」

 

「滅多に人を頼らない拓哉君がだもんねー」

 

 茶化すんじゃねえよ、と悪態つく拓哉に笑うヒデコ達。

 それを見て穂乃果は確信する。この少年とヒデコ達には、自分達とはまた違った信頼関係にあるのだと。同じ手伝いという立場からできた信頼関係がそこに見えた。

 

 

「ちょうど私達の周りにもボランティアで手伝ってくれたりした子達がいたから、みんなで呼びかけたの。穂乃果達のために、μ'sのために集まってって」

 

 絶対来るはずない。そんなことで寒い吹雪の中、外に出るなんてことは誰もがしたくないはずだ。現実なんてそういうものだ。

 と、以前の音ノ木坂ならそうなっていたかもしれない。

 

 

 でも。

 だけど。

 

 

 

 

 

「そしたら来たよ。全校生徒が」

 

 

 

 

 

 今の音ノ木坂なら違う。

 廃校になりそうでほとんど諦めかけていたあの頃とは違う。

 

 

「音ノ木坂を救ったヒーローが、みんなを変えたんだよ」

 

「私達が……ヒーロー……?」

 

「それ以外に何かある? 学校を廃校から救うなんて、並大抵の事じゃできないことなんだからね。それをやってのけた穂乃果達は、紛れもない音ノ木坂のヒーローだよ」

 

 そんな実感なんて今まで感じたこともなかった。

 廃校が嫌だから、自分達のために、スクールアイドルが楽しくて、そんな色んな思いがぐちゃぐちゃになりながらガムシャラに頑張ってきた結果がこれなのだ。

 

 それに対してヒーローと呼ばれるなんて、想像もしていなかった。

 

 

「そんな穂乃果達に、ヒーローに助けられたらさ、当たり前のことなんだよ。そのヒーローが困ってたら、今度は自分達でそのヒーローを助けたいって思うのは。自分達の居場所を守ってくれた人達のためなら、こんな雪ぐらいどうってことないよ!」

 

 最初は13人から連絡を取り合っていった。協力してくれと。

 しかしたったその一言だけで、微かな希望の糸は次々と連鎖し繋がれていった。人が人を呼び、思いは繋がれていく。

 

 音ノ木坂学院の生徒数自体は多いわけではない。

 だけどその全校生徒は、余すことなく駆け付けてくれた。

 

 

「ヒーローに救われた人達が、そのままただの人でいる理由なんてない。普通の人が、ヒーローになれないなんて理屈もないんだから」

 

 言うだけなら簡単。しかしてそれを実行するのはとても勇気がいることを、この世界で生きている者なら誰もが知っている。

 けれど、そんな人達を変えた者こそが、μ'sと岡崎拓哉。

 

 無謀だったはずの結果を残し、偉業を成し遂げた者達。

 どこにでもいる普通の高校生が、ヒーローに変わった瞬間から、この学校の生徒も徐々に変わっていったのだ。

 

 

 

 

 誰にだって、ヒーローになれる権利がある。

 

 誰にだって、ヒーローになれる資格がある。

 

 誰にだって、ヒーローになれる素質がある。

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、頼んでおいて何だが驚いたよ。こんなにも主人公達(ヒーロー)がいれば、俺達が霞んで見えるな……」

 

「メインが何言ってるんだか。さあ、行った行った! 時間は待っちゃくれないよ!」

 

 ヒデコがパチンッと軽く区切りを付けるように手拍子を鳴らす。

 これ以上は時間を潰している暇もないのだろう。実際、向こうに着いてからも準備をしなくてはならないのだから、どっちみち急ぐに越したことはない。

 

 

「……みんな、変だよ」

 

「穂乃果?」

 

 そろそろ行こうかというところで、穂乃果が呟いた。

 

 

「こんな大変なこと……」

 

 言うだけなら簡単、それを実行に移すのはその人次第。何をするのかによってその言葉の重さは違っていく。それを目の前でみんながやっていることに重ねるならば、とても重く大変で、苦行にも近いもののはずだ。

 

 それなのに、自分達のために全校生徒が集まってくれた。

 

 

「ほんとに、みんな……変だよ……!」

 

「そんなもんだよ」

 

 頭に少し降り積もっていた雪を手で振り払いながら拓哉が穂乃果の隣に立った。

 まるで全てを理解しているような顔で、当たり前のことを言っているかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒーローってのは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いっけー!!」

 

 ヒデコ達の声援を受けて走る。

 階段を下りれば、今までずっと雪かき作業をしてくれていた生徒達からも声をかけられた。

 

 

 

 

「がんばれー!」

 

「足元気を付けてー!」

 

「まだ間に合うよー!」

 

「慌てないで!」

 

「こっちだよ!」

 

「そのまま真っ直ぐ!」

 

「頑張ってー!」

 

「走れー!」

 

「転ばないでー!」

 

「この先左だよー!」

 

 

 

 様々な声援があった。

 走る先々で生徒達が手を振ってくれたり雪をどけてくれていた。

 

 一人一人の声が、思いが伝わってくるような気がした。

 お世辞でも社交辞令でもない。全校生徒が、本当に思っていることを声に出して言ってくれている。むしろそうとしか思えないほどに、この道には雪がなかった。

 

 

「ぅ……ッ……」

 

 再び涙腺が緩む。

 目尻に溜まる涙が走る振動で一滴ずつ零れていく。

 

 

「よく聞いておけよ」

 

 自分達より先を走る少年が言う。

 

 

「この声援は、この道は、お前らが死にもの狂いで頑張ってきて切り開いた道だ。他の誰でもない、μ'sが音ノ木坂を変えたからこそできた道なんだ。お前らがやってきた事は、決して無駄なことなんかじゃなかった」

 

「……ぅん……うん……ッ!」

 

 自分の後ろからもすすり声が聞こえる。

 おそらく海未とことりも同じようになっているのだろう。

 

 

「もう一息ー!」

 

 そんな声もしっかり聞き届ける。

 夢中になって走っていたからか、それとも生徒達の声が元気をくれたのかは分からない。だけど、気付けばもうすぐ会場に着くとこまで来ていた。

 

 

「誇れよ。これだけの人間を変えるなんて、高校生ができるもんじゃない。μ'sだから意味があった。お前らだから成し遂げられた。なら、ここまでやってくれた生徒達の思いを、今度はお前らが返してやれ」

 

 寒い中駆け付けてくれた人達のために、自分達がやれるのはたった一つ。

 

 

「全校生徒の思いを背負ってみせろ。そしてA-RISEに勝って本戦まで進んでやれ。大丈夫だ。お前らが諦めない限り俺が何度でも導いてやる、助けてやる、守ってやる、叱ってやる、背中を押してやる!」 

 

 もう周りに生徒はいない。元からこの周辺は言うほど荒れていなかったからか。

 だから見える。会場すぐ手前にある橋が。

 

 

「それでも下を向きそうになったら、前を見ろ。お前ら3人がどれだけどん底にいたとしても、前さえ向いていれば、必ず、必ずだ。仲間が手を引っ張ってくれる!!」

 

 拓哉の言葉と共に、見えた。

 いつも一緒に頑張ってきた6人の仲間が。この寒い中、控え室で待っていても誰も文句を言わないのに、ずっとそこで待っていてくれた。こちらに手を振ってくれていた。

 

 

「穂乃果ちゃーん!」

 

「間に合ったー!」

 

「……みんなー!!」

 

 傘を放り投げて穂乃果が先頭を突っ走って行った。

 海未とことりもそれに着いて行く。

 

 

「穂乃果!」

 

「絵里ちゃーん!」

 

「ったく、いきなり傘を放り投げるとかありかよ……」

 

 勢いで絵里に抱き付いた穂乃果に苦言を言うのはわざわざ傘を回収しに行った拓哉。割と良いこと言ったあとにこの扱いはもはやいつもと変わらない。

 

 

「寒かったよ~怖かったよ~! これでお終いだなんて絶対嫌だったんだよ~!! みんなで結果を残せるのはこれで最後だし、こんなに頑張ってきたのに何にも残んないなんて悲しいよ~! だからぁ……」

 

「……ありがとう、穂乃果……! うえぇ!?」

 

 泣きながら叫ぶ穂乃果をしっかりと抱き締める絵里。そのせいで穂乃果の鼻水がべったり付いたのは仕方がない。

 と、ここで拓哉が傘で穂乃果の頭を軽く叩きつけた。

 

 

「あだっ」

 

「だーから、んな事させないから俺がいるんだろうが」

 

「ふふっ、そうね」

 

 穂乃果が絵里に抱き付いている代わりに、海未とことりは地味に拓哉の背中へしがみ付いていた。

 変にツッコむのは野暮だから一応スルーしておいて正解だと思う。

 

 すると、後ろの方から無数の足音が聞こえた。

 

 

「みんな……!」

 

「ほら、みんなに言うことあんだろ?」

 

「……うん!」

 

 全校生徒が目の前にいる。

 今日という日を支えてくれた人達がいる。であれば、言うことは一つ。

 

 

「みんな……本当にありがとう! 私達、一生懸命歌います! 今のこの気持ちをありのままに! 大好きを、大好きなまま……大好きって歌います!! 絶対、ライブ成功させるね!!」

 

 この思いを無駄にするわけにはいかない。全校生徒の思いを背負うことなんて、もう造作でもない。スクールアイドルを始めた時から、学校さえも背負ってきたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとは、勝つだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頑張れー!」

 

「いっけー!」

 

「ファイトー!!」

 

 たくさんの声援が心地よく耳に入ってくる。

 目の前には大勢の観客がいるが、それでも誰が応援してくれているか分かる。

 

 

「μ's-!!」

 

「お姉ちゃーん!」

 

「穂乃果ー!!」

 

 友達、妹、両親、自分が知らない人までもが、応援してくれている。

 今までも感じていたことだが、今日でハッキリと分かった。応援してくれる人がいるというのは、どれだけ心強いかと。

 

 両手に繋がれている手から仲間の体温がハッキリ伝わってくる。

 外は寒くても、この温もりがあれば充分だった。

 

 

「皆さんこんにちは! これから歌う曲は、この日に向けて新しく作った曲です。たくさんのありがとうを込めて歌にしました! 応援してくれた人、助けてくれた人がいてくれたおかげで、私達は今、ここに立っています! だからこれは……みんなが作った曲です!!」

 

「「「「「「「「「聴いてください」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、てっきりもう客席の方にいると思っていたんだけど」

 

「控え室にコート取りに行ってたんだよ。さすがにずっと学ランにマフラーのままじゃ死ねる」

 

 ステージ脇に、A-RISEの綺羅ツバサと拓哉がいた。

 

 

「それにしては随分ゆっくりね。早く見に行ってあげたら?」

 

「そんな焦る必要ねえよ」

 

「どうして?」

 

 μ'sを大切に思っていて手伝いをしているなら、普通いち早く見に行ってあげるのではとツバサは思っていた。

 けれど、少年は言う。とても余裕を持たせて。

 

 

「信じてるからな」

 

「……、」

 

 ようやく真冬らしい服装に戻った少年は白い息を吐きながら笑って言った。

 ツバサはいつかのあの時を思い出していた。

 

 UTX学院で会った時、確かにμ'sには実力があった。一人一人に個性があり、バランスを保って、そしてこの少年がいた。

 だけど、そこまでの評価しかしていなかったのも事実。勝つのは自分達。そう確信していたのは変わらない。

 

 そのはずだったのに。

 今のこの少年から放たれた言葉と表情には、以前とは比べ物にならないほどの自信が満ち溢れていた。

 

 

「そう……なら早く行ってあげなさい。あなたはよくても彼女達はあなたにもちゃんと見てもらいたいだろうし」

 

「何だそりゃ」

 

 ツバサの言っていることはよく分からないが、穂乃果達のパフォーマンスを見ないわけにもいかず歩き出す。

 

 

「あ、そうだ」

 

「?」

 

 お互い背を向けて歩こうとした瞬間、拓哉が思い出したかのように声を出した。

 それに釣られてツバサも拓哉へ振り返る。

 

 

「悪いな。アンタらのパフォーマンス見れなくて。また機会があったら見せてくれよ、ツバサ」

 

「なッ……!?」

 

 言うだけ言って片手を上に上げながら去っていく少年。自分が穂乃果達を迎えに行ったせいで見れなかったのを謝っただけなのだが、ツバサとしてはそれ以上に問題視すべき点があったようで。

 

 

 

「……ずるい……」

 

 

 

 初めて名前で呼ばれた少女は、今はもう去っていない少年の方へ視線を向けながら、少女らしい文句を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「聴いてください」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 客席を見渡す。

 どこも人で埋め尽くされていた。

 

 その全員が自分達を見ている。

 最終予選、最後の組、μ'sを見るために。

 

 色んな客がいる中でも、たった1人の少年を見付けるのはすぐだった。

 吹っ切れたようにこちらを微笑みながら見守っている少年。その隣には妹達もいた。おそらく少年の分をあらかじめ空けておいたのだろう。

 

 今から歌うのは、先ほど自分でも言ったようにみんなで作った曲。

 だけど、多分穂乃果も、他のメンバーももう分かっている。

 

 この歌には、μ's9人分の想いがある人へも向けていることに。

 それに気付くか気付かないかは鈍感少年次第だが、今まで通り気付かないとは思う。

 

 それでも歌う。

 少年への想いと、ラブライブへの思いと、今日支えてくれたみんなのために。

 

 

 

 

 

(学校が大好きで……) 

 

 

 

 

(音楽が大好きで……)

 

 

 

 

(アイドルが大好きで……!)

 

 

 

 

(踊るのが大好きで……)

 

 

 

 

(みんなが大好きで……)

 

 

 

 

(この毎日が大好きで……)

 

 

 

 

(頑張るのが大好きで……)

 

 

 

 

(歌うことが大好きで……)

 

 

 

 

 メンバーの誰もが、思い思いに掲げたこの曲。

 どの気持ちにも嘘はなかった。

 

 

 

 

 そして、純粋な想いは、音の旋律を奏でて現実を白く彩っていく。

 

 

 

 

 

 

 

(μ'sが、大好きだったから……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……見せてやれ。μ'sの想いを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Music:Snow halation/μ's

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


最終予選編、これにて終了。
アニメで見てからずっと書きたかった回なのである種の達成感があります(笑)
この回は大事な回でもあり、これからに繋ぐ重要な場面もいくつかありますからね。個人的には神回だった!

さあ来週から大事な話ばかりですが、とりあえずはいつものように明るい日常から始まるでしょう。


いつもご感想高評価ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!


【コラボ告知】

 そして、いよいよ今週の金曜日。
 薮椿さんの小説『ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~』とのコラボ回になります。
 約1年半ぶりくらい、2回目のコラボですね!
 この作品を読んでいる方なら1回目のコラボ回も読んでくださっているはずですが、読んでない方は1回目の方を読んでおいた方がよろしいかもです。
 一応1回目のコラボ回の続編となるので!

9月8日(金)をお楽しみに!!



なので今回の話のご感想はできればお早めにくださると返信しやすいかもです!!
どしどし待ってます!もちろん高評価(☆10)もね!!







夏も終わりですね。
個人的に暑いのは苦手なのでこの一言を。
『夏、終わって』
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