ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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127.みんなと一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうダメ~……」

 

「私も……」

 

「よくやった。向こうで休憩してていいぞ」

 

 

 

 

 お礼という名の餅つき大会も終わり、そのまま解散になるはずもなく、俺とμ'sは神田明神で練習に励んでいた。

 

 

「これで穂乃果とことりと海未もゴール、と」

 

「はぁ、はぁ……さすがに、お餅ついた後だとキツいね……」

 

「の割に穂乃果は自己ベスト更新してるぞ」

 

「ほんと? よしっ」

 

 餅食ったあとに階段ダッシュで自己ベスト更新とか普通に考えておかしいんだけどな。タイム遅くなると俺も思ってたのに予想を遥かに上回ってきやがった。体力お化けにでもなったのかこいつ。

 

 

「穂乃果もことりももう休憩していいぞ。時間も時間だし、これ以上汗かいて体冷やすのもダメだしな」

 

「はーい」

 

「私水飲んでこよーっと」

 

 さて、あとは3年組が終わるのを待つだけってもう上がってくるだけか。

 

 

「はい終了。3人共お疲れさん。タイムも上々だな」

 

「はあ……はあ……っ、自分は走らなくていいから良い御身分よねアンタは……」

 

「ずっと突っ立ってタイム計る俺だってクソ寒いんだから変わんねえだろ」

 

 にしても、最初に比べるとやはり全員のタイムが格段に上がっている。ただでさえここの階段は段も多く疲れやすいのに、今ではもう全員が以前よりも自己ベストを更新している。継続は力なりとはよく言ったもんだ。

 

 

「拓哉くん、そういえばさっき言ってた答えを見付けにって何だったの?」

 

 早くも息が整ってきた花陽が汗を拭きながら俺を見上げてきた。

 それと同時に他のメンバーも同じように視線を俺へと向けてくる。そういやそうだったな。穂乃果は……と、いたいた。

 

 

「……タイミングも良かったみたいだな。答えは多分近くにある。穂乃果のとこに行けば分かると思うぞ」

 

「穂乃果のところに?」

 

「ああ。あいつはもうその片鱗をたった今見てる最中だ」

 

「あれって……」

 

 言うや否や、海未達は穂乃果のとこへ近づいて行く。

 穂乃果が見ているのは、神社によくある絵馬だ。

 

 

「凄い数ねえ」

 

「お正月明けですからね」

 

「これ、音ノ木坂の生徒の……」

 

「こっちもです」

 

 数えきれないほどの絵馬があるが、よく見てみると色んな願いが込められている。

 個人の願い。誰かのための願い。様々な願いがあった。

 

 そして、その中でもよく見るのが。

 μ'sに関してのことが多かった。

 

 

『μ'sファイト!』

 

『μ'sがラブライブのステージで最高のパフォーマンスができますように! がんばれ~☆』

 

『μ'sがラブライブで優勝できますように』

 

『μ'sを見て音ノ木坂に入りたいと思いました』

 

『娘がμ'sの皆さんの大ファンです』

 

 たくさんの絵馬があった。

 膨大な数の願いが書かれていた。

 その中でも、μ'sを応援してくれる声が、大半を占めていた。

 

 

「あ、見て!」

 

 ことりの声にみんなが反応する。

 1枚の絵馬には、こう書かれていた。

 

 

『μ'sが本大会で遅刻しませんように! 雪穂』

 

『大会の日、晴れますように! 亜里沙』

 

『本番、μ'sが楽しんでライブができますように! 唯』

 

 同じ絵馬に、3人分の願いが込められていた。

 俺達が知っている3人の想いが詰められている。

 

 

「そっか……分かったこれだよ!」

 

「何なのよいきなり」

 

 穂乃果がいきなり大声を上げる。

 やっぱりここに来て間違いはなかったようだ。

 

 

「μ'sの原動力! 何で私達が頑張れるか、頑張って来られたか、μ'sってこれなんだよ!」

 

「これが?」

 

「うん! 一生懸命頑張って、それをみんなが応援してくれて、一緒に成長していける。それが全てなんだよ! みんなが同じ気持ちで頑張って、前に進んで、少しずつ夢を叶えていく……。それがスクールアイドル、それがμ'sなんだよ!」

 

 いつも通りの、高坂穂乃果として、スクールアイドルとして、μ'sとして、リーダーとしての、最高の答えをこいつは導き出した。

 

 

「みんなの力……」

 

「それが……μ's」

 

 穂乃果の言葉に、みんなが納得したように表情が明るくなっていく。

 

 

「もしかして拓哉、答えを見付けにって、最初からここに来れば分かるって分かってたの?」

 

「確実とは思ってなかったけど、確信はあったよ。穂乃果なら絶対見つけられるってな」

 

「相変わらずアンタのその直感は常人とは思えないわね……」

 

 何故かにこに引かれるという大変理不尽な視線をいただいた。

 まああれだ。本当に直感でここに来れば分かるんじゃないかと思ったに過ぎない。

 

 神田明神。

 穂乃果達の始まりの場所で、いつも使わせてもらっている練習場所で、俺達にとって大事な場所。

 

 だから、ここに来ればその答えが見つかるんじゃないかと思った。

 俺達だけではない。色んな人達が来るここなら、たくさんの人達の願いが集まるここなら、μ'sの原動力が分かると思った。

 

 

 それだけに過ぎない。

 

 

 

「じゃあ穂乃果、μ'sのキャッチフレーズ。何にするか決まったか」

 

「うん! 決まったよ。もう、これ以外考えられない!」

 

 

 

 

 俺の問いに、穂乃果は堂々と答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後のUTX学院前。

 

 

 

 

 

 そこで本選に出場するスクールアイドルの名前とキャッチフレーズが出されるという事で、俺達は見に来ていた。

 

 

 

 

 色々なスクールアイドルの名前とキャッチフレーズが流れていく中、No11にμ'sの名前があった。

 そして。そして。そして―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれがあなた達の導き出した答え?」

 

 背後から声をかけられる。

 振り向かずとも声だけでそれが誰なのかすぐに分かった。

 

 

「UTXの前だってのに、こんなとこにいたら目立つんじゃねえのか」

 

「どちらかと言うとあなた達の方が今は目立つと思うんだけどね」

 

 いくら何でもA-RISEのリーダーがいたら普通に大騒ぎになると思うんだけど。

 穂乃果達はお互い鼓舞しあってツバサには気付いてないみたいだ。

 

 

「っと、何だよ」

 

「一応バレるのは何だし、気付かれてないみたいだからせっかくだし穂乃果さん達にもバレないようにしたの」

 

「何だよそれ」

 

 急にツバサが背後に回り、まるで背中合わせしてるかのような態勢になる。

 地味に楽しんでないかこいつ。

 

 

「で、結局どうなの。あれがあなた達が出した答え?」

 

「……正確に言うとあいつら9人が出した答えだな」

 

「いつも通りブレないわねあなたも。でもまあ、納得したわ。私達が負けた理由も、勝てなかった理由も」

 

 何となく、ツバサの声には吹っ切れたような感じがあった。

 背中越しにもそれは少し伝わってくる。

 

 

「そうだろうな。あいつらにはアンタ達にはなかったものがあった。誰かを惹き付ける力はあっても、誰かと一緒に頑張れるような力がなかったんだ」

 

「随分ハッキリ言ってくれるのね」

 

「その方がいいんだろ? A-RISEは確かに凄い。だけど、それは見てくれる人達を置いていくような、本当の意味でのトップだった。それだって十分誇れることなんだろうさ」

 

「……、」

 

「だからμ'sは違う魅力を身に付けた。いや、きっともう最初から備わっていたんだと思う。誰かと一緒に成長して、応援してくれる人達も変わっていって、誰もがμ'sを見て惹かれるのはさ、やっているあいつらも応援してくれる人達も一緒に成長していくからなんだと思う」

 

 あくまでこれは俺の個人的な感想と見解だ。

 始まった時からこいつらを見てきての俺の観察力と思ってくれて構わない。これが合っているとは限らないが、決して間違いでもないと思う。

 

 

「強いのね。あなた達は」

 

「強いんじゃない。強くなったんだよ。色んな問題があった。その度に乗り越えてきた。自分達だけじゃない。誰かに助けてもらって、時には助けて、そうやって一緒に頑張ってきたから、今のμ'sがある」

 

「そう……そういうこと……」

 

 スッと、背中の感触が失われた。

 後ろを向くとツバサは歩き出している。

 

 

「私は行くわ。納得もしたしね」

 

「……、」

 

「ああ、最後に一つ言うとすればだけど」

 

 ふと、立ち止まってツバサがこちらに振り向いた。

 

 

「μ'sが強くなったのは確かに応援してくれた人達と一緒に成長したからってのもあるんだろうけど、多分一番は()()()()()()()()()()()()()()

 

 それだけを言い残し、ツバサは去っていく。

 まるで肯定も否定も聞かないように。

 

 

「ねえたくちゃん、あれって……」

 

「ん、ああ、ツバサだよ」

 

「ええ! 何で声掛けてくれなかったんだろ! 挨拶しようかと思ったのに~」

 

「俺がしといたから大丈夫だよ。ついでにあの時の答えも言っといた。納得してたよあいつも」

 

「……そっか」

 

 少しシュンとしつつも笑う穂乃果の頭に手を乗せてやる。

 

 

「さてと、んじゃ戻るか」

 

「うんっ!」

 

 メンバーに声をかけ、全員で学校へ戻る。

 本選まで約1か月半。いくらA-RISEに勝ったとはいえ、油断はしていられない。練習で磨けるとこはとことん磨いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先ほど、ツバサがもしその場にいたままだとしたら、俺は肯定しただろうか。それとも否定しただろうか。

 考えた末に出てきたのは、どちらもだった。

 

 肯定もしたし、否定もする。

 俺がいてもいなくても、きっとμ'sは成長していた。壁を乗り越えていけると思う。

 

 

 

 でも。

 だけど。

 

 

 

 最後の最後には、結局肯定するのだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 それが、μ'sの出した答えなのだから。

 

 

 

 

 これは俺さえも含められて出された結論だろう。

 誰かいてもいなくてもとか、そういうことじゃない。

 

 そこに含まれる意味は、きっと誰も拒まずに受け入れてくれるようなものだ。

 だったら、俺もそこに遠慮なく入ろうと思う。

 

 俺だけじゃない、μ'sだけじゃない、それを応援してくれる人達含めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “みんなで叶える物語”なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次章―――『μ's解散編』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


これにてキャッチフレーズ編完結。
いよいよ次回はあの回です。
ゆっくりと、しかして確実に終着点が見えてきました。


いつもご感想高評価ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!





サンシャイン2期では梨子ちゃん推しになりそう。
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